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現場管理者としてのリーダーシップを強化する
「新任AS職研修」

自身の「Will(意思・成し遂げたいこと)」を重視してリーダーシップを発揮する

帝人株式会社 導入事例

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	全体写真
右から帝人株式会社 簑輪様、猪谷様、藤田様、アルー株式会社 石川

帝人株式会社は、Sコース(特定の領域での経験の蓄積に基づくキャリアを目指す。いわゆる一般職~領域限定総合職に相当)、Gコース(広範な領域で複雑かつ革新的な課題にチャレンジするキャリアを目指す。いわゆる総合職に相当)という複線型の人事制度を2022年度に導入しました。これに伴い、Sコースには能力伸長・職務領域拡大先として新たに現場での管理監督・指導を担う 「AS職(領域限定総合職)」という職掌を新設し、リーダーシップの発揮と指導育成力の強化を目的に「新任AS職研修」を設計・実施しました。自身の「Will(意思・成し遂げたいこと)」を重視したリーダーシップ開発の施策内容をご紹介します。

課題

 

  • 人事制度の見直しで一般職に相当する「S職」の能力伸長・職務領域拡大先として 「AS職」という新職掌を設けたので、このAS職の期待役割に見合ったスキルや意識を開発・醸成する必要があった

  • AS職は複数のメンバーを束ね現場を管理する立場になるため、 リーダーシップの発揮に向けて自身の「 Will(意思・成し遂げたいこと)」 を内省してもらうことが必要だった

 

成果

 

  • 研修前後で効果測定したところ、研修のゴールとして設定した期待行動・意識の発現率が 68%から 95%に向上した。

  • 暗黙知だった 役割意識やスキルを形式知化し、共通言語化できた

  • 部下コミュニケーションの重要性を再認識し、チームで共有する意識付けができた

  • Will について考え、自身の成長に向けた課題を探していく意欲が芽生えた

 

展望

 

  • AS職には、より人を巻き込んで、周囲と連携し、影響力を発揮できる環境を作っていく

  • 社員一人ひとりの Will を支援する施策を拡げていきたい

  • 社員個人にも組織にも再現性のある人財投資を継続していきたい

     

 

会社名 帝人株式会社
従業員数 国内 9,594人 / 海外 12,890人 / 合計 22,484人(2023年3月31日現在/連結)
事業内容 マテリアル事業 / 繊維・製品事業 / ヘルスケア事業 / IT事業
人事部
人財開発グループ長

藤田 知彦 様
蓑和様
人事部
人財開発グループ

簑輪 久仁子 様
猪谷様
人事部
人財開発グループ

猪谷 朋彦 様 

「リーダーシップ」と「指導育成力」を身につける新任AS職研修

-事業内容と部署の役割を教えてください

藤田様(以下、敬称略):弊社はおよそ 100年前に創業し、現在はマテリアル・ヘルスケア・IT等を事業の柱として世の中にソリューションを提供することで、長期ビジョンとして掲げる「未来の社会を支える会社」の実現に取り組んでいます。
当社は「社員と共に成長します」を企業理念の1つに掲げていますが、我々、人財開発グループは人財育成を通してその理念の具現化を担う組織であり、研修や自己啓発などを通して、個人と会社が共に成長できるような仕組みや仕掛けを企画・運営しています。

-それぞれの担当している役割を教えてください

藤田:人財開発グループのマネージャーをしています。

簑輪様(以下、敬称略):メンバー層(G職AS職とS職)の研修企画と運営、および自己啓発支援策の企画と運営を担当しています。

猪谷様(以下、敬称略):管理職層の研修企画と運営を担当しています。

-新任AS職研修を実施するに至った背景を教えてください

猪谷2022年度に人事・処遇制度をリニューアルし、従来の人事制度で一般職と位置付けられていた社員の可能性を拡げるため、等級制度や職級定義を見直しました。今までは全国各事業所で採用された「一般職」、本社で採用された「総合職」で、その育成・キャリア形成の方向性は異なりました。従来の一般職は一定の職級まで上がるとキャリアや活躍の可能性が頭打ちになり、成長意欲やモチベーションの低下につながっていました。そこで特定の領域で培った経験を生かして現場を管理する「AS職(領域限定総合職)」という職掌を新たに設け、頭打ち感のあった従来の一般職に対してAS職への職掌転換を促進することで、成長意欲やモチベーションを高めて、活躍してもらおうと考えました。AS職は職務経験の蓄積を武器に、現場での管理監督・指導をおこなう役割を担っており、AS職の社員がその職掌に期待される行動が取れるよう「新任AS職研修」を設計しました。
AS職の職掌転換イメージ
-新任AS職研修ではどのような研修をされましたか?

