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部下のキャリア形成を支援する際に管理職と人事部が行うべきこと

部下との面談の際に「今後のキャリアをどう考えている?」と聞く上司は少なくないのではないでしょうか。上司の中には「イマイチ効果的な指導ができない」「部下の将来像を把握しきれない」といった問題を抱えているケースも多いものです。部下のキャリア形成を支援する上で必ず知っておきたい、上司に求められる役割について解説します。


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目次[非表示]

  1. 1.なぜ部下のキャリアプランを考える必要があるのか
  2. 2.部下に身につけてもらうべき力
  3. 3.部下のキャリア支援にあたり管理職が直面する3つの壁
  4. 4.部下のキャリアを考える際に管理職が行うべきこと
  5. 5.部下のキャリアを考える管理職に向けて人事ができること
  6. 6.アルーの若手キャリア育成プログラムの例
  7. 7.まとめ




なぜ部下のキャリアプランを考える必要があるのか

ただでさえ日常業務が多い中で、そもそもどうして上司が部下のキャリアプランを支援する必要があるのかがピンとこない、という方もいるでしょう。なぜ上司が部下のキャリアプランを考える必要があるのでしょうか。

部下のキャリアプランを支援することには、早期離職の防止や自律的な成長の促進など、多くの意義があります。部下のキャリアプランを考える必要性について解説します。


若手の早期離職の防止のため

部下のキャリアプランを支援する必要性の一つに、若手の早期離職を防止するという点が挙げられます。若手社員が早期離職を検討する理由として最もメジャーなものに、「この会社で働く将来像が見えない」というものがあります。

今後数十年間この会社で働いたとき、どのようなポジションでどのような仕事をしているのかがはっきりしないとなると、モチベーションの低下や早期離職を招いてしまいます。上司が親身になって話を聞いてあげることで、若手社員に自身の将来像を明確化してもらい、早期離職を防ぐという効果が期待できるのです。

若手社員の離職を防止する方法は、キャリア育成以外にも、定期的に業務フォローを行ったり、会社への帰属意識を高めたりすることが大切です。

キャリア育成以外での若手の離職防止の方法については、以下の記事で紹介していますので、併せてご確認ください。

若手社員の離職を防止するには?早期離職の原因と対策方法


少子高齢化に伴う働き方の変容

少子高齢化の進展により、ビジネスの現場ではさまざまな変化が起こっています。中でも、従来の終身雇用制が崩壊し転職の敷居が低くなったことや、主体的なキャリア選択が求められるようになったことは大きな変化です。
人材の流動化が進んだ現在では、ただ単に会社の方針にしたがって働き続けるだけではなかなか評価されません。自分自身で十年後、二十年後を見据えたキャリアプランを立てることが求められています。会社の先輩として、ときには人生の先輩として、部下の将来設計をサポートしてあげることが必要です。


働く人のニーズの多様化

従来の新卒一括採用や年功序列での昇格では、「企業が個人を雇う」という暗黙の上下関係がありました。一方で、最近では多様性が重要なキーワードです。働く個人のニーズはますます多様化しているとともに、企業にとっても多様性を確保することが、これからの時代を勝ち抜く競争力を高めることにもつながります。

これからは、「企業が個人を雇う」という一方的な関係ではなく、個人と企業が対等な関係として仕事に向き合うことになります。このような観点からも、個人が自分自身のキャリアプランを明確化しておくことは非常に重要です。社員にとって企業はキャリアを実現する場であるため、上司が上手くサポートしてあげましょう。


部下の自律的な成長を促すため

上司が部下のキャリアプランをサポートする必要性の一つに、部下の自律的な成長を促すため、ということも挙げられます。部下の中には、「これからどうなりたいか?」という質問に明確に答えられない人も少なくありません。一方で、個人の能力開発が重視されるようになっている昨今では自律的な成長がますます重要度を増しています。

