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戦略人事とは?必要な4つの役割やスキル、実現のためのポイントを紹介

変化が激しく先の読みづらいビジネス環境で優位性を確保するためには、経営戦略を実現する「戦略人事」の観点が欠かせません。
しかし、実際にどう人事運営を行えば戦略人事を実現できるのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、戦略人事の概要をはじめ、導入するメリットや実現する際のポイントなどを解説します。


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目次[非表示]

  1. 1.戦略人事とは
  2. 2.戦略人事の取り組み例
  3. 3.戦略人事の導入状況
  4. 4.戦略人事が育たない要因
  5. 5.戦略人事を実現するために人事に求められること
  6. 6.戦略人事に必要な4つの役割
  7. 7.戦略人事を推進できる組織作りのポイント
  8. 8.戦略人事を導入するメリット
  9. 9.戦略人事主要企業の事例
  10. 10.戦略人事に関する書籍
  11. 11.戦略人事を育成するならアルーにお任せください
  12. 12.戦略人事を育成したアルーの事例
  13. 13.まとめ


戦略人事とは

戦略人事とは、経営戦略と連動した人材戦略の策定を行い、経営戦略を実現できる人材マネジメントや人材育成を目指す考え方をいいます。

	これまでの人事部とあるべき姿.

従来型の人事業務は事務作業的な側面が強く、経営戦略や事業上の課題を特定せずに行う場当たりのような打ち手が中心でした。
戦略人事ではこうした状態を防ぎ、経営課題と連動した人材戦略を立てるのが従来型との大きな違いです。

この考え方は、デイビッド・ウルリッチによる人事の役割定義により広く知られるようになりました。


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ウルリッチの定義する人事に求められる4つの役割とは

ミシガン大学ビジネススクール教授であるデイビッド・ウルリッチ教授は、戦略人事に求められる4つの主要な役割を提唱しました。「将来-日常」「プロセス-人」の2軸で人事部の役割をとらえ直し、「戦略パートナー」「変革エージェント」「管理エキスパート」「従業員チャンピオン」 という4つに整理しています。

	ウルリッチ教授の提唱した「人事の4つの役割」

ウルリッチの定義によると人事部は単なる管理業務を超え、経営陣と密接に連携し、組織全体の目標達成に寄与する重要な役割を担うことになります。現代のビジネス環境においては、これらの役割を果たすことで、組織の持続可能な成長と競争優位を目指すことが必要だという考え方です。


戦略人事が注目されている背景・重要性

戦略人事が注目されている背景として、グローバル化やDX化の進展によりビジネス環境が激しく変化するようになったことが挙げられます。
変化の緩やかな時代の経営戦略は経営者が策定することが多く、人事が直接関与することはほぼありませんでした。
しかし、現代はVUCAとも呼ばれる先が見通せない時代です。変化に対応できる優秀な人材を確保し、企業の優位性を保ち続けるために、人材管理と経営戦略を連動させる戦略人事の考え方が改めて求められています。

また、人事実務のアウトソースやシェアードサービスを実施している企業では、本社人事で担う役割が戦略・企画サイドに移行しているケースもあるでしょう。その場合にも、本社人事は戦略人事への転換を求められます。


戦略人事と人事戦略の違い

戦略人事とよく似た言葉に「人事戦略」があります。
人事戦略とは、人事に関連する業務をどう改善するかという方針を示した戦略であり、「社員の自発性を引き出すため、評価制度を改善する」「採用プロセスを見直し、効率化を図る」といった例が挙げられます。
一方で戦略人事とは、経営戦略と連動した人事を実現しようとする考え方自体を指す言葉です。
具体的な個々の戦略を指す言葉が「人事戦略」、経営戦略と人事を連動させようとする考え方が「戦略人事」であると覚えておきましょう。


戦略人事と人事の違い


戦略人事と人事では何が違うのでしょうか。従来の人事では組織で人材を活用するために労務・給与計算などの業務を行い、その目的は業務の効率化と言えます。
一方、戦略人事では事業の実現のために人事施策を実施することを目的としています。具体例として、戦略人事では人材補充のための採用活動、教育体制の構築など、いわゆる「攻めの人事」を行う点が挙げられます。


