新入社員研修でコンプライアンスを扱う重要性|テーマや効果的に行うポイント
ハラスメントやSNSによるトラブルなど、経営の危機に直結する不祥事を未然に防ぐために欠かせないコンプライアンス研修。
最近では新入社員によるSNSトラブルや情報漏洩といったトラブルも目立つため、新入社員のコンプライアンス研修に力を入れる企業が増えてきています。本記事では、新入社員研修でコンプライアンスを扱う重要性や、コンプライアンス研修のテーマ、効果的に扱うポイントを解説します。
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新入社員へのコンプライアンス研修の重要性
新入社員研修では、ビジネスマナーやマインドセットなど、他にもたくさん扱うべき内容があります。それでは、ただでさえ内容が盛りだくさんの新入社員研修でどうしてコンプライアンスを扱う必要があるのでしょうか。
まずは、新入社員へのコンプライアンス研修の重要性を解説します。なお、中堅〜管理職層も対象としたコンプライアンス研修全般に関しては、以下のページから詳しくご覧いただけます。
『コンプライアンス研修の目的とは?効果的な実施方法まで詳しく解説』
リスクヘッジにもなる
ひとたび情報漏洩やハラスメントといったコンプライアンス違反が起こってしまうと、企業の社会的信用は大きく低下します。一つのトラブルが、企業に大きな金銭的ダメージを与えることも少なくありません。最近では、SNSに関連するトラブルに新入社員が巻き込まれるパターンも目立っています。
コンプライアンス研修の重要性として、こうしたコンプライアンス違反による損害に対するリスクヘッジという観点が挙げられます。行政処分や取引停止など、企業として望ましくない事態を避けるために、新入社員という早い段階からコンプライアンスを習得してもらうことが重要です。
企業価値の向上につながる
コンプライアンス意識が高いということは、その企業の対外的な信頼性向上に直結します。その結果、新たなビジネスチャンスが増えたり、業績改善につながったりすることも多いです。取引先としても、コンプライアンスに力を入れている企業とは安心して取引できるでしょう。
コンプライアンス研修に力を入れる理由として、企業価値の向上という点も挙げられます。新入社員の段階からコンプライアンス意識を徹底しておけば、社内にコンプライアンス遵守の土壌を作ることができるのです。
新入社員研修で取り扱うべきコンプライアンス研修のテーマ
一般社員を対象としたコンプライアンス研修は実施しているものの、新入社員を対象としたコンプライアンス研修ではどういったテーマを扱えばよいのか分からない、という場合もあるかもしれません。新入社員研修では、SNSや情報漏洩、著作権などについて扱うのがおすすめです。
新入社員研修で扱うべきコンプライアンス研修のテーマを解説します。
コンプライアンス違反が企業・違反者本人に与える影響
コンプライアンス研修を実施する際に、「そもそもどうしてコンプライアンスをこれほど重視しているのだろう」「コンプライアンスを重視しすぎではないのか」と感じる新入社員もいるでしょう。社会人経験の浅い新入社員は、そもそもコンプライアンス遵守の重要性をいまいち理解できていない場合があります。
新入社員研修では、コンプライアンス違反が企業や本人に与える影響を重点的に説明するのがおすすめです。コンプライアンス違反によって本人が損をするだけでなく、企業全体にも悪影響を与えてしまうと理解してもらい、コンプライアンス遵守の姿勢を身につけてもらいましょう。
SNSなどに関するリスク
新入社員の中には、SNSを活用している社員も多いです。こうしたSNSでは簡単に情報共有ができる反面、軽率な投稿が思わぬトラブルを招くリスクがあります。
新入社員を対象としたコンプライアンス研修では、SNSなどに関するリスクを重点的に扱うのがおすすめです。若い世代である新入社員はSNSに慣れているのだから大丈夫、と考えていると、大きなトラブルにつながる危険性があります。SNSを当たり前のように使っているからこそ、何が違反で何がそうでないのかをしっかり教育することが大切です。
情報漏洩・情報セキュリティー
SNSに関連するトラブルに次いで多いのが、情報漏洩や情報セキュリティに関するトラブルです。情報漏洩には大きく分けて「個人情報漏洩」と「社外秘漏洩」という2つの種類があります。個人情報漏洩は顧客の氏名や住所といった個人情報を漏洩させてしまうことで、社外秘漏洩は社外に知られてはいけない書類やノウハウ、データなどの流出のことです。
