ハラスメントの意味とは?職場で発生しやすい種類と事例、対策を紹介
職場で大きな問題となるのがハラスメントです。また、一言でハラスメントと言ってもその種類はさまざまです。ハラスメントをなくすためには、具体的にどのような行為がハラスメントに該当するかを理解することが求められます。
本記事では職場で発生しやすいハラスメントについて種類別に事例を紹介し、詳しく解説します。
また、ハラスメントの対策法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
▼ハラスメント防止に役立つ研修3選
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ハラスメントの定義・意味とは?
ハラスメントとは、相手に対して言葉や行動などで相手に不快な思いをさせたり、脅したり、人間としての尊厳を傷つけたりすることです。たとえば、上司から部下に対する嫌がらせや、先輩から後輩に対する嫌がらせなど、上下関係を武器に行うパワーハラスメントや、男女問わず性的な嫌がらせをするセクシャルハラスメントなどが代表的なハラスメントです。
これ以外にも、さまざまな場面でありとあらゆる種類のハラスメントが生まれています。ハラスメントを考える上では、行った側にハラスメントの意思はなくても、相手側が苦痛を感じたり不利益を被ったりした場合はハラスメントに該当することを理解することが大切です。
職場で発生しやすいハラスメントの種類一覧表
職場におけるハラスメントとは、職場あるいは就職活動の場で行われるハラスメントを指します。職場で発生しやすいハラスメントにはさまざまな種類があり、それぞれ定義が異なります。
そこで、以下では、職場で発生しやすいハラスメント7つについて詳しく説明します。
パワーハラスメント
職場におけるパワーハラスメントとは、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、又は職場環境を悪化させる行為をいいます。具体的な要件は以下のとおりです。
- 職場において行われること
- 優越的な関係を背景とした言動であること
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
- 労働者の就業環境が害されるものであること
以上の要件を満たす行為を指します。
3の要件は、具体的には「社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、またはその態様が相当でないもの」を指し、判断は個々の事案ごとに個別にされます。
たとえば、単なる注意にとどまらず、相手に暴力をふるう、人格を否定する発言をするなどが該当します。
パワーハラスメントというと、上司が職務の権限を使い、適正な範囲を超えて部下に対し、継続的な圧力を加える行為が典型例ですが、同僚同士のいじめ、部下から上司への「逆パワハラ」といわれるものも、法律上はパワーハラスメントに該当する可能性があることに注意しましょう。
セクシャルハラスメント
職場におけるセクシャルハラスメントとは、他者を不快にさせる性的な内容の発言や行為のことです。
- 職場において行われること
- 労働者の意に反するものであること
- 性的な言動であること
- 労働者が労働条件について不利益を受け、就業環境が害されること
以上の要件を満たす行為を指します。
代表例としては、必要なく相手の身体を触ること、性的な体験を聞くこと、執拗に食事やデートに誘うことなどが挙げられます。
また、「男らしい・女らしい」「男は外で働き、女は家庭を守るべきだ」といった性別役割分担意識に基づいた発言も、セクシャルハラスメントの原因や背景となるので注意しましょう。さらに、セクシャルハラスメントは異性に対するものだけでなく、同性に対する性的な言動も該当します。
マタニティハラスメント
マタニティハラスメント(マタハラ)とは、妊娠、出産、育児に関することで不快な思いをさせられることをマタニティハラスメントといいます。女性だけではなく、育児に参加しようとする男性もマタニティハラスメントの対象となることがあります。
- 職場において行われること
- 妊娠したこと、出産したこと、その他の妊娠又は出産に関すること
- 育児休業などの利用に関する言動であること