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戦略人事の取り組み例

戦略人事は具体的に、どのようなことに取り組むのでしょうか。自律型学習への取り組み、リスキリング、アンラーニングの推進など、具体的な施策を紹介します。


一律教育から自律型学習への変化


従来の階層別に一律の教育を提供するスタイルにプラスして、社員一人ひとりが自身で学習を進める「自律型学習」を取り入れる企業が増えています。戦略人事には、経営戦略に基づく人材像を定義し、社員が必要とする学習を特定することが求められます。その上で、階層別研修だけでなく、公募型研修、自己啓発支援制度、企業内大学の導入など、多様な学習機会を提供するための仕組みづくりが必要です。
自律学習については、以下のページで詳しく確認いただけます。
自律学習とは|企業が社員の自律学習を支援するポイント


リスキリングの推進


リスキリングの推進も戦略人事が行なうべき取り組みの一つです。政府がリスキリングの推進を提言していることもあり、多くの企業でリスキリングの取り組みが進められています。戦略人事は、社員のスキル変革をサポートする施策を検討する必要があります。
リスキリング推進のための具体的な施策や成功事例については、以下のページでご確認いただけます。
【事例あり】リスキリングとは?何を学ぶかや導入の際のポイントを解説


アンラーニングの推進


リスキリングと並行して、「アンラーニング」の実践も重要です。アンラーニングとは、既存の価値観や仕事の進め方を見直し、新しい学習や価値観を受け入れることを意味します。特に管理職やシニア社員にとっては、成長のための重要なステップとなるでしょう。
アンラーニングに関する詳細は、以下のページで確認いただけます。
【具体例あり】アンラーニングとは?やり方やリスキリングとの違いを解説

以上、戦略人事に取り組む際に参考となる3つの取り組み例について解説しました。具体例を把握して、実際の取り組みにつなげていきましょう。



戦略人事の導入状況

「日本の人事部 人事白書2022」によると、戦略人事に取り組んでいる人事担当者は38.5%でとなっています。一方、「取り組みたいができていない」企業が51.6%と半数を超えています。
この調査の結果からも分かるように、戦略人事を実現できている日系企業は少ないです。
戦略人事の考え方は1990年代からあるにも関わらず、どうして日系企業で戦略人事が育たないのでしょうか。
以下にて、戦略人事が育たない要因について解説します。

参考:「日本の人事部 人事白書2022」から見えてきた戦略人事の難しさ


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戦略人事が育たない要因

戦略人事を実現している企業が少ない原因の一つとして、人事部が経営戦略を理解していないことや、経営戦略を人事戦略に反映させるのが難しいという背景があります。
日本において戦略人事が育たない要因として以下のような3つの要因を紹介します。


  • 人事部が経営戦略を理解していない
  • 経営戦略を人事戦略に反映するのが難しい
  • 社員に対する意識改革や教育が必要


上記の要因について、一つずつ解説します。


人事部が経営戦略を理解していない

戦略人事が育たない要因として、人事部が経営戦略を理解できていない点が挙げられます。
戦略人事を実現するためには、人事部が中長期経営方針や企業の掲げるビジョンの内容を把握し、経営計画の背景や意図まで踏み込んで理解して人事戦略へ落とし込むことが重要です。
人事部が経営戦略の内容を知らなかったり、知っていても理解が甘かったりなど、経営戦略と人事戦略をリンクさせる土台ができていなければ戦略人事を育てることは難しいでしょう。


経営戦略を人事戦略に反映するのが難しい

戦略人事を実現するためには経営戦略と人事戦略をリンクさせる必要があります。
しかし、戦略人事の方法が明示されていないことや、経営戦略が明確になっていないことなどから、人事戦略に反映することができないことが多いです。
また、既存の人事制度や運用方法に固執してしまい、新たな戦略的なアプローチを取り入れられないなども要因として考えられるでしょう。


社員に対する意識改革や教育が必要

戦略人事では、経営戦略を実現できるような人材を育成するのがポイントであり、社員に対する意識改革や教育が必要です。
しかし、日系企業のなかには育成体制が十分に整っておらず、意識改革などの大々的な施策が打ちづらい企業があります。
単発の研修はいくつか実施されているものの、関連が薄かったり一貫性がなかったりすることも多いです。
意識改革や抜本的な教育がしづらい環境がある点も、戦略人事が実現しづらい背景といえます。