猪谷:テーマとして「リーダーシップ」、「指導育成力」の強化をアルーにお願いしました。研修は合計2回に分けて開催し、研修の間には実践期間を設けた設計としました。1回目の研修は、受講者はAS職としての期待役割を受け止め、内省を通じて自身の目指す「リーダー像」を掲げるとともに、指導育成を中心としたスキルを体系的に学ぶプログラムとしました。1回目終了後は、研修で掲げた自身のリーダー像に沿って、自職場で自分らしいリーダーシップの発揮にチャレンジする3ヵ月の実践期間を設け、2回目の研修で実践することで得られた気付きや学びの振り返りを行いました。
新任AS職研修の全体像
-新任AS職研修で達成したいゴールは何ですか?

猪谷:新任AS職研修のゴールはチームとして成果を創出するための「リーダーシップの発揮」ですが、本プログラムでは「そもそも自分はどんなリーダーシップを発揮したいか」、「どういう姿になりたいか」といった「自身の Will を起点にしたリーダーシップの発揮」を重視しています。S職には同じ業務、同じ工程に長年従事してきた社員が多く、仕事の Must をこなすために Can の領域を拡大させてきた結果、「S職がしなければならないのはここまでで、あとはG職に任せる」というボーダーを勝手に引いてしまうケースが散見され、自身の仕事に対する Will が希薄になっていると感じました。そこで、AS職への昇進を機に、自分が大事にしたいことや価値観を内省し、Willに重きを置いたリーダーシップ開発を実施することで、そのボーダーを飛び越えてほしいと思いました。

もう1つのゴールとしている「指導育成力の強化」においては、上記のリーダーシップを発揮してチームとして成果を創出するためには、部下・同僚を適切に指導・支援する意識・スキルの実装が不可欠です。しかし部下・同僚との関わり方は自身の育った環境に左右され、ややもすれば自己流になりがちであることから、どのような環境・立場であっても AS職として、人に向き合い、人の成長を支援する意識・スキルを体系的に習得することを重視しました。
-新任AS職研修で大切にされたことは何ですか?

猪谷:1回目の研修の後の実践期間を通じて、一人一人がWillをもって現場で周囲に働きかけ、試行錯誤することで自分なりのリーダーシップスタイルを見つけてもらうことを大切にしました。さまざまなリーダーシップスタイルがありますが、AS職として職場でリーダーシップを発揮していくためには、部下・同僚に対してどう働きかけるのが良いかを考える必要があります。しかし、その働きかけ方に正解はなく、理論をベースにしつつも現場で試行錯誤しながら、自身のスタイルを獲得することになります。そのため、本人のWillを職場で実践し、うまくいったこと、うまくいかなかったことを振り返り、今後どうしていくかを一緒に考えていける設計にしたいと考えました。そこで、今回の研修では、実践期間を設け、現場で Action をとってみたけどうまくいかなかったという経験や、そこで感じた率直な疑問を持ち寄ってもらい、次の Action について受講者同士で一緒に考えていけるようフォローアップをする構成にしました。
Action に必要な Must と Will の重なりをどうやって作っていくのか

コミュニケーションの重要性を再認識し Will を考えはじめるきっかけとなった

-1回目の研修終了時点での受講者の変化はありましたか?

