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ナショナルスタッフ育成を成功させる5つのポイント

海外拠点で働くナショナルスタッフの育成は、海外拠点を持つ多くの企業の課題となっています。

「日本人から言われたことをやるのではなく、自ら課題を設定して解決できる人材になってほしい」

「ナショナルスタッフのリーダー育成を行いたい」

という企業・人事の方に向けて、中国・東南アジアで200社以上のナショナルスタッフマネージャーの支援を行ってきたアルーが考える、ナショナルスタッフ育成を成功させる5つのポイントについてご紹介します。


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駐在員向け外国人部下マネジメント研修


羽鳥丈太監修者情報


目次[非表示]

  1. 1.アジア子会社のナショナルスタッフを育成する際の課題
  2. 2.ナショナルスタッフ育成のための5つのポイント
  3. 3.アルーのナショナルスタッフ育成のプログラム例
  4. 4.ナショナルスタッフの育成ならアルーにお任せください


アジア子会社のナショナルスタッフを育成する際の課題

アジア企業のナショナルスタッフの育成に関する最も大きな課題は、リーダーとなるべき人材の不足です。

アジア日系企業の人事における共通課題として、「いかに優秀な人材を採用し、育成し、定着させられるか」が挙げられます。アジア市場には、従業員に対し高い報酬や明確なキャリアパスを提供する外資企業が多く参入しています。その中で、外資のような制度を用意しにくい日系企業は優秀な人材の確保に苦慮させられているのです。

マイケル・ペイジの調査によると、企業の国ごとの人事の優先事項として、諸外国に比べアジアは「Talent management(タレントマネジメント)、「Training and development(人材育成と開発)」「talent acquisition /recruitment(人材獲得・採用)」の割合が多くなっています。

人事の優先事項

出典:Michael Page [GLOBAL INSIGHTS HR BAROMETER]


現地のスタッフであるナショナルスタッフの獲得はもちろん、ナショナルスタッフをいかに育成し、リーダーとして自発的に活躍してもらうかがアジア日系企業の人事面での共通課題となっているといえます。


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ナショナルスタッフ育成のための5つのポイント

では、ナショナルスタッフを育成するためにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。

アルーでは、次の5つのポイントがナショナルスタッフを育成するために重要だと考えています。


  • ジョブディスクリプションの作成
  • 部下育成・部門を超えた連携・変革への参画の経験をさせる
  • ビジネス目標・組織目標から必要な育成を行う
  • 培った知識・スキル実践できる場を設ける
  • 戦略人事を配置しサポートする


以下で1つずつ解説していきます。


ジョブディスクリプションの作成

1つ目は、効果的なジョブディスクリプションの作成を行うことです。

ジョブディスクリプションとは、個々の職務内容を詳しく記述した文章で、日本語では職務記述書と訳されます。

ジョブディスクリプションを作成することで、ジョブの期待役割を明確にすることで、会社が期待する職務を社員に遂行させ、パフォーマンスのマネジメントを行うことが、職務型のナショナルスタッフを育成するためにはとても重要です。

しかし、実は日系企業の44%はジョブディスクリプションの作成を行っていません。

どんなに研修を行っても、ジョブディスクリプションがない、もしくは求められる役割期待やパフォーマンス・スキルがジョブディスクリプションに記載されていなければ、現場では行動発揮がされにくくなってしまいます。

ジョブディスクリプションを作成する際には、人事制度と連動していることがポイントです。求めている役割やパフォーマンス、スキルを明確にした効果的なジョブディスクリプションを作成し、定期的にアップデートしていくことが重要になるでしょう。


ジョブディスクリプションに関しては、以下の記事も参考にしてください。

【テンプレート付き】ジョブディスクリプションの意味と書き方


部下育成・部門を超えた連携・変革への参画の経験をさせる

部下育成はナショナルスタッフが既に担っているケースも多いですが、「部門を超えた連携」や「変革への参画」といった、管理職に必要な実務経験は日本人が担っていて、現地のナショナルスタッフは未経験であることが多いです。