戦略人事には体系的な研修計画が必要不可欠

前述した通り、戦略人事を実現するためには意識改革を含む一貫性のある教育が必要です。ただし、経営戦略を実現できるような人材育成の成果が目に見えて分かるようになるには、ある程度の時間がかかってしまいます。
そのため、戦略人事には体系的な研修計画が必要不可欠です。
一貫性のあるカリキュラムが継続的に実施されることで、はじめて経営戦略と人事戦略を連動させることができます。
体系だった研修計画を作成するノウハウに不安がある場合は、外部からのコンサルを入れることも検討しましょう。

研修体系の見直しのポイントに関しては、以下のページで確認いただけます。
研修体系の見直しの仕方|教育体系との違いや成功させるポイント


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戦略人事を実現するために人事に求められること

    人事情報イメージ.

戦略人事をこなすためには、人事の分野に関する幅広い知識が必要であるほか、自社の掲げている経営戦略や事業戦略の深い理解も欠かせません。
また、経営戦略の実現を妨げる要因となっている課題にアプローチするためには、課題解決力も求められます。
ここでは、戦略人事を実現するために求められるスキルを具体的に解説します。


人事の分野に関する幅広い知識

戦略人事を進めるためには、人事の分野に対する幅広い知識を保有している必要があります。 戦略人事の仕事を進める際、人事のプロフェッショナルとして経営層へノウハウを提供することが多いです。 また、現場のビジネスリーダーや社員とコミュニケーションを図りながら、現在抱えている人的課題の克服に向けたアプローチを模索することも行います。 戦略人事の業務は広範囲に及ぶため、戦略人事を実現するには人事の分野に関する幅広い知識が欠かせないといえるでしょう。


経営戦略、事業戦略の理解

戦略人事は、経営戦略を実現するような人材施策を企画立案することが肝心であり、自社の経営戦略や事業戦略に対する深い理解も欠かせません。 自社にどのような部門があり、それぞれがどういった戦略で何を担っているのかなどをしっかりと把握しておかなければなりません。 また、会社全体が大事にしているビジョンや価値観、ミッションやバリューなどを細かく知っておくことも重要です。 どういった方針が策定されており、どのような形で事業へ反映されているのかをしっかりと理解しておきましょう。


課題解決力

戦略人事の業務を進めるためには課題解決力があることも重要な要素です。 戦略人事は、自社の掲げている経営計画を阻害する要因となっている問題を洗い出し、その解決に向けたアプローチを展開する必要があります。 また、問題は常に顕在化しているとは限らないため、状況によっては潜在的な問題を洗い出すこともあります。 そのため、自社の経営課題の要因となっている人材面での課題はどこにあるのかを特定し、課題解決に向けた的確なアプローチを素早く取れるのが理想です。

問題解決力の鍛え方については、以下のページでご確認いただけます。

問題解決力のトレーニング方法|鍛えるメリットや基本の3ステップ


リーダーシップ

戦略人事には、リーダーシップが求められます。 戦略人事によってビジネス課題の解決を図る際には、部署全体や社員全体の意識改革を行う必要があるケースがあります。 また、育成や人事評価といった場面では、現場リーダーやほかの人事担当者を巻き込んだ大々的な施策が必要となることも多いです。 そのため、周囲と信頼関係を構築したうえで安心してついてきてもらえるようなリーダーシップは欠かすことができないといえます。 また、リーダーシップに付随して積極性や主体性、雰囲気づくりのスキルなども求められる傾向にあります。

リーダーシップに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

リーダーシップとは?種類やリーダーシップがある人の特徴、身につける方法


HRアナリティクスなど人事専門フレームワークを身につける

戦略人事を実現するためには、一般的なビジネスフレームワークだけでなく、人事データの分析に特化したフレームワークの習得が求められます。たとえば、HRアナリティクスがその一つです。組織の人材データを深く理解し、戦略的な意思決定を行う助けになるでしょう。従業員の離職率の分析、採用効率の改善、従業員の満足度とパフォーマンスの相関関係などを分析し、経営戦略に合わせた人事戦略を立案することが可能になります。

HRアナリティクスについて詳しくは以下の資料をご覧ください。

  『戦略人事パートナーとなるためのトレーニング他社事例』資料ダウンロード アルーが提供した人事向けトレーニングの事例集です。HR Analyticsを用いて事業上の課題とHRの課題を特定し、事業上の戦略意思決定とHRの戦術を向上させる研修をご紹介します。 アルー株式会社