簑輪:受講者は同じ職級であるとはいえ、所属する事業や地域は異なることから、実際の職場の状況は様々です。そのような背景ではありましたが、講師が失敗したことも成功したことも含め、実体験を取り上げて伝えてくださっていたので、受講者にリアルに響いていました。たとえば、「マズローの欲求段階」を取り上げ、部下のやる気を引き出し、自発的に行動してもらうためには、挨拶や承認などの部下への基本的なかかわり行動ができて初めて成り立つものであるということを、エピソードを交えながら話をされていました。受講後のアンケートで「まずは当たり前のことを実践することで、部下との信頼関係を築いていきたい」という声が多く挙がったことから、講師の言葉が受講者の経験と重なり、リーダーとしてとるべき行動がイメージできたのだと感じました。
部下へのフィードバックロールプレイでも、取り上げたケースと同様に、部下へのモチベーションアップで悩んでいるといった声もあり、受講者にとって実践的なヒントを得てもらえたのではないかと思います。

また、暗黙知だった指導育成方法が今回の研修で形式知化されたことで、現場の管理者としてすでに職場のメンバーをまとめる立場で仕事をしている受講者の自信に繋がりました。自らの経験則で教えてきたことが、理論的な裏付けを得たことで、間違いではなかったと後押ししてもらえたようです。

リーダーシップを発揮するための Willを受講者自身の言葉で言語化するワークには苦戦している様子でしたが、自身の成長に向けた課題を模索し続けたいという受講後アンケートの声から、自分のWillに研修後も向き合っていく姿勢ができてきていると感じました。
	談笑1 (4)
-実践期間を経て受講生の行動の変化はありましたか?

簑輪:一人一人のアクションプランの内容を見ると、1回目の研修で学んだ内容が、自らの業務における具体的な行動に落とし込めており、実践への意識が芽生えている様子が見受けられました。目標を立てるだけでなく、受講者全員がきっちりと実践してきており、研修に対する前向きさも感じ取れました。

-2回目のフォローアップ研修で、受講者の変化はありましたか?

簑輪:たった数ヶ月の実践期間でしたが、自分の起こした行動がきっかけで部下や同僚に何らかの影響がみられたと感じている受講者が多かったです。実践を経て、コミュニケーションの重要性を再認識したようでした。また、課題や悩みに感じていることも研修中に受講者同士で共有したことで、新しい発見や解決への糸口を見つけていたようです。それまでは、リーダーとして全部を自分一人でやろうとしていたことに気づき、反省点として挙げていた受講者がいました。周りとコミュニケーションを取り合い、お互いに影響し合って、個人で抱え込まずにチームで前に進めていくという意識付けになったと感じました。

-新任AS職研修でのゴールは達成できましたか?

簑輪:研修効果測定を実施したところ、新任AS職研修の狙いとしている意識や行動に対する該当率が、研修前は68%だったのが、研修後は 95%に上昇していたことから、一定のゴールは達成できたと考えています。9割以上の受講者が「ありたいリーダーシップ像」や「部下に対して傾聴する姿勢」について心から向き合い、行動に移していることがわかりました。

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全社員の Will を支援し、健全な知的好奇心や刺激を感じられる「場」を提供していきたい

-今後、新任AS職に対してどういうことを実現していきたいですか?

簑輪:部下や同僚、職場のメンバーへの影響力が大きい AS職ですが、一方で自組織の中だけを見がちな傾向があり、自チームと他のチームの間に目に見えないボーダーが存在しているように感じます。そのボーダーから一歩踏み出し超えていけるような、よりオープンな風土を作っていきたいです。受講者たちからも一人で抱え込んでいたことを反省している声があがっていますので、周囲の人を巻き込むことがいかに重要であるかを知ってもらいたいです。チームにも自身の成長にも大きなメリットになることを、研修を通じて実感してもらい、職場の縦、横、斜めの連携を広げてほしいです。

-新任AS職だけに限らず、今後どのようなことを実現していきたいですか?

藤田:1つ目は、他の階層の社員にも Will について考える機会を増やしたいと考えています。Must・Can に追われると仕事はつまらなくなりがちなため、社員一人ひとりがいきいきと活躍・能力発揮できるよう Will を支援するには何ができるかを考えていきたいですね。

猪谷:階層別研修を通じて若手から中堅に至るメンバー層をみていると、組織として何を目指しているかを十分受け止めきれていない社員が多いように感じます。上位方針を受けて組織としてのビジョンをメンバー層にカスケードするのは本来管理職の役割ですが、「ビジョンは経営層が語るもの」と捉えている管理職が多いのが実情です。メンバー層が自組織のビジョンに共感してWillをもって業務に取り組めるように、管理職のビジョン策定・メッセージングの支援を行っていきたいです。どの階層の社員も Will が必要ですが、Must に追われて Will が希薄になっています。社員が自身の Will を内省する場を提供すると共に、管理職に対してはメンバー層のWill を誘発するビジョン策定の機会も並行してつくっていきたいと考えています。