- 妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業などを申出・取得した「男女労働者であること」
- 4の労働者の就業環境が害されること
以上の要件を満たす行為を指します。
また、これらは女性社員に限らず男性社員も被害者になり得ることから「パタニティハラスメント(パタハラ)」「ケアハラスメント(ケアハラ)」と呼ばれることもあります。
なお、育児休業などの利用に関する言動であっても、社員の体調などを考慮した上でシフトや業務変更の依頼や相談をするなど「業務上必要な言動」である場合は、マタニティハラスメントには該当しないことが一般的です。
カスタマーハラスメント
カスタマーハラスメントとは、顧客が企業に対して理不尽なクレーム・言動をすることをいいます。
- 顧客などからのクレーム・言動であること
- ①のうち、要求の内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであること
- ②の手段・態様により労働者の就業環境が害されること
の3要件を満たす行為を指します。
たとえば、社員に対して暴力をふるう・暴言を吐くなどの行為はもちろん、土下座の要求、差別的な言動や性的な言動、居座りをするなどが該当します。
就活ハラスメント
就活ハラスメントとは、就職活動中やインターンシップ中の学生に対し、優越的な立場を利用して企業側が行うセクハラやパワハラなどのことです。
- 就職活動中やインターンシップに学生などに対するものであること
- セクシャルハラスメントやパワーハラスメントに該当すること
以上の要件を満たす行為を指します。
たとえば、面接で性的な経験について質問する、プライベートの食事に誘う・性的な関係を迫るなどし、断ると「面接で落とす」などと脅す、人格を否定する発言をするなどが該当します。就活ハラスメントは、立場の弱い学生の尊厳や人格を傷つける決して許されない行為です。
モラルハラスメント
職場におけるモラルハラスメントとは、道徳や倫理に反する嫌がらせ行為です。職場においても、同僚である社員同士などの間でモラハラが行われることがあります。
- 職場における行為であること
- 倫理や道徳に反する行為であること
- 労働者の人格や尊厳を傷つけること
- 精神的に苦痛を与えること
以上の要件を満たす行為を指します。
たとえば、他の社員の前で激しく叱責する、陰口を叩く、無視や嫌がらせをするなどの行為が該当します。
パワーハラスメントとの違いは、優越的な関係が背景にあるか否かは関係ないということです。
たとえば、同僚同士など、優越的な関係がなくてもパワーハラスメントと同様の言動をされた場合は、モラルハラスメントに該当します。
不機嫌ハラスメント
不機嫌ハラスメントとは、不機嫌な態度をとり周囲に不快感や威圧感を与え精神的に苦痛を与えることです。
具体例としては、相手に不機嫌な態度で接したり、舌打ちや物にあたったりといった言動が当てはまります。不機嫌さをまき散らす言動をとる社員がいると、周囲が気を遣ってしまい、職場環境が悪化する可能性があります。不機嫌ハラスメントは、直接的な暴言などではなく、態度で相手に不快感を与えます。そのため、被害が表面化しにくいという難点があります。
職場で発生するハラスメントの事例
職場で発生するハラスメントにはさまざまな種類があることを紹介しました。
以下では、職場で発生する5つのハラスメントについて、具体的な例を紹介します。
- パワーハラスメントの事例
- セクシャルハラスメントの事例
- マタニティハラスメントの事例
- カスタマーハラスメントの事例
- 就活ハラスメントの事例
パワーハラスメントの事例
職場で発生するパワーハラスメントの事例としては、以下の5つのような行為です。
- 身体的な攻撃(暴行・傷害など)
- 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言など)
- 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視など)
- 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
- 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
例えば、仕事の覚えが悪い部下に対して、上司が蹴ったり罵声を浴びせたりする行為がパワーハラスメントに該当します。
