全社員をDX人材に!育成の優先順位と学びの内容
これまでのDX人材育成のトレンドは選抜型育成でした。しかし、一部の社員をDX人材として育てても、他の社員のデジタルスキルや意欲が低い故に職場全体のデジタル化が進まないということが多々あります。そこで、全社員のDX人材化を進めていこうという時流が生まれています。
しかし、実際には全社員に一斉にDX研修を行うことは難しいでしょう。全社員のDX化を目指す場合も、育成の優先順位をつけてそれぞれの対象者に適した学びを提供する必要があります。
この記事では、育成対象の優先順位の付け方や対象別の学びの内容、目指すべきレベルを解説します。DX人材育成の全体像については『DX人材の育成ステップとポイントをわかりやすく解説【育成事例あり】』をご覧ください。
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育成対象の優先
全社員のDX化を目指すからといって、全社員に同時にDX研修の機会を提供することは難しいでしょう。社員の中には、DX・デジタル活用に興味があり自身で勉強している人、「DX・デジタル活用」という言葉を聞くだけで拒絶反応を起こしてしまう人など、様々なスキルや意識の人が混在しています。
DX・デジタル活用へのスキルや意識がバラバラな受講者にまとめてDX研修を行っても、満足いく効果は得られません。
まずは社員の中のどの層から育成していくか、優先順位を付けることが重要です。
優先順位のつけ方は企業によって様々であり、どのような戦略をとっているかによって異なります。ここでは、多くのDX推進に取り組んできた企業の声を基に、アルーのおすすめするDX人材のセグメンテーションと優先順位のつけ方をご紹介します。
対象者のセグメンテーション
まず、多くの企業で用いられている対象者のセグメンテーションをご紹介します。
- デジタルプロ人材
- デジタル企画人材
- デジタル活用人材
- デジタル入門人材
デジタルプロ人材
デジタルプロ人材とは、データサイエンス、エンジニアリング、UXデザインの各領域における高レベルの専門スキルを持つ人材のことです。IT専門部署で働く人材はこのデジタルプロ人材にあたることが多いでしょう。一方で、デジタルプロ人材は社内での育成が難しく、外部との連携により確保しているという企業も多いです。
デジタル企画人材
デジタル企画人材とは、デジタルを活用した商品・サービス・業務プロセスの企画など、中核となってDXを推進し、デジタル施策を牽引する役割を持つ人材のことです。企画部門やDX推進部といった専門部署で働く人材がデジタル企画人材にあたります。
今までのDX人材育成では、このデジタル企画人材に対して選抜型研修を実施してきた企業も多いでしょう。
デジタル活用人材
そして、全社員のDX化のカギを握るのが「デジタル活用人材」です。デジタル活用人材は、デジタル企画人材やデジタルプロ人材がつくった各種ツールを活用する立場の人材です。
たとえば、営業職の生産性向上のためにSFAを導入する場合、SFAの選定や構築、導入はデジタルプロ人材やデジタル企画人材が担うことが多いでしょう。しかし、導入されたSFAを実際に現場で使用するのは営業部門の管理職や一般社員です。営業職の社員が実際にSFAを使用し、改善すべき点をフィードバックすることで、さらに使いやすいSFAとなり、「営業職の生産性向上」というSFA導入の目的を達成することができます。
現場だからこそ持ちうる知識(=ドメイン知識)とデジタルを活用する力の両面を駆使し、提供するサービスの改善、現場の意見の反映を担うことがデジタル活用人材には求められます。
現場の社員がデジタル人材化していないと、導入されたデジタルツールが使用されず、失敗に終わってしまうことも少なくありません。だからこそ、デジタル活用人材は全社員のDX化において重要な役割を果たすのです。
デジタル入門人材
デジタル入門人材とは、DXの重要性、必要性を理解している人材のことです。知識として理解しているにとどまるため、実際に職場でDX推進を担う立場になるにはさらなる育成が必要な層です。
eラーニングで啓蒙動画だけ閲覧した社員などはデジタル入門人材にあたるでしょう。
デジタル活用人材を最優先で育成しよう
これら4つの人材の内、「デジタル活用人材」はボリュームが多く、さらに職場のDX推進において重要な役割を果たす層です。そのため、全社員のDX化を進めるためには、デジタル活用人材の育成を優先的に行う必要があります。
とはいえ、デジタル活用人材だけに限っても、一斉にDX研修を行っていくには対象者が多すぎることがほとんどです。
そこで、デジタル活用人材の中でも優先順位をつけることをおすすめします。
優先順位を決めるための軸は次の3つです。
- 対象者の役割
- 対象者の学習意欲
- 対象者のスキル
対象者の役割によって優先順位をつける
優先順位をつける際にまず検討すべきは、社員に期待する役割や階層によるセグメントです。よく用いられる分け方は、「一般社員」と「管理職」です。
