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クラッシャー上司とは?特徴・対策方法・被害にあったらどうする?

仕事では高いパフォーマンスを発揮する一方で、「部署にメンタル不調が多発する」「なぜか部下に転職が多い」といった特徴を持つ管理職はいないでしょうか。こうした管理職は、いわゆる「クラッシャー上司」である可能性があります。
この記事では、クラッシャー上司の特徴や、クラッシャー上司を放置するリスクを解説します。クラッシャー上司への対策方法も詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。


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目次[非表示]

  1. 1.クラッシャー上司とは?
  2. 2.パワハラ上司とクラッシャー上司の違い
  3. 3.クラッシャー上司の特徴
  4. 4.クラッシャー上司の対策方法
  5. 5.クラッシャー上司による影響
  6. 6.まとめ


クラッシャー上司とは?

クラッシャー上司とは、部下を精神的に追いつめながら出世を重ねていく社員のことです。クラッシャー上司とは、物を壊す機械である「クラッシャー」と「上司」を組み合わせた造語で、筑波大学の教授である松崎一葉氏によって提唱されました。
クラッシャー上司は、部下を過度に叱責したり、行き過ぎた指導を行ったりする一方で、仕事では高いパフォーマンスを発揮することが特徴です。そのため、「優秀な管理職に社員がついていけていない」と勘違いされがちで、長期に渡って会社へネガティブな影響を与える可能性があります。


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パワハラ上司とクラッシャー上司の違い

クラッシャー上司とよく似た概念に、「パワハラ上司」が挙げられます。どちらも職場に悪影響をもたらす上司を指す概念ですが、「行動を起こす目的がどこにあるのか」という点が両者の最大の違いです。
まずパワハラ上司は、主に自分のストレス解消を目的としてハラスメントを行います。仕事で溜まった鬱憤を晴らすため、部下に怒りをぶつけることが典型的です。
一方でクラッシャー上司の場合、仕事を円滑に進めたり、部下を育成したりすることを目的としながら、部下を追いつめる行動に走ります。本人は「自分は部下のため、仕事のためを思って行動している」と本気で思い込んでいるため、自分の誤った行動を指摘されても受け入れることが難しいです。



クラッシャー上司の特徴

クラッシャー上司には、いくつかの共通する特徴が見られます。クラッシャー上司に共通する代表的な特徴は、以下の通りです。


  • 自分中心の考え方をする
  • 仕事ができる
  • 人の気持ちを考えないコミュニケーションを行う
  • 部下に自分と同じレベルを要求する
  • 承認欲求が強い
  • 自分の失敗を認めない


クラッシャー上司への対策を行うためには、こうしたクラッシャー上司の特徴を把握することが大切です。クラッシャー上司に見られる特徴を一つずつ解説します。


自分中心の考え方をする

クラッシャー上司の特徴として、自分中心の考え方をすることが挙げられます。
クラッシャー上司は、自分の行動を客観視できず、いつも自分の行動軸だけで動いてしまう傾向があります。状況を俯瞰して捉えることができず、自分の考えや価値観を押し付けてしまうのです。
また、いつも自分中心で動くため、相手の視点で考えることができません。部下が自分と異なる価値観や属性、文化を持っていると、思わず否定したり、拒絶感をあらわにしたりします。クラッシャー上司のこうした行動で、職場全体の雰囲気が悪くなることも多いです。


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仕事ができる

クラッシャー上司の特徴として、仕事ができる点も挙げられます。仕事の利益や効率を常に追求するため、部下の心情まで気持ちが回らないのです。
また、プレイヤーとして効率的に仕事をこなせるため、クラッシャー上司は一見なぜ管理職として問題があるのか不思議がられる場合も少なくありません。周囲から信頼を寄せられていることも多く、こうした状況がかえってクラッシャー上司への対応を難しくしてしまいます。


人の気持ちを考えないコミュニケーションを行う

人の気持ちを考えていないコミュニケーションのとり方も、クラッシャー上司に見られる特徴です。
クラッシャー上司は、必要以上に仕事の効率や生産性を追求する傾向があります。そのため、「仕事に必要な事実だけを手早く伝えればよい」と勘違いしていることが多いです。また、相手の欠点や短所を必要以上にストレートに指摘してしまうため、部下へ不必要な緊張感を与えてしまったり、社内外の関係に波風を立ててしまったりすることがあります。