周囲の社員もその状況下で業務を行う必要があり、不快な思いをするので生産性の低下につながってしまいます。
参考:パワハラ事例集
セクシャルハラスメントの事例
職場で発生するセクシャルハラスメント事例としては、下記のような行為が該当します。
- 抱きつき、キスなどの性的な接触
- 性的な内容のジョークや下品な言葉
- 性的な画像を他者に見せる
- 上司から部下に対して性的な要求や圧力をかける
主に男性から女性に対して行われるハラスメントと思われがちですが、男性から男性、女性から男性、女性から女性の場合もセクハラに該当するので注意しましょう。
マタニティハラスメントの事例
職場で発生するマタニティハラスメントの具体例としては、社員がつわりなどで休んだ場合に「やる気がない」と言ったり、「そんなに休むなら辞めてもらう」と解雇を匂わせたりするなど、以下のような言動などが挙げられます。
- 妊娠の報告に対してネガティブな反応をする
- 出産や育児のための休暇取得を認めない
- 良かれと思って仕事内容や就業時間を一方的に変更する
マタニティハラスメントの種類は、大きく分けて「社員の状態に対するもの」と「妊娠・出産・育児に関連する制度利用に対するもの」の2つです。
制度利用に対するハラスメントの具体例としては、社員が育児休暇などを取得するために上司に相談した際に、上司が「育休を取るなら解雇する」と言ったり、退職に仕向けるよう嫌がらせをしたりすることなどが挙げられます。
カスタマーハラスメントの事例
職場で発生するカスタマーハラスメントの事例としては、下記のような行為が該当します。
- 商品に不満を持った顧客が社員に対して罵声や差別的な発言をする
- 顧客が商品を投げつける、殴る蹴るなどの暴力を振るう
- 無理なサービス料金の値引きを求めて強引な交渉を行う
カスタマーハラスメントは、顧客のクレームすべてが該当するわけではありません。
顧客のクレームや行為が社員の就業環境や他の顧客の迷惑になるレベルのものであればカスタマーハラスメントに該当します。
就活ハラスメントの事例
就活ハラスメントの事例には、主に以下のものがあります。
- 面接官が応募者に対し、「あなたは男性だから/女性だからこのポジションには向いていない」と述べる
- 面接官が面接中に候補者に対して物理的な脅迫を行い、就職が取り消されると脅す
- 面接官が面接中に候補者に対して不適切なジョークを言ったり、性的な視線や身体的接触を行ったりする
たとえば、面接で「彼氏はいるの?」「子供ができても働けるの?」といった質問を女子学生だけにすることは男女雇用機会均等法に違反するため、就活ハラスメントに当たります。
また、就活生に対する暴言やセクハラはもちろん、自社の内定を出す代わりに他企業の内定を辞退するよう迫ることも就活ハラスメントです。
就職活動はどうしても採用側が優位に立つことが多く、就活生は泣き寝入りするケースが多いのが現状です。
ハラスメントが起こってしまう2つの原因
ハラスメントが起きてしまう原因は、「個人的要因」と「組織的要因」に分けられます。
ハラスメントを防止するためには、なぜハラスメントが起こってしまうのか原因を理解することが大切です。
詳しく見ていきましょう。
個人的要因
個人的要因の一つは、被害者側と加害者側のハラスメントに対する感覚のずれです。
ハラスメントの被害にあった被害者は、身体的・精神的に大きく傷つきます。しかし、加害者には悪気がなかったり、遊びの延長だったりと罪の意識が低い場合があります。
このように、被害者と加害者でハラスメントに対する感覚が大きくずれていることが、ハラスメントを生む原因の一つとなっています。
組織的要因
組織的要因とは、職場がハラスメントを生みやすい環境だということです。
厳しい目標達成を求められる、上司に対して物申すことがご法度になっている、といった日々強いストレスがかかっている職場環境だと、ハラスメントが発生しやすくなります。
以下の2つの要素がある職場は、ハラスメントが発生しやすいです。
- ストレスの強い職場
- 閉鎖的な職場
以下では、この2つの職場について詳しく説明します。
ストレスの強い職場
心理的安全性が低く、ストレスを強く感じる職場はハラスメントが生じやすいです。
心理的安全性が高いと、メンバーは他人の反応を必要以上に気にしたり、恥ずかしがったりすることなく、率直に意見表明し、ありのままの自分自身をオープンにできます。
