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ダイバーシティマネジメントの重要性 ~エビデンスで理解するダイバーシティマネジメントのメリット~

ダイバーシティマネジメントについて学ぶことは、企業の成功に欠かせない重要な要素といわれています。
それは、多様性を尊重する職場づくりによって、創造性やイノベーションの促進、社員のエンゲージメント向上、企業の社会的責任の積極的推進、グローバルビジネスの強化といった、さまざまなメリットが見込まれるとされるからです。
とはいえ、実際にどのようなメリットがあるのか、社内理解推進のためのエビデンスが欲しいと思われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「ダイバーシティマネジメントの重要性やメリットについてのエビデンス」をテーマとして取り上げてみたいと思います。

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目次[非表示]

  1. 1.ダイバーシティマネジメントとは
  2. 2.ダイバーシティマネジメントが注目される背景
  3. 3.エビデンスで理解する!ダイバーシティマネジメントのメリット
  4. 4.3つの切り口から解説!ダイバーシティマネジメント実践事例
  5. 5.アルーが実施したダイバーシティマネジメント研修事例
  6. 6.ダイバーシティマネジメントに関する研修ならアルーにお任せください
  7. 7.まとめ


ダイバーシティマネジメントとは

まず、ダイバーシティについてです。
アメリカ大学協会によると、ダイバーシティとは、「個人の違い(例:人格、これまでの知識、人生経験)と、集団や社会の違い(例:人種や民族、階級、性別、性的指向、出身国、および能力、ならびに文化、政治、宗教等の団体への所属)である。」としています。
出典:「グローバルな視点と洞察ダイバーシティとインクルージョンが組織体に与える 影響の把握」内部監査人協会(IIA)訳者:堺咲子
(ここには「障がい」は明示されていませんが、当然に含まれると解釈してよいでしょう。)
その上で、ダイバーシティマネジメントは、「多様な背景を持つ社員が組織内で共存・尊重し合い、個々の能力を引き出す環境を築くための取り組み」といった定義が考えられます。


ダイバーシティマネジメントが注目される背景

ダイバーシティマネジメントが注目される背景には、以下の3つが挙げられます。

  • 少子高齢化による人手不足
  • 労働者の意識変化
  • 日本の競争力低下


少子高齢化による人手不足

日本では年々少子高齢化が加速しています。総務省によると、15歳から64歳までの生産年齢人口は、1995年をピークに減少を続け、2021年には約7,450万人となり、2050年には約5,275万人にまで減少するといわれています。
こうした社会情勢を背景に、優秀な人材や若手人材の確保に苦戦する企業が増えています。そんななか、安定して人材を確保するために、ダイバーシティマネジメントが重要だと考えられています。



労働者の意識変化

労働者の意識も変わってきています。女性活躍が進んだことなどによって、ライフワークバランスへの意識が高まり、プライベートと仕事の両立ができるようなバランスが重要視されるようになりました。副業やリモートワークなども広がっており、ダイバーシティマネジメントを進めることで自社の社員がサスティナブルに働ける環境を整備することが求められるようになっています。


日本の競争力低下

日本の国際的な競争力がどんどん低下していることは、当たり前に認知されるようになりました。そんななか競争力を強化するためには、海外市場でも活躍できるグローバル人材をはじめ、多様な人材に力を発揮してもらう必要があります。自社で働く多様な人材を活躍させるためには、ダイバーシティマネジメントは欠かせません。


エビデンスで理解する!ダイバーシティマネジメントのメリット

ダイバーバーシティマネジメントを進めることにより、企業には以下のようなメリットがあるとされています。

  1. 多様性による創造性とイノベーションの促進
  2. 社員のエンゲージメントの向上
  3. 社会的責任の推進による企業イメージの向上
  4. グローバルビジネスの強化

