人材育成の目標設定方法や手順と職種別の具体例を解説
「人材育成において、どのような目標を立てればよいかわからない」「目標は立てているが、うまく定量化できず毎回形骸化してしまう」
こういったお悩みをお持ちの人事担当者の方も多いのではないでしょうか。人材育成において目標は大切ですが、正しい目標の立て方を知らなければ効果的な人材育成にはつながりません。
この記事では、人材育成における目標を立てる方法や手順などを、定量的な数値に落とし込んだ事例を交えながら解説します。
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人材育成の目標とは
人材育成の目標とは、自社の人材育成施策において目指すべき人材像へと社員を成長させていくための指標であり、社員の成長を通じた企業の発展の上での道しるべとなる存在です。
人材育成の際には、例えば「業務効率を20%改善する」「新規訪問を1日5件行い、売上を3割向上させる」といったゴールを設定します。これが人材育成における目標です。社員はこの目標を達成しようと試行錯誤する中で成長を重ね、キャリアの幅を広げていきます。
自社が理想とする人材像へ社員を成長させるための指標
人材育成における目標は、自社の理想とする人材像へと社員を成長させるための指針となります。自社が理想とする人材像を明確に定義することは、人材育成の重要な第一歩です。
人材育成で目標設定を実施する際は、自社で必要なスキルや知識などを提示しながら、それらの向上を定期的に評価します。例えば語学力やマネジメントスキル、コミュニケーションスキルなどです。こうしたそれぞれのスキルで目標を明確に設定しておけば、社員の成長を自社で必要なスキルという観点から定量的に測定することができます。
社員の成長を通じた企業の発展
社員の成長を通じた企業の発展という観点も、人材育成における目標の重要な側面です。最近では「人的資本経営」という言葉が脚光を浴びていることからも分かる通り、「会社にとって社員は資本である」という考え方が注目されています。採用コストが高くなっている昨今、既存の人材をいかに成長させるかが企業の成長を大きく左右するのです。
人材育成における目標は、こうした社員の成長を通じた企業の発展を後押しすることができます。社員の成長のみならず、企業全体の発展を定量的に観測する指標となるのが、人材育成における目標設定です。
人的資本経営について、人的資本経営において企業が行うべき対応に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
『【事例あり】人的資本経営とは?情報開示項目一覧と進め方・ポイント』
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人材育成目標と能力開発目標の関係、違いは?
人材育成の目標と近い意味の言葉に、「能力開発の目標」があります。能力開発とは、社員の持つ能力をより高めたり、足りないスキルを習得したりすることです。能力開発の目標として設定されるのは、「問題解決力を身につける」「タイムマネジメント能力を身につける」などの特定のスキルの習得です。
一方、人材育成の目標は、能力開発を行った後にどのような状態になっているべきか、という観点で設定されます。そのため、「顧客への提案力向上により売上高○○円を目指す」「業務効率を3割改善する」といった目標設定になります。
人材育成の目標を立てる重要性
人材育成の目標を立てる重要性として、企業の方向性を示すことと、社員のモチベーションを向上させることの2点が挙げられます。人材育成の目標を設定することの重要性を2つの観点から解説します。
企業の方向性を社内に示す
目標設定は、組織の方向性やビジョンを社員に伝え、浸透させるための重要な手段です。人材育成における明確な目標が設定されていれば、社員は組織の方針や長期的な計画を理解しやすくなります。
組織全体に一つの方針が浸透してくれば、メンバーの間に一体感も醸成されるでしょう。結果的に、社員一人ひとりが「働きやすい」と感じる職場づくりにつながったり、業務効率が向上したりします。組織に対するロイヤリティも向上するため、離職や休職を防ぐ効果も期待できます。
社員のモチベーション向上
目標設定は社員のモチベーション向上に寄与します。
仕事におけるモチベーションは、パフォーマンスを大きく左右します。社員が高いモチベーションを持っている職場は、メンバーそれぞれが主体性を持っており、組織としての生産性も高いです。
明確な目標があれば、社員は「自分は成長できたんだ」という達成感や充実感を得やすく、仕事に対する意欲が高まるでしょう。また、人材育成における目標を通じて、自分自身の成長やキャリアについて考える機会を提供できます。中長期的な自分の成長を考えることで、目の前の仕事への取り組みも熱心になります。
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人材育成の目標を達成するには何が重要?
