メタ思考とは?高い人の特徴やトレーニング方法をわかりやすく解説
昨今は、ビジネス環境の変化が見通しづらいVUCAの時代です。VUCAの時代にビジネスで直面する問題は、さまざまな事象が複雑に絡み合っており、一筋縄ではなかなか解決できません。
こうした複雑な問題を解決するための思考法として、近年「メタ思考」が注目を浴びています。メタ思考を身につければ、複雑な問題を解決できるようになったり、新たな気づきを得やすくなったりするでしょう。
この記事ではメタ思考の定義やメタ思考力が高い人の特徴、メタ思考力を身につけるためのトレーニング方法を解説します。
▼メタ思考を鍛えるのにおすすめの研修3選
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メタ思考とは
メタ思考とは、「物事や問題を俯瞰的に捉える思考法」のことです。
人間は、気づかないうちに自分なりの思考のくせや思い込みを持っています。こうした自分の思考の偏りに気づかないと、狭い視野でしか物事を捉えることができません。
メタ思考を身につければ、自分自身を客観視できるようになり、より物事の本質を正確に捉えられるようになります。
複雑で急速に変化する現代社会では、このメタ思考が極めて重要なスキルです。情報過多の時代だからこそ、メタ思考によって自分自身の思考パターンを見つめ直し、情報を効率的に処理して的確な判断を下すことが求められています。
メタ思考力が高い人の特徴
メタ思考力が高い人には、いくつかの特徴があります。
具体的には、以下のような点がメタ思考力の高い人の特徴です。
- 冷静な判断・行動ができる
- 物事の本質を捉えることができる
- 自分自身を客観視できる
- 抽象的な物事を言語化する能力が高い
- モチベーションをコントロールできる
ここからは、メタ思考力に共通して見られる高い人の特徴を見ていきましょう。
冷静な判断・行動ができる
メタ思考力が高い人の特徴として、冷静な判断や行動ができる点が挙げられます。
メタ思考力が高い人は、感情で動くことが少ないです。その代わり、物事を俯瞰的で客観的な視点から捉え、さまざまな視点を考慮しながら冷静に物事へ対応することができます。
また、予測していなかった緊急事態が発生した場合にも、落ち着いて対処できることが多いです。始めから広い視野を持って戦略を考えているため、想定外の事態でも冷静に的確な対応策を考えることができます。
物事の本質を捉えることができる
メタ思考力が高い人は、物事の本質を捉えることができるという特徴もあります。
メタ思考は、一段上から見下ろして物事を精査するのに役立つ能力です。高いメタ思考力を持つ人は、物事を一段上の視点から精査し、本質的な課題に対する根本的な原因を探ることができます。
また、物事を本質的に理解できるため、効果的な対応策を考えることも得意です。表面的な問題解決にとどまらず、再発防止につながるような質の高い解決策を立案できます。
自分自身を客観視できる
自分自身を客観視できることも、メタ思考力が高い人の特徴です。
メタ思考力が高い人は、自分自身がどのような思考のくせを持っていて、何が得意で何が苦手なのかを客観的に認識できます。そのため、自分の成長に必要なアクションを自分で考えることが上手です。自律的に成長できるため、周囲と比べて「成長スピードが速い」と思われることも多いでしょう。
抽象的な物事を言語化する能力が高い
メタ思考力が高い人には、抽象的な物事を言語化する能力が高い特徴も見られます。
抽象的な物事を人へ説明するとき、概念をそのまま伝えるだけではなかなか相手に理解してもらえません。相手に伝わるような説明を行うためには、抽象的な物事を具体化して説明したり、具体例を挙げながら説明したりする必要があります。
メタ思考力の高い人は、相手のイメージを膨らませるような具体化を行うことが得意です。「どのような例を挙げれば相手が理解できるか?」という視点を持っているため、周囲から「説明が上手だね」と言われることもあります。
モチベーションをコントロールできる
メタ思考力が高い人は、モチベーションを自分自身でコントロールできることが多いです。
仕事に対するモチベーションをコントロールするためには、そもそも自分自身のモチベーションがどこから生まれていて、何によって低下するのかを理解する必要があります。メタ思考力の高い人は自分を客観視できるため、モチベーションの上下を生み出す要因を正確に把握できています。自分でモチベーションを意図的にコントロールできるので、パフォーマンスが安定することも多いです。