この1~4のうち、4については「異なる人種や国籍、宗教、文化背景」を持った人材が増えれば、自然と強化されるものであることについて、あまり異論はないかと思います。ですので、ここでは1~3の3つのメリットについて、それぞれエビデンスを提示していきたいと思います。


多様性による創造性とイノベーションの促進

ダイバーシティマネジメントの取り組みにより、多様な視点や経験が集まることで、創造性とイノベーションが促進される。こういったメリットを裏付ける研究や事例には、どのようなものがあるのでしょうか。

マッキンゼーによる「ダイバーシティによる成果調査」(2018)

グローバルコンサルティング企業「マッキンゼー」が2018年に実施した、「ダイバーシティによる成果」調査では、「どのようなダイバーシティ施策が組織の収益性に影響を与えるか」について、様々な観点から検討され、次のような結果が公表されています。

  1. 経営陣の性別のダイバーシティが上位4分の1の企業は、(下位4分の1の企業に比べて)収益性が上回る可能性は21%高く、優れた価値を創造する可能性は27%高かった。
  2. 経営陣の民族や文化のダイバーシティが上位4分の1の企業は、(下位4分の1の企業に比べて)業界トップの収益性を達成する可能性が33%高かった。
  3. 経営陣の性別と民族や文化のダイバーシティの両方が下位4分の1にある企業は、マッキンゼー・アンド・カンパニーがデータを持つ他の全企業よりも平均を超える収益性を達成する可能性が29%低かった。

出典:「グローバルな視点と洞察ダイバーシティとインクルージョンが組織体に与える影響の把握」内部監査人協会(IIA)訳者:堺咲子

リー・フレミングの特許調査

リー・フレミング(2004)らは17,000件以上の特許を調査し、それらを「イノベーションの価値」と「メンバーの専門領域の類似性」についての2軸にとったグラフを作成しました。
それによると、ブレイクスルーを興すような「異常に価値の高いイノベーション」は、非常にまれではあるものの、メンバーの多様性が高いことによって創造される可能性が高いことを指摘しています。
出典:Perfecting Cross-Pollination, Lee Fleming

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ボストン・コンサルティング・グループの調査

さらに、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、経営チームの多様性と全体的なイノベーションの間に強力で統計的に有意な相関関係があり、経営陣の多様性が平均以上であると報告した企業は、リーダーの多様性が平均を下回る企業よりもイノベーション収益が19 ポイント高かったと報告しました。
出典:「経営層の多様性はイノベーションにどう影響するか?」©ボストン・コンサルティング・グループ

競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の 在り方に関する検討会

経済産業省は、競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の在り方に関する検討会において「管理職のダイバーシティとイノベーションの成果との間には、統計的に有意な関係があることが示されている」とボストン・コンサルティング・グループの調査を引用紹介しています。
出典:「ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ」経済産業省
 
これらは、ダイバーシティが創造性とイノベーションを促進することに対するエビデンスといえるでしょう。これらの研究結果を踏まえて、企業が多様な人材を活用することで、競争力を高め、より持続的な成長を遂げることが期待できるという、組織のダイバーシティマネジメントに対する重要性を企業風土にしていくことができるのではないでしょうか。



社員のエンゲージメントの向上

次に、多様性がエンゲージメント向上に寄与するという主張について、実際の調査結果や研究を見ていきます。

ダイバーシティとワークエンゲージメントの関係性研究

慶應義塾大学とバリュエンスホールディングス社の「ダイバーシティとワークエンゲージメントの関係性研究」でも、「ダイバーシティ項目(「組織的支援」「相違を受け入れる組織風土」「心理的安全性」「伴走型リーダーシップ」「インクルージョンリーダーシップ」)が従業員の「ワークエンゲージメント」と相関関係にある」と結論付けています。
出典:「ダイバーシティとワークエンゲージメントの関係性研究」慶應義塾大学及びバリュエンスホールディングス社


