【具体例あり】シニア研修とは?目的や成功させるためのポイント
さまざまな業界で人材不足が進む昨今、優秀な人材に長く活躍してもらうためにシニア層を対象とした研修を実施する企業が増えてきています。
そこでこの記事では、シニア研修を実施する目的やシニア研修の具体的な内容、シニア研修を成功させるために知っておきたいポイントなどを徹底解説します。
シニア研修の実際の成功事例も紹介するので、人事担当者の方はぜひ参考にしてください。
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シニア社員とは
シニア社員とは、一般的に55歳〜70歳程度で部下を持たないビジネスパーソンを指します。「シニア社員」という言葉自体に明確な定義はありませんが、一般的には部下がおらず、キャリアの長い社員といったイメージです。
最近では働き手人口が減少しつつあり、労働力不足に悩む企業は少なくありません。シニア社員は、豊富な経験や知識を持つ貴重な人材です。そのため、会社の競争力を高めるためにシニア社員へ着目し、研修などを積極的に行う企業が増えてきています。
シニア研修の目的
シニア研修を実施する目的は、大きく以下の3つです。
- シニア社員の強みを再発見する
- 環境の変化に対応できるようになる
- 時代に沿った新しいスキルの習得
シニア研修を実施する目的について、一つひとつ詳しく確認していきましょう。
シニア社員の強みを再発見する
シニア研修を実施する目的として、シニア社員の強みを再発見することが挙げられます。
シニア社員は豊富なキャリアを築いてきており、他の社員にはない知識やノウハウを保有していることも多いです。しかし、働く環境や立場、役割などさまざまな要因から、必ずしもそれらが職場で活かされているわけではありません。
シニア研修を実施すれば、シニア社員ならではの強みを再発見し、それらを職場で発揮するきっかけを作ることができます。即戦力となるシニア社員の強みを再発見することは、人手不足の会社にとっては大きなメリットです。
環境の変化に対応できるようになる
シニア社員が環境の変化に対応できるようになることも、シニア研修を実施する目的の一つです。
シニア社員にありがちな課題として、「自分のときはこのやり方でうまくいったから」といったように過去の成功体験にとらわれてしまうことが挙げられます。
しかし、グローバル化やIT化の進展によって時代が激しく変化する現代では、変化をキャッチアップすることが欠かせません。
シニア研修を通じて、環境の変化に対応するマインドセットを獲得してもらう必要があります。
時代に沿った新しいスキルの習得
シニア研修を実施する目的として、時代に沿った新しいスキルの習得を促す点も挙げられます。
昨今は、DXの一環として業務を効率化するための新しいデジタルツールを導入している企業がほとんどです。また、AI時代に対応するためには統計や数学の知識が必要なうえに、グローバル化に対応するためには語学力やグローバルコミュニケーション力が欠かせません。シニア研修を通じて時代に沿った新しいスキルを身につけてもらい、シニア社員のさらなる活躍を促す点も重要な目的の一つです。
シニア研修の必要性・メリット
シニア研修を実施すれば、シニア社員のモチベーション向上を促すことができます。また、若手社員にとってのロールモデルを形成できたり、シニア社員の持つノウハウを活用するきっかけを提供できたりといったメリットもあります。
シニア研修を実施する必要性やメリットを3つの観点から解説します。
シニア社員のモチベーション向上
シニア研修を実施すれば、シニア社員のモチベーション向上が期待できます。
シニア社員の中には、労働環境の変化によってモチベーションが低下している人が多いです。モチベーションが低下したままにしてしまうことは、会社側と本人の双方にとって望ましくありません。また、退職を検討するきっかけにもなるでしょう。
シニア研修を通じてシニア社員の労働意欲にアプローチすれば、低下しがちなモチベーションを改善し、意欲的に業務を遂行してもらえるようになります。
若手社員のロールモデルになる
シニア研修を実施すれば、若い世代に対してロールモデルを示すことができます。
シニア社員が活躍している姿を見ることで、シニア社員の一歩手前の社員は自分のこれからのキャリアについて具体的にイメージしやすくなるでしょう。
また、若い世代の社員に対しても、シニア社員が活躍しているロールモデルを見せることで、安心感を持ってもらえます。
いきいきと活躍するシニア社員というロールモデルを示すことで、会社全体に好影響を与えることができるのです。
シニア社員の経験やノウハウの活用につながる
シニア社員の経験やノウハウの活用につながることも、シニア研修を実施するメリットです。
シニア社員ならではの知識やスキルは、即戦力となります。そのため、働き方改革によってリソース不足に悩んでいる企業にとって、シニア社員は採用コストなしに確保できる貴重な存在です。
シニア研修の具体的な例
シニア研修には、役職定年前研修やモチベーション研修、キャリアデザイン研修などさまざまな種類があります。ここからは、シニア研修の具体的な内容を解説します。
シニア研修の具体的なプログラムを知りたい方はぜひ参考にしてください。
役職定年前研修
役職定年前研修は、それぞれの役職に設定されている定年を迎えたあとも企業で活躍してもらうイメージを持ってもらうために実施する研修です。
