海外赴任成功のコツを解説。赴任前、赴任中、帰任時に必要な研修とは
企業が海外で業績を伸ばすには、駐在員や海外赴任者が現地で十分にパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが必要不可欠です。この記事では、海外赴任を成功に導く対策とともに、赴任前・赴任後・帰任後に行うべき研修について詳しく解説します。
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海外赴任が上手くいかない要因
海外赴任の際には、企業側が適任とみられる人材を事前に選定し、また赴任者自身も海外で成果を上げるモチベーションを高くもって現地に臨む場合がほとんどです。しかし、実際に赴任してみると、日本とのギャップに悩まされ、生活に馴染めずに上手く業務を進められなくなることも少なくありません。
ここでは、海外赴任につまづいてしまう要因について掘り下げて解説していきます。
現地社員との関係の悪化
海外赴任者は語学研修を重ねて準備してきたとはいえ、赴任してすぐは自分の英語力に自信がもてない場合がほとんどです。会議でもなかなか自分の意見が発言できないため、現地社員からは自分の意見をもっていない、能力がないと判断されてしまいがちです。
また、日本人の性質として控えめなところも、現地社員の目には業務に対して主体的に動かないとみなされて評価を落としてしまうことがあります。
現地と本社の板挟み
海外赴任者は、現場の状況を知らない本社の指示を現地のスタッフに伝え、上手く折り合いをつけなければいけない立場にあります。
現地の不満と本社からの要望の間で板挟みになり、苦労することが多くあるでしょう。どちらの立場をとっても気苦労が絶えないため、海外赴任が辛く感じる原因になります。
配偶者や子供が現地に対応できない
赴任者自身はなんとか赴任先の業務に慣れ、生活に馴染めるようになったとしても、帯同した配偶者や子供も同様に適応していけるとは限りません。相談できる日本人の知り合いがいない、駐在員の配偶者コミュニティに入っていけない、現地の学校についていけないなど問題を抱え、赴任者を残して帰国してしまうケースもあります。
家族が帯同せず、単独で海外赴任するケースも多くあります。しかし、はじめに帯同していた家族が途中帰国した場合、赴任者のモチベーションが大きく下がってしまうこともあります。
文化の違いによる不自由
海外ではその国や地域特有の文化や宗教、慣習があるため、それらを十分に把握しておかなければビジネス上の取引も上手くいかなくなる場合があります。中には日本の感覚とは真逆の慣習があるなど、受け入れるのに時間がかかるかもしれません。またプライベートにおいても、食文化などが受け入れられなければ生活の質は著しく落ちてしまいます。
このように、赴任先の文化の違いが受け入れられないために苦労するケースは多いものです。
海外赴任を成功させるために企業が行うべき対策
海外赴任者にパフォーマンスを発揮して成果を出してもらうためには、企業側でも事前研修や赴任中・赴任後のサポートなど、行うべき対策が多くあります。
ここでは、企業が行える対策について解説していきます。
海外赴任者の選抜のポイント
海外赴任を成功させるためには、まず前提として適切な赴任者を選抜することが重要です。海外赴任先が日本と比べ大きく異なる文化をもっていたり、出身国からの距離が遠い、生活環境が日本より厳しい場所であったりする場合、特に選出に注意を払う必要があるでしょう。
選抜の際には、候補者とその配偶者の両方に自らの異文化適応に関する長所と短所をフィードバックして海外赴任に対する意識を明確にしてもらうことがポイントの一つになります。
また、赴任に帯同する配偶者には海外赴任に対するモチベーションを測るために事前にインタビューを実施し、不安がないかどうか知っておくのも大切です。
海外赴任者向け研修の設計のポイント
研修の設計の際には、赴任先の国のコミュニケーションや文化、仕事内容が難しいかどうかのレベルに応じて、密度の濃い研修を提供することがポイントになります。
海外赴任者にとって、現地社員とのコミュニケーション面で困難の度合いが高ければ高いほど、密度の高い異文化対応コミュニケーションのプログラムが必要です。一般的に、仕事の難しさに比べコミュニケーションの難しさと文化の違いによる難しさの方が赴任者の適応は難しくなるため、その点も考慮して設計します。
また、派遣前と赴任後の両方に研修を行うとよいでしょう。
海外赴任者の職務設計のポイント
海外赴任者には、仕事をする上で可能な範囲まで相応の裁量権と自由を与え、実行してもらう職務への期待や責任、目的を明確にしておくことが必要です。
また、可能ならば現職者との任期を被せることも検討しましょう。新しい赴任者が現地に慣れるまで現職者がそばにいることで、安心感を与えることができます。
さらに、赴任者ができるだけ現地と本社との板挟みにならないように配慮し、柔軟に調整する姿勢も求められます。
海外赴任者への物的支援のポイント
海外赴任者へ企業から物的支援をする際には、一流の物を提供するのが大切です。生活物品に関して不自由さを感じさせないことで、赴任者と帯同する配偶者の両方にとって、海外で生活しながら仕事をするということにより意欲を集中してもらうためです。
海外赴任者への社会的支援のポイント
海外赴任者が赴任先に馴染んで活躍するためには、社会的サポートが欠かせません。現地従業員には可能な範囲まで新しい海外赴任者とその家族を支援するように奨励し、赴任者には現地の人々との出会いや社会的な支援ネットワークを築くための機会をつくるために、さまざまな社会的・地域的・信条的団体に関するわかりやすい情報を提供しましょう。