上司が部下のキャリア形成を支援することで、部下自身の持つ将来像が明確化され、自律的な成長をサポートできます。部下が自律的に成長することで、ボトムアップの好循環を生み出せるのです。


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部下に身につけてもらうべき力

笑う女性社員

上司が部下のキャリア形成を後押しする際には、単に部下の将来像を考えるだけでは不十分です。部下の将来像を実現するためには、「将来像の実現にはどのような能力が必要か?」という点まで踏み込んで考えることが求められます。キャリア形成の支援のために欠かせない、部下に身につけてもらうべき力について見ていきましょう。


ポータブルスキル

「ポータブルスキル」とは、社外でも通用する力のことです。先述したように、近年は転職活動の敷居が低くなったこともあり、個人の能力開発が重要視されるようになってきています。そのため、他の企業でも通用するポータブルスキルの獲得が極めて重要なのです。ポータブルスキルの具体例としては、例えば以下のようなものがあります。


  • 関連業界で活かせる専門知識や専門技能
  • 一般的な仕事の進め方
  • 人との関わり方、コミュニケーションスキル


部下のキャリア形成を支援する際には、こういったポータブルスキルを磨いてもらうようにしましょう。


変化への適応力

グローバル化やDX化が進んだ現在では、ビジネスの現場でも目まぐるしい変化が起こっています。デジタル技術や広告手法、マーケティングなど多くの場面で日々技術革新が起こっており、もはや数年前のビジネスモデルが現在も通用するとは限らない時代です。

部下のキャリアプランを支援する上では、変化への適応力も身につけてもらうとよいでしょう。継続的に学習を行うなど、知識のアップデートに貪欲な姿勢を身につけてもらうことが重要です。


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部下のキャリア支援にあたり管理職が直面する3つの壁

部下のキャリア支援は管理職にとって重要であることがわかりました。一方で、中には「なかなか効果的な指導ができない」といった問題を抱える上司も少なくありません。

実際、部下のキャリア支援を行う際には、管理職が直面しがちな3つの「壁」があります。


  • 短期成果と継続的成果の両立
  • リモートワーク環境による個別指導の増加
  • 個人への配慮や対応領域の拡大


これら、部下のキャリア支援において乗り越えるべき困難について、詳しく見ていきましょう。


短期成果と継続的成果の両立

上司は、部下自身が目指す将来像を実現するとともに、「チームが最大限パフォーマンスを発揮できるようにする」という重要な役割を持っています。チームのパフォーマンスを引き出すための短期目標と、部下の能力を引き出すという継続的な取り組みが両立しない、というのが第一の壁です。

短期成果と継続的成果を両立するためには、まず上司自身が経営層を含めた社内幹部の描く方針をよく理解する必要があります。社内の縦のつながりを強化するなど、意思伝達を密にするように心がけることが重要です。


リモートワーク環境による個別指導の増加

最近では、部下との面談にオンライン面談を取り入れる企業も増えてきました。新型コロナウィルス感染症の流行もあり、リモートワークを導入したという企業も少なくないのではないでしょうか。

リモートワークが導入されたことにより、チャットでのやり取りや1on1でのコミュニケーションが主流になり、その結果、部下に1対1で指導しなければならないケースが増えてきています。

対策としては、適宜対面でのミーティングを取り入れる、周囲とコミュニケーションをとるように促すなどの工夫が求められます。


個人への配慮や対応領域の拡大

管理職が抱える困難の一つに、個人への配慮や対応領域が拡大したということが挙げられます。自主的に将来設計を行うことが求められる現代においては、上司の指導責任も増加しています。最近ではハラスメントも社会問題化しているため、ハラスメントに関しても上司による対処が必要です。これに加え、部下のメンタルヘルスへの対応が求められる場面も少なくありません。