一度目標を立てたら、それを確実に達成する必要があります。それでは、人材育成の目標を達成するためには、何が重要なのでしょうか。目標を達成するために重要な観点をいくつか解説します。
企業側の適切な管理とフォロー
目標を確実に達成するためには、企業側の適切な管理とフォローが大切です。例えば営業職が「契約率を20%アップさせる」という目標を掲げたとしても、企業側のフォローなしでは目標達成は難しいでしょう。コミュニケーションスキルを向上させる研修や傾聴力を磨く研修を実施する、成長に繋がる顧客をアサインするなど、企業側が必要な人材育成施策を実施する必要があります。
また、定期的に目標達成の進捗度合いを確認する機会を設けるのも大切です。例えば上司との1on1を導入して、期限内に目標が達成できそうかどうかをヒアリングしてみましょう。目標達成が難しい場合は、必要に応じて上司側がフォローを行います。
スキルや専門性の向上
目標達成の確度を高めるためには、スキルや専門性の向上を促すことも有効です。例えば「英語でのコミュニケーションを上達させ、TOEICで750点獲得を目指す」といった目標を掲げている社員には、英語力を磨けるようなプログラムを提供するようにしましょう。
スキルや専門性の向上を行う場合は、対面形式やオンラインでの研修の実施がおすすめです。また、それ以外にも本やeラーニングなどを通じて、社員が自律的に学べる環境を整えるのもよいでしょう。
帰属意識の向上
社員に確実に目標達成をしてもらうためには、帰属意識の向上も有効です。
組織に対する帰属意識が低い場合、目標を自分ごととして捉えてもらえません。そのため、帰属意識の向上をせずに高い目標を掲げてしまった場合、「どうせ達成できない」「達成できなくてもいいや」と思われてしまう可能性があります。
自社の歴史やビジョンについて理解してもらう研修を実施したり、心理的安全性を高める施策を実施したりして、組織に対するメンバーの帰属意識を高める施策を実施しましょう。
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人材育成の職種別目標例
人材育成において目標を設定する際には、具体的にどういった目標が考えられるのでしょうか。ここからは、営業職と技術職、事務職のそれぞれについて、目標を定量化した例を挙げながら解説します。
営業職
営業職の目標設定としては、以下のようなものが考えられます。
- 顧客とのコミュニケーションを改善し、継続利用率を現状の1.5倍にする
- 新商品の売上高1,000万円を達成する
職務内容が売り上げに直結する営業職の場合、「1.5倍」「1,000万円」といった数値目標が必ずといっていいほど目標に組み込まれます。具体的な数値を設定する際には、これまでの売り上げデータや目標達成実績なども見ながら、現実的な難易度の数値を設定しましょう。
技術職
技術職は、自社サービスの品質や顧客満足度に直接影響を与えることの多い職種です。技術職の具体的な目標例としては、以下のようなものが考えられます。
- コードレビューの頻度を増やし、開発効率を2割改善する
- 最新のITトレンドをキャッチアップして、来期までに新しい技術を3つ使えるようになる
技術職の成長目標は、コーディング力の向上や新技術の修得など、技術面での向上がメインです。自社がITサービスにどういった技術を求めているのかを把握しながら、具体的な目標へと落とし込んでいきましょう。
事務職
事務職の目標設定の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 既存の業務フローを見直し、来月までに業務効率を3割改善する
- 来月までに、部門でのミス発生率を0にする
事務職の代表的な目標設定としては、業務効率化が挙げられます。また、ミスの許されない事務職の場合は、ミスの削減が目標として設定される場合も多いです。ただ単に目標を掲げるだけでなく、具体的な業務改善フローを提示したり、ミスを防ぐ仕組みづくりを導入したりするなど、確実に目標を達成するための施策を実施するのが大切です。
人材育成の階層別目標例
人材育成の目標を決める際には、階層別に設定することも有効です。ここでは新入社員と中堅社員、管理職の3つに分けて、階層別の目標設定例を解説します。
新入社員
入社したばかりの新入社員では、ビジネスの基礎力に関する目標から、業務に関する目標まで、さまざまな目標が考えられます。例えば、以下のような目標設定がよいでしょう。
- 4月中に、ビジネスマナーの中の名刺交換とあいさつを100%実践できるようになる
- 3ヶ月以内に、5つの製造工程をすべてマスターする
- 次回の定例ミーティングで2回以上発言する
なお、目標管理の経験自体が少ない新入社員に対しては、丁寧に上司がフォローすることが大切です。定期的なミーティングなどを設定して、目標達成に向けた進捗が順調に進んでいるかどうかを確認しましょう。
