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VUCAとは?求められる人材や対応する組織作りのポイント

新型コロナウィルスの流行や生成AIをはじめとする新技術の台頭など、現代のビジネス環境はますます先が見通しにくくなっています。

そんな時代の様子を表した言葉が、「VUCA」です。今後の予測がしづらいVUCAの時代では、企業はどの様な視点から人材育成や組織作りを行えばよいのでしょうか。

この記事では、VUCA時代に求められる人材像や組織作りのポイントについて解説します。


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目次[非表示]

  1. 1.VUCA(ブーカ)とは?
    1. 1.1.Volatility(変動性)
    2. 1.2.Uncertainty(不確実性)
    3. 1.3.Complexity(複雑性)
    4. 1.4.Ambiguity(曖昧性)
  2. 2.VUCAの時代といつから言われるようになった?
  3. 3.VUCAが注目されている背景
  4. 4.VUCA時代に求められるスキル
    1. 4.1.分析的思考とイノベーション
    2. 4.2.積極的傾聴と学習戦略
    3. 4.3.創造性、独創性、自発性
    4. 4.4.テクノロジーの設計
    5. 4.5.クリティカルシンキングと分析
    6. 4.6.複雑な問題の解決能力
    7. 4.7.システムの分析と評価
  5. 5.VUCAに対応する組織作りのポイント
    1. 5.1.人材育成に注力する
    2. 5.2.多様な人材を取り入れる
    3. 5.3.VUCAに対する情報収集と分析を行う
    4. 5.4.定期的に施策を見直す
    5. 5.5.管理職のアンラーニング
  6. 6.VUCAで必要な思考法「OODAループ」とは
  7. 7.VUCAに必要な人材育成ならアルーにお任せください
    1. 7.1.オンライン研修・eラーニングにも対応しています
    2. 7.2.自社に合わせて研修内容をカスタマイズ可能です
    3. 7.3.研修結果を見える化いたします
  8. 8.VUCAに適応するためのアルーの研修例
    1. 8.1.VUCAに適応するための管理職研修
    2. 8.2.OODAループの基本研修
  9. 9.まとめ


VUCA(ブーカ)とは?

「VUCA(ブーカ)」とは、激しい社会状況の変化やAIを始めとした新技術の台頭によって、社会やビジネス環境にとって今後の変化が予測しづらくなる状況のことを指します。

▼従来のビジネス環境とこれからビジネス環境の違い

	VUCAの時代に適応できる企業・組織とは_1.

例えば、東日本大震災や英国のEU脱退、トランプ大統領の就任や新型コロナウィルスの流行などがVUCAの事例です。VUCAの頭文字となっている4つの単語とその意味について見ていきましょう。


Volatility(変動性)

Volatilityとは、「変動性」のことです。物事が急に変わりやすい性質を意味します。

例えば、新型コロナウィルスの急速な感染拡大は、この「Volatility」の一例と言えるでしょう。新型コロナウィルスの感染拡大によって、これまであまりリモートワークの活用が進んでいなかった企業でも、急激に働き方が変わりました。

交通網の発達によって世界中の人の往来が活発になったことや、SNSによる情報伝達が行われるようになったことが、この変動性をますます大きくしています。


Uncertainty(不確実性)

Uncertaintyとは、不確実性のことです。正しい情報の収集や理解がしづらいため、実際に起っている物事を理解できておらず、確信が持てない状況、ともいえます。

例えば、新型コロナウイルスの流行を予測できたでしょうか。もちろん感染症に備えるといった一般的な対策はできますが、特定のタイミングで世界を揺るがすような事象が発生するのを事前に予測することは困難です。政治情勢や自然環境など、様々な面で世界の不安定さが増したため、唐突に訪れる問題を予測するのがさらに難しくなっています。


Complexity(複雑性)

Complexityとは、複雑性のことです。特にVUCAの文脈においては、経済のグローバル化によってビジネスの構造が複雑化したことを意味します。

例えば日本と海外では、習慣や常識、ルールなどが大きく異なります。そのため、日本では成功したビジネスであっても海外では通用しなかったり、反対に海外で成功したビジネスを日本で真似しても上手くいかなかったりします。

ビジネス構造そのものの高度化や、事業のグローバル化に伴って、ビジネス環境の複雑性が増しているのです。


Ambiguity(曖昧性)

Ambiguityとは、曖昧性のことです。ある一つの物事に複数の解釈可能性があり、一つの物事を様々に捉えられることを意味します。

例えば、これまではマスメディア主導のマーケティング戦略で、消費者を意図的に誘導するような売り込み方も可能でした。しかし、最近ではSNSの普及に伴って個人の価値観も多様化しているため、あらゆる側面から消費者のニーズをキャッチしなくてはいけません。こうした点で、曖昧性は価値観の多様化と密接に関連しているともいえます。


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VUCAの時代といつから言われるようになった?