経営層や現場から信頼を得る

戦略人事の成功の鍵は、経営層や現場からの信頼を得ることにあります。人事部門が経営戦略を十分に理解し、それを基にした具体的な人事施策を提案するためには、経営層との密なコミュニケーションが欠かせません。一方で、経営層や現場スタッフとの頻繁なコミュニケーションも必要不可欠です。経営層の意向と現場の意向の双方を理解し、それらを融合させた人事施策を立案することで、組織全体の課題解決と成長をサポートすることができます。


戦略人事に必要な4つの役割

戦略人事に必要な4つの役割


戦略人事には、以下の4つの役割が必要です。

  • HRBP……人事が経営や現場のビジネスパートナーと連携する
  • OD&TD……戦略を実行するための組織体制を強化する
  • CoE……人的マネジメントの専門知識を経営再度へ提供する
  • OPs……給与計算や労務管理といったオペレーションを的確にこなす

戦略人事に求められる4つの役割を詳しく解説します。


HRBP(ヒューマンリソースビジネスパートナー)


HRBP(ヒューマンリソースビジネスパートナー)とは、人事の担当者が経営トップや現場のリーダーなどのビジネスパートナーと協働を実現する役割を指します。
戦略人事を実現するためには、人事が経営層や現場と的確に連携し、考え方などを深く理解する必要があります。
そのためには、現場の実態や人材に関するニーズを細かく把握するように意識しましょう。
経営から現場までを満遍なく見渡し、積極的にコミュニケーションを図ることが大切です。


HRBPについては、以下の記事で詳しく解説しています。

HRBP(HRビジネスパートナー)とは?役割や人事・CHROとの違いなどを解説




OD&TD(組織開発&タレント開発)


OD&TDは、それぞれ組織開発(Organization Development)とタレント開発(Talent Development)を意味する言葉であり、主に戦略を実現するための組織体制を整えることを指します。
戦略実現に向けた組織の強化も戦略人事には欠かせない役割です。
人事部の具体的な動きとしては、経営戦略の実現を阻害する要因となっている課題を抽出し、顕在化させるところからはじめます。
その後、課題に応じて組織の仕組みづくりを通じたODを進めたり、集合研修などの育成施策を活用したTDを実施したりなど、課題解決に向けたアプローチを進めましょう。



CoE(センターオブエクセレンス)


CoE(センターオブエクセレンス)とは、「優秀さの中心」を意味する単語であり、組織の中核となる部分やパフォーマンスの源泉といった意味合いを持ちます。
戦略人事を実現するためには、人事部がCoEとして人事機能の中核的な役割を果たすことが必要ですが、人事機能の中核を担うためには人事や経営に関する専門知識が欠かせません。
戦略人事はこうした高い専門性も活かしながら、採用や報酬体系の構築、能力開発の施策立案といった仕事を行なう必要があります。



OPs(オペレーションズ)


OPs(オペレーションズ)は、給与計算や異動手続き、勤怠管理など、従来の人事部門が果たしていた役割を担います。
戦略人事においては、オペレーションを的確にこなすことも依然として求められており、特に人事部が関わるオペレーション業務はミスの許されない業務が少なくありません。
こうした業務を正確かつ効率的に運用していくことは、戦略人事においても大切な役割といえます。


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戦略人事を推進できる組織作りのポイント

戦略人事を推進するためには、戦略人事を推進できるような組織づくりを進める必要があります。 一方、戦略人事を推進できる組織とはどういった組織なのか、具体的なイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。 ここでは、戦略人事を推進できるような組織を作るためのポイントを6つ解説します。


経営層のマインドセットを行う

従来型の人事制度では年功序列が主流であり、社員のキャリアがパターン化されていることも多くあります。 戦略人事を実現するためにはこうした人事慣行を覆す必要があります。そのためには経営層のマインドセットが大切です。 年功序列といった前提を覆す視点を持ってもらえるよう経営層への働きかけを重視するためにも、人事部が経営層と積極的にコミュニケーションを図る姿勢が重要となってきます。