心理的安全性の低い職場は、社員同士のコミュニケーションが上手く取れておらず、「上司や先輩に相談しづらい」「休みを取りにくい」といったことが常態化し、ストレスが蓄積されていきます。
そうすると、ストレス発散のために別の社員に強く当たる、嫌がらせをするといったハラスメントが発生しやすくなるのです。
心理的安全性について、詳しくは以下のページをご覧ください。
『心理的安全性とは?高める方法や人事が行うべき施策について』
閉鎖的な職場
閉鎖的な職場とは、外部との人的交流があまりなく、社員同士の風通しも悪い職場を指します。
こうした職場は、古い価値観や間違った価値観を是正する機会がないためハラスメントが横行しやすいです。
誰かがハラスメントに注意したり、相談したりすることもできずにハラスメントが常態化してしまうのです。
閉鎖的な職場とは反対の「風通しの良い職場」を作るコツについて詳しくは以下のページをご覧ください。
『風通しの良い職場とは?コミュニケーションを活発にするアイデアを紹介』
ハラスメントが及ぼす職場への影響
ハラスメントが起きてしまうと、職場には以下のような影響があります。
- 被害者のモチベーション・パフォーマンスの低下
- 被害者のメンタル不調が引き起こされる
- 加害者・組織の法的責任が問われる
- 事案解決までに時間・労力・コストがかかる
- 業績低迷や人材流出
- 外部・顧客からの信用失墜
以下では、上記6つの悪影響について詳しく説明します。
ハラスメントを防止するためには、職場に与える影響についてしっかり理解しておくことが重要です。
被害者のモチベーション・パフォーマンス低下
職場でハラスメントを受けていると、仕事に対するモチベーションが低下し、パフォーマンスが落ちてしまいます。被害者は、職場に行くこと自体がストレスになるでしょう。パフォーマンスが低下すれば、ミスの増加や納期の遅れなど業務にも支障がでてきてしまいます。
このように、職場でのハラスメントは、被害者の日々の業務に大きな影響を与えてしまうのです。
被害者のメンタル不調が引き起こされる
ハラスメントを受けた被害者は、身体的・精神的に深く傷を負います。ただ落ち込むだけでなく、精神的な疾患に至る場合もあるでしょう。
こうした状態では出勤するのさえ辛くなり、やがて休職や退職にまで追い込まれることもあります。
さらにひどい場合は、転職もままならない状態になり、長年苦しむ可能性もあるのです。
加害者・組織の法的責任が問われる
続いて、加害者・組織側の影響をみていきましょう。
加害者は、ハラスメントの内容によっては法的責任を追及される可能性があります。
被害者から、ハラスメントが原因で不利益を被ったり精神的苦痛が生じたりしたことを理由に民事上(民法709条)の損害賠償請求がなされる場合もあります。
損害賠償は、ハラスメントを防止する・止める措置を怠ったとして組織に支払い義務が生じる可能性もあることに注意しましょう。
また、ハラスメントが刑法上の犯罪(暴行罪、脅迫罪、傷害罪など)に該当する場合、加害者は刑事罰を受ける可能性もあります。
事案解決までに時間・労力・コストがかかる
ハラスメントは解決までに多大な時間、労力、コストがかかるケースが多いです。ハラスメント被害者の相談にのる、ハラスメントの事実確認をする、など多くの時間を割く必要があります。
訴訟にまで発展すれば、解決までに何年もかかる上に多額の訴訟費用を要するケースもあります。
業績低迷や人材流出
先にも述べたように、ハラスメントは社員の仕事へのモチベーションやパフォーマンスを低下させます。
ハラスメントが横行すると、やがて職場全体の秩序が乱れ、生産性の低下を招きます。ひいては、企業の業績低迷にまでつながるでしょう。
また、ハラスメントを放置するような企業からは人材も流出しやすくなります。
せっかく優秀な社員がいたとしても、一つのハラスメントのせいで退職や転職を考える社員が増えてしまいます。
外部・顧客からの信用失墜
ハラスメントが問題となった企業は、外部や顧客からの信用を失います。
社員がハラスメントを理由に職場を訴えたなどの情報は、今の時代SNSなどで瞬く間に拡散します。
一度でもハラスメントが問題となれば企業イメージが悪化し、今後の取引に大きな影響を与えてしまいます。また、一度ハラスメントで訴えられた企業というイメージがついてしまうと、払拭することは困難であり、信頼回復には相当の時間を要することになります。