このような役割で分けた場合、優先して育成すべきは管理職です。
なぜなら、管理職は職場の中核となる存在であり、管理職がDX・デジタル活用について理解を深めることで、職場でDX・デジタル活用を推進するリーダーとなってくれる可能性が高いからです。多くの社員に影響力をもつ立場であればあるほど、職場でのDX浸透の促進力を期待できるでしょう。
学習意欲によって優先順位をつける
社員のDX・デジタル活用に対する学習意欲によっても優先順位をつけられます。
アルーでは、学習意欲の高い社員から優先してDX研修を実施することをおすすめしています。
DX・デジタル活用の学習は、数学や統計の知識を学んだり、使用したことのないツールの使い方を覚えたりと、受講者に大きな負荷がかかるケースが多いです。そのため、DX・デジタル活用の学習意欲が低い社員は、途中で離脱してしまったり、十分に育成成果を得られないまま研修が終わってしまったりと、消化不良のままDX研修が終わってしまうことが多いのが現実です。
DX・デジタル活用に興味を持っており、研修への継続的な参加や自律的な学習を期待できる社員を選抜することで、負荷の大きい研修でも育成成果を得られやすくなります。
意欲がある社員を選抜するためには、手挙げ式の公募研修がおすすめです。学習意欲の高い社員を集めることができます。また、研修の参加条件として「すべての開催回に参加することが必須」といった文言を加えることで、より意欲の高い社員のみに選抜することも可能です。
スキルによって優先順位をつける
3つ目のセグメントの軸として考えられることは、社員が現在どれくらいのDX・デジタル活用に関する知識・スキルを持っているかということです。研修の到達目標を高いレベルに設定するのであれば、既にある程度知識や経験をもった人材を選抜することも有効です。
ただし、現場で働く社員の多くはプログラミングのような高度なIT知識・経験を持っていないことがほとんどでしょう。ほとんどの社員が標準的なレベルだと考えられるため、スキルによる優先順位付けは意味のあるセグメントにならないことが多いでしょう。
『管理職×意欲の高い社員』を優先して育成するのがおすすめ
アルーでは3つの軸の内、「役割」と「意欲」を基にセグメントし、管理職且つ意欲の高い社員から優先して育成することをおすすめしています。現時点でのDX・デジタル活用のスキルは問いません。
前述したように、管理職は周囲に与える影響が大きい傾向にあります。管理職にDX・デジタル活用について理解し実践してもらうことで、縦や横のつながりを通して職場全体にDX・デジタル活用が広がっていくことを期待できます。
また、管理職は仕事で何かしらの成果を上げてきたケースが多く、いわゆる「仕事のできる人」である可能性が高いでしょう。現場社員でなければ分からないドメイン知識をもっており、DX・デジタル活用で学んだ内容をどのように現場の業務に落とし込めばよいのかを考えることができるのが管理職です。
さらに、管理職の中でもDX・デジタル活用に意欲のある社員から選抜して育成することがおすすめです。
前述したように、DX・デジタル活用研修は知らない知識を積極的に吸収し、自律的に学んでいく意欲のある社員でないと、育成の成果に繋がらないことが多々あります。特に多忙な管理職は、学習への意欲がないと研修への出席すらしなくなる可能性があります。
そのため、管理職且つ学習意欲の高い社員から優先して育成することをおすすめします。
その後、優先して育成したこれらの人材に職場でDX・デジタル活用を進めてもらいながら、管理全体、そして一般社員へと育成対象を広げていくとよいでしょう。
『管理職×意欲の高い』社員に学んでもらうべき内容
優先して育成すべき管理職、且つ意欲の高い社員には、データサイエンスの基礎とIT・ソフトウェアの基礎をまず学んでもらいましょう。
データサイエンスの基礎知識
データの特徴を読み解き、起きている事象の背景や意味合いを正しく理解するために必要な知識です。データの比較対象を正しく設定し、数字を比べることができる力や、現象を読み解き、それらの関係を分析・考察し、表現できる力を身につけてもらいましょう。
アルーのDX・デジタル活用研修では、統計検定3級レベルの統計知識を学ぶことでデータサイエンスの基礎を身につけることを目指します。
IT・ソフトウェアの基礎知識
職場でDX・デジタル活用を進めていくためには、情報機器やシステムを活用するための基礎知識を理解している必要があります。
安全に情報の収集や活用をするために、関連法規・情報セキュリティや情報倫理に基づいた行動ができることはもちろん、情報システムの開発・運用に関する基礎知識を持っていることも求められます。
データサイエンスとIT・ソフトウェアの基礎知識を得ることで、職場の課題をデータドリブンに解決するための力を身につけることができます。
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