大半の企業は、一定の年齢で役職を退任する定年制度を設けています。しかし、役職定年を迎えたシニア社員が定年後の役割変化や周囲との関わり方に馴染めず、思うように活躍できないケースがあります。
役職定年前研修ではこれまでの経験を振り返るとともに、「定年後に自分のスキルや知識をどう活かすか」といった観点から、キャリアの明確化やマインドセットの習得を行います。
モチベーションアップ研修
モチベーションアップ研修は、シニア層の社員のモチベーション改善を目的とした研修です。
前述した定年後のモチベーション低下のほか、企業で昇進のビジョンが見えないことからモチベーションの低下を経験するシニア社員も少なくありません。
モチベーションアップ研修ではこうしたシニア社員に対し、「自分自身のやりがいや達成感はどこにあるのか?」を研修で明確にしていきます。高い意欲で仕事に取り組む姿勢を形成し、シニア社員の活躍を促しましょう。
モチベーションを向上させるための研修については以下の記事で詳しく解説しています。
『モチベーション研修とは|おすすめのゲームやカリキュラム例を紹介』
キャリアデザイン研修
キャリアデザイン研修は、シニア層の社員を対象としてキャリアの形成方法を学んでもらう研修です。
平均寿命が伸びており、公的年金の受給開始時期が繰り上がり傾向にある昨今では、50代や60代のシニア社員のキャリアデザインが重要視されています。キャリアデザイン研修は、これまでのスキルや経験を棚卸しするワークに取り組みながら自分らしさを見つめ直し、これからのキャリアを考える研修です。
キャリアデザイン研修を通じてキャリアプランが明確にできれば、モチベーション向上などの副次的効果も期待できます。
シニア社員のキャリアデザイン研修のコツについて詳しくは以下のページをご覧ください。
ダイバーシティ研修
ダイバーシティ研修は、ダイバーシティを実現するため求められる考え方や価値観を身につける研修です。
ダイバーシティ研修で多様性を学ぶことにより、シニア社員が今の時代の個性的な若手社員との関わり方や接し方を身につけることができます。また、同時に自分自身の個性を肯定的に受け止めることができるようになるでしょう。
ベテランになると弱い自分をさらけ出すことが難しいですが、ダイバーシティの考え方を理解し、ありのままの相手と自分を肯定することによって、自分を安心してさらけ出せる場を作ることができます。
これにより凝り固まった固定観念を手放し、会社に依存している状態から個として自立した社員に育成することができるでしょう。
効果的なダイバーシティ研修を実施するためのポイントや研修の具体的な内容、ワーク例などは以下のページをご覧ください。
『効果的なダイバーシティ研修とは?内容やオンラインでできるワークを紹介』
自己理解を深めるワークショップ
自己理解を深めるワークショップは、自分の性格の傾向把握などを通じて、自分を客観視するための研修です。
具体的には、MBTI®(※注) を活用したワークを実施することがおすすめです。MBTI® を用いれば、自分の認知スタイルを分析しながら理解を深め、自分と異なる人間への許容度を高めることができます。そのため、自分らしさや周囲との関わり方の見直しに繋がるでしょう。
シニア社員が自分らしさを見つめ直すことは、これからの活躍をイメージするうえで大変重要です。
※注:MBTI is a registered trademark of the Myers&Briggs Foundation in the United States and other countries.
コミュニケーション研修
コミュニケーション研修は、周囲と良好な信頼関係を構築するためのコミュニケーション方法を学ぶ研修です。
シニア層を対象としたコミュニケーション研修では、後輩社員や上司と良好な信頼関係を築く方法を学ぶことがメインとなります。また、シニア社員には年下上司とのコミュニケーションや、部下への知識・技術の伝承も重要な役割となります。相手とコミュニケーションをする際に意識するべきポイントや、コミュニケーションにあたって身につけるべき姿勢などを、ロールプレイングなどのワークを通じて学んでもらいましょう。
アルーの提供しているコミュニケーション研修のプログラムは、以下のページからご覧ください。
コミュニケーション研修
シニア研修を行う際のポイント
シニア研修を行う際には、シニア研修が活躍できるような人事戦略を立てることが大切です。また、就業条件の整備をしたり、シニア向けの人事制度を確立したりすることも欠かせません。
ここからは、シニア研修を成功させるために意識しておきたいポイントをいくつか解説します。
シニア社員が活躍できるような人事戦略を立てる
シニア研修を実施する際には、シニア社員が活躍できるような人事戦略を立てることがポイントです。
どんなに充実したシニア研修を実施しても、シニア社員が活躍できるような人事戦略が伴っていなければ効果は期待できません。
今後会社としてどのようにシニア人材を活用し、業績向上につなげていくのかを明確にしておきましょう。策定した人事戦略と連動させて、シニア研修の内容やプログラムを構成していくことが大切です。
就業条件の整備をする
シニア研修を成功させるためには、就業条件の整備も行いましょう。
代表的なものとしては、定年の延長が挙げられます。シニア人材の活用を目的として定年を延長する場合、定年だけでなく就業規則や賃金規定などの制度設計を見直す必要があるでしょう。規定を見直す際には、できる限りシンプルで合理的な内容にすることを意識しつつ、シニア社員が活躍できる環境を整えることが大切です。