新入社員を対象としたコンプライアンス研修では、こうしたテーマを扱うとよいでしょう。個人情報漏洩、社外秘漏洩それぞれに対し、発生させないための対策を講じる必要があります。
ハラスメント
ハラスメントというと管理職が起こすものといったイメージがあるかもしれませんが、実際には誰でもハラスメントの加害者になり得ます。例えば他の社員に対して性的な言動を行うセクハラや、周囲の社員に精神的ダメージを与えるモラハラなどは、新入社員にもしっかりと対策する必要があります。
コンプライアンス研修では、ハラスメントについて扱いましょう。加害者にならないための対策とあわせて、もし自分が周囲からハラスメントと思われる言動を取られた場合の対応策も伝えておくのがおすすめです。
ハラスメント研修について、詳しくは以下のページで解説しています。
『【事例あり】効果のでるハラスメント研修とは?目的や内容を解説』
社会人としてのビジネスマナー
社会人としてのビジネスマナーは、階層を問わず誰しもが身につけるべき内容です。例えば必要なメールに返信しなかったり、職場にふさわしくない服装で出社したりすることは、一般的なビジネスマナーに違反していると言わざるを得ません。
新入社員を対象としたコンプライアンス研修では、社会人としてのビジネスマナーも扱いましょう。
最近では、社外でとった社員の行動がSNSを通じて拡散され、企業に影響を与える事例も増えてきています。コロナ禍以降、オンラインでの活動が多かった新入社員は周囲からの見られ方を意識できていないケースが多いため、特に注意が必要です。
列に割り込まない、ゴミをポイ捨てしないといった、社会人としての常識もわきまえておきましょう。
著作権や肖像権について
著作権や肖像権を侵害する行為は、損害賠償請求など多くのリスクを伴います。一度こうした法令違反の事案が発生してしまうとメディアでも大きく報道されてしまい、企業の社会的信用が低下してしまうケースも多いです。
著作権や肖像権なども、新入社員研修で扱っておきたいコンプライアンスのテーマです。著作権や肖像権の侵害は、犯罪と知らずに起こしてしまう場合も少なくありません。コンプライアンス違反によるリスクを防ぐためにも、社内全体で著作権や肖像権に対する理解を深めておくことが大切です。
新入社員のコンプライアンス違反事例
社会人経験の浅さやSNSとの馴染み深さから、新入社員のコンプライアンス違反事例が目立っています。
ここからは、新入社員のコンプライアンス違反事例を見ていきましょう。
家族や友人に社外秘情報を話す
新入社員がコンプライアンス違反を起こしたケースとして、家族や友人に社外秘情報を話してしまった事例があります。まだ経験の浅い新入社員は、新しい仕事に取り組むことで新たな物事を知って嬉しくなり、ついそのことを周囲へ話したくなってしまいがちです。
しかし、周囲への軽はずみな言動は、たとえそれが家族や友人であったとしても、そこから思わぬトラブルを引き起こしてしまうリスクがあります。社外秘の情報は、相手が誰であろうと決して口にしないことを徹底させましょう。
顧客の個人情報流出
顧客の個人情報流出事案も、数多く起こっています。例えば通信事業を展開していたA社では、クライアントから「取引にしか使用していないはずのメールアドレスに、関係ないメールが届くようになった」といった問い合わせを発端に、メールアドレスや顧客氏名を含む個人情報の流出が発覚しました。
また、新入社員が顧客データをUSBメモリに入れて持ち歩いていたところ、そのメモリを紛失してしまったケースもあります。個人情報の流出は社会的信用の低下のみならず、損害賠償をはじめとした金銭的損害にも直結するため、特に注意が必要です。
SNSに社内の情報をアップする
SNSに社内の情報を不用意にアップしてしまい、そこからトラブルにつながる事例もあります。例えば新入社員がSNSを運用していたB社では、オフィス内の写真を公開したところ、その背景に個人情報が記載されていたプリントなどが写り込んでしまっており、そこから情報漏洩に発展してしまいました。
この他にも、個人で利用しているSNSで社内の情報に言及して、問題となった事例もあります。公式のアカウントはもちろん、個人のアカウントであってもSNSでの発信には細心の注意が必要です。
著作権違反
新入社員による著作権違反の事例もあとを絶ちません。
例えば、他のアカウントで掲載されていた画像やネットで見つけた画像を無断でSNSにアップロードしたり、自分のアイコンとして使用したりする事例があります。また画像に限らず、文章を正しく引用せずに無断転用してしまうケースも多いです。これらはSNSだけでなく、顧客への提案資料などでも起こる可能性があります。