VUCAという言葉は、元々アメリカの軍事用語から来ています。1990年代にアメリカとロシアの間で起こっていた冷戦が終結し、アメリカは軍拡競争を進める戦略からの転換を迫られました。相手がどのような戦略を取るか不透明な当時の状況を象徴した言葉がVUCAです。

その後、2010年代に入るとビジネス環境のグローバル化や複雑化が進み、VUCAという言葉が広く使われるようになりました。


VUCAが注目されている背景

どうして、2010年代に入ってVUCAが注目されているのでしょうか。

第一の要因として、インターネットの爆発的な普及が挙げられます。インターネットの普及は多くの新たなビジネスを生み出したと同時に、SNSの普及ももたらしました。これにより情報の流動性が増し、世界の不安定性が増したのです。

さらに、最近ではグローバル化が進んだため世界中で人や金銭、物品の往来が増えました。そのため、感染症や自然災害、戦争など一部の国で起こった出来事が世界中に深刻な影響をもたらします。こうした背景から、ビジネス環境の急激な変化が進み、VUCAが注目を浴びています。


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VUCA時代に求められるスキル

	積み木のVUCA.

VUCA時代に求められるスキルとしては、以下のように様々なものが挙げられます。


  • 分析的思考とイノベーション
  • 積極的傾聴と学習戦略
  • 創造性、独創性、自発性
  • テクノロジーの設計
  • クリティカルシンキングと分析
  • 複雑な問題の解決能力
  • システムの分析と評価


VUCA時代に必要なこれらのスキルについて詳しく見ていきましょう。


分析的思考とイノベーション

分析的思考とイノベーションは、新しい情報を収集し、それを分析して新しいアイデアを生み出す能力です。
例えば、新しい製品を開発する際に、市場のトレンドや競合他者の製品を分析し、それに基づいて新しいアイデアを生み出すことが求められます。
VUCAの時代には、革新のスピードが早いため、いち早く情報を集め、それを新しい形にしていく力が必要になるでしょう。


積極的傾聴と学習戦略

積極的傾聴と学習戦略は、他人の意見や視点を理解し、それを自分の学習や社員の学習に活用するスキルです。
例えば、チームでのプロジェクトで物事を進める際には、しっかりとメンバーの意見や視点を理解して進めていくことが必要になります。VUCAの時代では、誰か1人の考えで物事を進めるのではなく、多角的な視点が必要です。そのため、さまざまな背景や視点を持ったメンバーから積極的に意見を引き出す必要があるでしょう。
また、社員の意見を通して、社員1人1人に合った学習を行うことも大切です。研修を体系的に実施することなどが必要になってくるでしょう。


創造性、独創性、自発性

新しいビジネスモデルやサービスを考え出すためには、創造性・独創性・自発性のスキルが必要です。例えば、既存のサービスを改善するための新しいアイデアを生み出したり、新しい市場を開拓するための戦略を立てたりする際に、競争優位性を築けるような独創的な考え方が必要になります。


テクノロジーの設計

新しいテクノロジーを設計し、それを使用して問題を解決する能力は、DX化が進む現代において特に重要です。例えば、AIやIoTなどの最新技術を活用して、業務効率化やコスト削減などの課題解決に取り組むことや、新しいサービスの創造が求められます。


クリティカルシンキングと分析

情報が多い現代社会では、情報を批判的に考え、それを分析して本当の課題や本質を見つける能力が必要になります。
例えば、新規事業の企画の際に、まだ解決されていない世の中の課題を発見し、その解決法まで深く掘り下げることが必要です。この時に、クリティカルシンキングと分析の力が必要になるのです。

クリティカルシンキングを鍛える研修については下記ページをご覧ください。
クリティカルシンキング研修とは?目的や内容・ポイントをご紹介


複雑な問題の解決能力

VUCAの時代では、経済のグローバル化によってビジネスの構造が複雑化しているため、それに伴って課題や問題も複雑化してきます。
そのような問題を解決するためには、問題の本質を理解し、適切な戦略を立てる力が求められます。そのため、情報収集スキル、分析能力、評価スキル、そして実行力が必要になるでしょう。


