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カスハラ研修を実施する目的とは?研修内容や企業が取り組むべき施策を解説

カスタマーハラスメント、通称カスハラとは、顧客から自企業の社員に対して寄せられる理不尽なクレームのことです。カスハラは社員のメンタル不調につながる可能性もあり、最悪の場合は離職や休職を招きかねません。
カスハラへ効果的に対応するためにぜひ導入したいのが、カスタマーハラスメント対応研修(カスハラ研修)です。
この記事では、カスハラ研修の目的や内容、企業がカスハラに対して取り組むべき施策を解説します。


▼ハラスメント防止に役立つ研修3選





目次[非表示]

  1. 1.カスハラの研修を取り入れる目的
  2. 2.カスハラ研修の内容
  3. 3.カスハラ研修を受けるべき人材
  4. 4.カスハラを防ぐために企業が取り組むべき施策
  5. 5.ハラスメント研修ならアルーにお任せください
  6. 6.まとめ


カスハラの研修を取り入れる目的

カスハラとは顧客から社員に対して寄せられる理不尽なクレームや要求のことです。正当な理由なく社員を深夜に呼び出して暴言を浴びせたり、社員に対するセクハラを行ったりすることが、カスハラに該当します。

職場で発生するハラスメントの種類については、以下の記事で詳しく解説しています。
【2024年最新】職場で起こるハラスメントの種類一覧表。対策も解説

こうしたカスハラへ対応するためには、社員に対してカスハラ研修を実施して、カスハラへの対応方法を学んでもらうことが効果的です。まずは、カスハラ研修を取り入れる目的を確認していきましょう。


カスハラに対する理解を深める

カスハラ研修を取り入れる目的として、カスハラに対する理解を深めるという点が挙げられます。
カスハラが発生すると、自社の社員に深刻な精神的苦痛をもたらします。また、職場全体の士気低下も招きかねません。
しかし、企業によっては「カスハラ」という概念が浸透しておらず、理不尽な顧客の要求を我慢し続けているケースも多いです。カスハラ研修でどういった行動がカスハラに該当するのか理解を深めておけば、カスハラを受けた際の被害を抑えることができます。


カスハラへの対応力を向上させる

カスハラへの対応力を向上させることも、カスハラ研修を実施する目的の一つです。
カスハラに対処するためには、適切なスキルと知識が求められます。しかし、通常の顧客対応研修では、カスハラを想定したカリキュラムが組まれていないことも多いです。
カスハラ研修を通じてカスハラへの対処方法を学べば、カスハラに直面した際の自己判断力と問題解決能力を高めることができます。カスハラの被害が深刻化する前に、適切な対策を講じられるようになるのです。


社員や組織の健康維持・生産性向上に寄与する

カスハラ研修を実施すると、社員や組織の健康維持や、生産性向上に寄与できます。
カスハラへ適切に対処できる社員は、精神的ストレスを軽減することができます。また、カスハラ対応力が向上することで、社員同士の協力体制も強化されます。その結果、通常の顧客対応をはじめとした、社内のさまざまな日常業務が効率的に進むようになるのです。


カスハラ研修の内容

カスハラ研修の内容は、主に以下の6つです。


  • クレームとクレーマーの違いについて学ぶ
  • 判断しにくい内容について自ら考える力を養う
  • クレーマーへの対応を学ぶ
  • ロジカルコミュニケーションについて学ぶ
  • レジリエンス力を身につける
  • 二次対応者向けの対応を学ぶ


まずは、クレームへの考え方を改めたり、思考力を鍛えたりして、顧客対応の技術を向上させることが重要です。これに加えて、カスハラに対応する際に必要なレジリエンス力などを学ぶこともよいでしょう。
カスハラ研修の内容を解説します。


1.クレームとカスハラの違いについて学ぶ

カスハラ研修では、まず「クレーム」と「カスハラ」の違いについて学びましょう。
クレームとは、商品やサービスに対する消費者からの苦情や要望のことです。これに対し、カスハラは消費者から社員に対して寄せられる理不尽なクレームや要求のことを指します。
「クレーム」はビジネスにおいて重要なフィードバックであり、クレームをきっかけに商品やサービスを改善する糸口が見つかることも多いです。一方でカスハラは、企業にとってプラスになることはないため、適切な対応をしなければいけません。こうした違いについて理解を深め、内容に応じた適切な顧客対応ができるようになってもらいましょう。


2.判断しにくい内容について自ら考える力を養う

カスハラ研修では、判断しづらい内容について自ら考える力を養うことも重要です。
カスハラの中には、カスハラかどうか明確に判断できない微妙なケースが少なくありません。状況が複雑に入り組んでおり、一概にカスハラと言い切れないケースも多いことが、カスハラ対応の難しいところです。
カスハラ研修では具体的なシミュレーションやケーススタディを利用して、こうした難解なケースを経験してもらいましょう。体験を通じて、どういった対応が効果的なのか体得してもらうことがポイントです。


