中堅社員が辞めていく6つの理由|離職を止める対策法をご紹介
プレイヤーとして自走し、後輩の育成もできる中堅社員は、会社にとって貴重な人材です。これから会社の中核を担ってもらうため、中堅社員の育成に力を入れる企業も多いでしょう。
しかし、中には中堅社員の離職に悩まされる人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでこの記事では、中堅社員の離職によって起こる損失や中堅社員が辞めてしまう原因、さらには離職を止めるための対策法について解説します。
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中堅社員が辞めていくことで起こる損失とは
中堅社員とは、一般に入社後4年目〜15年目程度の社員を指します。プレイヤーとして自走できるとともに、徐々に後輩の育成業務も担い始めるのが特徴です。
そんな中堅社員は会社の実務の中心を担う、会社の原動力ともいえる存在です。中堅社員が離職してしまうことで起こる損失について考えてみましょう。
退職者が連鎖する可能性がある
中堅社員が離職してしまうことの問題点として、退職者が連鎖する可能性が挙げられます。特に優秀な中堅社員の場合、「この人がいるから続けられる」と周囲から信頼されている場合も多いです。こうした社員が退職してしまうと、若手社員や周囲の中堅社員にまで離職が波及してしまう可能性があります。
転職という選択が決して珍しくなくなった今、「離職は本人の意思だから仕方ないのではないか」と考える方も多いかもしれません。実際、本人の新しいキャリアややりたいことを叶えるためのポジティブな転職であれば、周囲に悪い影響を残さないこともあります。しかし、会社への不満やキャリアに関する不安、会社の人間関係などを原因に離職してしまった場合、周囲にも悪影響が及ぶ可能性があるため、一刻も早く改善する必要があるのです。
仕事が回らなくなってしまう
中堅社員は、業務の中心的な役割を果たしていることも少なくありません。中堅社員が離職してしまうと、残された社員へ仕事の負担が集中してしまい、仕事が回らなくなってしまいます。
残された社員に負担が集中すると、職場でのさらなるモチベーション低下やストレスを招いてしまうでしょう。このことがさらに次の離職を生み、どんどんと仕事が回らなくなってしまう、という悪循環に陥ってしまうのです。
会社の雰囲気が悪くなってしまう
中堅社員は、管理職と若手社員の間をつなぐ存在です。管理職がもつ経営者視点を理解した上で、現場で働く若手社員の気持ちに近い立場で共感できます。
こうした中堅社員が辞めてしまった場合、管理職と若手社員の間をつなぐ存在がいなくなってしまいます。このことが、会社全体の雰囲気を悪くしてしまうことにつながるのです。特に、中堅社員が抜けた直後はただでさえ業務負担が集中しがちです。そのような状況下で上下間のコミュニケーションが減少すると、職場の雰囲気の悪化は避けられません。
新規雇用や再教育のためのコストがかかる
中堅社員は、少なくとも数年程度は企業に在籍している、自走できる人材です。実務経験のない新入社員の状態から自走できる状態に教育するまで、大きなコストがかかっているでしょう。
中堅社員が抜けてしまうということは、そうした教育コストが無駄になってしまうことを意味します。さらに、中堅社員の穴を埋めるために新たな人材を雇い育成するには多くのコストがかかります。中堅社員の離職は、教育コストや採用コストの面からも、デメリットが大きいのです。
中堅社員は何年目から?や役割・必要スキルについては以下の記事をご覧ください。
『中堅社員は何年目から?役割や求められること・研修内容を紹介 』
中堅社員が辞めていく6つの理由と対策
中堅社員が辞めてしまう原因は、いくつか考えられます。中堅社員に業務負担が集中していてストレスがかかってしまうといった原因もありますし、やりがいを感じられなかったり、キャリアアップを望めなかったりといった場合もあるでしょう。
中堅社員が辞めていく主な理由を6つ紹介します。
業務量が多い
中堅社員は、プレイヤーとして最前線での活躍を求められます。それに加えて徐々に後輩の育成業務も行なう必要が出てきます。これまで行なっていた日常業務の負担が減ることなく、育成業務がプラスされてしまうケースも少なくありません。
