社員が管理職になりたくないと思う理由と人事部が行うべき対応
会社員にとって、昇進して管理職になるのは喜ばしいことのように思えますが、実は現代では管理職になりたくないと思っている社員も多いのです。しかし、組織の運営を担う管理職は企業にとってなくてはならない存在です。
管理職になりたくないと思っている社員に管理職になってもらうためには、人事部が管理職になりたくない理由を探って必要なフォローをする必要があります。この記事では、管理職になりたくない人の割合や管理職になりたくない理由などを解説すると同時に、人事部が行うべき対応をご紹介します。
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管理職になりたくない人の割合は?
企業に勤めている人の中には、バリバリ働いて昇進して管理職になりたいと思っている人もいるでしょう。その一方で、管理職にはならないまま現場で一般職として働き続けたいという人もいます。では、実際に管理職になりたくないと思っている人の割合はどのくらいなのでしょうか。
2024年2月に株式会社EdWorksが行った調査によると、20代社員の内、管理職への昇進に意欲的でない社員の割合は6割にのぼるというデータがでています。
昇進に意欲的な社員は約4割であり、若手社員の昇進への意欲は二分化していると言えます。
参考:【調査レポート】実は若手世代は昇進意欲で2極化、上司や先輩からのアドバイスの受け止め方にも意識の違い現る | 株式会社EdWorksのプレスリリース
また、厚生労働省が2018年に行った調査によると、役職についていない職員が、管理職に昇進したいと思わない割合は61.1%でした。
その中でも、「責任が重くなる」「やるべき仕事が増え、長時間労働になる」「現在の職務内容で働き続けたい」などの理由が多く挙げられています。
出展元:第2-(3)-27図 役職に就いていない職員等における管理職への昇進希望等について
人事担当者は、社員が管理職になりたくないという理由を世代や性別ごとに把握し、対策を行っていくことが必要です。
ここからは、プレイヤーとしてスキルを積み、管理職へのビジョンが見え始めている40代の社員と、女性社員・若手社員の管理職になりたくない理由について解説いたします。
40代が管理職になりたくない理由
40代の社員は勤続年数も長くなり、会社や仕事についてもよく理解しています。十分なキャリアを積んでいて後進の育成に関わることも多い、働き盛りの世代とも言えるでしょう。そのため、40代になって管理職になる人も多いのですが、その中には管理職になりたくないと思っている人が少なくないのです。では、40代の社員はなぜ管理職になりたくないのでしょうか。ここでは、40代が管理職になりたくないと思う理由についてご紹介します。
年収が減る
一般的に、昇進をすると年収が上がるというイメージがありますが、管理職になると残業代が支給されなくなる企業も多いため、実際には管理職になると年収が減ってしまう場合があるのです。管理職は従業員を管理監督する立場にあるので、労働基準法の労働時間や休日、休憩といった規定の対象外となります。
しかし、その分役職手当がつきますし、基本給や賞与も上がります。本来であれば収入は増えるはずですが、今まで稼いでいた給与の中で残業代の割合が高いと、役職手当などで増えた分よりも残業代のマイナス分が大きくなってしまうのです。
そのため、企業は社員の基本給や残業代などを考慮しながら、役職手当や基本給・賞与の上げ幅を検討しなければいけません。
責任が重くなる
管理職になると、一般職員として働いていた時よりも責任が重くなります。一般職の場合には自分の仕事の成果だけを追い求めていれば良いですが、管理職は担当する部署全部に対しての責任を負うことになります。何かミスがあれば、その対応に追われるのも管理職です。
部署の業績が管理職としての評価になりますし、チームのパフォーマンスが悪いとその責任を追及されるので、ストレスを感じやすいポジションと言えます。
また、一般職員であればミスをしても上司がフォローをしてくれますが、管理職はフォローをする側です。そのため、自分の仕事だけに集中したい、責任のある立場につきたくないという人は、管理職になりたくないという考えに至ることがあります。
上司と部下の板挟みになる
管理職は、経営者側にいる上司と労働者側にいる部下の間に立つ仲介役のような存在です。両方の意見を汲み取るのは非常に難易度が高く、上司と部下の間で板挟みになることも珍しくありません。
そのため、部下とうまくコミュニケーションが取れない、上司に自分の意見を言ってもなかなか聞き入れてもらえないなど、人間関係に悩む管理職の仕事ぶりを見ていて、「自分は管理職になりたくない」と思ってしまう人が多いと考えられます。
