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“価値観から考える”キャリア形成とは?価値観から考えるキャリア形成のアプローチ方法やポイントを解説
ITなど技術革新のスピードがますます早くなる一方で、「人生100年時代」が到来すると言われるなか、価値観をベースにしたキャリア形成の重要性が高まっています。
私たちは、価値観に基づくキャリア形成を考えることで、人生の主導権を自分自身で握れる感覚が得られて、仕事のやりがいや満足感が高まります。本記事では、キャリア形成を価値観から考えるアプローチ方法、そのポイントをわかりやすく解説いたします。
▼社員のキャリア形成に役立つ研修3選
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キャリア形成とは
キャリア形成とは「仕事での経験を重ねる中で、職務経験・知識・スキル・実績などを形成していく過程」をいいます。
キャリア形成は昇進やスキルアップなど、仕事における有用性が注目されがちですが、人生における自己実現を目指すことにも役立ちます。
なお、仕事におけるキャリアについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
『仕事におけるキャリアとは?開発する方法やポイントをわかりやすく解説』
キャリアデザイン・キャリアパス・キャリアプランとの違い
「キャリア形成」と似た言葉に、キャリアデザイン・キャリアパス・キャリアプランなどがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
キャリアデザイン
自分が目指す将来の姿に向けて、職業人生(キャリア)とプライベートの両面で主体的に設計・構築していくことを指します。プライベートを含めた今後の人生、キャリアについて自律的に考え、取り組んでいくことをキャリアデザインと言います。
キャリアパス
キャリアパスとは「経歴や職歴の道」と訳することができます。つまり、目指す職務や職位に辿り着くための道筋のことです。転職や独立を含めた道筋ではなく、一つの企業内での昇進や昇格のルートを示すもので、主に企業が社員に提示します。
キャリアプラン
キャリアプランを直訳すると「職歴の計画」となります。つまり、「自分の人生でどのような仕事をしていきたいか」を計画することです。プライベートも含めた人生全般の計画でなく、今後やりたい仕事や理想の働き方を目指して、それを実現するために何をするべきかを考えることを言います。
価値観からキャリア形成を考えるアプローチが重要な3つの理由
価値観からキャリア形成を考えるアプローチが、なぜ重要なのでしょうか?
主な理由は以下3つです。
社員の「自律」を促す必要性が高まっている
「終身雇用の崩壊」、職務内容や責任の範囲・必要なスキルを明示して採用する「JOB型雇用」の導入、本業と異なる領域・分野で働ける「副業解禁」など『働く環境、働き方』が大きく変わりました。また、消費者ニーズの多様化、国際競争の激化、IT技術の進化など、事業環境の大きな変化が起きています。
このような環境変化に柔軟に対応するためには、主体的に判断・行動できる自律型人材を育成する必要があります。「キャリアは会社が与えてくれるもの」という考え方ではなく、自身の価値観からキャリア形成を考える自律的な姿勢が求められています。
ダイバーシティ&インクルージョンが進んでいる
企業ではダイバーシティ&インクルージョンが推進され、多様な考え方、多様な働き方の社員が所属しています。また、現代はVUCAの時代といわれ、先を見通すことができません。
こうした環境のなか、「何をしたいか」「どうなりたいか」と言われても、簡単に答えを見つけることが出来ない社員が増えています。
そこで重要になっているのが、「自分の大切にしている価値観は何か」という問いです。この価値観をみつけることで、社員は自分自身の道しるべを見失わなくなります。
社員の貢献意欲(エンゲージメント)向上が必須となっている
様々な調査・統計結果から、会社への貢献意欲(エンゲージメント)の高さと、会社業績には相関関係があります。そのため、多くの企業が、人事戦略の重要課題としてエンゲージメント向上に取り組んでいます。
「会社の価値観」と「個人の価値観」を擦り合わせることが、エンゲージメント向上に効果があることから、価値観からキャリア形成を考えるアプローチが重視されています。
キャリアアンカー8つの分類
価値観とは、「自分が大事にしているモノの考え方」や「ブレない考え方の軸」です。しかし、しかし、大事なことや、大切にしたい思いはあるものの、「私にとって最も大切な価値観は何だろう?」と悩んでしまう方や、「価値観とキャリアをどう結びつけていいか、わらからない」という方も少なからずいらっしゃいます。
そこで、自身の価値観を知るヒント、価値観をキャリアに結びつけるヒントとなる「キャリアアンカー」という考え方を紹介します。
「キャリアアンカー」とはMITのエドガー・シャイン教授(組織心理学者)が提唱しているキャリア形成の概念です。シャイン教授は、個人が自らのキャリアを形成する際に最も大切で、譲ることのできない価値観を以下の8つのジャンルに分類しました。
①全般管理
組織の中で責任のある役割を担うこと
②専門能力・職人
自分の技能・専門性が高まり、活用できること
③安全・安定
会社の雇用保証などの経済的な安定があること
④起業家的創造性
クリエイティブに新しいことを生み出す、自身が会社や事業を生み出す機会があること
⑤自律と独立
仕事を自分のやり方で仕切っていくこと
⑥奉仕・社会貢献
社会に貢献したり、奉仕すること
⑦チャレンジ
困難な課題や障害に挑むこと
⑧ライフスタイル
仕事とプライベートの調和が取れていること
あなたにとって、8つのキャリアアンカーの中で、どれが最も大切でしょか?
