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変革型リーダーシップとは?理論や具体例、変革型リーダーに必要な要素を解説
現代のビジネスにおいて、10年先でも20年先でも変わらずに、同じ事業や仕事を続けられることは稀なことではないでしょうか。特に新型コロナウイルス感染症後の社会は、世の中の情勢が不透明でかつ、これまで以上に早く移り変わっているため、時代の要求に応えるサービスを提供し続けることが困難になっています。
企業を取り巻く外的環境だけでなく、企業で働く人々の意識も変化しています。
そんな変化の激しい現代において、企業を成長・安定させるには、常に社内外の変化に適応し、挑戦し続けることが必要不可欠です。そんな時に求められるのが、変革型リーダーシップです。
本記事では、そんな変革型リーダーシップをテーマに、理論や具体例、変革型リーダーに必要な要素を解説します。
▼変革型リーダーシップに役立つ研修3選
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変革型リーダーシップとは何か
変革型リーダーシップは、1977年にハーバード大学のZaleznikがリーダーシップ(新たな事業の創出を行う)とマネジメント(既存事業の管理をする)の区別をした考え方を参考にして生まれ、1980年代のアメリカで広がりました。
変革型リーダーシップの定義として分かりやすいのは、1986年にノール・M・ティシーが提唱した「生き残りのために企業を変化させることができるリーダーシップ」ではないでしょうか。当時のアメリカは経済の停滞期にあり、ジャパンアズナンバーワンという書籍が出るほど日本企業が世界で活躍し、日米貿易摩擦が問題となっていた時期です。そうした中で、アメリカの産業や企業には、変革の必要性が唱えられていました。
そんななか、社会の需要に合わせて組織を変革し、メンバーに強い影響力を与えるカリスマ的なリーダーが求められていたのです。
変革型リーダーシップ理論
変革型リーダーシップで良く知られているのが、コッター理論です。コッターは、リーダーシップとマネジメントの期待役割と関心領域を明確に区別し、以下の表のように整理しました。
方向性の設定 vs 計画と予算の策定
マネジメントの課題のひとつは、決められた目標を達成するために、秩序だった計画を立案することです。一方でリーダーシップの課題は、組織やチームの方向性を設定し、顧客やメンバーなど重要なステークホルダーの利益にどのように貢献できるかビジョンを描くことです。
人心の統合 vs 組織編成と人員配置
マネジメントの課題は、正確で効率的に計画を遂行できる組織づくりです。たとえば、人員配置、指揮命令系統、給与制度などが組織づくりに当たります。リーダーシップの課題は、メンバーや関係者とコミュニケーションを取り、信頼を獲得することです。メンバーから信頼されることで、組織やチームの目線がそろい、メンバーの主体性も高まります。
動機付け vs 統制と問題解決
マネジメントには、管理を強化し、リスクを減らすことが求められることに対して、リーダーシップは、ビジョンの実現に向けてメンバーや関係者のエネルギーを高めることが求められると定義されます。たとえば、達成感、自尊心、社会に求められることをしている感覚など、基本的な欲求に訴えて、メンバーを動機付けることがリーダーの役割です。
このコッター理論は30年以上前の発表ですが、現在の考え方にも通じています。現在では、リーダーシップを発揮できるタイプとマネジメントで活躍するタイプとに単純に分けて考えるのではなく、その人のリーダーシップ適性とマネジメント適性の数字をそれぞれに見比べながら、組織やチームの事情に合った配置や人材育成をおこなえるようになっています。
変革型リーダーの3つの要素
そんな変革型リーダーシップには以下の3つの要素が必要だといわれています。
- カリスマ性
- 個別的配慮
- 知的な刺激
カリスマ性とは、ビジョンやミッションを明確に掲げ、さらに優れた能力や目標達成への貢献などによってメンバーから信頼の対象となり、ロールモデルとなって影響力を与えることを指します。個別的配慮とは、メンバーそれぞれを個人として扱いコーチングし、アドバイスをすることです。知的な刺激とは、メンバーに知的刺激を与えることによって、たとえば古い問題を新たな方法で考えることにつなげることです。メンバーの創造力や問題解決力などを高めることで、価値観に影響を与えます。
変革型リーダーシップの具体例
変革型リーダーシップを発揮した成功例にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、ひとつの事例としてHondaの本田宗一郎氏を紹介したいと思います。
初めて視察した海外レースで圧倒的な技術格差を見せつけられた本田氏は、そこで折れてしまうことなく、海外強豪が参加するオートバイレースで優勝する、という高い目標を立て、変革ビジョンを設計したといわれています。レースで勝つためには、今までと同じようなエンジンを作っていては駄目だと考え、エンジンの回転数を上げる技術開発を進め、1959年にレースに初出場し完走。1961年のレースで初優勝を果たしました。
海外のレースで優勝する目標を掲げ、それを実現するためにエンジンの回転数を上げるという主要戦略を設定し、Honda(当時は本田技研)の技術力を世界にアピールすることを説くことで社員の挑戦意欲をかき立て、動機付けた事例です。また、常に現場やお客様のことを考えていた本田氏は、社員から絶大な信頼を得ていたとも言われています。
