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上昇志向が持てない若手&中堅社員に必要な3つの対策

最近、転職を斡旋・サポートする企業のTVCMがとても多くなったように感じます。
これは、少子高齢化により日本の労働力全体が縮小されていくなか、さまざまな企業が人手不足で困っている証明であり、コロナ禍により守りに入っていた企業が、新たな人材を獲得し攻めに転じようとしている姿勢が表れています。
また、新たなスキルを身につけさせる「リスキリング」という新しい言葉が出てきたように、人材獲得だけでなく社員の成長にも積極的な企業が増えてきました。そしてこれに加えて、ネット上ではオンラインセミナーや学び系の動画など、この数年で多種多様な学ぶ機会もたくさん創出されました。これらの企業や環境の変化は、本人さえ望めばいくらでも成長できる機会や、会社で活躍できるチャンスが得られる世の中になってきたことを表しているように思えます。
しかし、そんな今の流れには乗らずに、数多くのチャンスにも興味を示さない人たちがいます。仕事は真面目にしっかりやるが今以上のポジションを望まず、周りの人たちからみても、実力はあるのだからもっとガツガツいってもいいと思われている人たちです。いつも遠慮がちで自分から仕事を取りにいこうとしない彼らに、上司やリーダーはいつも歯痒い思いをしています。
日本のビジネスパーソンは最も“学ばない”といわれ、また、最近の若手社員の4人中3人は出世を望まないともいわれています。なぜ、日本のビジネスパーソンは成長意欲や上昇志向が低いのでしょうか。
今回のコラムでは、真面目だけど出世や成長に対して強い思いがもてない若手・中堅社員の特徴や、成長意欲や上昇志向がもてない原因、彼らのマインドを変える対策について解説します。


	中堅社員のモチベーション低下の原因や解決法を紹介


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目次[非表示]

  1. 1.上昇志向がない若手・中堅社員の特徴とは
  2. 2.上昇志向が持てない3つの原因
  3. 3.上昇志向が持てない若手&中堅社員の不安
  4. 4.上昇志向が持てない若手&中堅社員に必要な3つの対策
  5. 5.若手&中堅社員に上昇志向を持ってもらうための人材育成研修とは
  6. 6.上昇志向が持てない若手&中堅社員にお困りならアルーにお任せください
  7. 7.まとめ


上昇志向がない若手・中堅社員の特徴とは

すでに中堅社員と呼ばれるだけの経験や実力を持ちながら、リーダーや責任ある立場につこうとしない人や、指示された仕事は真面目におこなうが、みずからできる範囲を広げようとしない若手社員など、上昇志向が弱い、または上昇志向そのものがない人たちがいます。会社のなかでも目立つ存在とはいえませんが、主に以下のような特徴があります。


特徴その1:ふだんから仕事全般で自信がない

自分の実力に自信がなく、最初から「自分には出来るはずがない」と考える傾向があります。そのため、自分から手をあげて仕事を取りにいくようなことはあまりなく、上司やリーダーから指示されたものだけをやろうとします。
また、会議などでも自分から意見を述べるような場面はほとんどみられません。真面目に取り組む姿勢はあるものの、周りからはやる気がないように思われる場合もあります。


特徴その2:仕事での失敗を嫌う

与えられた仕事で失敗をしたり、誰かから怒られることをとても嫌がります。プライドが高いともいえますが、自らの実績で評価を高めるよりも、失敗をせずにそつなく仕事をおこなうことでプライドを守ろうとします。また、自分に自信がないことにも繋がりますが、その実力がない自分が明るみになることを嫌がります。そのため、誰もやったことがない新しい仕事や、多くの人と関わるような仕事には消極的な姿勢をみせます。


特徴その3:変化よりも現状維持を好む

仕事の難易度や自信の有無には関係なく、やり方やルールが変化することそのものを嫌がります。新たなものに変わることで、未知のリスクを抱えるよりは、すでにわかっているもので現状維持をしたほうが、自分だけでなく全体にとっても安全で最適だと考えています。