人事部が戦略人事を正しく理解する

戦略人事は、人事部門がHRBPやOD&TDといった役割を果たそうとする考え方ですが、その中身は複雑です。 そのため、人事部が戦略人事という概念を正しく理解していないまま、「戦略人事を実現しよう」という目標だけが先行してしまうケースは少なくありません。 戦略人事を実現するためには、人事部が戦略人事の考え方を正しく理解していることが前提となります。社内に戦略人事の知見がない場合は外部のコンサル会社を活用することも選択肢の一つです。


自社の改革期を見極める

戦略人事を実現する際には、タイミングも大切です。 たとえば、経営危機や業績低迷に陥っているときに戦略人事を推進すると、短期的な対策に注力しなければならないため、戦略人事の効果が十分に発揮されない可能性があります。 おすすめのタイミングは事業計画や経営計画が策定されるときです。社内改革を進めようという意識が醸成されていれば自然と戦略人事も進めやすくなります。 事業計画の策定段階から経営層にアプローチを行い、経営戦略と人事戦略をスムーズに連動させるようにしましょう。


経営ビジョンを正確に周知させる

戦略人事を実現するためには、経営戦略に沿った人事施策を実行していく必要があります。 しかし、会社によっては経営ビジョンそのものが社内へ十分に周知されていないケースもあるでしょう。 そういった状況で戦略人事を進めようとしても、なかなか経営戦略に沿った人材育成や人事評価は実現できません。 戦略人事を実現できる組織づくりを行うためには、経営ビジョンを正確に周知させることを意識してみてください。 その際、育成の担当者や人事評価に関わる上司など、全ての社員が経営ビジョンをしっかり把握している状態が望ましいです。


人事部のスキルを底上げするための研修を行う

戦略人事には、人事に関する専門知識を活用しながら経営に関与するという役割があります。 人事のプロフェッショナルとして経営へ提言するためには、人事部のスキルが必要不可欠です。 戦略人事を実現するためにも、人事部のスキルを底上げする観点を忘れないようにしましょう。 具体的な施策としては、人事部を対象とした研修の実施がおすすめです。 研修を通じて人事の役割や戦略人事の概要、各種人事施策のノウハウなどを伝え、人事のプロフェッショナルを育成してください。

戦略人事を担う人材を育成するための研修の実施方法、テーマ例などは、以下の記事で詳しく解説しています。 『人事研修とは?戦略人事を担うために必要な内容・テーマ例


社外から専門家をHRBPとして招く

HRBPは、ビジネスパートナーとして経営層や現場のリーダーと連携を進めるため、戦略人事の中核となる存在です。 そのため、HRBPには人事や経営に関する深い知識だけでなく、高いリーダーシップが求められます。 こうしたスキルを兼ね備えたHRBPに適任な人材を社内から選抜するのが難しいという場合もあるでしょう。 その場合は、社外から専門家をHRBPとして招き、戦略人事を進めていくのがおすすめです。 人材開発の専門家や外部のコンサルなど、人事や経営に見識の深い人材にHRBPの役割を担ってもらえれば、理想的な戦略人事を実現できる可能性があります。

HRBPについては、以下の記事で詳しく解説しています。

HRBP(HRビジネスパートナー)とは?役割や人事・CHROとの違いなどを解説


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戦略人事を導入するメリット

戦略人事という概念や、戦略人事が育たない背景について解説しましたが、戦略人事を導入することでどういったメリットがあるのでしょうか。
戦略人事を導入することで人材のポテンシャルを引き出したり、育成の環境整備ができたりといったさまざまなメリットがあります。
ここでは、戦略人事を導入するメリットを2つご紹介します。


経営状況に合わせた迅速な人材活用を行える

戦略人事を実現できれば、経営状況に合わせた人材活用がスピーディーに進みます。
また、組織文化の醸成や個人の能力開発といった人材施策を経営戦略と密接に連動できるようになり、人材施策全体のスピード感の向上が期待できます。
人材は企業にとって資本となる重要な存在であり、企業の業績は在籍している人材のポテンシャルを引き出せるかどうかに大きく左右されるといっても過言ではありません。
そのため、経営状況に合わせてスピーディーに人材活用ができる点は、ビジネス環境の変化が激しさを増す現代において大きなメリットといえるでしょう。