このように、仕事が生み出す価値の重要性に気づかせ、個人の利益だけでなくチームに貢献するように促し、言われたこと以上の努力と結果につなげられるのが、変革型リーダーシップの大きなメリットです。
変革型リーダーシップの問題点
ここまで、変革型リーダーシップについてご紹介してきました。変革型リーダーシップの大きな特徴は、「ビジョン」を持って組織変革を導いていくことです。ですが、日本の組織は大きな変化を忌避する傾向が強く、カリスマ的な存在が組織内から誕生することを望まない体質があります。
日本の企業や社会はもともと安定していることに加え、決して悪いことではありませんが、歴史を大切にする風潮があり、これまで築き上げてきた現状を維持しようとする圧力が働きます。
そんなとき、「ビジョン」を掲げて変革の必要性を訴える存在がいたとしても、実際に周囲が動いてくれる可能性は、非常に低いと言わざるをえません。よかれと思って行動したのに反発を買い、信頼を失ってしまうことすらあります。
日本で成功する変革型リーダーシップとは
変革は自分ひとりでなしえることではありません。必ず周囲の人にも動いてもらう必要があります。ですが、変革のための行動は、現状を変えることにつながります。つまり、自分も他者も、コンフォートゾーンから抜け出さなくてはいけません。
そのためには、他者を動かす大きな影響力が必要不可欠です。
そして、同調性が強い日本人の行動力に影響を与える要因のひとつが「人間関係」です。
「この上司についていきたい」、「この人と一緒に働きたい」と思わせる行動を普段からできていて初めて、変革型リーダーが掲げる「ビジョン」に同調してもらうことができるのです。
変革型リーダーを育成するためには
変化の激しい現代において、持続的に競争に勝ち、企業を存続していくためには、いざというときに変革型リーダーシップを発揮できる人材を、企業内で育てておく必要があります。変革型リーダーシップはスキルの要因もありますが、それ以上に内面の適合性が重要なため、採用のときにその内面を見抜くことは困難です。ですが、後天的に身につけられる要素もあるため、多くの企業では、次世代を担うことを期待されるような人材を集め、選抜型での研修を実施しています。採用だけでなく、既存の社員やリーダー、管理職を育成するプロセスを構築していくことも企業の重要な課題です。
アルーの変革型リーダーシップ導入事例
人材育成を手掛けているアルーでは、これまでにさまざまな企業で変革型リーダーシップを導入するための施策を支援してまいりました。ここからはアルーがこれまでに支援した中から、変革型リーダーシップに関する事例を2つ厳選して紹介します。
東急株式会社様
社会やビジネス環境の重要な変化に対応するため、東急株式会社様は育成施策の見直しを行っていました。この取り組みの中でアルーがサポートさせていただいたのが、「インサイドアウトのリーダーシップ」を実現する、変革リーダー育成ための研修プログラムです。
この事例では、2022年の8月から12月にかけて、計10日間にわたるプログラムが展開されました。8月〜9月の研修の初期段階では、課題設定や戦略策定に必要な知識を中心に提供し、その後は実際の業務現場での実践を重視しました。2回のワークショップでは、実務経験をもとにした振り返りを行い、更なるリーダーシップの向上を図っています。
詳しい事例は、以下のページをご確認ください。
経営人材の鍵は、矛盾を両立するインサイドアウトのリーダーシップ(東急株式会社)
変革型のリーダーシップ開発研修事例
大手企業A社様では、他者の期待に応えることができるものの、熱量がなかったり言葉が他者の受売りだったりして、メンバーがついてこないリーダーがいることに悩んでいました。理念を掲げられないことで、メンバーの行動を変えることができず、業務上の支障にもなっていました。
そこで、部長層を対象とした研修の中で、変革型のリーダーシップについて学ぶ機会を設けました。
研修では部長が目指すべきリーダーに近づくために、「自分を導く」ことで周囲や環境を導くリーダーシップを学んでもらっています。
本事例の詳細は、以下のページから詳しくご覧いただけます。
変革型のリーダーシップ研修事例
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変革型リーダーシップならアルーにお任せください
変革型リーダーシップを身につける研修なら、ぜひアルーへお任せください。
アルーでは、変革型リーダーシップを実現するための研修プログラムをご用意しています。研修の企画段階から丁寧に伴走させていただくため、お客様のニーズに合わせて研修プログラムをカスタマイズすることが可能です。
また、eラーニングを活用したブレンディッドラーニングの実施や、オンライン研修の実施にも柔軟に対応させていただきます。
変革型リーダーシップを身につけるのに役立つアルーの研修は、以下のページから詳しくご覧ください。
変革型のリーダーシップ
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まとめ
本記事では、変革型リーダーシップをテーマに、理論や具体例、変革型リーダーに必要な要素を解説しました。
変化の激しい現代社会で、人と企業の持続可能性を高めるために、リーダー人材にはこれまでにない役回りが求められています。変革を実現させるリーダーの育成は喫緊の課題と言えます。変革型リーダーシップを導入する際には、ぜひこの記事で解説したさまざまなポイントを意識しながら、社員の能力育成に取り組んでみてください。