社会的責任の推進による企業イメージの向上

最後に、ダイバーシティマネジメントの取り組みは、顧客や株主、投資家に対して企業の社会的責任を示すポジティブな影響を与えるという主張です。

『Z世代のD&Iと働き方に対する意識調査』

ダイバーシティマネジメントによる企業イメージへのポジティブな影響調査としては、株式会社RASHISA(本社:東京北区、代表取締役:岡本翔)が実施した、『Z世代のD&Iと働き方に対する意識調査』があります。

  1. D&Iに積極的な企業に対して「働きたいと思う」「好感を持てる」と回答したのは94.6%で、大多数がポジティブな印象を抱くことがわかった。
  2. D&Iに消極的な企業に対して「働きたくないと思う」「好感を持てない」と回答したのは54.6%で、過半数がネガティブな印象を抱くことがわかった。
  3. 希望の職種・業界であれば、年収が50万円下がったとしても、68.7%が「D&Iに積極的に取り組んでいる企業で働きたい」と回答した。

出典:『Z世代のD&Iと働き方に対する意識調査』株式会社RASHISA

これは、18歳〜24歳(Z世代)のダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)に対する意識や、就職や働き方に関する価値観を知ることを目的としたものですが、非常に顕著な数字が出ており、特に新卒・第二新卒採用を強化したい企業にとって重要ではないでしょうか。

ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ

その他、経済産業省の調査でも、「多様性の受容によって得られた恩恵」の第3位に「ブランド力や評判の強化」がランクインしています。

出典:「ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ」経済産業省

これらのエビデンスから分かるように、多様性を重視する企業は、多様な顧客層へのアピールが可能であると同時に、企業の社会的責任への取り組みや、従業員の満足度向上などに取り組んでいる姿勢を示すことになり、企業イメージの向上にポジティブな影響を与えることが示されています。



3つの切り口から解説!ダイバーシティマネジメント実践事例

ここからは、ダイバーシティマネジメントを推進するために人事ができることとして、ダイバーシティマネジメントの実践事例を、①制度づくり、②採用、③育成の3つの切り口で簡単にご紹介します。

制度づくり

制度づくりには、ライフワークバランスを実現できる多様な働き方の実現、障がい者やLGBTQ、他宗教の方など、日本ではマイノリティとされる方が働きやすい環境づくり、シニア社員が活躍できる環境づくりなどが挙げられます。
具体的には下記のような施策が効果的と考えられます。

  • 時間単位で取得できる休暇の整備
  • フレックスタイム制度
  • 在宅勤務制度
  • 育児休業制度(女性だけでなく男性育休の取得推進等)
  • トランスジェンダーの方に配慮した休暇(ホルモン治療休暇等)
  • 定年制度撤廃
  • 宗教的慣習に配慮した施設(祈祷室(礼拝室))の設置
  • 職場のバリアフリー化


採用

採用を見直すことでダイバーシティマネジメントを推進する事例もあります。
こちらも、制度づくり同じく効果的と考えられる施策例をご紹介します。

  • 職務別の採用(ジョブ型雇用)
  • 一度退職した方に対するリターン制度
  • 外国籍社員など多様な人材の採用
  • 中途採用を増やす


育成

異なる背景をもった人材を活躍させるために、研修を充実させる企業も増えています。ダイバーシティマネジメントを推進するための研修は、個社ごとに社風や事情が大きく異なるため、カスタマイズで設計してもらえる研修がおすすめです。
ダイバーシティマネジメントを推進することに対する理解の促進や、必要なスキルの強化、チームビルディングなど、そのときの企業の課題に合わせて継続して研修をおこない、新たな企業文化を根付かせることが必要です。



アルーが実施したダイバーシティマネジメント研修事例

人材育成を手掛けているアルーでは、ダイバーシティマネジメントを促進するための研修を数多く実施してきました。ここからはこれまでにアルーが支援した中から、特に参考となる事例を3つピックアップして紹介します。
ダイバーシティマネジメントを促進する研修の具体例について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。