シニア向け人事制度を確立する
シニア向けの人事制度を確立することも、シニア研修を成功させるためのポイントです。
現在の人事制度とシニア人材からのニーズにミスマッチがある場合には、人事制度の見直しを行いましょう。
シニア社員に対しては限定的な仕事の雇用機会のみ提供する、もしくは年齢に関係なく積極的にシニア社員を活用するなど、自社の方針にあわせてシニア向けの人事制度を確率していくと良いでしょう。
人事制度を導入する時点で想定していた対象社員と、シニア社員の間にニーズの差がないかを今一度確認してみてください。
適応課題に対応した研修を行う
適応課題に対応した研修を実施することも、シニア研修を成功させるポイントです。
社員が直面する課題には、適応課題と技術的課題の2種類があります。
適応課題とは、社員の持っている価値観や考え方の傾向を原因とする課題です。反対に技術的課題とは、社員が現時点で保有している知識やスキルに起因する課題を指します。
シニア社員の活躍を促すためには、適応課題へ対応してもらうことが大切です。研修を通じて、過去の成功体験にとらわれずに価値観をアップデートするよう促しましょう。
適応課題と技術的課題の具体例や、研修でのアプローチ方法は以下のページで詳しく解説しています。
『適応課題と技術的課題の例を紹介。研修で適応課題にアプローチする方法』
シニア社員の「世界観」「仕事」「職場環境」を把握する
シニア社員の世界観や仕事、職場環境を把握することも、シニア研修を成功させるうえで大切なポイントです。
キャリアの長いシニア社員は、若手社員や中堅社員と異なる世界観を持って働いている場合があります。ライフステージも若い社員とは異なるため、仕事に対する価値観も人それぞれです。研修を実施する際には、こうしたシニア社員の価値観をおさえた上でプログラムを構成する必要があります。
必要に応じて研修企画段階でインタビューやアンケートを実施して、「シニア社員について知る」ということを心がけてみてください。
「個」として自立できるようサポートする
シニア研修を実施する際には、「個」として自立できるようサポートしましょう。
シニア社員が直面しがちなモチベーションの低下や成長の停滞といった課題を克服するためには、「自分自身で学び続ける」という主体性を身につけさせることが大切です。
しかし、シニア社員の中には「学びは会社から与えられるもの」と無意識のうちに考えている人もいます。研修を通じてこうした価値観からの脱却を促し、自立して成長し続けられるような姿勢を形成しましょう。
アルーが行っているシニア研修
人材育成を手掛けているアルーでは、これまでに数多くのシニア研修を実施してきました。ここからはその中から特に参考となる事例を3つピックアップして紹介します。シニア研修の具体的なプログラムを考える際には、ぜひ参考にしてください。
50代社員向けキャリアデザイン研修
50代社員向けキャリアデザイン研修は、これまでの職業人生を振り返り、将来の価値発揮の仕方を考えることを目的とする研修です。
まずはイントロダクションとして役員講話を実施し、なぜシニア層を対象とした研修を実施するのかを共有します。そのあと、これまでの職業人生を振り返るワークや課題を通じて、将来どのように自分の価値を活かしていくのかを明確にします。最後にアクションプランという形で10年後の目標を宣言してもらい、まとめる流れです。
豊富なグループワークや課題を通じて、残りのキャリアを前向きに捉え直すことができます。
自己理解を深めるワークショップ
自己理解を深めるワークショップは、自分の客観視を通じて他人との関わり方を発見するワークショップです。
本ワークショップでは、まずMBTI®(※注)を用いて自然としている自分の認知スタイルを分析します。そのあと、それぞれ自分にあったベストフィットタイプを発見していくという流れです。
部署やチーム全体でこのワークショップを実施すれば、自分らしさや相手らしさを理解した効果的なコミュニケーションが実現します。
※注:MBTI is a registered trademark of the Myers&Briggs Foundation in the United States and other countries.
技術継承のための指導スキル研修
技術継承のための指導スキル研修は、50代60代のベテラン層の持つスキルを次世代の社員へ引き継ぐことを意識した、指導スキルを磨く研修です。
まずはシニア社員が現時点で身につけているスキルや知識を点検し、技術継承に向けたモチベーションを形成します。そのあと、技術継承のための具体的な方法やフィードバックスキル、傾聴などを学び、最後にアクションプランを宣言して振り返る流れです。
指導スキルの向上はもちろんのこと、技術の点検を通じてシニア層自身のモチベーション向上も期待できます。
シニア研修ならアルーにお任せください
シニア研修なら、アルーへお任せください。アルーは人材育成を手掛けている企業で、これまでに幅広い業界でシニア層の活躍を引き出すための研修を実施してきました。
アルーでは、研修の企画段階から丁寧なヒアリングを実施していることが強みです。お客様の企業の課題を明確にしたうえで、研修による最適なアプローチを行います。シニア層社員の活躍を引き出したい場合や、シニア層から次世代の社員への技術継承を進めたい場合は、お気軽にアルーまでご相談ください。