社員に管理職になることを前向きに考えてもらうためには、企業が管理職をサポートする環境と体制を整えておくことが大切と言えます。
今更感がある
若い時は仕事へのモチベーションが高くがむしゃらに働いていたけれど、40代になるとモチベーションの維持ができず、ただ落ち着いた環境で働ければ良いという考えをもつ人もいます。
「今さら出世をしてもあまりメリットが得られない」「できればこのまま一般職員として気楽に会社員人生を全うしたい」など、管理職をネガティブに捉えてしまいがちな人や現状を維持したいと考えている人もいます。また、ワークライフバランスを重視して、プライベートを大切にしたいと思っている人もいるでしょう。
これらの考え方を変えるには、管理職になるメリットの提示や社員のモチベーションを維持するための取り組み、ワークライフバランスの推進などを企業全体で実行していく必要があります。
管理職になっても安定性がない
昔は、管理職になることで自分の立場が安定するという印象を持たれていました。高校や大学を卒業した後、新卒として入った会社に定年まで勤めるという人も多かったので、就職した会社で出世をしていくのは一種のステータスでもあったでしょう。年功序列型の賃金制度や終身雇用が当たり前であったため、入社した会社で昇進していけば将来は安泰だという考えが大半でした。
しかし、現在は状況が大きく異なっています。日本企業は厳しい競争にさらされ、年功序列型の賃金制度や終身雇用が崩れてきているのです。管理職になったからと言って安定しているわけではなく、業績が悪くなればリストラの対象となることもあります。そのため、管理職になれば自分の立場が安定するというメリットが失われてしまったのです。
また、1つの企業で働き続けるのが当たり前でなくなった今、管理職になってキャリアの成長や年収アップなどを望むのではなく、転職によってそれらの望みを叶えようとする人が多くなったのも、管理職になりたいと思う人が減った要因と言えるでしょう。
女性が管理職になりたくない理由
管理職になりたくないというのは男女に共通する傾向ですが、特に女性は管理職を敬遠する傾向にあります。先に挙げた調査では、40代以外のすべての年代で「管理職になりたい」と考える女性の割合は男性より少ないという結果になりました。では、女性が管理職を敬遠する理由は何なのでしょうか。男性とは別の理由を抱えている場合も多いので、詳しく見ていきましょう。
仕事と家庭の両立が難しい
近年、結婚や出産を経ても仕事を続ける女性が多くなっており、専業主婦世帯よりも共働きをしている家庭のほうが多いというデータもあります。しかし、仕事と家庭の両立に悩む女性は少なくありません。
参考:男女共同参画局「令和3年版 男女共同参画白書」
男女平等という意識が浸透し、男性も家事や育児に参加するようになっていますが、年配の世代だと、まだまだ家事や育児は女性の役割と認識している人も多いです。実際、女性の方が男性よりも家事や育児に関わる時間は長いとされています。
そのため、管理職になって仕事量が増えると家庭との両立が難しくなって大変と思ってしまう女性が多いのです。女性に管理職の立場についてもらうためには、企業側のサポートが欠かせないでしょう。
出産後に復職できるか不安
出産や育児の際に産休や育児休暇を取得して一時的に職場を離れて、落ち着いたらまた働きたいと思う女性は多いでしょう。しかし、会社で出産や育児に関する制度が充実していないせいで退職を考えるしかない、復職が可能であっても保育園不足によって子どもを保育園に預けられない、といった理由から思うように働けないということもあります。
また、復職した後も子どもを保育園に迎えに行かなければならなかったり、子どもの体調が悪くなって休みを取らなければいけなかったりと、以前のようにバリバリ働くのが難しいというケースもあるでしょう。
このように、出産や育児をこなしながら働けるのかという不安を感じて、管理職になるのを躊躇してしまう女性は少なくありません。女性に「管理職になりたい」と思ってもらうには、会社側の制度を整える必要があります。産休・育休制度がしっかりと機能しているか、社内託児所の導入は可能かなど、女性に優しい環境づくりにも力を入れていきましょう。
社内で女性管理職の事例が少ない
会社の管理職がほとんど男性だと、女性管理職として働くイメージが湧かなくて不安、自分にはできないのではないかというマイナスな印象を与えてしまう可能性があります。女性管理職の前例がないと、「どのように立ち回れば良いのか分からないまま自分でやり方を模索していくのは大変そう」「女性管理職が自分しかいない状況だと注目されてプレッシャーに感じる」といった心理的なハードルが高いです。