ナショナルスタッフをリーダーとして育成したいのであれば、特に「部門を超えた連携業務」・「変革業務への参画」に関する業務をナショナルスタッフに計画的にアサインし、実務経験を積ませることが重要です。

部門を越えた連携と変革への参画によって、情報分析力や事業実行力をナショナルスタッフが身につけることができます。

経験から得られるスキルをベースにジョブアサインができているかどうかや、国をまたいだ異動をしている場合は、異動先のジョブ経験もあわせて考慮されているかどうかをかならず意識し、育成を進めていきましょう。


ビジネス目標・組織目標から必要な研修を行う

研修の企画や設計をする際、以下のようなことはありませんか?


  • 研修テーマから考える
  • トレーニングプロバイダーが紹介してきたプログラムの中から選択する
  • 上長から言われたテーマをそのままやる
  • 他社事例を集めて自社でもやる


これらは日系企業でよく見られる研修企画の方法ですが、ナショナルスタッフを育成する場合には、ビジネス目標・組織目標から考えることが重要です。


ナショナルスタッフ育成のための研修企画・設計は、研修を行うことから考えず、


  • ビジネス分析を行い、ビジネスゴール・組織目標を明確にする
  • 現状のパフォーマンスと目標とのギャップを明確にする
  • ギャップの原因・真因の特定をする
  • ギャップを減らすための施策を決定する
  • 施策に対する支援を行う
  • 施策実行状況のモニタリングをする
  • 施策の結果を振り返り、次の施策に活かす


というような流れが望ましいでしょう。

育成ターゲットは優先順位を決めて行いましょう。マネージャー以上の社員と、アシスタントマネージャーを優先的に行いましょう。若い人材は転職の可能性が高く、育成の投資回収が難しいですし、50代以上の古株社員はマインドセットが変わりにくいため、育成に時間がかかります。そのため、30代以降のジョブホッピングが鈍化した中堅社員の育成を優先することがおすすめです。


ターゲットが決まったら、役職別に適した研修を行いましょう。ナショナルスタッフの幹部候補育成の役職別の育成方法の例は以下の通りです。

ナショナルスタッフ幹部候補育成の解説図


そして、この役職ごとにコンピテンシーを作成しましょう。コンピテンシーとは、優れた成果を創出する個人の能力・行動特性のことです。コンピテンシーに沿って必要なスキルや考え方を鍛えられる研修を導入していきましょう。

ナショナルスタッフ育成を行う場合、研修は以下のポイントに気を付けましょう。


  • 現地講師&スピーキングは現地語で行う
  • 国民性に合ったプログラム設計をする
  • 自社に合ったプログラム設計をする
  • 講師に依存しない運用をする


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培った知識・スキルを実践できる場を設ける

人材育成の目的は、「良い研修」を提供することではありません。個々の意識改革・行動変容を通じてパフォーマンスを向上し、ビジネス成果を出すための施策を提供することが本当に行うべき人材育成です。

研修で行えるのは、知識やスキルをつけさせることです。そこからステップアップして、個々の意識改革・行動変容を進めるためには、研修後のアプローチが重要です。

学習の定着・行動化・行動定着・成果のそれぞれの目的達成に対して、必要な施策を研修後に行いましょう。

例えば、ロジカルシンキングの研修を行った後は、


  • 理解度テストを行う
  • ケーススタディ問題を解いてもらう
  • フレームワークを使って、現場の情報を構造的に整理するワークを2日に1回提出する
  • 研修会社や講師、上長からフィードバックを行う