キャリアンカーの診断テストは、書籍やWEBでできるので、興味がある方は試してみるのもいいのではないでしょうか。
自身の価値観を明確にするアプローチ法
ここからは、自身の価値観を知るためのアプローチ方法をいくつかご紹介します。
自分の過去の経験・やりがいを振り返る
自分の過去の経験、やりがいのあった仕事を振り返ると、価値観を知るヒントを得ることができます。この時に大切なことは、「その仕事のどんな部分にやりがいを感じたのか」を深掘りして考えることです。
たとえば、これまで経験した仕事の中で、「採用業務」のやりがいが最も高かったとします。そうしたら、「採用業務のどんなところにやりがいを感じたのだろう?」と、じっくり考えてみてください。そして、「応募者一人ひとりの経歴やスキルだけなく、その方の考え方や内面を深く知ることが楽しかったな。もしかしたら、“人間探究”が私のやりがいかも知れないな。」というところまで考えることが大切です。
憧れの人・尊敬する人を書き出す
「あの人のようになりたい」と思える憧れの人を何人か書き出します。そして、その人のどんな部分に惹かれるのかを書き出してみましょう。あなたが憧れを抱くのは、その人の中に惹かれる部分があるからです。「私は〇〇さんに憧れています。なぜかといいうと〜〜〜だから。」このような文章を書くことで、あなたの大切な価値観がきっと見えてくるでしょう。
自分の葬儀で大切な人からどんな弔辞を話してもらいたかを想像する
これは、世界的なベストセラー書籍「7つの習慣」で紹介されている方法です。あなたの葬儀がおこなわれている場面を想像します。そして、あなたの大切な家族、友人、仕事関係の人に、どんな弔辞を話してもらいたいかを考えるのです。あなた自身が、大切な人たちに「どんな人として覚えておいて欲しいのか?」を考えることで、自分の価値観を知ることができます。
これまでの経験・スキル・実績を棚卸しする
価値観を形成する要素である、経験・スキル・実績を棚卸しすることも効果的です。なぜなら、スキルや実績には、自分の無意識の価値観が関係していることが多いからです。あなたが意識的に、あるいは無意識に選択してきた経験、スキル習得の中に、価値観を知るヒントが隠されていることがあります。
友人・同僚・取引先の人に訊く
家族、友人、恋人、会社の上司や同僚、取引先の人、学生時代の先輩や後輩に、「私の特徴って何だろう?あなたから見て、どんな人だと言えますか?」と訊いてみることで、他者の視点による客観的な情報を得ることができます。そこから価値観を洗い出すヒントを得られることでしょう。
診断ツールを活用する
前述した「キャリアアンカー」の他にも、「エニアグラム」や「ストレングスファインダー」などの診断ツールを活用してみることも、価値観を知るヒントに繋がります。
キャリア形成を考えるときのポイント
ここからは、キャリア形成を考えるときに大切な5つのポイントをご紹介します。
広い視野を持って考える(ピンポイントに絞りすぎない)
「私が目指すキャリアは〇〇職だ」のようにピンポイントに絞りすぎると、視野が狭くなり、チャンスに気づくことができなくなります。「私が目指すキャリアは〇〇しかない」と頑なに考えるよりも、人事異動やプロジェクトの参加を打診されたときなど、広い視野を持って、柔軟に考えることでチャンスが広がります。
長期的視点で考える
「人生100年時代」と言われるように、これまでよりも長い年数を働く人が増えていくことでしょう。目先のことに囚われず、数十年先を見据えて、「自分はどうなりたいのか?」、「どんな働き方をしていきたいのか?」を考えることが大切です。
今、目の前の仕事に一生懸命に取り組む
長期的視点でキャリア形成を考えることは重要ですが、それと同じくらい、今、目の前の仕事に一生懸命に取り組むことも大切です。目の前の仕事に真剣に取り組むことによって、豊かな経験を積み重ねることができ、スキルや仕事に対する姿勢が磨かれていきます。こういったことが、キャリアを形成していく上で必ず役に立つからです。
キャリアの節目節目で考える
価値観をベースにして、キャリア形成を考えた後も、節目節目でキャリアプランを考え直してみることも大切です。あなた自身の価値観に変化があるかも知れないし、社会環境や家庭環境にも変化があるはずです。入社10年目、20年目といった年数の節目、昇進や人事異動などの職務が変わる節目で、キャリア形成について改めて考えてみるといいでしょう。
具体的なステップを考える