著作権については、関連する法律を正しく理解していないため発生するトラブルが多いです。まずは何が違反なのかをよく理解してもらう必要があります。
新入社員にコンプライアンス研修を効果的に行うポイント
新入社員にコンプライアンス研修を効果的に実施するためには、どういったポイントに気をつければよいのでしょうか。
コンプライアンス研修を成功させるために意識しておきたいポイントをいくつか紹介します。
研修の目的や重要性を最初に理解させる
新入社員の中には、「コンプライアンス」という概念に馴染みの薄い人も少なくありません。そもそもどうしてコンプライアンスを扱うのか、コンプライアンスがなぜ重要なのかを理解していない社員もいるでしょう。
研修を成功させるためには、研修の目的や重要性を最初に理解させるのが大切です。コンプライアンスが重要であると理解できれば、研修にも前向きな姿勢で臨んでもらえます。コンプライアンスを疎かにした場合のリスクやコンプライアンス違反の事例を取り上げ、重要性を理解してもらうとよいでしょう。
社会人としての心構えを身につけさせる
新入社員の中には、学生時代の意識から抜けきれていない人もいます。お金を払いサービスを受けていた学生時代とは異なり、社会人はお金を受け取ってサービスを提供する立場です。社会人としての責任意識やマインドセットが身につけば、コンプライアンス遵守の姿勢も自然と形成されていきます。
コンプライアンス研修を扱う際には、社会人としての心構えを身につけさせるよう意識しましょう。具体的なコンプラ違反の事例だけを取り上げるのではなく、コンプライアンス違反を起こさないための責任感とマインドセットを獲得してもらうのが大切です。
アルーの社会人としてのマインドセットに関する研修については、以下のページで詳しくご確認いただけます。
学生から社会人への意識転換
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会社のルールや法令順守を徹底的に教える
会社には、コンプライアンス違反を防ぐためそれぞれのルールが設定されているでしょう。新入社員は、こうしたルールを正しく理解し、体得する必要があります。また、著作権法や特許法などの法律についても、最低限の知識は持っておくべきです。
新入社員を対象としたコンプライアンス研修を実施する際には、会社のルールや法令遵守を徹底的に教えるようにしましょう。特に新入社員にはSNSを発端としたトラブルが多いため、SNS使用時のルールは徹底させるのがおすすめです。
当事者意識を持たせる
コンプライアンス研修にありがちな課題として、「当事者意識がなく、人ごととして捉えてしまう」というものがあります。特にコンプライアンスに馴染みの薄い新入社員では、コンプラ違反をいきなり自分ごととして捉えることは難しいでしょう。また、「自分はコンプライアンス違反なんてしないから大丈夫」と過信している新入社員も一定数います。
そのため、新入社員を対象としたコンプライアンス研修では、重点的に当事者意識を持たせる工夫を行う必要があります。例えば新入社員も関わる事例を取り上げたケーススタディを実施する、実際の業務場面を想定した演習を取り入れる、といったものが考えられます。SNSや飲み会など、身近な場でコンプライアンス違反が起こりがちなことを伝えるのも有効です。
コンプライアンス違反の背景や原因を解説する
コンプライアンス研修では、コンプライアンス違反が起こった背景や原因について解説するようにしましょう。
研修内でコンプライアンス違反の事例を取り上げることは重要ですが、「このような行動は良くないですね」で片づけてしまうのでは十分な学習効果を得られません。それぞれの事例には、コンプライアンス違反が起こった背景や原因があります。「どうしてこの事例は起こってしまったのか」「どの段階で防ぐことができたのか」といった点まで深く考えさせることが大切です。
事例の背景まで踏み込んで理解させることで、実際の業務でもコンプラ違反を防ぎやすくなります。
企業価値にもつながることを理解させる
コンプライアンスを徹底させることは、企業価値の向上に直結します。この記事の前半でも解説したとおり、企業価値を向上させることはコンプライアンス研修の重要な目的の一つです。
新入社員を対象としたコンプライアンス研修でも、コンプライアンスの遵守が企業価値の向上につながることを理解させましょう。なぜコンプライアンスを意識する必要があるのか納得してもらえれば、日頃からコンプライアンスを遵守する行動を実践しやすくなります。
研修時期を見極める