また、リモートワークの普及により、コミュニケーションや評価のやり方を変えなくてはならない場面もあるでしょう。

上司の指導の負担を少しでも軽減するために、人事部は管理職が悩まずに部下に対応できるよう、管理職を育成する体制を整える必要があるでしょう。

部下のメンタルヘルスとの向き合い方、ハラスメントの防止、リモートワーク下における評価の方法などを研修で伝え、学んでもらうことが求められます。


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部下のキャリアを考える際に管理職が行うべきこと


形式的に部下との面談を実施するだけでは、なかなか効果的な指導はできません。部下のキャリアを考える際には、上司が部下一人ひとりと向き合い、信頼関係を構築することが重要です。
部下のキャリア形成を支援する際に管理職が行うべきことについて解説します。


部下との関係構築

関係構築とは、部下との関係の質を向上させることです。上司がキャリア形成を支援する際には、まず部下との関係構築に力を入れるようにしましょう。

部下との関係構築を効果的に行うためには、部下自身が持っている思考や感情、本心を丁寧に引き出してあげることが重要です。キャリア面談を行う際には、言葉の裏に部下の隠れた願望や想いが隠れていることも少なくありません。上司は傾聴スキルを身につけ、言動に反応するのではなく、部下の感情・本位を理解するように努める必要があります。

管理職が傾聴力を高めるための育成方法については、以下の記事で紹介していますので、併せてご確認ください。

『管理職が傾聴力を高める育成方法とは?傾聴力を高めるメリットと目的』


部下が気軽に相談できる場を設ける

部下の中には、「忙しそうな上司にいつ声をかければよいのかわからない」といった悩みを抱えている人もいます。特に、「面談形式ほど形式張らず、気軽に話を聞いてほしい」と考えている若手社員、中堅社員は多いものです。

部下のキャリアを考えるためには、部下が気軽に相談できる場を設けることもポイントです。気さくに話をする中で、案外1on1の面談だけでは見えてこなかった本心が見えてくることもあります。


部下への理解を深める

部下のキャリア形成の支援を行う際には、部下への理解を深めることを心がけましょう。一方的に上司が話をするのではなく、部下の目指す姿を引き出してあげることが求められます。部下の話を聞く上では、例えば以下のような質問が有効です。


  • これからどのような領域にチャレンジしたいですか
  • 仕事を通じて手に入れたいものはなんですか
  • 生活を充実させるためにあるとよいことはなんですか
  • あなたの人生において、正しい方向に進んでいると思うことはなんですか


役職や部署といった表面的な事柄だけでなく、部下の人生観や価値観にも踏み込むことで、部下が本当に目指したい将来像が見えてきます。

以下は、部下の有りたい姿を考えてもらうための問いの例です。

ありたい姿を考えてもらうための問い

上記に加えて、普段から「いつ」「誰が」「何を」など、具体化する問いと、ゴールや目的を問う抽象かする問い、「他には?」「別の選択肢は?」などと考えを広げる問いを加えると良いでしょう。


MBO-S支援

MBO-S支援とは、「今」と「将来」の両方を見据えた目標設定の支援のことです。上司が部下のキャリア形成を支援する上では、部下本人ができることを広げるような支援を行うように心がけましょう。

MBO-S支援を行う際には、まず業務目標と将来像をリンクさせた成長目標を設定する必要があります。その後、設定した目標を実現するための具体的な行動に落とし込んでいきます。さらに、立てた目標の効果を定期的に測定しましょう。目標設定を支援すると、どの企業でも通用するポータブルスキルを開発することにもつながります。

計画の具体例は、以下の通りです。

計画の具体例

このように、目標達成に向けた計画策定と、自分のできることを広げる計画策定の2軸で目標設定をしていくことが大切です。


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部下のキャリアを考える管理職に向けて人事ができること

部下のキャリア形成を行うことは上司の大切な役割のうちの一つですが、上司の対応領域はますます拡大しており、指導の負担が増していることも事実です。業務に支障をきたさないようにするとともに、上司が部下に効果的な指導を行えるようにするためには、人事部が管理職を始めとした社員をサポートすることが求められます。部下のキャリアを考える管理職に向けて、人事部ができることについて見ていきましょう。