企業目標の達成に向けた人材環境が整備できる

戦略人事を実現できれば、企業目標の達成に向けた人材環境を整備できるようになります。
従来型の人事業務はオペレーションのような側面が強く、人材環境も経営方針を意識した内容ではありませんでした。
特に人材育成の側面において、ビジネスマナーやコミュニケーションといった一般的なビジネススキルの獲得に終始してしまい、自社に最適な人材育成が実現できていないケースが多くあります。
しかし、戦略人事を実現することで目標達成に向けた人材環境を整備でき、採用や育成の各フェーズにおいては自社に最適な方針を立てられるようになるため、企業の業績向上につなげられるでしょう。


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戦略人事主要企業の事例

戦略人事を実現する際、すでに戦略人事を進めている他社事例が非常に参考になります。
一言で戦略人事といっても、その実現形態は会社によってさまざまです。
下記では、戦略人事を進めている主要な企業の事例として、特に参考となる事例を5つピックアップしてご紹介します。


ファーストリテイリング

ファーストリテイリングでは、世界水準の競争力と成長力の確保に向け、さまざまな戦略人事の施策を行いました。
そのなかでも人材への投資を大幅に強化したことが大きな特徴として挙げられます。
報酬テーブルを大幅にアップしただけでなく、成長意欲や事業への貢献能力に基づいた評価を下せるよう人事施策の見直しを行いました。
報酬の決定には、「仕事の実績や成果」「組織貢献の能力」「成長意欲・成長性」といった幅広い観点が盛り込まれており、上司や経営層が一人一人の評価にしっかり携わる環境を実現しています。
参考:ファーストリテイリング、報酬を改定し人材への投資を大幅に強化 - 日本経済新聞


楽天グループ

楽天グループでは、「勝てる人材、勝てるチームを作る」という人事に関する基本目標を掲げており、強い基盤づくりを目指した戦略人事を進めているのが特徴です。
具体的な取り組みとしては、各部門に人材目標を明確に定めたうえでそれぞれの人材目標を達成できそうかどうかを分析する「ピープルアナリティクス」を進めました。
これにより、採用活動や新卒配属が最適化されているかを適切に判断することが可能です。
また、人材評価や目標設定の面ではコンピテンシーの策定を行い、一貫性のある評価軸の実現に成功しました。
参考:人材マネジメント|楽天グループ株式会社


日清食品グループ

「食文化創造集団」として持続的な成長を目指している日清食品グループでは、経営戦略を支える人材の育成や組織基盤の変革をテーマとして掲げ、戦略人事を推進しています。
日進ではジョブディスクリプションを用いた職務内容の明確化と、社員の持つスキルや経験の可視化に取り組みました。
従来の新卒採用中心の人事制度を見直し、キャリア採用を推進することによって専門性の高い人材の獲得に成功しています。
また、次世代の経営人材を育成するために開講されているのが「NISSIN ACADEMY」です。
NISSIN ACADEMYは希望者全員と選抜人材の2部構成となっており、OJTでは習得しづらい知識やスキルを体系的に学べる環境が整っています。
参考:日清食品グループ - 人材戦略


アマゾンジャパン

アマゾンジャパンは、ビジネスの成長を人材という側面から協力にサポートできる環境の実現を目指し、戦略人事を推進しています。
アマゾンジャパンの戦略人事において、特に多様性が重視されているのが特徴です。
特定の分野に深い見識を持ったプロフェッショナルを幅広い分野から人事部門へ採用しています。
こうした人材はそれぞれの担当部署へアサインされており、ビジネスパートナーとして自身の専門知識を活かしながらソリューションを提供しています。
また、単なるオペレーション業務にとどまらず、他部門や海外チームも含めて各部門と柔軟にコミュニケーションを取ることを重視しています。
参考:人事|アマゾンジャパン


カゴメ

カゴメでは、「トマトの会社から野菜の会社」というビジョンを掲げており、これを実現するための戦略人事を推進しています。
具体的には、年功型の等級制度を見直し、メリハリをつけた処遇の実現を行いました。
業績や評価と連動した報酬制度を実現することによって健全な抜擢人事が進み、人材のポテンシャルを最大限に引き出せたのが特徴です。
さらに、カゴメならではの多様な消費者ニーズへ対応するため、女性社員の採用をはじめとした多様性のある人材確保を積極的に進めています。
参考:「人材こそが価値を生み出す」、カゴメの人事改革10年の軌跡 | Human Capital Online(ヒューマンキャピタル・オンライン)