などのアプローチがあるでしょう。

培った知識やスキルを実践で使用する場を企業側が設けることによって、研修内容が定着し、実際の業務に活かしやすくなります。

行動変容を促すためには、ブレンディッドラーニングが効果的です。アメリカでも、中小企業では8割ほど、大企業の4割がブレンディッドラーニングを採用しています。


戦略人事を配置しサポートする

今後、人事の業務においては、効率的に人事オペレーションを遂行するニーズは減り、経営戦略・事業戦略に合致するように人事戦略を策定し、組織設計を行うことが重要になってくるといわれています。

上記でお伝えした、「ジョブディスクリプションの作成」「社員に経験を積ませる」「研修企画を行う」「スキルを実践できる場を設ける」などを行う業務は、今までの人事の業務から発展した、戦略人事が行う業務です。

そのため、ナショナルスタッフの育成のためには、本社だけではなく、海外の地域統括を行っている会社にも、戦略人事を配置することが重要です。



アルーのナショナルスタッフ育成のプログラム例

アルーでは、ナショナルスタッフを育成するプログラムを提供しています。

現場での情報収集やヒアリングを行い、自社の経営目標や理念などの方針を明確にし、ビジネス目標・組織目標から考えることのできる育成プログラムとなっています。

ここでは、アルーの行っているナショナルスタッフ育成のプログラム例をご紹介いたします。


マネジャー候補の集合型育成:ベーシックコース

マネージャー候補のナショナルスタッフ向けの、集合型研修のベーシックコースは、2回~3回の連動性のある集合型研修で、幹部候補に必要な経営基礎知識とスタンスを習得させます


  1. 企業理念理解
  2. ビジネススキル取得
  3. リージョナル視点の獲得
  4. リーダーシップ開発とマネジメント実行力の獲得


といった、4つの流れを中心とした研修を行います。


部長候補の集合型育成:インターミディエートコース

部長候補向けのインターミディエートコースでは、ディレクター、ジェネラルマネージャ―候補に対し、6ヶ月~1年かけて、アクションラーニング形式で習得している経営スキルを活用し、部門の課題設定から解決・実行を行います。



目的
行うこと
Training1
  • チームビルディング
  • 課題設定
  • 現場での情報収集
  • 上長・他部署ヒアリング
  • 課題設定
Training2
  • 課題設定のレビュー
  • 解決策のプランニング
  • リーダーシップ

課題設定の再見直し

解決策の立案

計画と実行

Training3

  • 課題解決の実行状況のレビュー
  • プレゼンテーション
  • フィードバック
  • 振り返り
  • 残り年度内での実行プランの継続実行


経営幹部候補の個別育成:アドバンスコース

アドバンスコースでは、経営幹部候補に向け、管理職に必要な部門を超えた連携業務と変革への参画を通じて事業実行力を備えた幹部候補を育成します。


  1. 経営幹部候補者の特定
  2. 個人別の育成計画作成
  3. 社内外のアドバイザーをつけたキャリア開発の投資と機会提供
  4. 半年~1年半の実行、開発状況のモニタリング
  5. 成果発表、昇進・昇格検討


といった流れで行われます。

具体的な全体像の例は、以下の通りです。

研修スケジュール


駐在員向け外国人部下マネジメント研修


ナショナルスタッフの育成ならアルーにお任せください

アルーでは、海外駐在経験の豊富なプロフェッショナルチームが、1社ごとのグローバル戦略を実現するための組織作り・人材育成をお手伝いいたします。

人材要件定義から、研修体系の構築、研修の企画運用までトータルサポートいたします。

アルー自身も、中国や東南アジアに海外拠点を持ち、ナショナルスタッフの育成に取り組んできました。実際の経験を基に、貴社のナショナルスタッフ育成を支援いたします。

ナショナルスタッフの育成施策については、こちらのページからご覧いただけます。

グローバル人材育成サービス一覧

グローバルリーダーの育成に関しては、以下のページも併せてご確認ください。

グローバル人材育成サービス一覧

日系企業における グローバル人材育成


駐在員向け外国人部下マネジメント研修

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アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
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