こうした事情から、中堅社員には業務負担が集中しがちです。業務量が多く、ストレスを抱えてしまっていることが、離職の原因となる場合があります。こうした場合には、仕事内容を見直したり、業務の役割分担を調整したりして、負担を少しでも軽減することが有効です。
やりがいを感じない
若手社員の頃は目の前の仕事をこなすだけで精一杯で、できる仕事が増えるたびに「成長した」という実感が湧くことも多いでしょう。しかしある程度仕事に慣れてきた中堅社員の場合、そのような成長実感を得る機会が減ってしまいます。いつのまにか毎日同じ業務の繰り返しになってしまい、やりがいを見失ってしまうことも多いです。
仕事のやりがいを感じられなくなることも、中堅社員の離職を招く大きな原因です。仕事の背景や意義などを今一度理解してもらったり、あえて新たな仕事に挑戦してもらったりするのがよいでしょう。
キャリアアップを望めない
業務に慣れてきた中堅社員は、自分のキャリアについて考える機会も多くなります。「今の職場では役職につけないのではないか」「自分のやりたいことができないのではないか」と感じてしまった場合も、離職を考えるケースが多いです。
特に最近では、組織のフラット化を目指して管理職のポストを削減しようとする企業もあります。自分自身のキャリアプランの実現に不安を感じさせないよう、定期的にキャリア面談を実施したり、キャリアプラン研修を実施したりして、対策を進めていきましょう。
中堅社員(30代)向けのキャリアプラン研修は、以下の記事をご確認ください。
キャリアを切り拓く 30代社員向け
▼サービス資料はこちらからダウンロードできます。
評価に不満がある
中堅社員の離職のきっかけとして、評価制度に対する不満も挙げられます。「自分の仕事が正当に評価されていない」と感じてしまった場合も、中堅社員は離職を考えてしまう可能性が高いです。
特に、管理職と若手社員の間の板挟みになる中堅社員は、周囲の社員によって仕事のパフォーマンスが大きく変化する場合も多いです。「せっかく自分が頑張っても結局評価に反映されない」と思われてしまわないように、可能な限り公平な評価を心がける必要があります。
公正な評価を行うためには、評価者である管理職への研修も必須です。
アルーが行っている評価者向け研修は以下のページをご確認ください。
評価者研修
▼サービス資料はこちらからダウンロードできます。
人間関係が良くない
仕事の内容自体に大きな不満がない場合であっても、職場の人間関係にストレスを感じているケースもあります。人間関係が良くないという理由で離職を決断する中堅社員も、決して珍しくありません。
特に中堅社員は、管理職や若手社員など関わる社員が多いため、こうした人間関係のストレスを抱えがちです。「上司とそりがあわない」「若手社員が信頼してくれない」といった悩みもよくあります。中堅社員の離職が続いてしまう場合は、仕事内容や評価制度だけでなく、人間関係に問題がないかも確かめてみましょう。
職場の人間関係が悪くなる一因として、お互いの特性を理解できておらず、相手の多様性を受容できていないことが挙げられます。
そのような場合にはMBTI®(※注)などの自己理解・他者理解メソッドを通じたワークショップがおすすめです。
※注:MBTI is a registered trademark of the Myers&Briggs Foundation in the United States and other countries.
ライフスタイルと合わない
中堅社員は、主に20代〜40歳前後の社員です。結婚や出産などの重要なライフイベントを迎える社員も多く、仕事中心の生活から家庭中心の生活へとシフトする中堅社員も出てきます。
こうした背景から、会社とライフスタイルのズレを痛感しやすいのも中堅社員の特徴です。例えば「早く家庭に帰りたいのに残業が続く」「休日出勤が家庭に負担をかけている」といった点でライフスタイルとズレが生じてしまい、離職を決断する社員も少なくありません。
こういった仕事とプライベートの両立については、中堅社員の上司が1on1ミーティングなどで悩みを把握し、改善に動くことが大切です。
1on1ミーティングの導入研修については、以下のページをご確認ください。
1on1ミーティングの基本
▼サービス資料はこちらからダウンロードできます。
中堅社員が辞めないようにするには?