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戦略人事に関する書籍

戦略人事に関して参考となる書籍が複数存在します。
ここでは、戦略人事に関するおすすめの書籍として2つご紹介します。
いずれも戦略人事に関する専門的なノウハウが豊富に盛り込まれている本であるため、戦略人事についてさらに深く知りたい方は読んでみてはいかがでしょうか。


『MBAの人材戦略』デイビッド・ウルリッチ

『MBAの人材戦略』は、米国ミシガン大学の教授であるデイビッド・ウルリッチ氏によって執筆された書籍です。
「戦略人事」という概念が幅広く普及するきっかけとなった書籍でもあるため、戦略人事の基本となる考え方が詳しくまとまっています。
この本では、「戦略の実現」「効率的経営の実現」「従業員からの貢献の促進」「変換の促進」という4つの観点から人事部門が果たすべき役割について分析されているのが特徴です。
そのため、戦略人事の基本となる考え方を体系的に学びたい方に特におすすめです。


『戦略人事のビジョン』八木 洋介・金井 壽宏

『戦略人事のビジョン』は、人事のプロと組織行動研究の第一人者が、これからの時代に求められる人事部門のあり方を分かりやすくまとめた書籍です。
戦略マネジメントという視点から、人事部門のあり方について論じています。
人事本来の役割や社員のやる気の引き出し方、組織開発の方法論などについて詳しく知りたい方におすすめの一冊です。


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戦略人事を育成するならアルーにお任せください

戦略人事を実現するためには人事の育成が必要不可欠であり、戦略人事という概念に関する理解を深めてもらうのはもちろん、人事に関する幅広い見識を身につけてもらう必要があります。
アルーは人材開発を長年手掛けてきた人材のプロフェッショナルです。
以下では、アルーの主な特徴についてご紹介します。


体系的な教育計画の立案からお手伝いいたします

戦略人事を育成する際には、人材採用や人材育成の考え方、経営の基礎知識、戦略人事の概念など、幅広い内容を学ぶ必要があります。
こうした中長期にわたる育成を適切に行うためには、事前に研修計画を立てたうえで継続的に取り組むことが大切です。
また、経営の策定段階では研修のゴール設定やマイルストーン設定、適切なスケジューリングなどが重要です。
アルーでは、これまでに培った豊富なノウハウを活かし、体系的な教育計画の立案段階からサポートいたします。


企業の課題に合わせて研修をカスタマイズできます

どんなに優れた人材育成施策でも、全ての企業に有効であるとは限りません。
会社を取り巻くビジネス環境が激しく変化する現代において、個別の企業に最適化された育成施策が必要不可欠です。
アルーでは、お客様の企業が抱えるビジネス課題に合わせてカスタマイズした研修を提供いたします。
企業の事業内容や経営方針はもちろん、事業の現状や課題、企業の価値観なども丁寧にヒアリングするため、成果につながる戦略人事の育成が実現できます。


戦略人事パートナーとなるためのトレーニング他社事例


戦略人事を育成したアルーの事例

戦略人事を実現するためには、まず人事担当者が経営戦略を深く理解することが大切です。

戦略人事育成の全体図.

アルーが戦略人事を育成した事例では、まず事前課題として「ビジネス課題の理解」に取り組んでもらいました。
集合研修①では、シミュレーションやケーススタディなどの演習を交えつつ、ビジネス課題の実現に向けてどういった人事施策が有効なのかを考えてもらっています。
その後、考えてもらった解決策を実行する事後課題に取り組んでもらい、集合研修②2ではその評価を行いました。最後に解決策をブラッシュアップして、アクションプランの最終化を行っています。
アクションプランを策定する研修と、実際に現場でそれを実行する事後課題を交えながら、戦略人事に必要な考え方を効果的に習得してもらった研修事例です。

当研修について詳しくは以下の資料をご覧ください。

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まとめ

戦略人事に必要な考え方や求められるスキル、実現に向けたポイントなどを解説しました。
この記事で解説したように、戦略人事には4つの役割が必要です。こうした戦略人事の役割を的確に果たすためには、人事部が人事や経営に関する知識を深め、戦略人事の概念を確実に理解することが求められます。そのためには、人事部に対する研修や外部コンサルの導入、研修の外部委託も有効です。
ぜひこの記事の内容を参考にしながら戦略人事に関する知識を深め、効果的に戦略人事を実現していきましょう。


戦略人事パートナーとなるためのトレーニング他社事例

アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
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