厚生労働省が企業に対してパワーハラスメント対策を義務化
厚生労働省は事業者に対するパワーハラスメント対策を義務化しました。
具体的には、2019年6月に「女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されています。
また、同月には労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が改正されました。
この改正により、事業主が職場におけるパワーハラスメント防止のために必要な措置を講じることが「努力」ではなく義務となったのです。
企業ができるハラスメント防止対策
企業ができるハラスメント防止策は、以下の3つです。
- 「ハラスメントを行ってはならない」という方針の明確化
- 社内に相談窓口を設置
- ハラスメント対策研修を実施する
以下では、上記3つの対策法について詳しく説明します。
ハラスメントは、発生してから対処するのではなく、一切の発生を防げるよう未然に防止策を徹底することが大切です。
「ハラスメントを行ってはならない」という方針の明確化
企業として、職場においてハラスメントを絶対に行ってはならないという方針を明確に示すようにしましょう。
ハラスメントが生じる原因の大きな一つに、社員個人個人の価値観や意識の相違があります。
そこで、全社員に対し、どのような行為がハラスメントに該当するのかを具体例とともに示し、どのような重大な影響が及ぼされるかについてきちんと教育することが求められます。
また、万が一ハラスメントが生じた場合に、企業としてどのような対応をするのかを具体的に提示することも重要です。
社内に相談窓口を設置
万が一職場でハラスメントが生じてしまった場合に備え、社内に相談窓口を設置します。
ハラスメントが発生する原因に、心理的安全性の低下があります。つまり、社員がハラスメントの被害に遭っても誰にも相談できる手段がなければ、ハラスメントが常態化してしまいます。
こうした事態を防ぐためにも、社内にハラスメント専用の相談窓口を設置し、社員がすぐに駆け込める体制を構築しておくことが大切です。
ハラスメント対策研修を実施する
全社員に対しハラスメント対策研修を実施することも必要です。
中でも、管理職層に対し重点的に研修を実施しましょう。
なぜなら、職場のハラスメントの多くは上司から部下に対してのものであり、管理職層がハラスメントへの正しい認識を持つことが職場全体のハラスメント対策に大きな影響を与えるためです。
また、管理職層がハラスメントをしてしまうと、部下もその部下に対しハラスメントを行うという負の連鎖が生じやすいです。
まずは管理職層に対してハラスメント対策研修を実施し、ハラスメントについて理解してもらいましょう。
ハラスメント研修について、さらに詳しくは以下のページをご覧ください。
『【事例あり】効果のでるハラスメント研修とは?目的や内容を解説』
職場でハラスメント加害者にならないための対策
職場のハラスメントに対しては、加害者にならないよう対策することが大切です。
ハラスメント加害者にならないための対策には、以下の方法があります。
- 自分の価値観を無理に押し付けない
- 相手に合わせたコミュニケーションを心がける
- ハラスメントによる悪影響を理解する
以下では、上記3つの方法について詳しく紹介します。
自分の価値観を無理に押し付けない
職場では、上下関係を問わず、自分の価値観を無理に押し付けることはやめましょう。そのためには、価値観は人によってさまざまであることを理解することが大切です。
たとえば、「結婚している方が幸せだ」「子供は多い方がいい」といった価値観は、相手によっては当てはまらないこともあります。
それにもかかわらず、自分の価値観を相手に押し付けて「結婚していない人は人として欠陥がある」「2人目早く作らないの?」などと発言することは、相手に対するハラスメントになってしまうのです。
そうならないためにも、日頃から自分の価値観を相手に押し付けないよう心がけていきましょう。
相手に合わせたコミュニケーションを心がける
自分の価値観を押し付けず、相手に合わせたコミュニケーションを心がけることも大切です。
特に上司は自身の立場が強いことを理解して部下とコミュニケーションを取るよう意識する必要があります。部下と人として対等に接し、信頼関係を築くことが重要です。