藤田:2つ目は、健全な知的好奇心や刺激を感じる場を作ることです。イノベーティブな成果を生むには知的好奇心や外部からの刺激も重要な要素の1つですが、それらは従来型の研修や自己啓発だけでは獲得し難いので、会社として従来型の研修とは異なる「場」を提供していきたいと考えています。越境体験なども1つの策として考えています。

3つ目は、実施した研修の効果測定をしっかり行い、再現性のある施策を打つことです。従来は研修後のアンケートで「満足した」かどうかの評価を聞いていましたが、教育研修は「社員への投資」であるため、評価の指標は満足度ではなく、仕事の成果や意識・行動の変容につながったかどうかであると考えています。研修効果の測定は、そのような投資効果を定量的に示すことや研修のPDCAにつながるだけでなく、人的資本経営が求められる中での人財育成の在り方の1つだと考えています。
	談笑3 (3)

アルーはテイジンのニーズを理解して、新しいことを一緒にチャレンジしていくパートナー

-アルーを選んだ理由を教えてください

猪谷:当社の考えや課題に真摯に向き合って適切なソリューションを提供してくれたため、アルーに決めました。アルーとはこれまでの付き合いもあり、当社の人財の特性や人財育成課題等、なかなか言語化しにくい内容も汲み取って、研修の企画・運営に落とし込んでもらいました。

今後、アルーにはどのようなことを期待しますか?

藤田:1つ目は、引き続き当社のニーズを理解して提案をしてほしいです。当社のニーズは当社にしかない困りごとですから、世の中のパッケージ化された商品ではない提案を期待しています。

2つ目は、新しいことを一緒にやっていきたいです。変化が激しく、価値観も多様化している現代では、既存の社内外研修だけではすべての問題解決に対応できるとは限りません。アルーには世の中にない新しい研修を提案いただきたいと考えていますし、新しい研修を作られたら当社で実験してもらって、より良いものを一緒に作っていきたいです。

猪谷:新しいことをやっていきたいですね。他社に先駆けて新しいことをしてプレゼンスを高めていくことは、人事としてのモチベーションにも繋がります。

藤田:3つ目は、研修の企画や運営のまじめな話だけでなく雑談もたくさんしていきたい。雑談の中から、当社の隠れた問題が浮き彫りになったり、思わぬアイデアが出たりするかもしれません。

-アルーはどのような存在ですか?

藤田:アルーは、人財育成の大切なパートナーです。人財育成のパートナーとして議論し合い、新しいことを一緒に実験して、盛大に成功と失敗を繰り返したいと思っています。

猪谷:新しいことに一緒にチャレンジしていく存在です。アルーとの最初の付き合いは当社の新入社員を対象にした「海外派遣研修」でした。もう10年くらい前のことですが、入社して間もない新入社員に対してそういった研修を行っている研修会社は当時、他に見たことがなく、新しいことをやっていることに衝撃を受けました。

簑輪人財育成をサポートしてくれる伴走者です。効果測定の相談にのっていただいたり、ウェブセミナーに参加させていただいたり、育成課題における細部の困り事にも伴走してもらっている感覚があり、心強いです。引き続き伴走してほしいと思っています。



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アルー営業担当からの一言

	石川さん
アルー株式会社
Human Capital コンサルティング部
石川 生希子

研修開始時点では、役割・立場の変化をポジティブに感じていらっしゃる方もいれば、実態は変わらない・やることが増えた等まだ適応しきれていないように感じられる方もいらっしゃいましたが、Day1 / Day2 と実践期間を経た Day3 のフォローアップ研修で振り返りをお伺いしていると、挨拶や声掛けなど一つひとつの行動をリーダーが積み重ねることで職場の雰囲気や部下の主体性が変わることを実感いただけたのではないかと感じました。現場のリーダーとして受講者の皆様がリーダーシップを発揮され、組織が変化することに、本研修が一助となれていれば大変嬉しいです。

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