新入社員が設定すべき目標について詳しくは、以下のページをご参照ください。
『新入社員が設定するべき目標とは?定量的な目標の具体例を紹介』
中堅社員
徐々に中核的な業務を任せられることも増える中堅社員の場合は、以下のような目標設定が考えられます。
- 1年以内に、直属の上司が行っている業務を5割代行できるようになる
- 毎週10時間ずつ勉強し、3ヶ月後までに資格を取得する
仕事が忙しく、定めた目標が形骸化してしまいがちな中堅社員の場合は、目標を定量化することが特に大切です。また、勉強時間をさらに細かく設定したい場合には、「1日◯時間」といったように日単位で設定するのもよいでしょう。
管理職
部下をマネジメントする必要のある管理職の場合、自分自身の目標に加えてチーム全体で達成すべき目標も設定する必要があります。具体的には、以下のような目標がよいでしょう。
- 毎月チームミーティングを実施して、来月までにメンバーの目標達成率を70%以上にする
- 毎月課長会議を実施して、6ヶ月後までに各課の目標達成率を2割向上させる
他者を巻き込む必要のある目標では、ミーティングの実施など具体的な施策と合わせて目標を設定するようにしましょう。
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人材育成の目標を立てる手順
人材育成の目標を立てる際には、具体的にどういった手順を踏めばよいのでしょうか。人材育成における目標を設定する手順について、以下の7つのステップに分けながら細かく解説します。
- 企業全体の方向性や目標を確認する
- 社員のあるべき人材像を定義する
- あるべき人材像に求められる能力要件を定義する
- 求められる能力要件と各階層・各職種の現状からギャップを抽出する
- 具体的な目標数値を決める
- 目標を達成するための施策の洗い出しと絞り込みを行う
- 管理計画シートにまとめる
1.企業全体の方向性や目標を確認する
まずは、企業全体の方向性や目標を確認しましょう。企業がどのようなビジョンを持っており、中長期的にどのような方向性を目指しているのかを明確化することが大切です。必要に応じて経営層へのヒアリングなども実施しながら、人材育成の大まかな方向性を定めていきましょう。
この段階をおろそかにしてしまうと、自社の目指す経営方針と人材戦略が連動しなくなってしまいます。効果的な人材育成を実現するためには、自社の経営方針まで遡って理解することが大切です。
2.社員のあるべき人材像を定義する
次に、社員のあるべき人材像を定義しましょう。先程のステップで確認した企業全体の方向性や目標の内容を踏まえながら、具体的に自社の人材はどのような存在であってほしいのかを明確にしていきます。
この段階では、まだ具体的なスキルや知識まで踏み込んで定義する必要はありません。それぞれの能力要件については次以降のステップで明確化させていくため、このステップでは「人材にどのような存在であってほしいのか?」という理想を描くことに注力してください。
3.あるべき人材像に求められる能力要件を定義する
次に、先ほど定めた「あるべき人材像」に求められる具体的な能力を定義していきます。前のステップでは、人材に「どのような存在であってほしいのか」というところに重点を置いて定義を行いました。ここでは、その人材像を実現するためにはどのような能力が必要なのかを具体化していきます。
例えば「顧客と信頼関係を構築していける」という人材像を策定した場合、この段階では「コミュニケーション力がある」「傾聴力が高い」といった能力要件に落とし込んでいきます。
4.求められる能力要件と各階層・各職種の現状からギャップを抽出する
求められる能力要件が定まったら、次にそれぞれの階層・職種の現状を調査して、ギャップを洗い出していきます。それぞれの階層や職種の現状を調べる際には、現場へヒアリングを実施するのが効果的です。
アンケートなどを活用しながら、現場にどのような課題感があり、能力要件をどの程度まで達成できていると感じているのかを把握しましょう。現状が把握できたら、先程定めた能力要件との間のギャップを把握して、次の目標数値の決定に活用していきます。
5.具体的な目標数値を決める
次に、具体的な目標数値を決めていきます。数値を決める際には、「何ができたら達成なのか」「いつまでに達成するべきなのか」という2つの観点から、明確な基準を策定することが大切です。
「何ができたら達成なのか」については、例えば「成約率を20%向上させる」「売上を30万円アップさせる」といったように、具体的な数値を必ず盛り込むようにします。「いつまでに達成するべきなのか」についても、「3ヶ月後までに」「1年後には」といったような、具体的な期日を設定するのが大切です。
ただし、あまりにも高すぎる目標や短すぎる期間は、社員の成長につながらないどころか、モチベーションの低下を招いてしまいます。前のステップまでに洗い出した現状とギャップを踏まえながら、現実的な目標かどうかをよくチェックしましょう。
