主体性がない社員の特徴とは?主体性を育てるコツも紹介
働いている際、「この人は主体性がないのではないか」と感じたことはあるのではないでしょうか。
しかし、一口に「主体性がない」といっても、具体的にどのような特徴を指すのかを理解している方は多くはありません。
主体性がないと感じる行動の要因は、本人の性格などの内的要因のほかに、置かれている環境や知識の乏しさなどが挙げられます。
この記事では、主体性がない社員の特徴や人事として社員の主体性を育てていくコツなどを解説します。
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そもそも主体性とは?
そもそも主体性とは、期待されていることは何かを自分で考え、自分から行動することを指します。
主体性がないとは、期待されていることを自分で考えたり行動したりなどせず、人から指示されるのを待つ姿勢でいることです。
アルーではこれまで多くの企業の人事担当者様をご支援してきましたが、多くの人事担当者様から「主体性のある社員を育てたい」という言葉を伺っています。
経済産業省が提唱している「社会人基礎力」でも、主体性は「前に踏み出す力(アクション)」として挙げられており、社会人の重要な能力の一つと捉えられています。
社会人基礎力は、業種を問わず多様な人々と仕事をするうえで必要となる能力として定義されており、新入社員だけでなくどの階層でも身につけていることが社会で求められているのです。
ただ、主体性と一言でいっても、抽象的でわかりにくいものです。
研修の場を例にすると、主体的な人は次のような行動をとっています。
- 自分の考えを発言している
- グループワークなどの演習で中心になって発言する
- 疑問点や不明点を積極的に質問する
- 元気に挨拶する
- 研修運営に必要な備品準備やレイアウト変更を手伝う
積極的に意見が発言できることや、考えて行動できる人が主体性のある人だといえます。
自主性との違い
自主性とは、一つの物事や状況に対し、率先して行動することをいいます。
率先して行動すること自体は、主体性と共通していますが、大きな違いとして、自主性はまず物事や状況ありきでの行動であるという点です。
主体性は何もないところから自ら考え、自分の意志で行動を起こすのに対し、自主性はすでにある物事や状況に対して行動を起こすという違いがあります。
やるべきことを決めるのが自分であるか、他者であるかの違いがあるため、社会人として成長するためには、自主性と主体性どちらも重要になってきます。
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主体性がない人の特徴
「新入社員に主体性がない」「言われたことしかやってくれない」とお悩みの上司の方や人事担当者の方も多いでしょう。
ここでは、主体性がない人の特徴について解説します。
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人の意見や環境に流されてしまう
主体性がない人は、主張が強い人の意見や楽な環境に流されてしまいがちです。
取るべき行動を自分で考えて決めることには責任が伴うため、つい「責任を取りたくない」と考え、人の意見に追従してしまう傾向にあります。
また、自分の考えに自信が持てない方は、周りに合わせておけば安心だという心理があります。
受動的
何事に対しても受け身の姿勢では、自ら考えて行動することはできません。
そのような受動的な人は、仕事において上司から指示のあった仕事をこなすだけで満足してしまいます。
与えられた仕事を発展させることや仕事の効率化を図って業務改善していくといった意識が希薄になってしまいがちです。
自己肯定感が低く、ネガティブ・マイナス思考
主体性がないと言われてしまう人の中には、自分に自信が持てないため、自分のアイデアも肯定的に考えられず、周囲に発言や提案できない人もいるでしょう。
また、自己肯定感が低いと何事もチャレンジしてみようという前向きな気持ちになれず、過去の失敗も引きずりがちです。
さらには、「どうせ自分がやっても失敗する」「どうせ上手くいかない」というネガティブな意識やマイナス思考が強すぎる傾向もあります。
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意思決定力がない
自信がなく責任を負いたくないという気持ちがあると、自分で意思決定ができなくなります。
決定権をすぐ相手に委ねてしまうため、上司からも大事な場面は任せられないという認識を持たれてしまう傾向にあります。
周りの評価を気にする
主体性がない人は、周囲から嫌われることや低く評価されることを恐れているため、積極的に自分の意見を表明したり、行動を起こしたりすることが少ない傾向にあります。
常に周りからの評価を気にしているため、「この発言をしたらどう思われるのだろう」「これを言ったら怒られるのではないか」と感じてしまいがちです。意思が弱く、周囲の意見にあわせることが当たり前になってしまうことも多いでしょう。
モチベーションが低い
主体性がない人は、仕事に対して無気力で向上心が乏しくなりがちです。
「言われたことをやっていればいい」「怒られなければ大丈夫」のような気持ちで仕事をしていると、自分から成長したいと思いが低く、難易度の高い挑戦をしなくなるでしょう。
モチベーションが低いがゆえに自分自身で目標を立てるのが難しく、また、目標を達成した経験も少ないため、達成までの過程を面倒に感じてしまいます。
これは、自分で行動を決め、責任をもってやり抜く覚悟が持てていない状態です。
自分の限界を先に決めている
プライドが高い人は、「できないことを自分で認めるのが怖い」あるいは「人から指摘されるのが耐えられない」という心理があるため、自分で決めたボーダーを越えてまで行動しません。
周囲からの期待があっても自分の限界を超えていると感じれば行動しないため、主体性がないとみられます。
主体性を発揮できない理由
主体性を発揮できないのは、目立ちたくないからといった心理的な理由だけが原因ではありません。
「行動すべき状況だと気が付かなかった」や「行動したくてもできなかった」などの理由も挙げられます。
社員が主体性を発揮するのを阻害する壁として、次の4つがあります。
- 技術の壁(やれない)