中堅社員は、様々な理由から離職を選択してしまう可能性があることがわかりました。それでは、どうすればこうした中堅社員の離職を防ぐことができるのでしょうか。
中堅社員の離職を防ぐためには、仕事内容を見直したり、ライフスタイルに合わせた人員配置を検討したりするのが効果的です。中堅社員の離職を防ぐための方法について解説します。
仕事内容を見直す
中堅社員が辞めてしまう大きな原因に、業務負担の集中が挙げられます。プレイヤーとしての日常業務自体も忙しくなりますし、育成業務も負担になるでしょう。
したがって、中堅社員の離職を防ぐためにはまず仕事内容を見直すのがおすすめです。特に優秀な中堅社員には、業務が過度に集中する傾向があります。業務負担が偏っていないかをよく検証しましょう。また、育成業務は初めて取り組む場合には特に中堅社員に負担を与えがちです。育成業務を任せる場合には、余裕を持った業務配分を心がけてみてください。
中堅社員の状況を把握するには、管理職が1on1ミーティングを行うことが重要です。
1on1ミーティングの導入方法に関する研修なら、以下のページをご確認ください。
1on1ミーティングの基本
▼サービス資料はこちらからダウンロードできます。
正当な評価を行う
様々な要因によって評価が変動する中堅社員は、評価に不満を感じがちです。また、徐々に同期との間でも評価や待遇に差が出てくるため、評価への不公平感を口にする中堅社員もいるでしょう。
評価に対する不満を解消するためには、正当な評価を心がける必要があります。中堅社員の業務内容を適切に評価して、中堅社員自身の自己評価と会社からの評価をできる限り近づけるようにしましょう。上司や部下、同僚などが複数人で評価する360度評価を導入するのも効果的です。
公正な評価を行うためには、評価者である管理職やリーダー層への研修も大切です。
アルーが行っている評価者研修については以下のページをご確認ください。
評価者研修
▼サービス資料はこちらからダウンロードできます。
ライフスタイルに合わせた人員配置をする
中堅社員の離職を防ぐためには、ライフスタイルに合わせた人員配置を心がけるのも重要です。
例えば出産や結婚などにより、キャリアプランやライフスタイルを変更せざるを得ない中堅社員も出てくるでしょう。こうした際に会社側が適切なポストを用意できないと、「それならばしっかりポストを確保してくれる会社へ転職しよう」と考える可能性が高いです。
業務時間が限られるのであれば負担が少ない部署へ異動する、家庭中心の生活となる場合にはリモートワークが可能な仕事をアサインするなど、適切な人員配置を行う必要があります。
コンピテンシーを設定する
中堅社員は、「自分が今後どう成長していくのか」「自分は今後どのようなキャリアを歩むのか」が曖昧になりがちです。ある程度長く働き続ける中で、自分の現在地を見失ってしまうことも多いでしょう。
中堅社員に次ステップへ向けた成長課題を認識してもらうためには、コンピテンシーを設定するのが有効です。コンピテンシーとは、各階層に求められる能力や特性のことを指します。設定したコンピテンシーをもとに1on1ミーティングなどで管理職がアドバイスを行えば、中堅社員は今後どのような成長を目指せるのかを認識できるようになるため、離職も防げるでしょう。
コンピテンシーの設定について詳しくは、こちらの資料もご覧ください。
キャリアデザイン研修でモチベーションを上げる
中堅社員の離職を防ぐためには、キャリアデザイン研修でモチベーションを上げるのも効果的です。
キャリアデザイン研修では、自分が大切にしている価値観や自分の働き方、さらには自分の生き方までを深く見つめ直します。自己理解を深め、自分が今後どうなりたいのかが明確化すれば、目標を見失いがちな中堅社員に今一度キャリアを考え直してもらう良い機会となるでしょう。
研修にはグループワークやペアワークを盛り込み、自分の特徴や価値観を客観的に評価してもらうのがおすすめです。
アルーが行っている、中堅社員向けキャリアデザイン研修は、以下のページでご確認いただけます。
キャリアを切り拓く30代社員向け
▼中堅社員向けキャリアデザイン研修についてPDF資料でご覧になりたい方はこちらからダウンロードいただけます。
効果的な1on1ミーティングを実施する
中堅社員の離職を防ぐためには、1on1ミーティングで定期的に上司と話し合う機会を設けるのもよいでしょう。
1on1ミーティングで定期的に管理職とコミュニケーションを取れば、1on1ミーティングの場を利用してキャリアプランや今後の目標について話し合うことができます。また、日頃の業務に不満があったり、人間関係にストレスを感じたりしていたりする場合にも、1on1ミーティングで気づいてあげることが可能です。中堅社員の状況に応じた適切なサポートを行い、離職を防いでいきましょう。
効果的な1on1ミーティングを行うには、管理職が1on1ミーティングの意義を理解し、相手が安心して話せる場を作り出す必要があります。アルーでは、管理職に向けて1on1ミーティング研修を行っています。アルーが行っている1on1ミーティング研修については、以下のページでご確認いただけます。
1on1ミーティングの基本
▼1on1ミーティングの基本研修についてPDF資料でご覧になりたい方はこちらからダウンロードいただけます。
評価者・教育担当者のスキルアップを行う