6.目標を達成するための施策の洗い出しと絞り込みを行う
数値を設定したら、目標を達成するための施策を洗い出して、絞り込んでいきます。まずは目標達成に向けてどういった施策が有効なのかを考えながら、人材育成の施策をリストアップしましょう。研修の実施はもちろん、eラーニングで学べる環境を整えたり、1on1などのミーティング制度を導入したりするのも有効です。
その後、それぞれの施策が本当に有効かどうかを確かめながら、絞り込んでいきます。自社のリソースも見ながら、目標達成に向けて必要な施策を取捨選択していきましょう。
7.管理計画シートにまとめる
最後に、管理計画シートに目標の一覧と、目標達成に向けた施策をまとめます。管理計画シートで目標をまとめておけば、それぞれが達成度合いを確認しやすくなりますし、日々の業務の中で目標を意識するきっかけを提供することもできます。
管理計画シートでは、「何を」「いつまでに」達成するべきなのかを一目で把握できるようにしておきましょう。作成した計画シートは、デスクやPCなど、目につきやすい場所へ置いておくことが有効です。
監修者からひとこと ・研修終了して現場に戻った後に社員がどういう行動していたら研修は成功したと言えるか? |
人事部が管理すべき人材育成の目標数値
人材育成は企業全体で体系的に行なうべきものです。全社的な人材育成の企画・推進を担う人事部には、人材育成の目標を定量的に設定し、モニタリングしていくことが求められます。人事部が管理すべき人材育成の目標数値について紹介します。
研修後の満足度・理解度
研修実施後の満足度や理解度については、必ず計測するようにしましょう。「やって終わり」の研修から脱却するためには、受講者の満足度や理解度を調査し、必要であればフォローアップ研修の実施や次年度の研修設計の見直しを行う必要があります。 研修後の満足度・理解度はアンケートや理解度テストで計測するとよいでしょう。 研修後アンケートの項目例やテンプレートのダウンロードは下記ページからご確認ください。
研修後の知識定着度
研修で学んだ知識、フレームワークを研修後も忘れず覚えているかどうかを測定しましょう。社員の行動変容につなげるためには、学びを忘れさせないことが重要です。 研修で学んだことが定着しているかどうかを測るためには、研修終了時に理解度テストに加え、研修実施数週間後などに事後課題を設けることがおすすめです。
研修からしばらく経ってから事後課題を実施することで、学んだ内容を思い出してもらえるでしょう。 また、マイクロラーニングを用いて、事後課題として1日に数分間の学習を与えることで、知識を忘れさせない仕組みを作ることも有効です。
研修後の行動変容
研修後に職場での行動変容が起こっているかどうかも、人事部が管理すべき目標の一つです。 研修で学んだことを普段の業務で活用できているか、研修が終了した後も継続的にモニタリングしましょう。行動変容を確認するには、受講者やその上司と面談したり、サーベイツールを活用したりするのがおすすめです。
アルーでは、研修後の職場での実践フォローと社員の育成進捗・課題の可視化を叶えるサーベイ「Compath」をご提供しています。詳しくは以下のページをご覧ください。
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受講者の資格取得数
研修後の受講者の資格取得数を目標として設定するのもおすすめです。 特にDX研修など短期的な成果が見えづらい研修では、「統計検定に受講者の〇%が合格する」などの目標を立てるとよいでしょう。研修後の資格取得率がわかると、育成施策の進捗を経営層などにもわかりやすく伝えることができます。
資格取得数を人材育成目標として設定する場合は、研修の際に受講者にきちんと共有することが大切です。研修前に「この研修の目的は〇〇検定の取得です」というように明示することで、受講者も研修の目的を理解した上で研修に臨んでくれるでしょう。
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人材育成の目標を設定・管理する効果的なポイント
人材育成の目標を効果的に管理するためには、具体的で定量的な指標にすることや、達成可能な目標にすることが重要です。人材育成において、目標を管理する際に必ず知っておきたいポイントを解説します。
具体的で定量的な指標にする
目標を設定する際には、可能な限り具体的で定量的な指標にしましょう。 目標を設定した際にありがちなのが、「曖昧な目標設定となってしまい、達成できたのかどうかよくわからない」というものです。達成できたかどうか判断しづらいような目標としてしまった場合、目標を管理する意味がなくなってしまいますし、効果測定ができません。 例えば「業務効率を改善する」という目標を設定する場合、「3ヶ月後までに業務効率を2割改善する」といったように、後から達成できたかどうかを判断しやすくする数値を盛り込むのが大切です。