【Wismettacグループ】マネージャー育成

Wismettacグループ様では、組織風土変革の一環としてマネジメント研修を実施しました。本事例では、「個」の特性や能力を活かすマネジメント能力を身につけることに重点を置いています。
研修では、部下一人ひとりの特徴を踏まえた上で、成長につながるようなタスクをアサインする方法を学んでもらいました。研修の結果、これまでの「同じ価値観を持った集団でのマネジメント」から脱却し、「多様な価値観を持ったチームのマネジメント」が実現した成功事例です。

本事例の詳細は、以下のページから詳しくご覧ください。
【Wismettacグループ導入事例】多様な「個」の特性や能力を活かし、部下の成長を支援するマネージャー育成

▼事例資料をダウンロードする

  『西本Wismettacマネジメント研修導入事例』ダウンロード 西本Wismettac グループ様にアルーがご支援した、マネジメント研修をご紹介します。 アルー株式会社


年上部下のマネジメント研修

製造業のG社様では、年上部下のマネジメントに苦慮する管理職がいるという課題がありました。そこで管理職を対象として、年上部下のマネジメントについて学ぶ研修を実施しています。
研修では、まず自分自身が無意識のうちに抱えている思い込みを自覚するワークを実施しました。その後、年上部下のキャリア観や、関係性構築を行うためのコミュニケーション手法について学んでもらっています。


研修後には、「その人をありのまま受け止めることの大切さを感じた」「年上部下への対応を探るヒントが得られた」といった声が上がりました。

本事例の詳細は、以下のページからご確認いただけます。
年上部下の力を最大限引き出すマネジメント研修施策例

▼事例資料をダウンロードする

  年上部下の力を最大限引き出すマネジメント研修 年上部下の力を最大限引き出すマネジメント研修と題する管理職研修の導入事例をダウンロードいただけます。課題の特定から解決までのフローをご確認いただけます。 アルー株式会社


問題社員対応力強化研修

A社様では、「体調不良の際に無断欠席する」「自らの評価に対する不満を上司に苦情として言う」といった問題行動を起こす社員への対応に課題を感じていました。そこで管理職を対象に、問題社員への対応力を磨く研修を実施しています。
研修設計では、以下の3点をポイントとして位置づけました。

  • 管理職をモチベートする研修設計
  • 指導スタイルのアップデート
  • メンタルモデルと向き合う設計

研修当日には、管理職としての役割認識を深めてもらうとともに、具体的な場面を想定した事例演習を豊富に行い、対応力の強化に取り組んでいます。

本事例の詳細は、以下のページからご確認ください。
【研修事例】管理職向け問題社員対応力強化

▼事例資料をダウンロードする


  管理職向け問題社員対応力強化 JX金属株式会社 日立事業所様の管理職研修の導入事例をダウンロードいただけます。課題の特定から解決までのフローをご確認いただけます。 アルー株式会社



ダイバーシティマネジメントに関する研修ならアルーにお任せください


ダイバーシティマネジメントに関する研修なら、ぜひアルーへお任せください。

人材育成を手掛けているアルーでは、ダイバーシティマネジメントを学ぶ研修を数多くご用意しています。例えば、管理職のダイバーシティに対する意識を高める研修や、実際のマネジメントスキルを磨く研修などの実施が可能です。
ダイバーシティマネジメントに関することなら、何でもお気軽にアルーまでご相談ください。


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まとめ

いかがだったでしょうか。
ダイバーシティを推進したり、職場に浸透させていくためには、企業規模の大小にかかわらず、1人1人の理解が必要になることはいうまでもありません。ふわっとした「イメージ」だけでは、なかなか意識改革が進まないことも往々にしてあるかと思います。
そういったときは、このようなエビデンスも提示しながら、理解や納得を得て進めていくという地道な取り組みが有効になるかもしれません。

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アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
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