メタ思考の具体例
メタ思考はビジネスにおける様々な場面で役立ちます。
例として、報告書を作成したところ、上司から「わかりづらい」と指摘を受けた場合を考えてみましょう。
メタ思考が身についていれば、「報告書のあるべき姿はなんだろう?」と本質を考えることができます。すると「報告書はピラミッド構造で記載すべきだが、自分の報告書はそうなっていない」という問題に気づくことができます。そして、自身の書き方の癖を変え、より質の高い報告書を作成できるようになるのです。
メタ思考が身についていないと、あるべき姿を描くことができないため、目の前の一つの報告書を変えることに注力してしまいます。そのため、あるべき姿に近づくことができず、今後も同様のミスを繰り返してしまう可能性があります。
メタ思考を身につけるメリット
メタ思考を身につけると、さまざまなメリットがあります。
例えばビジネスにおいて新しい気づきを得やすくなり、本質的な問題解決もできるようになるでしょう。さらに、メタ思考力を鍛えることでコミュニケーション能力の向上も期待できます。
ここからは、メタ思考を身につけるメリットを解説します。
新しい気づきを得やすくなる
メタ思考力を身につけることで、新しい気づきを得やすくなる効果が期待できます。
メタ思考は、一段違う視点で物事を把握するのに役立つスキルです。このスキルを伸ばすことで、既存の業務における気づきを増やすことができます。業務で経験する些細な気づきが増えれば、業務の改善点やボトルネックが見つかりやすくなり、効率化や精度向上につながるでしょう。さらに、「この業務は昔経験した業務と似ているな」といった業務の共通点に関する気づきも増えるため、未経験の分野でも成果を出しやすくなります。
問題解決能力の向上につながる
メタ思考力を高めることで、問題解決能力の向上が期待できます。
問題を早期解決するためには、起きている事象の本質を分析した上で、最適な解決策を立案する能力が欠かせません。
メタ思考ができるようになれば、今までとは違う視点から物事を把握し、問題の本質を理解できるようになります。その結果、問題の本質的な原因へアプローチできるようになり、問題解決が得意になるでしょう。問題を根本的に解決できるため、効果的な再発防止にもつながります。
問題解決力について、より詳しくは以下のページでご覧ください。
『問題解決力とは|トレーニング方法・鍛えるメリット・基本の3ステップ』
コミュニケーション能力の向上につながる
コミュニケーション能力の向上につながる点も、メタ思考力を高めるメリットの一つです。
メタ思考は、自分だけでなく、他者の思考や行動を理解するのにも役立つスキルです。そのため、メタ思考を用いることで「相手はどのような情報がほしいのか?」「どのような点が理解の妨げとなりうるのか?」を理解できます。相手の視点や感情を理解した最適なコミュニケーションができるようになり、意思疎通が今まで以上にスムーズとなるでしょう。
社員のコミュニケーション能力を高める方法を詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
『社員のコミュニケーション能力を高める方法』
メタ思考を身につけるトレーニング方法
メタ思考を身につけるトレーニング方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 内省するくせをつける
- Why型思考で「なぜ?」を問い続ける
- 他者からのフィードバックを受ける
特別なトレーニングへ取り組むというよりも、日頃の業務の中で内省する習慣をつけたり、「なぜ?」と問い続けるようにしたりといった、地道な積み重ねが効果的です。ここからは、メタ思考を身につけるためのトレーニング方法を解説します。
内省するくせをつける
メタ思考を身につけるためには、内省する習慣をつけるようにするといいでしょう。
メタ思考を行うためには、自分自身の行動や思考、感情を客観的に捉える必要があります。日々の業務で「自分はなぜその行動を取ったのか?」「自分はそのときどのような感情だったのか?」と振り返り続けることで、段々と自分の思考スタイルが見えてくるでしょう。
また、何らかの問題に直面したときや、意思決定を迫られたときは、内省するチャンスです。自分の思考過程を振り返り、どうしてそのような判断に至ったのかを分析してみましょう。
Why型思考で「なぜ?」を問い続ける
メタ思考を身につける方法として、Why型思考で「なぜ?」を問い続けることも挙げられます。