達成可能な目標にする
目標を設定する場合は、達成できるような難易度の目標となるよう、内容や数値を調整しましょう。 現状に対してあまりにも高すぎる目標を掲げてしまった場合、目標達成に対する意識が低下してしまいます。「達成できなくてもいいか」という意識が浸透してしまうため、目標管理の意味が薄れてしまうのです。 ただし、あまりにも簡単すぎる目標を設定した場合も、かえってメンバーのモチベーションに悪影響を及ぼします。現状と理想のギャップを把握した上で、適切な難易度となるよう調整してください。
定期的に進捗確認する
目標を設定した場合、期日まで個々の取り組みに任せてしまうのは効果的ではありません。目標を確実に達成してもらうためには、1on1ミーティングを実施したり、定例ミーティングで進捗報告をしてもらったりして、定期的に進捗確認するのが大切です。 ここで目標達成に向けて課題があるとわかったら、上司側がアドバイスするなど適切なサポートを提供しましょう。定期的な確認の場を設け、トラブルが発生したら早い段階で軌道修正できる体制を整えるのが大切です。
管理シートなどで管理を徹底する
目標管理を実施する際には、目標の達成度合いが一目で把握できるような管理シートを作成するのも有効です。管理シートには、「どの目標を」「いつまでに」「どの程度」達成する必要があるのかをまとめておき、定期的に進捗を記録しておくようにしましょう。
こうした管理シートをデスク上などの見える位置へ置いておけば、メンバーが常に目標を意識するきっかけを作ることができます。また、上司へ目標の進捗度合いを共有する際もスムーズです。
フィードバックやフォローの徹底
目標を立てた後には、社員に対するフィードバックやフォローを徹底するようにしましょう。目標管理を実施する場合、目標を立てた後は社員任せにしてしまうのでは、効果が半減してしまいます。
例えば目標達成に失敗してしまった社員がいる場合、「どのような点が上手くいかなかったのか」「目標を達成するためには何が必要だったのか」を考えさせるのが大切です。「目標を達成できるかどうか」という点だけを重視するのではなく、目標管理を実施した後に何が改善できるのかを常に意識できるようにしましょう。
どうすれば達成できるかを一緒に考える姿勢をもつ
目標管理を行う際には、フィードバックやフォローと並行しながら、「どうすれば目標を達成できるのか」を考える姿勢を持つのも大切です。単に目標を提示するだけでは、社員は目標達成に向けて何をすればよいのか分からず困惑してしまいます。
具体的には、上司側が目標達成に向けた具体的な行動や方針についてアドバイスすることなどが効果的です。社員が確実に目標を達成できるよう、目標達成に向けてどういったアクションが必要なのかをしっかりと理解してもらいましょう。
運用時は社員の価値観を引き出す
メンバーには、一人ひとりが大切にする価値観や考え方があります。人材育成の目標を設定する際は、会社の定めた目標を「決まったもの」として押し付けるのではなく、ミーティングなどでの質問を通じてメンバーの価値観を引き出しながら決定するようにしましょう。
なお、メンバーの持つ価値観は以下の4つに分類できます。
- 目指す人物像などの、自分に対する価値観
- 会社に対する印象や入社した動機など、会社に対する価値観
- 仕事を通じて成し遂げたいことなど、仕事に対する価値観
- 気の合う人物像や理想とする人間関係など、人に対する価値観
目標設定の際はこの4つの観点をバランスよく意識しながら、本人の価値観に合うよう決めていくことが重要です。
会社からの期待と社員の意思をすり合わせる
それぞれのメンバーが持つ価値観を明確にできたら、会社からの期待と社員の意思をすり合わせていきましょう。目標設定の際には、「メンバーの持つ価値観と会社からの期待を調和させる」という意識を持つことが大切です。
例えばメンバーが「お客様に感謝されるような仕事を行いたい」という価値観を持っていて、会社が「売上実績1000万円」を期待している場合、「お客様からの感謝」と「売上高」を関連させるようなコミュニケーションが重要です。
eラーニングを利用する
eラーニングを活用すれば、社員はいつでもどこでも自分の好きなペースで学習を進めることができます。目標管理を実施する場合には、eラーニングを活用して目標の達成をサポートするのも有効です。 eラーニングを活用する利点として、社員の自律的な学習を促進できることが挙げられます。社員の自発的なスキル習得を後押しできるため、目標の押し付け感も出ません。目標達成に向けて具体的な知識やスキルの習得を促進したい場合は、ぜひeラーニングを活用してみてください。 アルーの提供するeラーニング教材については、以下のページで詳しく確認いただけます。
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