長期的視点で、「自分はどうなりたいのか」が明確になったら、そこから逆算して、理想の自分に近づくためのステップを考えてみましょう。「理想の自分に近づくために5年後はこうなっていたいな。」、「10年後はこんなことができるといいな。」と具体的なステップを考えて、行動に移すことで、理想の自分に少しずつ近づくことができます。
社員のキャリア形成ならアルーにお任せください
社員のキャリア形成なら、人材育成のプロフェッショナルであるアルーへお任せください。
アルーでは、これまでに幅広い業種・業界でキャリア形成を支援する人材育成施策を支援してまいりました。キャリア形成を価値観から考えることから始める研修プログラムも豊富です。また、お客様が抱えている課題に合わせて、柔軟に研修プログラムをカスタマイズすることもできます。
ここからは、アルーがご用意しているキャリア形成に役立つ研修プログラムを3つ紹介します。
キャリア未来地図デザイン研修
「キャリア未来地図デザイン研修」は、「キャリア未来地図」を描きながら、人生100年時代を生き抜くためのキャリア戦略を考える研修です。
社員の中には、「漠然と将来に対する不安があるが、具体的に何をやればよいのかわからない」「自分のキャリアやスキルにどのような価値があるのかわからない」といった課題を抱える人が少なくありません。キャリア未来地図研修を実施することで、自分のキャリアを客観的に見つめ直し、自分がどのような資産を持っているのか正しく認識することができます。また、普段キャリアについて考える機会がない社員に対して、自分自身のこれからのキャリア戦略を描く機会を提供する上でも有効な研修プログラムです。
年齢や職種を問わず実施できるプログラムとなっており、キャリア形成を行いたいすべてのビジネスパーソンに役立ちます。
アルーのキャリア未来地図デザイン研修についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
キャリア未来地図デザイン研修
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30代社員向けキャリアデザイン研修
「30代社員向けキャリアデザイン研修」は、自分のキャリアへ自律的に向き合うことを通じて、仕事に対する当事者意識の醸成とパフォーマンスの向上を実現できる研修プログラムです。
30代の社員は、「なんとなく自分のキャリアの方向性をイメージできているが、実現のために踏み出すことまでは考えられていない」「会社からの要求に、これまで通り応えていく」といった課題を抱えがちです。ある程度経験を積んで自走できるようになったからこそ、惰性で日々の仕事をこなしてしまい、キャリアに対する主体性を損なってしまうケースもあります。
「30代社員向けキャリアデザイン研修」を受講すれば、これまでに自分が培ってきた価値観からキャリアの方向性を見出し、キャリアの実現に向けた第一歩を踏み出すことが可能です。アルーの研修プログラムでは、「働き方」だけでなく「生き方」から考えるのが特徴となっており、会社からの要求と自分らしさの実現を両立するキャリアの実現が期待できます。
「30代社員向けキャリアデザイン研修」の詳細は、以下のページからご確認ください。
30代向けキャリアデザイン研修~キャリアを切り拓く~
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40代社員向けキャリアデザイン研修
「40代社員向けキャリアデザイン研修」は、自分自身の原動力や周囲とのつながりを再認識し、自分の向かいたい方向へ向けた新たな一歩を踏み出すための研修です。
30代の社員よりもさらに経験を積んだ40代の社員の場合、「現状を変える気持ちや挑戦する勇気が足りない」といった課題に直面しがちです。また、現在の40代の社員の中には、「キャリアは会社が与えるもの」「異動や配置、昇進昇格は会社主導で進めるもの」といった、従来のキャリア観を持ったままの人も見られます。
「40代社員向けキャリアデザイン研修」を受講すれば、自分のキャリアについて考える重要性を理解し、自らの向かいたい方向を主体的に見出すことが可能です。自分の行動原理を正しく把握した上で、キャリアの実現に向けた一歩を踏み出すことができます。
「40代社員向けキャリアデザイン研修」の詳細は、以下のページからご確認ください。
40代キャリア研修
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まとめ
キャリア形成の重要性、価値観からキャリアを考えるアプローチ法について解説しました。休日にお気に入りのカフェなどで、自分の価値観やキャリア形成について考えてみませんか?きっと仕事のやりがいや満足感を高める役に立つことでしょう。