しかし、女性管理職が当たり前にいるような職場であれば、女性管理職が働いている姿を見ながら働けるため、精神的な不安を軽減できるでしょう。そのため、企業では女性管理職の前例を増やし、精神面でのマイナスな印象を軽減できるように働きかけると良いです。
自分の能力やスキルに自信がない
女性の中には、自分の能力やスキルに自信がないという理由で管理職になるのを拒む方もいます。女性が管理職になると、「女のくせに自分より上の立場になるなんて」と思う男性が少なからずいる可能性があるでしょう。近年では男女平等という考え方が広まっていますが、年配の男性にはまだこういった考え方をしている方もいます。
女性が管理職としての成果を得るためには、こういった男性の意見も跳ね除けてチームをまとめていかなければいけないのです。しかし、自分のスキルに自信が持てず、「管理職として働ける気がしない」と諦めてしまう女性も少なくありません。
若者が管理職になりたくない理由
20代~30代の若手社員も、管理職になりたくないと思っている方も少なくありません。
現在の若者社員は、積極的に同期の間で目立とうとする行動や、他者に勝つことにこだわる行動が見られず、キャリアアップを意欲的に行う積極性はあまりない傾向にあります。
ここでは、若者が管理職になりたくない理由についてご紹介いたします。
プライベートの時間を優先したい
引用:リクルートキャリア「若手の中途採用・転職意識の動向」
現代の若い世代は、仕事よりもプライベートを重視する傾向が強いとされています。リクルートキャリアが実施した若手の中途採用・転職意識の動向に関するアンケートでは、仕事をする上で重視することは何かという質問に対して、「プライベートの時間を十分に確保できる」と答えている若者が全年代と比較して多くなっています。
「出世をしたい」といった上昇志向があまりなく、管理職にならずに一般社員としてプライベートと両立させながら働いていきたいと考えている人が多くなっています。仕事中心の生活を送るより、趣味に没頭したり友人同士の付き合いを大事にしたり、プライベートの時間を優先させたいと思っているのです。
副業をした方が稼げる
管理職になれば、役職手当や基本給のアップによって収入が多くなります。しかし、残業代が出ない企業もあるため、思ったような収入が得られない、負担に見合った収入になっていると感じられないということも珍しくありません。
管理職として働くよりも、副業をしたほうが効率的に稼げると考える人もいるようです。副業の種類はさまざまですが、インターネットなどを使って自宅で稼げる副業などもあり、本業がある場合でも無理なく働けます。趣味を兼ねて副業を行った結果、本業ほどではないもののまあまあ稼げるようになったという人もいるでしょう。
現代では、副業は身近なものになっているので、管理職にならなくても収入を増やすことができるという意識が若手社員の間で芽生えてきています。そのため、企業は収入のアップ以外のメリットも提示できるようにしておく必要があります。
ずっと現場で働きたい
「現場で働くのが好き」、「専門性を極めたい」など理由はさまざまですが、若い世代の中には、管理職になるよりもずっと現場で働きたいと感じている人も多いようです。勿論、ずっと現場でキャリアを積んでいけば専門性は高まりますし、効率的に仕事ができるようにもなります。しかし、会社に必要なのは現場で活躍する人だけではありません。現場の人たちを束ねる管理職も必要なのです。
若い世代の場合、仕事を覚えて年数が経った頃は段々仕事の面白さに気がついてくる時期でもあります。目の前のことに精一杯で、マネジメントする管理職は自分とは遠いものというイメージで捉えているケースもあるので、企業側が意識をしてもらえるように働きかけていきましょう。
自分には適正がない
自分には管理職が向いていない、自分では上司としてチームをまとめることができないと感じている人も多いです。管理職にはコミュニケーション力が不可欠で、上司とも部下ともうまくコミュニケーションを取らなければなりません。
また、いざという時には大きな決断をしなければいけないこともあり、リーダーシップを発揮する必要があるなど、管理職にはさまざまな能力が必要です。管理職のそういった姿を見ている方の中には、自分にはとてもできそうにないと感じてしまう人もいるでしょう。
しかし、こういった能力は元々の素質もありますが、経験や教育によっても身につけることが可能です。企業でも管理職として成長してもらうための取り組みを行っているということを社員に提示して理解してもらえれば、管理職へのハードルも下がるのではないでしょうか。管理職になりたくない社員への人事部の最適な対応は?