もちろん、会社のなかには、これらの特徴1から3のすべてにあてはまる人でも、上昇志向を持っている人もいます。今の自分自身が嫌でなんとか変わりたいと考えている人たちです。しかし、どうすれば自分自身の考え方や性格が変えられるのかもわからず、いつかこれなら大丈夫だと思えるチャンスが到来することをじっと待っています。


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上昇志向が持てない3つの原因

上昇志向が持てない原因は、その人の性格や周りの環境などさまざまです。
その主なものとして以下の3つがあげられます。


原因1:本人の価値観や考え方から現状維持を選択している

努力してもどうせ報われない、頑張っただけ損をする、大変な思いをするくらいなら、周りの状況をみながらうまく立ち回るほうが賢いと考えているケースです。仕事で評価されたり、給与が上がれば嬉しいと感じますが、その実現のために掛かるストレスのほうが気になってしまい、仕事に対して自分からアクションを起こすことがありません。
もちろん、悪い評価を受けてもっと大変な状況になるのは本末転倒なので、適度に仕事はこなします。こういった考え方は誰にでもあるものですが、これまで努力があまり報われなかったと感じている人は、特にこの考え方が強く、周りからの叱咤激励もあまり効果がありません。


原因2:自分の仕事が正当に評価されない環境にいる

原因1との違いの見極めが難しいですが、現場の社員間での作業負荷バランスが悪い、会社側の評価制度に不公平を感じるなど、その人から見て外的要因に起因するものです。実際、社員が評価される基準がわかっておらず、管理職によって評価ポイントがバラバラだと感じている人は珍しくありません。
また、ポジションによる役割分担のバランスも悪く、上になればなるほど、明らかに貧乏くじを引かされていると感じている人もいますし、目の前の仕事に忙殺される日常が当たり前でこれ以上何かを考えたくないという人もいます。
この状態にある人は、上昇志向が持てないどころか、目の前の仕事のモチベーションを下げてしまうことすらあります。このなかには、今の仕事に時間とパワーを使うよりも、別のことに使ったほうが得策と考えている人もいます。


原因3:何を目標にすれば良いかわからない

潜在的には、評価されたい、スキルアップしたいと考えながらも、今の自分に何が必要なのか?、それを見つけるためにはどうすれば良いのか?がわからないという状態です。自分が持つスキルやこれまでの成功体験などから、自分が将来どうなりたいかをイメージできると良いのですが、たとえば業務範囲が限定的だと、これといったスキルもなく、これをやればうまくいくという方法も自分自身では見出せないと考えてしまいがちです。
そのため、これなら出来るかもと思えるものをみつけても、最初は興味を持ちますが、どう取り組めばよいかわからずに、結局、あきらめてしまいます。自ら高望みしないように最初からブレーキをかける癖がついている人もいます。


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上昇志向が持てない若手&中堅社員の不安

上昇志向を持ちたくても持てない人が抱く不安とは、今後のキャリアや人生に対する不安です。
近年では、ダイバーシティ&インクルージョンが推進され、多様な価値観や働き方認められています。それ自体は素晴らしいことですが、上司が若手社員や中堅社員に過度に配慮してしまい、仕事で必要なコミュニケーションができていないケースが増えています。 
上司が部下を放置してしまうと、部下は不安を自分で抱えてしまい、自社外が働く同世代の活躍やスキルに目が向きます。そうして不安が増大すると、諦めの感情や退職へとつながってしまいます。管理職には、今、多様な社員に正しく向き合う力が求められています。

    目頭を押さえる男性


上昇志向が持てない若手&中堅社員に必要な3つの対策

上昇志向が持てない人は、ステップアップしたいという欲や、そのための精神力よりも、その実現のために掛かるストレスの方が大きいと感じている人です。そしてストレスを感じているものが何であれ、ステップアップ実現のための本人のやる気と、それに掛かるストレスの大小関係を逆転しない限りは、上昇志向を抱き、それを維持することは出来ません。