相手に合わせたコミュニケーションを心がけることで無意識のうちにハラスメントになっていたということも防ぐことができます。
ハラスメントによる悪影響を理解する
ハラスメントを未然に防ぐためには、社員一人ひとりがハラスメントによりどのような悪影響があるか理解しておくことが重要です。
ハラスメントにより訴えられれば、多額の賠償金を支払う可能性があります。また、ハラスメントが暴行、脅迫、傷害など刑事上の罪に該当する場合、刑事罰を受ける恐れもあります。また、業績悪化や企業イメージの低下など、組織にも悪影響を与える可能性があります。
他社事例などを用いながら、どのような悪影響がでるのかを社員に理解してもらいましょう。
職場でハラスメント被害者にならないための対策
職場でハラスメントの被害者とならない対策は、下記の3つです。
- 角が立たない断り方をする
- 相談窓口を把握しておく
- ハラスメントと感じたら記録する
以下では、上記3つの方法について詳しく説明します。
ハラスメントを受けたと感じたら、我慢せずに然るべき場所にすぐに相談することが大切です。
角が立たない断り方をする
上司や先輩から過度な業務や残業を押し付けられたり、プライベートでしつこく誘われたりなど不快に感じたら、できるだけ角が立たない断り方を心がけましょう。
角が立たない断り方をするためには、アサーティブコミュニケーションの基本を身につけるのが良いでしょう。
アサーティブコミュニケーションについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『アサーティブコミュニケーションとは?職場での事例やデメリットを解説』
相談窓口を把握しておく
職場でハラスメント被害者にならないための対策として、ハラスメントと感じるようなことをされた場合に、どこに相談すればよいか把握しておくことも大切です。
ハラスメントを受けたのに誰にも相談できないでいると、余計にハラスメントに苦しむことになり、ひいてはメンタル面の不調や精神疾患にまで陥ってしまう可能性があります。
そうならないためにも、ハラスメントを相談できる相談窓口を把握しておき、何かあればすぐに相談できるようにしておきましょう。
ハラスメントと感じたら記録する
ハラスメントと感じることが日常的に起きてしまった場合、「いつ、誰に、どこで、どのようなことをされたか(言われたか)」を記録するようにしましょう。
記録は、ハラスメントがあったかどうかの事実を判断するための重要な証拠となります。
記録する場合は、日記やメモを書き留める他、可能であれば録音すると確実です。
ハラスメントについて職場で対処してもらったり、万が一損害賠償請求したりする場合も、ハラスメントの事実を証明する必要があります。
したがって、ハラスメントと感じたらすぐに記録することを心がけましょう。
アルーのハラスメント研修事例
アルーでは、管理職向けハラスメント防止研修を行っています。
管理職のハラスメントや部下とのかかわり方の価値観、管理職のコミュニケーションスタイルのアップデートを目的としています。適応課題と技術的課題を取り扱った研修を実施し、これまでの価値観や信念を改め、新たな技術や知識を取り入れることで、解決すべき課題の種類を明確にします。
自身の適応課題を自覚し、継続的な実践と定期的な内省を行う「マネジメント・ジャーニー」では、対話セッションをメインで行い、適応課題に向き合うワークショップを段階的に行います。マネジメント・ジャーニー内では、心理的安全性の必要性や傾聴やフィードバックのコツなどの講義の時間も設けています。
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まとめ
職場におけるハラスメントにはさまざまな種類があります。大切なのは、どのような行為がハラスメントに該当するのかを知っておくことです。
また、ハラスメントは絶対にあってはならないことです。職場におけるハラスメントを未然に防止するためにも、研修などで社員一人ひとりに対しハラスメントについて理解してもらうようにしましょう。
その際には、価値観は人によってさまざまであることや、ハラスメントが及ぼす悪影響について理解してもらうことも大切です。
万が一ハラスメントと感じたら、それ以上被害が大きくならないためにも、企業の相談窓口にすぐに相談し解決を求めるようにしてください。