例えば業務に取り組む際にも、「それはなぜやるのか?」「それはなぜ必要なのか?」と自分自身に問いかけてみましょう。こうした「なぜ?」の問いかけを何度も続けることで、業務を取り巻く環境を理解し、一段上の視点から物事を俯瞰できるようになります。
また、余裕があれば「あの人はなぜそのような行動プロセスに至ったのか?」と考える習慣をつけましょう。他者の思考スタイルを理解することで、「自分は他者とどのように違うのか?」といった観点から自分自身を客観視できます。
他者からのフィードバックを受ける
他者からのフィードバックを受けることも、メタ思考を高める上で効果的な手法です。
他者からフィードバックを受けることで、自分自身では気づけなかった思考の偏りに気づくことも少なくありません。また、他者と対話したり協働したりする中で、初めて自分自身の思考や行動スタイルを自覚することも多いです。
他者からフィードバックをもらったり、他者と対話したりして、自分自身の思考を相対化しましょう。自分は客観的に見てどのような特徴があるのかを理解することが、メタ思考を実践する第一歩となります。
社員にメタ思考を身につけてもらう施策ならアルーにお任せください
社員にメタ思考を身につけてもらうための施策なら、ぜひアルーへお任せください。
人材育成を手掛けているアルーでは、VUCAの時代に必要なメタ思考力を鍛えるための研修プログラムを数多くご用意しています。ここでは、アルーの提供している研修プログラムの中から、メタ思考力を高めるために役立つ研修を2つ紹介します。
ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修は、論理的で要点をおさえた思考を展開する能力を鍛える研修です。
ロジカルシンキングは、メタ思考を実践する際に基礎となる重要な能力です。ロジカルシンキングを鍛えることで、物事を捉える際の俯瞰的な視点がより正確で論理的なものとなります。
アルーのロジカルシンキング研修は、豊富な演習を交えながらロジカルシンキングを定着させられることが特徴です。MECEやピラミッドツリーといったロジカルシンキングの基本的なフレームワークについて学び、論理的に思考する習慣をつけることができます。
アルーのロジカルシンキング研修について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
ロジカルシンキング研修
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問題解決力研修
問題解決力研修は、問題解決に必要な原因分析や解決策の立案などを学べる研修です。
問題の原因を分析する力を磨けば、物事の本質を捉える力が身につき、メタ思考力が向上します。また、問題の解決策を立案する力を磨く過程でも、問題を取り巻く環境を俯瞰的に捉えるメタ思考力が高まるでしょう。
アルーが提供している問題解決力研修では、問題解決に必要な一連のプロセスをまんべんなく学べることが特徴です。さらに、問題の解決に向けて、周囲を巻き込む力も伸ばすことができます。
アルーの問題解決力研修は、以下のページでさらに詳しく解説しています。
問題解決力研修
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クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修は、本質的な問題解決を行うために意識的に問題を捉え直す思考を学べる研修です。
クリティカルシンキングとは、本質的な問題解決を行うために意識的に問題を捉え直す思考のことを指し、一つの問題を様々な角度から捉え、論理の妥当性を検証しようとする思考です。1つの問題に対して複数の視点から問題をとらえるため、メタ思考力が向上します。
アルーが提供しているクリティカルシンキング研修では、演習を中心とした実践的な研修でクリティカルシンキングの思考法を学べることが特徴です。
アルーのクリティカルシンキング研修については、以下の資料をご覧ください。
まとめ
メタ思考について、定義やメリット、トレーニングするための方法を解説しました。
ビジネス環境が複雑化している昨今では、物事をより俯瞰的な視点から捉えるメタ思考が必要不可欠です。一方でメタ思考の概念は難しいと思われがちで、普段はなかなかメタ思考を鍛える機会がないという人も多いでしょう。
ぜひこの記事の内容を参考に、研修や育成施策を通じて社員のメタ思考力を向上させてみてください。