対策1:マインドセットのためのコーチング

上昇志向が持てない理由がなんであれ、最終的には本人がその気にならない限り、周りが何を言おうと、どんなお膳立てをしようとも何も始まりません。しかし、この上昇志向を持つというマインドセットが何より難しいものでもあります。相手となる若手や中堅社員が、今どんな感情を抱いており何について考えているかなどは、こちらからは想像することしか出来ません。
そのため、上司やリーダーも、現状についての話より、昇進やスキルアップした先にどんなことが待っているかなど、出来るだけ客観的な事実だけを伝えようとします。
たとえば、どれだけ給与がアップするか、作業時間の使い方を自分で決められるようになるといったメリットについてです。この客観的事実を伝えることは間違ってはいません。しかし、本当に大切なのはこの先のフォローです。上昇志向を持つかどうかは、自分の意思で決定するものであり、
それは心の中での自問自答によっておこなわれます。そして上昇志向を持てない若手や中堅社員は、上昇志向を抱く前にこの自問自答をやめてしまう傾向があります。
彼らの自問自答をより先に進めるために、上司やリーダーが、彼らの今の悩みや不安、どんなことが好きなのか、何に喜びを感じるかなどを聞き出し、将来について一緒になって考えてあげることが必要です。ここで出す答えは、「この先どうするべきか?」ではなく、「この先どうしたいか?」というものです。上司やリーダーは、こちらの考えを押し付けることなく、あくまで自問自答の手助けをするというコーチングのスタンスでいることが大切です。


対策2:キャリア設計のサポート

スキルアップや昇進したい欲がない人でも、この先も安心して働きたいという想いを持ち、暮らしや今の環境を維持できる安全な環境にいたいと願っています。また、出来るならば仕事やプライベートを、現状よりも良いものにしたいとも考えています。しかし、どうすれば現状が良くなるのかわからない、具体的に何をすれば良いかまでは考えられないという人がたくさんいます。
これは自分自身のキャリアデザインができていないためです。
自分が理想とする将来像に近づくためには、どんな環境に身をおき、どんなスキルを身につけていくべきかを具体化し、自分の現状と将来像の間にどれだけのギャップがあるかを正しく認識する必要があります。そしてそのギャップを埋めるためには、何をどの順番で経験していけば良いかという、自分自身のキャリア設計をしていく必要があります。
しかし、このキャリア設計を自分一人でおこなうことは簡単ではありません。なぜなら、キャリア設計には、自分の現状を正しく捉える客観的視点と、将来像に関する確かな社内外の情報が必要だからです。そしてこの客観的視点と確かな情報は自ら収集するよりも、自分を俯瞰で見てくれる会社の上司や先輩、キャリアデザインの専門家であるキャリアコンサルタントから得るほうが、気づきも多く、より幅広い視点で考えることができます。


対策3:仕事の進め方・評価制度、職能要件などを見直す

この先もっとステップアップしたい、具体的にやりたい道もあるという上昇志向がある人でも、会社や作業環境への不満から、それを表に出さずに抑えている人がいます。こんな仕事の進め方をしていたら、いずれ体を壊してしまうとか、チームのなかに大きな不公平があると感じており、その環境の責任者であるリーダーや管理職は明らかに貧乏くじを引かされており、自分はああはなりたくないと感じている人たちです。
会社やチームとしても、現状では改善しきれないやむを得ない事情があったとしても、社員にはそれが伝わっておらず、社員側が一方的に不満を溜めている状態になっている場合すらあります。そして会社やチームがこの状態にあると、上昇志向の強い人は転職を考え始め、弱い人はとにかくこれ以上のストレスを受けないように守りに入ります。最悪の状況にもなれば、積極的に仕事をする人がどんどん少なくなり、悪い作業環境はさらに悪化していく負のスパイラルにはまっていきます。
これを防ぐためには、社員のマインドセットのまえに、具体的な会社としての施策が必要です。それはチームにある不公平感や、特定の社員への負荷の軽減を狙いとした仕事の進め方、評価制度、職能要件などの見直しです。もちろんチームの状態や会社の方針と照らし合わせると、簡単には変えられない進め方や制度はたくさんあると思いますが、ときには大胆な変更も必要になります。