仕事に求められるコミュニケーション能力や、コミュニケーション能力を鍛える方法は以下の記事で詳しく解説しています。
仕事で必要なコミュニケーション能力と鍛える方法


部下に自分と同じレベルを要求する

クラッシャー上司は、自分と同じレベルを部下に要求する傾向があります。
「自分ができることは部下もできて当然だ」と考えているため、経験やレベルの差、適性の違いなどを無視した指導を行ってしまうのです。また、自分と同じ行動が取れない部下を叱責することもあります。
また、クラッシャー上司は、自分と同じレベルに達するために必要以上のプレッシャーをかけることも多いです。本人としては熱心に指導しているつもりですが、部下からは「精神的に追いつめられる」「重圧に耐えきれない」と思われてしまいます。


承認欲求が強い

クラッシャー上司の特徴として、承認欲求が強い点も挙げられます。
自分の行動や存在を周囲から認められたいと感じているため、周囲のアイディアを素直に受け入れることができません。例えば部下が会議で会社の利益につながる真新しいアイディアを提案したとしても、小さな矛盾点を細かく指摘したり、反射的にネガティブな反応をしたりしてしまいます。クラッシャー上司がこうした言動を繰り返した結果、徐々に部下が萎縮してしまい、積極的な提案を行わなくなってしまうケースも多いです。


自分の失敗を認めない

クラッシャー上司は、自分の失敗を認めない傾向があります。
自分の弱さや間違いを認めたくないと感じているため、自分の失敗を他人に押し付け、責任を逃れようとします。部下を厳しく指導する一方で、自分のミスを認めず「部下や他人が悪い」と言ってしまうケースが多いです。クラッシャー上司は部下にとって非常に厄介な存在であり、職場環境の悪化や離職率の増加などさまざまな問題を引き起こす可能性もあります。

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クラッシャー上司の対策方法

クラッシャー上司は、会社に対してさまざまなネガティブな影響を与えます。こうしたクラッシャー上司に直面した場合、企業はどういった対策ができるのか。

クラッシャー上司に対する企業としての対策は、以下のようなものが挙げられます。


  • 会社の制度を見直す
  • 相談窓口の設置
  • コンプライアンス研修の実施
  • 管理職研修の実施


企業ができるクラッシャー上司への対策を一つずつ解説します。


会社の制度を見直す

クラッシャー上司への対策方法として、会社の制度を見直すことが挙げられます。
クラッシャー上司が生まれてしまう原因の一つに、会社の評価体制があります。管理職としての適性を顧みず、経験のある社員やプレイヤーとして優秀な社員をそのまま管理職へ出世させてしまうケースも多いです。こうした場合、「仕事はできるが管理職としては問題がある」という、典型的なクラッシャー上司が生まれてしまいます。
評価に管理職としての適性を加味したり、管理職へ抜擢する前に研修を実施したりするなど、制度面からの対策を行いましょう。


相談窓口の設置

相談窓口を設置することも、クラッシャー上司に対して企業ができる対策の一つです。
仕事ができるクラッシャー上司の場合、周囲からの評価が高い傾向にあります。そのため、「上司に自分がついていけていないだけだと思われそう」などと、クラッシャー上司から受けた被害の相談を躊躇してしまう社員も少なくありません。
相談窓口があれば、クラッシャー上司による問題が発生した際に相談しやすい環境を作ることができます。トラブルが隠れることが減るため、問題解決につながりやすくなるのです。人事部の社員や外部の専門家などを中心に相談窓口を運営し、相談対応を行いましょう。


コンプライアンス研修の実施

クラッシャー上司に対して企業ができる対策として、コンプライアンス研修の実施も挙げられます。
クラッシャー上司は、自分自身の行動が部下へストレスを与えていると自覚していないことが多いです。コンプライアンス研修でどのような行動が好ましくないのか学んでもらえば、部下へストレスを与える言動を控えてもらうことができます。部下へストレスを与えない指導方法などを学んでもらい、効果的な教育につなげましょう。
最近では、コンプライアンス遵守に対する意識が一段と高まっています。コンプライアンス研修を通じて、今までの価値観や指導方法では通用しないことも伝えてみてください。