3.クレーマーへの対応を学ぶ

カスハラ研修では、クレーマーへの対応を学ぶのもよいでしょう。
過度な要求や不適切な言動を繰り返す顧客に対応するためには、事前のシミュレーションや学習が必要です。顧客対応の理論を学んでもらったり、ロールプレイングを行って理論を実践に活かす力を養ってもらったりするとよいでしょう。インプットだけで終わらせずに演習の機会を豊富に設けることで、実際の場面での対応力が向上します。


4.ロジカルコミュニケーションについて学ぶ

カスハラ研修では、ロジカルコミュニケーションについても学んでもらいましょう。
ロジカルコミュニケーションとは、自分の考えを論理的かつ的確に発信したり、相手の話の要点を正しく把握したりすることです。ロジカルコミュニケーションを身につけると、論理的な情報の発信力と受信力を高めることができるため、クレーム対応に役立ちます。ロジカルなコミュニケーションを心がけることで、相手の話の要点をつかみ、会社や自分としての考え方をわかりやすく伝えられるようになるでしょう。

ロジカルコミュニケーションの概要や鍛える方法、研修のポイントは以下のページで詳しく解説しています。
ロジカルコミュニケーションとは|鍛える方法や研修のポイント


5.レジリエンス力を身につける

カスハラ研修では、レジリエンス力を身につけることもおすすめです。
レジリエンス力とは、精神的なストレスからの回復力を指します。レジリエンスの高い社員は、プレッシャーのかかる状況であっても適切に自分自身でストレスに対処し、しなやかに立ち直ることが可能です。
カスハラ研修でレジリエンス力を高め、カスハラを受けても必要以上にストレスを溜め込まない、メンタルの維持方法を身につけてもらいましょう。

レジリエンスについてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
レジリエンスとは?ビジネスで注目される理由や高めるポイントを紹介


6.二次対応者向けの対応を学ぶ

カスハラ研修では、二次対応者向けの対応も学んでもらいましょう。
カスハラの中には、接客担当者だけでは解決できないものもあります。こうしたカスハラに遭遇した際には、マネージャーや上司、専門部署のスタッフなどの二次対応者が積極的に接客担当者を支え、組織全体のカスハラ対策をリードすることが大切です。
二次担当者にもカスハラの正確な認識と理解を促し、事例をもとにカスハラに該当するかどうかの判断基準を学んでもらいましょう。カスハラの種類に合わせた適切な対応策や、カスハラに関連する法律、社会的な流れを学んでもらうことも効果的です。さらに、二次担当者特有の内容として、接客担当者から報告を受けた場合の対応や、組織全体での情報共有の方法を学んでもらうこともよいでしょう。


カスハラ研修を受けるべき人材

カスハラ研修を受けるべき人材は、主に以下の3つです。


  • カスタマーサービス業務に従事する人
  • リーダーポジションにある人
  • 顧客と直接関わるポジションにある人


カスタマーサービス業務に直接従事する人はもちろん、マネージャーや上司などのリーダーポジションにある人、営業職など顧客と直接関わるポジションにある人など、幅広い人に学んでもらうと効果的です。ここからは、カスハラ研修を受けるべき人材について解説します。


カスタマーサービス業務に従事する人

カスハラ研修を受けるべき人材として、カスタマーサービス業務に従事する人が挙げられます。
コールセンターのオペレーターや店舗スタッフなど、カスタマーサービスや顧客対応に関わる人々が主な受講対象です。また、ホテルやレストランのフロントデスク担当者なども、カスハラ研修の対象に含まれます。
顧客対応が主な役割であるこうした職種は、カスハラを受ける可能性も必然的に高くなります。カスハラの基準や状況に応じた対応方法など、カスハラについて幅広く学んでもらうことが重要です。


リーダーポジションにある人

リーダーポジションにある人も、カスハラ研修の受講対象です。例えば、マネージャーやチームリーダー、スーパーバイザーといった職階の社員がこれにあたります。
マネージャーやチームリーダーなどは、チームメンバーのカスタマーサービスに関する問題や苦情に対処する責任を負うポジションです。また、接客担当者だけでは解決できないクレームに対して、マネージャーやチームリーダーが二次対応を引き継ぐ場合もあります。チームで連携して対処したり、二次対応が求められたりするケースに備え、リーダーとしてカスハラに対する理解を深めておくことが重要です。