新入社員研修でコンプライアンスを扱う際には、実施時期を見極める必要があります。リスクを防ぐためにも、コンプライアンス研修は入社してからすぐのできる限り早いタイミングで実施したいところです。
新入社員研修の内容にもよるため一概には言えませんが、コンプライアンス研修を実施する時期は遅くとも4月中旬ぐらいがよいでしょう。ただし、焦ってコンプライアンスを扱ったら定着しなかった、となってしまっては本末転倒です。他の研修との兼ね合いも見つつ、最適な時期を選択してください。
コンプライアンス違反が起きにくい企業体制も重要
コンプライアンス違反が起こる場合、必ずしもコンプライアンス違反を起こした個人だけに問題があるとは限りません。コンプライアンス違反の背景には、それが起こりやすい企業風土や企業体制、システムが潜んでいることも多いです。
コンプライアンス違反を起きにくくするための企業体制について解説します。
社内規定やガイドラインを見直す
コンプライアンス違反を防ぐために効果的な対策が、社内規定やガイドラインの作成です。社内規定やガイドラインがしっかりと整備されていれば、入社直後の新入社員であっても「何がダメで、何がダメでないのか」の線引きをすることができます。
コンプライアンス違反が起きづらい企業体制を作るためには、社内規定やガイドラインの見直しを行うのがおすすめです。特にSNSに関するルールは、明確にしておく必要があります。すでにルールがある場合であっても、必要に応じて毎年アップデートし続けましょう。
研修などスキルアップの機会を定期的に設ける
コンプライアンス違反を防ぐためには、社員に対する教育が大切です。社員教育が徹底されている企業はコンプライアンス違反が起こりづらく、取引先や消費者からの信頼獲得にも成功しています。
コンプライアンス違反を起こりづらくするため、研修やスキルアップの機会を積極的に提供するのもおすすめです。社員一人ひとりの意識が高まることで自然と「コンプライアンス違反を防ごう」という風土が醸成され、ハラスメントや情報漏洩といったトラブルが減っていきます。
コンプライアンス研修を毎年、社員全員に受けさせるのは大変だということであれば、eラーニングの活用も検討してみてください。eラーニングであれば、一度教材を作れば繰り返し、多くの社員にコンプライアンス研修を提供することができます。
アルーのコンプライアンスに関するeラーニングは下記からご確認ください。
コンプライアンス(eラーニング)
上司もコンプライアンス研修を受ける
新入社員がコンプライアンス違反を起こさないようにするためには、上司が適宜アドバイスをしたり、モニタリングしたりするのが有効です。そのためには、まず上司自身がコンプライアンスに対して適切な理解をする必要があります。
上司に対してコンプライアンス研修を実施するのも、コンプライアンス違反を防ぐ企業風土作りの上では有効です。周囲の社員のコンプライアンスに対する意識が高ければ、新入社員も自然とコンプライアンス遵守の姿勢が身につくでしょう。
アルーでのコンプライアンス研修事例
人材育成を専門に手掛けているアルーでは、コンプライアンス研修を数多く実施しております。アルーでは、それぞれの企業様の抱えるビジネス課題に合わせて柔軟にカスタマイズした教育ソリューションを提供しているのが特徴です。
アルーが実施したコンプライアンス研修の事例をご紹介します。
海外拠点長向けコンプライアンス研修
本事例では、海外拠点長を対象としたコンプライアンス研修を、赴任前と赴任後で合計5回前後に分けて実施しました。
まずは海外拠点長として必要な役割を理解してもらい、ケーススタディなどを通じてリスクマネジメントについて学んでもらっています。その後、ハラスメントなどの一般的なコンプライアンス違反対策や、海外という環境だからこそ起こるコンプライアンス違反の概要について扱いました。赴任後には追加インプットと振り返りとして、各国の課題の共有や取り組みの共有を実施し、コンプライアンス遵守の姿勢を今一度身につけてもらった研修事例です。
コンプライアンス研修ならアルーにお任せください
アルーでは、コンプライアンス研修はもちろん、階層別研修やグローバル人材育成など、様々な人材育成ソリューションを提供しています。
コンプライアンス研修をご検討の場合は、ぜひアルーへお任せください。アルーでは一般的なコンプライアンス対策のための研修はもちろんのこと、SNSに馴染み深い新入社員を想定した新入社員向けコンプライアンス研修のプログラムのご用意も可能です。研修の企画段階から丁寧にヒアリングして一気通貫型の支援をご提供いたします。