コンプライアンス研修の実施方法や資料の作り方、事例は以下の記事で詳しく解説しています。
コンプライアンス研修とは?資料の作り方や事例を研修のプロが解説


管理職研修の実施

クラッシャー上司に対して企業ができる対策として、管理職研修も挙げられます。クラッシャー上司の言動を改めるには、クラッシャー上司の価値観の変革を促すことが必要です。「部下は上司の言うことに従うべき」という価値観を持っていると、いくら研修などで「部下の話を傾聴しましょう」というスキル面の話をしても実践してもらえないことが多いでしょう。そのため、クラッシャー上司の適応課題にアプローチすることが重要です。
クラッシャー上司向けの研修は以下のステップで進めると効果的です。


  1. これまでの経験を振り返り、自分が持っている価値観を認識してもらう
  2. 自分の言動にその価値観が影響していることを知ってもらう
  3. 自分の言動には別の選択肢があったことを知ってもらう
  4. 別の選択肢を試してもらう


管理職の適応課題の解決については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
適応課題と技術的課題の例を紹介。研修で適応課題にアプローチする方法


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クラッシャー上司による影響

クラッシャー上司による影響としては、生産性の低下や退職者の増加が挙げられます。また、クラッシャー上司がいることで、企業の評判が悪くなることも多いです。
クラッシャー上司が企業にもたらす影響を解説します。


生産性の低下

クラッシャー上司がいると、チーム全体としての生産性が低下します。
例えばクラッシャー上司が部下に対して厳しい叱責を繰り返した場合、部下は自分の意見を出すことをためらってしまいます。メンバーの積極性や自発性が低下してしまうため、業務改善につながるアイディアが出づらくなってしまうのです。
また、クラッシャー上司によって休職や離職に追い込まれる部下が増えると、新たな人材を採用し、育成しなければいけません。本来必要のなかった採用・育成コストがかさみ、部署の生産性はさらに低下していきます。


社員が成長しづらい環境になる

クラッシャー上司がいると、社員が成長しづらい環境になってしまいます。
記事の前半でも解説したように、クラッシャー上司は自分の失敗を認めないことが多いです。プロジェクトが失敗した際も、部下へ責任を押し付け、厳しく叱責してしまいます。
上司がこうした姿勢を取っていると、部下は次第に萎縮してしまい、新しい物事や仕事の進め方に挑戦できません。精神的に追いつめられるため、部下が成長する機会が減ってしまうのです。


退職者が増える

退職者が増えることも、クラッシャー上司による悪影響の一つです。
クラッシャー上司は部下の失敗を厳しく問い詰めるため、チーム内のメンバーは大きなストレスを感じます。その結果、メンタル不調を起こしてしまい、退職や休職を選択する社員が増えるのです。
また、メンタル不調までつながらない場合でも、「クラッシャー上司によって成長機会を奪われている」と感じて退職する社員も出てきます。優秀な人材がチームから流出してしまい、部署の生産性が低下するのです。


会社の評判が悪くなる

クラッシャー上司が在籍していると、会社の評判が悪くなります。
例えば、クラッシャー上司は部下を怒鳴りつけることがあります。こうした場面を社外の人が目撃した場合、会社全体のイメージダウンにつながるでしょう。コンプライアンスが遵守されていない会社だと思われてしまい、商談機会の減少につながることも十分考えられます。
また、クラッシャー上司によって休職者や離職者が多発すると、ハラスメントとして認定されることもあります。ハラスメントが社外へ公表されることも、会社のイメージに対して悪影響です。

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まとめ

クラッシャー上司について、特徴や対策方法などを解説しました。
クラッシャー上司は一見仕事ができるため、「なぜあの人が管理職として問題があるのかわからない」と不思議がられることも多いです。しかし、クラッシャー上司をそのまま放置してしまうと、チームとしての生産性低下は避けられません。
クラッシャー上司を社内に増やさないため、相談窓口の設置やコンプライアンス研修の実施を通じて、積極的な対策を講じていきましょう。

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アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
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