社員への「キャリア自律」のマインドセット

キャリア形成は、部下自身が「自分の実現したい将来像」を思い描くことで初めて効果を発揮します。ときには上司が将来像を一緒に考えることから始める場合もありますが、すべての部下に対して一から将来像を考えていたのではとても指導の時間は足りません。

人事部は、社員が自分自身でキャリアを考えるという「キャリア自律」のマインドを、研修などを通じて社員へ定着させるようにしましょう。キャリア自律は当たり前であるというマインドセットを行うと、管理職によるキャリア支援がスムーズになります。


管理職のマネジメント能力の育成支援

変化の激しい環境での競争に勝ち抜くため、管理職には高いマネジメント能力が求められています。現代の職場環境で効果的にマネジメントを行うためには、既存の価値観にとらわれず常に知識をアップデートしていく姿勢が必要です。

人事部として、管理職のマネジメント能力の育成支援を行うことも有効です。管理職に対して指導の際のポイントや心構えを伝えれば、現場での指導がより効果的なものとなります。

管理職に向けた部下を育成する力を身につける研修については、以下のページで詳しくご確認いただけます。

部下育成力研修


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アルーの若手キャリア育成プログラムの例

上を向いて微笑む女性

アルー株式会社は、人材育成を専門に手掛けている企業です。グローバル人材育成、新人社員研修や若手社員研修、階層別研修などを幅広く手掛けています。

アルーでは、キャリア形成支援につながる若手キャリア育成プログラムも数多くご用意しております。アルーの提供する若手キャリア形成プログラムの一例をご紹介します。


対若手向けプレキャリアデザインセミナー

若手社員にキャリア設計の手法を理解してもらうことは、キャリア自律の意識を醸成する上でも非常に効果的です。社員自身がキャリア形成に関する手法を理解すれば、上司による現場でのキャリア指導の負担を大幅に軽減できます。

アルーでは、対若手向けのプレキャリアデザインセミナーを提供しています。「実現したい将来像」「自分の価値観」といった観点から、本当に自分自身が実現したいキャリアプランを明確化する手法について学べます。

▼若手社員研修について詳しくはこちらの資料をご覧ください。

  『若手社員研修サービス資料』資料ダウンロード 『若手社員研修サービス資料』の資料をダウンロードいただけます。若手社員育成の全体像や、育成に関連するサービス一覧を紹介します。 アルー株式会社

▼こちらのページでも詳しく解説しています。

若手社員研修


対上司向けメンバーの中長期的キャリアを見据えた育成

単に「部下のキャリア形成を支援してください」という指示を与えただけでは、上司はどのようにして指導すればよいのか途方に暮れてしまいます。効果的なキャリア指導を行うためには、メンバーを指導する立場にある上司にもメンバーのキャリア支援に必要なスキルを身につけてもらうことが重要です。

アルーでは、対上司向けに、「部下育成力研修」をご用意しております。この研修では、最新の若手社員の傾向を踏まえた部下育成スキルを体系的に網羅できます。

部下育成力研修


中長期的なキャリアを見据えた育成


まとめ

部下のキャリア形成を支援する際に、管理職や人事部が行うべき事柄について紹介しました。部下のキャリアプランを考えることは、部下との関係構築を行い、自律的な成長を促すという観点で多くの意味があります。一方、近年は上司に求められる対応領域がますます拡大しており、指導の負担が大きいと感じる上司も少なくありません。

上司に過度な負担を与えることなくキャリア指導を行ってもらうためには、人事部が主体となって上司や社員にアプローチしていくことが重要です。研修やセミナー参加などを通じて、効果的なキャリア指導を実現していきましょう。

部下のキャリア支援でお困りのご担当者様は、ぜひ一度アルー株式会社にご連絡くださいませ。貴社の問題を解決するために最適な研修をご提案させていただきます。

部下のキャリア支援や部下の育成力をブラッシュアップするための研修「部下育成力研修」については、以下のページでご確認いただけます。

部下育成力研修

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アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
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