中堅社員の離職を招く大きな原因の一つに、評価に対する不公平感があります。特に待遇の差が同期の中で顕著になってくる中堅社員では、この不公平感が離職に直結するケースも多いです。
評価の公平さを担保するため、評価者や教育担当者を対象とした研修を実施して、彼らにスキルアップしてもらうのもよいでしょう。評価者研修で公平な評価の重要性や社員を評価する際の心構えについて学んでもらえば、中堅社員の評価に対する満足度も改善される可能性が高いです。
アルーが行っている評価者研修は、以下のページでご確認いただけます。
評価者研修
▼評価者研修についてPDF資料でご覧になりたい方はこちらからダウンロードいただけます。
自律的に学習できる制度を整える
中堅社員がせっかく「何かを学びたい」と感じていても、学び始めるハードルが高いことは珍しくありません。特に心理的なハードルや金銭的なハードルは顕著で、「学びたいと思っていることをなかなか始められない」と感じている社員も多いでしょう。
こうした状況を改善し、自律的に学習できる制度を整えるのも中堅社員の離職を防ぐための一手です。社員の興味関心に応じた研修プランを用意するなど、会社側が学びやすい環境を整えましょう。
なお、中堅社員それぞれの興味関心に基づいた自律学習を進めるためには、eラーニングの導入がおすすめです。アルーが提供する学習管理ツール「etudes」について詳しくは、以下のページからご覧ください。
etudes(エチュード)
中堅社員の離職防止には研修が効果的
中堅社員の離職を防ぐ様々な方法を解説しました。中堅社員が離職する大きな原因の一つは、成長実感がなくなり、仕事に対するモチベーションが低下してしまうことです。これらの原因にアプローチすれば、中途社員の離職が別の社員の離職を誘発するという負の連鎖を断ち切ることができるでしょう。
中堅社員に成長実感を感じてもらい、仕事に対するモチベーションを高めてもらうためには、先程紹介したキャリアプラン研修を始めとした研修が有効です。また、評価者に対する研修で公平な評価を促進したり、1on1ミーティングを行う管理職を対象とした研修を実施したりするのもよいでしょう。中途社員の離職が発生している原因に対応した研修を実施するのが重要です。
アルーがご提供する中堅社員研修について詳しくは以下のページをご覧ください。
中堅・リーダー層研修
▼中堅・リーダー層研修についてPDF資料でご覧になりたい方はこちらからダウンロードいただけます。
中堅社員への研修ならアルーにお任せください
中堅社員への研修実施をご検討の場合は、ぜひアルーへお任せください。アルーは、人材育成を専門に手掛けてきた企業で、階層別研修を始めとした様々な研修の豊富な実績があります。
特に中堅・リーダー層を対象とした研修では、プロフェッショナル意識を身につけ、リーダーシップを獲得するための充実したプログラムをご用意しております。
アルーの実施する中堅・リーダー層研修については、以下のページをご覧ください。
中堅・リーダー層研修
▼中堅・リーダー層研修についてPDF資料でご覧になりたい方はこちらからダウンロードいただけます。
教育体系の作成から実施まで一貫して支援します
研修実施時に大きなハードルとなるのが、教育体系の作成です。教育体系の作成では、事業戦略などを考えながら各階層に求められる能力を明確化し、それに応じた育成プランを立てる必要があります。
アルーでは、教育体系の作成段階から研修の実施まで、一貫した支援をご提供いたします。一気通貫型で支援するため、お客様に最適な研修プランの立案と実施が可能です。研修や社員育成に関するトータルソリューションをお求めの場合は、ぜひアルーへご相談ください。
自社の課題に合わせた研修のカスタマイズが可能です
企業によっては、既に社内研修の教材が用意されており、それを活用した研修を実施したいというケースもあるかと思います。また、業界特有の知識を身につける必要があるため、内製の研修と組み合わせて実施してほしいというケースもあるかもしれません。
アルーでは、お客様の課題に合わせた柔軟な研修のカスタマイズが可能です。それぞれのケースに最も効果的なプログラムをご用意できるため、研修の費用対効果を最大限に引き出すことができます。
オンライン研修・eラーニングにも対応しています
中堅社員の離職を防ぐ際に有効なのが、自律学習の促進です。多種多様な中堅社員の学習ニーズに対応するための手段として、オンライン研修やeラーニングが注目されています。
アルーでは、オンライン研修やeラーニングにも対応可能です。日頃の業務で忙しいことも多い中堅社員にオンラインで研修を実施してほしい、といったケースも、柔軟に対応いたします。また、eラーニングでは効果的に学習管理ができるLMS「etudes」をご用意しております。こちらもあわせてご活用ください。
「etudes」について詳しくは、以下のページからご覧ください。
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まとめ
中堅社員が辞めていく原因や対策方法について解説しました。
会社の実務の中心的な役割を果たしており、これからの会社を担う重要な中堅社員が離職してしまうのは、会社にとって大きな損失です。中堅社員の離職が頻発してしまう場合、一刻も早く中堅社員のモチベーションを向上させ、離職の悪循環を防ぐ必要があります。
ぜひこの記事で解説した離職の対策方法を参考にしながら中堅社員の働きやすい環境を整え、中堅社員の離職を防いでいきましょう。