システムの分析と評価

企業内の業務プロセスやITシステムなど、様々なシステムのパフォーマンスを評価し、改善点を見つけ出す能力も重要です。
例えば、システムの構造や機能を理解し、目標を達成するためにどのように機能しているかを評価し、システムの改善点を見つけ出して、それらを改善するための戦略を立てることも含まれます。


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VUCAに対応する組織作りのポイント

VUCAに対応できる組織作りを行うためには、何を意識すればよいのでしょうか。

これまでの典型的な日本企業では、中核人材となる一部の経営陣が会社の方針を決定し、従業員はそれに従う形で事業が行われてきました。しかし、変化の激しいVUCA時代では、組織全体で互いの強みを活かし合いながら、現場から主体的に動く姿勢が必要です。VUCAに対応する組織作りのポイントを解説します。

▼これまでの組織とVUCA時代の組織の違い

	VUCAの時代に適応できる企業・組織とは_3


人材育成に注力する

VUCA時代では迅速な意思決定が求められるため、現場が主体的に動く必要があります。主体性が高く、自分で判断が下せるような現場を作り上げるためには、人材育成に注力するのが効果的です。

例えば、主体性を引き出すマインドセットを獲得するための研修を実施したり、判断に必要な業務知識を身につけるための研修を実施したりするのがおすすめです。最近では「人的資本経営」という考え方も注目を浴びています。VUCA時代に対応できる組織を作るためには、人材育成が欠かせません。


多様な人材を取り入れる

VUCAの時代では、意思決定がますます難しくなっています。また、個々の価値観が多様化しているため、これまで通りの紋切り型の消費者像を掲げるだけでは、消費者の心をつかむことはできません。

VUCAにおける難しい意思決定をこなすためには、多様な人材を取り入れるのがポイントです。マーケティングや経営判断の議論を行う際も、チーム内から様々な観点からの意見が出ることで、最善の選択をしやすくなります。


VUCAに対する情報収集と分析を行う

グローバル化やデジタル技術の浸透は、現在進行形で続いています。これからもしばらくの間はVUCAの傾向が止まらず、世界の不安定さや複雑さは増していくでしょう。

そうしたビジネス環境に対処する上では、VUCAに対する情報収集と分析を行うことが大切です。例えば世界的に話題となっているウクライナ侵攻やエネルギー危機など、ビジネスに深刻な影響を与える話題に常にアンテナを張っておく必要があります。世界情勢を敏感にキャッチしておけば、先の見えないVUCAの時代を生き抜く手がかりが得られるでしょう。


定期的に施策を見直す

多くの企業では経営計画が立案され、それに沿って各部署の目標や目標達成のための施策が決定されているでしょう。しかし、施策を打ち立てた当時は効果的だった施策であっても、ビジネス環境が変化したことによって、その有効性が失われてしまうケースは少なくありません。

ビジネス環境が常に変化するVUCAの環境下では、定期的に施策を見直す必要があります。以前始めた施策が本当に今のビジネス環境でも有効なのかどうかを定期的に検証し、必要に応じて修正するのがよいでしょう。


管理職のアンラーニング

アンラーニングとは、既に身につけた知識やスキルのうち不必要になったものを捨て、その代わりに新しい能力を身につけることです。「学びほぐし」とも呼ばれており、最近のビジネスの現場でも積極的にアンラーニングが行われています。

VUCA時代に対応するためには、管理職を中心としたアンラーニングを進めるのもポイントです。管理職の場合、これまでの成功体験を持っているケースが多いため、なかなか新たなスキルを身につけるモチベーションが生まれません。こうしたこだわりから離れ、アンラーニングによって必要なスキルを獲得してもらうのが、VUCA時代へ対応できる組織作りへの近道です。

▼管理職のアンラーニングについての実態調査レポートをまとめました。

  課長職のアンラーニングに関する実態調査~なぜ、プレイヤーからマネジャーに生まれ変わることは難しいのか?~ 「課長職のアンラーニングに関する実態調査」をダウンロードいただけます。青山学院大学松尾睦教授との共同研究レポートであり、プレイヤーからマネジャーへの意識転換を実現するためのエッセンスが詰まっています。 アルー株式会社


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VUCAで必要な思考法「OODAループ」とは

VUCA時代には、「OODAループ」と呼ばれる思考法が必要だと言われています。

これまでの思考法として代表的なものに、PDCAサイクルが挙げられます。ある特定のゴールに基づいて計画と実行、確認と改善を繰り返すという手法です。しかし、これは「特定のゴールがある」という状況を仮定しているため、先が見えなかったり明確なゴールがないVUCA時代には適応しづらいという問題点があります。