顧客と直接関わるポジションにある人

カスタマーサービス業務以外の職種であっても、顧客と直接関わるポジションにある人にはカスハラ研修を受けてもらうことがおすすめです。
例えば、BtoBで顧客と直接対面や対話をする仕事に従事する社員がこれにあたります。BtoC以外であっても、顧客からの苦情や不快な状況に対処しなければならないシチュエーションは少なくありません。カスハラ対応のスキルを身につけ、状況に応じた適切な対応ができるよう訓練を積んでおきましょう。





カスハラを防ぐために企業が取り組むべき施策

カスハラを防ぐために企業が取り組むべき施策として、以下の4つが挙げられます。


  • 明確なポリシーとガイドラインの策定
  • 安全な報告手段の提供
  • 適切な対応と制裁の実施
  • ハラスメント防止の文化を醸成する


ポリシーやガイドラインの策定など基本的な対策はもちろん、ハラスメント防止の文化を醸成するといったアプローチも効果的です。カスハラを防ぐために企業が取り組んでおきたい施策を解説します。


明確なポリシーとガイドラインの策定

カスハラ対策を進めるためには、カスハラに関する明確なポリシーとガイドラインを策定して、社員へ周知することが大切です。
一概に「カスハラ」といっても、人によってその捉え方はさまざまです。ポリシーやガイドラインを通じて何がカスハラに該当するのかを明確に示し、社内でカスハラに対する考え方の統一を図りましょう。またポリシーやガイドラインの中には、カスハラが起こったとき誰へどのように報告し、どう対処するのかを明記しておくことも重要です。


安全な報告手段の提供

安全な報告手段を提供することも、カスハラ対策を進める方法の一つです。
ハラスメント全般に言えることですが、ハラスメント被害を受けた社員がそれを周囲へ気軽に相談できないというケースが多々あります。ハラスメントを報告するための窓口を社内へ設置して、社員が不安なく問題を報告できる環境を整えましょう。
なお、窓口を設置する際には、社員が安全に、なおかつ匿名で相談できる体制になっているか確認してみてください。


適切な対応と制裁の実施

カスハラ対策を進めるためには、適切な対応と制裁の実施が重要です。
ハラスメントが報告された場合、企業は迅速かつ適切に対応し、状況に応じて適切な制裁を行う必要があります。企業が積極的に介入すれば、社員が安心して働ける環境を維持し、ハラスメントを行う人に対する抑止力を高めることができます。
なお、カスハラの対策で参考になるのは、任天堂株式会社の事例です。任天堂株式会社では、何がカスハラに該当し、カスハラが行われた場合どのような対処を行うのかを明確に示したポリシーを外部向けに公表しています。
参考:カスタマーハラスメントについて|Nintendo


ハラスメント防止の文化を醸成する

ハラスメント防止の文化を醸成することも、カスハラ対策を進めるための方法です。
管理職やリーダーが積極的にハラスメント防止の重要性を強調すれば、社内全体にハラスメントを容認しない風土が形成されます。全社員を対象としてハラスメント研修を実施することが理想ですが、それが難しい場合には管理職やリーダー層を対象としたハラスメント研修を実施して、トップダウンで風土の形成を行うこともおすすめです。
企業文化の中にハラスメント防止の価値観を根付かせれば、カスハラ防止措置を考える社員が増えたり、カスハラ発生時の対応も組織的に強くなります。またカスハラのみならず、パワハラやセクハラといったハラスメントを未然に防ぐことにもつながります。

ハラスメントの定義や種類、事例などは以下の記事で詳しく解説しています。
ハラスメントの意味とは?職場で発生しやすい種類と事例、対策を紹介


ハラスメント研修ならアルーにお任せください

ハラスメント研修なら、ぜひ弊社アルーへお任せください。
人材育成を手がけているアルーでは、ハラスメントを防ぐために役立つ研修を数多く用意しています。ハラスメントの加害者になる社員を出さないようにする研修はもちろん、ハラスメントを受けた際の対応方法について学べるカリキュラムも豊富です。
アルーの研修プログラムは、演習を豊富に含んでいます。グループワークや実践期間などのさまざまなアウトプットの機会を通じて、ハラスメントに対する意識改革を促進し、ハラスメントを防止する社内風土の形成を実現できます。

ハラスメント研修のカリキュラムを詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
【事例あり】ハラスメント研修とは?目的や内容を解説


まとめ

カスハラについて、カスハラ研修を取り入れる目的やカスハラ研修の内容などを解説しました。
さまざまなハラスメント行為が社会問題化している昨今、カスハラの被害が顕在化することも増えてきています。カスハラを受けた際の対応をあらかじめ身につけておけば、万が一カスハラに遭遇した場合でも、その被害を最小限に食い止めることができるでしょう。また、カスハラに関するポリシーやガイドラインの策定と公表も、カスハラに対する抑止力となります。
ぜひこの記事の内容を参考にカスハラ対策を進め、カスハラへの適切な対応力を磨いていきましょう。

アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
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