- 意欲の壁(やらない)
- 知識の壁(できていないことに気づいていない)
- 環境の壁(やりたくてもできない)
それぞれの壁について詳しく解説します。
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技術の壁
自分から考え、行動しようとする意思は持っているものの、行動するための能力が足りていない状態です。
しかし、この壁は行動するための方法ややり方が分かれば比較的簡単に乗り越えることができます。
意欲の壁
主体的に行動するための能力は持っているが、主体性を発揮しようとする意欲が足りないという状態です。
主体的に行動することに対し、自分や周囲にプラスになるという納得感を得ることができれば主体性の発揮につながります。
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知識の壁
主体性を発揮しようという意欲や能力は持っているが、主体性の発揮の仕方や期待されている水準を知らない状態になります。
この壁については、周囲や上司が何を期待されているかを明確に提示し、水準を理解してもらうことで改善できます。
環境の壁
主体性を発揮するための意欲も能力もあるものの、環境によって発揮できないという状況です。
業務に必要な情報など、主体性を発揮するために必要な環境を整えることで主体的な行動を促せます。
主体性を発揮してもらうための方法
新入社員や若手社員に主体性を発揮してもらうためには、上述した4つの壁を取り除くことが必要不可欠です。
主体性を阻害する一番の壁は「技術の壁(やれない)」だと思われがちですが、実は「環境の壁(やりたくてもできない)」であることも多いです。
環境の壁から知識の壁、意欲の壁、技術の壁の順に取り除いていかないと、主体的に行動できない状態が続きます。
ここでは、この4つの壁を取り除く職場での具体的な方法について解説します。
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業務に必要な情報を伝える
職場における環境の壁を取り除くには、まずは環境が整っているかを確認します。
社員が主体性を発揮できない場合や発揮しない場合、それは個人の内的要因(能力)に起因することがありますが、事前に上司から業務に必要な知識を与えられていないことも原因かもしれません。
たとえば、上司から業務の進め方に関して、適切な情報を渡さないまま「まず自分で考えてみて」という指示しかない場合、指示を受けた社員は何を考えれば良いかが分からず主体的に業務を進めることは難しいでしょう。
そのような状況のなかで、業務を進めるための情報や会議の目的など、伝えるべきことを伝えずに相手の主体性を求めるのは上司の怠慢になります。
主体性がない社員がいる場合、その上司の指導方法にも注意して見る必要があります。
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期待される行動を明確に伝える
知識の壁を取り除いて主体性を発揮してもらうには、どのような行動を期待するのかを明確に伝えておく必要があります。
どのような人も心のなかまで読めるわけではないので、伝えられていないことはできません。
そのため、察してほしいと考えるのは止め、しっかりと伝えるようにしましょう。
伝えるべき点は、以下の2つです。
- 日常で期待している行動の内容、場面、意味、水準、頻度
- 期待している業務や目標
特に2に関しては、「What(何を)」「Why(なぜ)」「When(いつ/いつまでに)」「Where(どこで/どの場面で)」「Who(誰と/誰に)」「How(どのように)」「How much(どれくらいの費用で)」の5W2Hを意識しながら確実に伝えることが大切です。
これらを伝えるのは上司の役割でありますが、それらを実行・実現するのは本人だということを意識しましょう。
期待していることがあいまいでないか確認する
期待していることがあいまいであることは珍しくありません。
期待の内容や水準があいまいだと、指摘が後出しになりがちになり、社員からは先にいっておいてほしかったのにという不満を抱かせることになります。
そのため、期待していることがあいまいになっていないか、相手の行動に対して適時フィードバックしていくことが重要になります。
行動へのフィードバックがなければ、期待する行動は定着しません。
また、言葉で伝えている期待と自らの行動が異なることのないように注意しましょう。
これはヒドュンメッセージ、ヒドュンカリキュラムといい、結果として伝えたいことと逆のメッセージを受け取ることがあります。
主体性を発揮することによるメリットを提示する
意欲の壁が問題になっている場合、主体性を発揮することで自分にとってメリットがあるということを提示しましょう。
主体性を発揮しようとするとき、発揮して得られるものと失うものの間で葛藤が起こります。
失うものよりも得られるもののほうが大きいということを提示できれば、主体性を発揮しようとする意欲はより高められるでしょう。
特に若手社員に伝える場合は、一般論でメリットを語るよりも自分にとっての利益(ベネフィット)について伝えるのが有効です。
主体性の発揮を促進するための研修の工夫
新入社員に主体性を促す研修を設計する時に、考えておかなければいけないことは、次の3つです。
- 主体性を発揮できる環境(情報、ツール、援助など)は用意できているか
- 期待する行動や目標は明確に本人に伝えられているか
- 主体性を発揮することで本人が得られるベネフィットを言語化して伝えられているか
具体的には、「プロジェクトワークで期待水準、情報、権限を与えたうえで行う」や「研修中に求める行動と頻度をルールとして提示し、できていなければフィードバックを行う」などといった工夫が必要です。
アルー株式会社のご紹介
アルー株式会社では、これまでさまざまな企業における新入社員研修の支援をしてきました。
そのなかで、主体性をもった人材を求めていることや主体性を育てることの難しさについて多くの相談を受けてきた実績があります。
主体性を育てるためのノウハウをお知りになりたい方は、ぜひこちらの動画をご視聴ください。
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