管理職になりたくない社員への人事部の最適な対応は?
企業にとって、管理職は欠かせないポジションです。では、管理職になりたくないという社員に対して、人事部ではどのような対応をすれば良いのでしょうか。ここからは、管理職になりたくない社員への人事部の最適な対応について解説していきます。
社員が管理職になりたくない理由を把握する
管理職になりたくないという社員に対してはまず、「なぜ管理職になりたくないのか」という理由をきちんと把握する必要があります。人によって、抱えている「なりたくない理由」はさまざまなので、理由に合わせた対応方法を取っていく必要があります。
例えば、仕事の負担が多いのが嫌なのであれば、業務内容を見直して負担を軽くする、サポート役をつけるといった対処法が挙げられるでしょう。このように、最適な対応を取るためには、「管理職になりたくない」理由を把握しておかなければいけません。
管理職になることによるメリットを提示する
「管理職になりたくない理由」が分かったら、今度は管理職になることによるメリットを提示していきましょう。社員は管理職になる場合のマイナスな面ばかり考えてしまっていて、具体的にどのようなプラスの面があるのかを把握できていない場合もあります。
ここでは、管理職になるメリットを紹介していくので、社員にメリットを伝える際の参考にしてみてください。
マネジメント能力が身につく
管理職は労務管理や人材管理などを行うので、自然にマネジメント能力が身につきます。管理職は、部下一人ひとりの能力を把握し、最適な目標を設定してその進捗状況を確認しながら業務を遂行していかなければいけません。
現在の状況を的確に見極めて仕事を割り振ったり、何か問題が起こった時に率先してトラブル解決に向けて行動したりなど、管理職として働くことで、柔軟に対応できる能力を身につけられるのです。人をまとめるのは、管理職でないとなかなか経験できません。あらゆる現場で役立つマネジメント能力を身につけられるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
年収アップも狙える
管理職になると、基本給や賞与が上がるので年収アップが狙えます。会社によっては役職手当がつくこともあるでしょう。
残業代の支給がなくなることから年収が減ったように感じる人もいますが、残業代は残業をしなければ支給されません。働き方改革が進んでいる現代では、残業を減らすための努力をしている企業も多いでしょう。
そのため、今後残業による収入のアップを見込めなくなる可能性もあります。基本給が上がれば安定的に高い年収が期待できますし、安定した給料を求めている人には魅力的でしょう。
キャリアアップをしやすくなる
管理職の経験は、キャリアの上では大きな財産です。特に転職を考えている人の場合、管理職の仕事をした経験があれば、管理職の人材を募集している企業にも採用されやすくなります。
管理職になったというのは会社から仕事を評価されていたという証でもあるため、一定の能力が備わっていると考えられるのです。履歴書や職務経歴書などに管理職の経験が記載してあれば、それだけキャリアの幅が広くなるでしょう。
一般職は若い人を求める傾向があるので、年齢が上がるにつれて転職するのが難しくなります。しかし、管理職などのハイキャリア向けの求人であれば、年齢が上がっても採用される確率が高いです。
管理職としての役割と本人のやりがいの間につながりを見つける
仕事をしていく上で、やりがいや働きがいを感じながら働いている人は少なくありません。また、仕事に没頭しているうちに組織に対して自然と愛着を感じるようになるということもあるでしょう。管理職にはなりたくないと感じている社員でも、「顧客と関係性を作ることや後輩の相談に乗ることは好きだ」というようにやりがいを感じている部分があるはずです。