海外赴任者への赴任前研修の例
赴任前研修には、次の2つのパターンがあります。
- 語学力×異文化対応力×価値創出力向上
- ビジネス英語のコミュニケーション力・マネジメント力向上
パターン1では、共通言語になる英語力を習得するだけでなく、現地の文化理解や異文化コミュニケーションへの対応、外国人部下のマネジメント方法などを身につけます。
また、海外赴任者は赴任地で日本にいるときより現地の経営について広い権限や裁量権を与えられて実行する機会が多いため、経営スキルに関する研修も並行して実施するように設計されています。
パターン2では、実際に海外赴任したときに発生する課題に対応できるようにするため、現場を想定した疑似体験を通して赴任へのスキルとマインドを身につけることを目的としています。
次から、アルーの海外赴任者向け研修を例に挙げながら、具体的な赴任前研修について2つのパターンの内容を解説します。
語学力×異文化対応力×価値創出力向上
語学力、異文化対応力、価値創出力の向上には、それぞれに特化した次の研修プログラムをご用意しています。
語学力
ビジネスで使う語学力ではスピーキングやリスニングが重視されます。スピーキングを中心とした語学力向上の秘訣は、1日30分~1時間程度に分けて学習する分散学習ではなく、1日に4~8時間の学習を毎日行う集中学習の方が短期的に効果が出ます。短期集中学習で効率的に語学力を向上させるには、次の2種類の研修プログラムが適しています。
▼ALUGO BOOT CAMP ONLINEについてはこちらの資料でも詳しく説明しています。
例として、最初の1〜2ヶ月で集中的に基礎を学習し、3ヶ月目以降で会議やプレゼン、交渉などのビジネスシチュエーションに合わせた英語力とビジネススキルを並行して伸ばしていきます。
ALUGO BOOT CAMPでは、100時間の講師トレーニングを受けたネイティブ講師が指導します。受講生に合わせたカリキュラムで英語のレベルアップが期待できる研修です。
異文化対応力
異文化に対応する力を向上させるには、次の研修をおすすめします。
異文化の知識習得から現地組織のマネジメントまで、受講者の異文化知識のレベルと赴任後の役割に応じた内容を組み合わせて受講することができます。
価値創出力
価値創出力の向上としては、主に経営スキルを身につけていきます。経営の戦略立案や方針管理、事業開発などを主にeラーニングやアルーの公開講座で学びます。
ビジネス英語のコミュニケーション力・マネジメント力向上
英語力が高いレベルにある人材でも、実際の現場で即戦力となるためには赴任前に現場に即したシミレーションをしっかり行い、即活用できるスキルやマインドを身につけておくことが大切です。
ビジネス英語のコミュニケーション力・マネジメント力向上を目指した赴任前研修では、赴任後経験するであろう場面のシミレーションを中心に英会話を学びます。想定場面としては、次のような場面が例に挙げられます。
- 社外との交渉
- パートナー企業の選定方針を議論する会議
- ボードメンバーに対して、選定したパートナー企業についての質問の回答
受講者は5人前後の少人数制で、ネイティブ講師とのシュミレーションを通して主体的にスキルを身につけ、現場に直結している活きた英語を身につけることをゴールに設定しています。
海外赴任中の適応支援
海外赴任中には、職務においてだけでなく生活物品の支援、社会的な支援など赴任地に適応するための支援を継続して実施する必要があります。
特に適応していかなければならない異文化への対応トレーニングは、赴任前だけでなく赴任後にさらに密度が高く徹底した研修の実施が推奨されます。赴任してすぐ行う赴任後研修では、受講者のモチベーションが高く保たれているだけでなく、赴任前の研修で基礎が備わっています。また、すでに現地にいるので学んだことがすぐ応用でき、環境がトレーニングの内容に即しているため内容が身につきやすいというメリットがあります。
海外赴任者が赴任地に適応していくには、現地で得た経験から内省し、教訓を引き出して状況に適応していくといった経験学習サイクルを回していくことが大切になります。海外赴任者が適切に経験学習サイクルを回して適応していけるよう、企業では相談窓口を設けたり現地スタッフに働きかけるなどのサポートをしていくべきでしょう。
帰任後の組織へのコミットメント向上
海外赴任が成功したといえるのは、帰任後、赴任者が企業に再び貢献できるようになってはじめてそうみなされます。社員は赴任期間が長くなればなるほど、帰任後に仕事や人間関係、日本の環境に再度適応していくことを余儀なくされるでしょう。
帰任者は新しい仕事と職場環境に適応するよう努力しなければいけませんが、企業としてもキャリア・アサインメントを行い、海外赴任の経験を活かせるような業務を割り振るよう配慮するだけでなく、適応にかかる精神的なストレスのフォローもしていかなければなりません。
海外赴任を成功させる人材育成ならアルー株式会社へ
海外赴任者には、一社員としてだけではなくマネジャーや経営者といった多様な役割を果たしながら仕事を遂行していくことが求められています。アルーでは、海外赴任者に求められる経営基礎力・語学力・異文化対応力を効果的に身につけ、海外赴任を成功させる人材を育成できるプログラムをご用意しています。
オンライン研修・集合研修の両方に対応しており、貴社の状況に合わせた研修をカスタマイズして実施することも可能です。海外赴任を成功に導ける人材育成への研修でお悩みならば、アルーにご相談ください。