OODAループでは、「Observe(観察)」「Orient(方向づけ)」「Decide(決心)」「Act(実行)」という4つのステップを繰り返します。明確な正しい目標を設定するよりも、まずはスピード感を持って方向を決め、行動しながらそれを修正していく点に特徴があり、明確なゴールを設定しづらいVUCA時代に向いている思考法です。


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VUCAに必要な人材育成ならアルーにお任せください

VUCA時代に必要な人材の育成なら、人材育成を専門にしているアルーへお任せください。アルーでは毎年、新入社員研修や階層別研修、グローバル研修などを数多く手掛けており、豊富な育成実績があります。お客様の企業にぴったりな、VUCA時代に求められる人材育成プランを提案いたします。


オンライン研修・eラーニングにも対応しています

最近注目を浴びているのが、ZoomやTeamsを用いたオンラインでの研修や、LMSと呼ばれる学習管理ツールを用いたeラーニングでの研修です。これらを積極的に活用すれば、これまで研修にかかっていた時間的・金銭的なコストを大きく削減でき、研修運用の負担も軽減できます。

アルーでは、オンライン研修やeラーニングでの研修にも対応しています。オンライン研修やeラーニングならではの育成ノウハウをもとに、最適な育成施策を提供させていただきます。


自社に合わせて研修内容をカスタマイズ可能です

研修の実施を受託している企業では、既に業者側で研修プランが用意されており、研修で扱う内容が固定されている場合がほとんどです。しかし、研修の費用対効果を最大限に引き出すためには、自社に必要な内容を選別して、最適化することが欠かせません。

アルーでは、研修内容を自社に合わせて柔軟にカスタマイズできます。お客様の経営課題や現場での課題を丁寧にヒアリングし、研修体系の作成段階から伴走可能です。


研修結果を見える化いたします

研修内容を継続的に改善していくためには、研修の効果測定が必要不可欠です。予め設定したKPIに基づいて研修の効果を分析し、改善点などを来年度以降への研修と活かす必要があります。

アルーでは、研修結果の見える化も行います。研修によってどのような効果が出て、どういった行動変容につながったのかをひと目で把握できるため、研修の効果も一目瞭然です。研修結果の見える化によって研修の改善点がわかりやすくなるほか、受講者に必要なフォローアップを提供することも簡単になります。


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VUCAに適応するためのアルーの研修例

VUCAに適応するため、アルーでは様々な研修を実施しております。ここでは代表的な2つの研修例として、「VUCAに適応するための管理職研修」と「OODAループの基本研修」の2つを紹介いたします。


VUCAに適応するための管理職研修

VUCAに適応するための管理職研修では、VUCA時代で求められる管理職としてのスキルを以下の3つの観点からしています。


  • 自己変容:自分自身の意思を持ち、コンフォートゾーンから抜け出して挑戦する
  • 組織マネジメント:心理的安全性と裁量を提供し、意思決定の質や士気を上げる
  • 対メンバー:メンバー間の不公平感やトラブルに気づき、適切にサポートする


VUCA時代では、一部のチームリーダーが意思決定をするだけでは適切な判断が難しいです。チームのメンバー一人ひとりが主体性を持ってチームに貢献できるようになるためのマネジメント技術を学べる研修となっています。


OODAループの基本研修

OODAループ研修では、先程解説したOODAという思考法を身につけるための学習を、演習中心で行います。研修では、まずOODAによる思考法が求められる背景について学びます。不確実性が高まっている現在、従来のPDCAサイクルから脱却する必要性を理解するのが目的です。

その後、ディスカッションやケーススタディといった演習を中心に、OODAループの考え方を理解します。OODAによる意思決定を擬似的に体験し、現場で活用するイメージを膨らませてもらいます。

最後に、現場での実践サポートとして現場実践レポートに取り組んでもらいます。研修中の学びを行動に移し、受講者の現場実践を引き出すのが狙いです。


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まとめ

VUCAについて、VUCAという言葉の意味やVUCAに対応できる組織作りのポイントなどについて解説しました。不確実性の高いVUCAに対処していくためには、VUCAで何が起こっているのかを敏感にキャッチするとともに、これまで身につけたスキルや知識を柔軟にアップデートし続けることが大切です。

ぜひこの記事の内容を参考に、VUCAに対応できる人材育成を行い、変化の激しいビジネス環境でも生き残れる強靭な組織作りを行っていきましょう。


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