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若手&中堅社員に上昇志向を持ってもらうための人材育成研修とは

若手・中堅社員に成長意欲や上昇志向がみられない、と感じた場合に人事担当者にできることは、

  • 人事制度や評価制度を変える
  • 社内外でキャリア面談をおこなえるようにする
  • 人材育成研修を実施する

の3つがあります。
今回は、そのなかから、「人材育成研修を実施する」に焦点を当てて、人事担当者ができる打ち手をご紹介します。
若手・中堅社員に成長意欲や上昇志向を持ってほしいときに実施する研修には、大きく分けて以下の3つがあります。

  1. 若手・中堅社員のマインドを変えるための研修
  2. 若手・中堅社員のスキルアップをするための研修
  3. 上司の育成スキルを上げるための研修


若手・中堅社員のマインドを変えるための研修

  • 自分に自信がない
  • 今を変えたくない
  • どうしていいかわからない

という悩みを解消するための研修です。
そんなときには、仕事の場をいったん離れて、自分の現状を客観的に把握したり、将来像を描くための社内外の情報に触れることが重要です。おもに実施される研修としては、キャリア研修や入社年次によって実施される階層別研修があります。また、ライフイベントが重なる時期には、ライフイベントと仕事を両立できそうにない、という悩みも発生します。そんなときには両立を支援するためのセミナーを開催することも有効です。


若手・中堅社員のスキルアップをするための研修

キャリアを描けたとしても具体的にどんなステップを踏めばいいかわからなかったり、自分ではスキルアップの時間を取れない方もいます。また、業界や業務内容によっては、仕事で得られるスキルが限定的で、新たなスキルの獲得が出来ずに焦っているパターンもあります。
そんなときには、具体的にスキルを習得したり、体系的に学ぶための研修が有効です。
たとえば、入社年次によって実施される階層別研修や手挙げ研修があります。また、スキルアップを目指して、必要な時期に適宜研修を実施することも多くあります。


上司の育成スキルを上昇するための研修

いくら若手・中堅社員に人材育成研修を実施しても、研修の効果が定着するためには、上司の協力が不可欠です。働き方や対話の仕方が古いままだと、キャリアアップを目指せる企業風土だと思ってもらえない可能性もあります。上司の多くが多忙であり、部下を指導・育成する意識を持つ余裕がない場合が多くあります。また、育成スキルを知らなかったり、知っていたとしてもどう実践していいか悩んでいる方もいらっしゃいます。
若手・中堅社員のためにも、上司のためにも、上司に対する育成スキル向上研修を実施することは有効です。


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上昇志向が持てない若手&中堅社員にお困りならアルーにお任せください

アルーは、人材育成を専門に手掛けてきた企業です。階層別研修やキャリア研修、スキル研修を始めとした様々な育成実績があり、若手&中堅社員向けの研修も数多く取り揃えております。

上昇志向が持てない若手&中堅社員向けの研修の実施をご検討の場合は、ぜひアルーへお任せください。若手&中堅社員が伸び悩んでいる場合であっても、様々な角度からのアプローチが可能です。豊富なノウハウを活用して、お客様の状況にぴったりな育成施策を提案させていただきます。

アルーの中堅社員研修について詳しくは以下のページをご覧ください。
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まとめ

多くの企業がお困りの、上昇志向が持てない若手&中堅社員について、その特徴や上昇志向が持てない原因、彼らのマインドを変える対策を解説しました。

企業の将来を担う若手&中堅社員が上昇志向を持ってくれないことは、その個人はもちろん、組織にとってももったいないことです。若手&中堅社員が上昇志向を持ってくれない場合は、一刻も早い改善が必要です。

ぜひこの記事で解説した内容を参考にしながら研修を始めとした若手&中堅社員の育成施策を実施して、若手&中堅社員を変えていきましょう。

アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。
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