人事部の大きな役割の一つは、社員一人一人のやりがいと管理職としての役割の間に繋がりを見つける支援をすることです。「こういったやりがいや愛着の中に、管理職としての役割と重なる部分があるのではないか」というように、社員に気づきを与えることが求められます。管理職としての役割が本人のやりがいにつながれば、管理職を目指すきっかけになってもらえるはずです。
管理職の待遇や仕事内容などを詳細に説明する
管理職を打診する際には、管理職の待遇や仕事内容などを詳細に説明することが重要です。管理職を敬遠している人の中には、「管理職は大変そう」というイメージだけでなりたくないと思っている人もいます。
そのため、社員が持っているイメージと実情がかけ離れていることもあるのです。そういったギャップを埋めるためには、丁寧な説明が欠かせません。
社員も、細かい部分まで具体的に説明してもらえば、自分が管理職として働く時のイメージがしやすくなるでしょう。実情を理解した結果、「そんなに大変な仕事ではないのかもしれない」「自分にもできそう」といったポジティブな印象を持つ場合もあるでしょう。
人事部は、どういった点が不安なのかをきちんと聞き出して、それを解消するための提案をすることが大切です。
「なぜあなたに管理職を任せたいのか」を具体的に伝える
多くの人は期待されると嬉しいもので、それに応えたいという気持ちが自然に湧いてきます。そのため、管理職に任命する時には、「なぜあなたに管理職を任せたいのか」を具体的に伝えるのが効果的です。
その人の長所や持っている能力などを挙げ、それが管理職としてどう活かせるのかを伝えるようにしましょう。そうすることで、社員は自分自身の能力について再確認できますし、自分が会社から評価されているという印象を持ちます。自分からやってみたいという前向きな気持ちが湧いてくることもあるでしょう。
自分自身を過小評価している人も多いので、管理職として十分やっていけるという理由を示せば安心感につながります。
先輩の管理職社員や直属の上司との対話の機会を設ける
管理職に不安を感じている社員には、先輩の管理職社員や直属の上司との対話の機会を設けることも検討しましょう。管理職の経験者に、管理職のやりがいや大変なところなどを事前に聞ければ、社員にとっての精神的なハードルを下げられるでしょう。
また、どんなところに苦労したのか、どうすればその苦労をしなくて済んだのかなどを話し合えれば、同じ失敗をする可能性も低くなります。「管理職に任命された際にどう思ったのか」「管理職になったことでどのような良い点があったのか」など、経験者の実体験から社員が抱えている疑問点や不安点を解消できれば、社員に管理職になってみたいと思ってもらえるかもしれません。
管理職のキャリアパスを考える研修を行う
非管理職向けに、自社の管理職になった際のキャリアを考える研修を行っている企業も存在します。管理職はどういった役割を果たす必要があるのかだけでなく、管理職になった際のキャリアパスや管理職にならなかった際のキャリアパスを非管理職のうちに考える機会を持つことで、管理職への興味・関心を醸成することができます。社員の管理職に関する疑問も解消できるでしょう。自社でそのような取り組みがない場合は研修を検討してみてください。
アルーでは、管理職に向けた研修を行っております。複雑で移り変わりの激しい現代で変化に適応できる管理職職員を育成したいとお考えの人事担当者の方は、ぜひ一度ご検討ください。
▼アルーの管理職研修について詳しくはこちらのページをご覧ください。
管理職ではなく"職業人"を目指してもらう
管理職になりたくないと考える社員を無理に昇進させるのではなく、一流の「職業人」を目指してもらうという選択肢もあります。現代の働き方やキャリアパスは様々で、管理職になることだけが唯一の道ではありません。管理職以外のキャリアパスを提示し、その人らしい働き方を叶えることも検討しましょう。
ただし、管理職にならなかったとしても、仕事への情熱とプロフェッショナル意識を持って働くことは必要です。管理職にならなかった中堅社員以上に対しても定期的に研修の機会を設け、仕事への熱意を維持できるように人事部がサポートしましょう。日常業務から離れて改めて自分の経験や仕事と向き合うことで、仕事への熱意を取り戻してもらうことができます。
アルーの研修事例
アルーは実績20年の人材育成・研修のプロフェッショナルです。これまで、管理職への意欲を高める研修や管理職にならなかった社員向けの研修を多数実施してきました。ここでは、その内の代表的なものをご紹介します。
カルビー株式会社
カルビー株式会社には、食品メーカー合同の若手女性社員研修を導入いただきました。
同業種の20〜30代の女性社員が集まり、刺激を与えあいながらキャリアについて考える研修です。自身のキャリアを自律的にデザインし、行動までつなげることを目的としています。
カルビー株式会社では、役職候補者向け育成プログラムの前段階として当研修を活用しています。当研修で自律的にキャリアを描くことで、次の役職候補として出てくるという流れを実現できています。
カルビー株式会社の研修事例について詳しくは以下のページをご覧ください。
【カルビー株式会社導入事例】【食品メーカー合同】社外に同志を作る若手女性研修
▼事例資料をダウンロードする
女性社員が管理職を前向きに捉える女性管理職候補者研修
管理職への昇格が見込まれる女性社員に対し、昇格前の段階から研修を実施した事例を紹介します。
A社の女性社員は「自分にはリーダーシップが発揮できない」と思い込んでいることが多く、「自分には管理職は務まらない」と考えてしまっている傾向にありました。
そこで、マネジメントに関する知識やスキルを付与するだけでなく、思い込みを取り払い、実際に行動変容を後押しするための支援を重視して研修を実施しています。
「やりたい」×「できる」×「できそう」の3拍子を揃える研修設計を行い、スキルの習得だけでなく、得たスキルを積極的に活用してもらうための心理状態を作りました。その結果、女性管理職候補者が管理職としての役割を前向きに捉え、自身が活躍できるイメージを具体的に持てるようになりました。
職業人としての熟達を目指した研修事例
管理職にならなかった社員に対し、職業人としての熟達を目指した研修事例を紹介します。
B社では、現場を支える中堅社員が日々の業務に忙殺されてしまい、視野も狭くなって仕事に対する熱意が下がっているという課題がありました。
そこで、目の前のことだけではなくもっと広い視野で物事を見て、普段気づかない仕事の面白さに気づいてもらおうと研修を実施しました。
当研修は、次の3つのステップを踏むことを意識して設計しています。
- 目の前の「MUST」からいったん離れる
- 自分自身をよく知る
- 「自分」と「仕事」の繋がりを考える
このステップを踏むことで、会社から「こうあるべきだ」と押し付けるのではなく、社員自身が自分で選択肢に気づき、自分で選ぶことができるようになっています。
まとめ
企業の課題の1つに管理職を育てることがありますが、近年は管理職になりたくないという人が増えています。しかし、企業は管理職がいなければ成り立ちません。そのため、人事部では、管理職になりたくないと思っている人に対して「管理職になりたい」「管理職として働くことに興味がある」と思ってもらう必要があります。
主な対策方法としては、管理職のメリットについて丁寧に説明する、管理職になった際のキャリアパスと管理職にならなかった際のキャリアパスを考える研修を行うなどが挙げられます。
人材育成会社のアルーでは、管理職向けの研修を行っています。「管理職向けの研修を行ったことがないので、具体的にどのようにやっていけば良いのか分からない」「自社の研修であまり効果が得られている気がしない」など、管理職向けの研修でお悩みの人事部ご担当者様は、ぜひアルー株式会社にご相談ください。
▼アルーの管理職研修について詳しくはこちらのページをご覧ください。