※本文内、敬称略
-貴社の事業内容と部署の役割を教えてください
清水 花王プロフェッショナル・サービス(以下、KPS)は、花王グループの中でBtoB衛生事業を担っている会社です。衛生管理のプロフェッショナルとして社会全体の安全・安心・快適を支えるトータルソリューションを顧客企業様へ提案し、暮らしの「きれい」を支えています。
KPSの顧客企業様は、飲食業界やホテル業界、アミューズメント業界、医療・介護施設といった法人や行政などの団体です。こうしたお客様へ商品やシステム、サービスをお届けするべく、花王グループ各社と連携をしながら、商品の企画開発から製造、マーケティング、販売までを一貫して担っています。
その中で人財開発部は、「顧客に寄り添い、誠実に、正道を歩むプロフェッショナル人財が育つ環境の確立」を掲げて人財開発に取り組んでおります。
-お二人の担当されている役割を教えてください
清水 わたくしたち教育グループは、企業理念である「花王ウェイ」に基づいたプロフェッショナル人財が育ち、成長する仕組みを提供しています。
専門性の強化や基幹人財の育成サポートを掲げ、研修プログラムの企画・実施、事業戦略に基づいた人財開発体系の起案や見直しを行っています。また、業務現場の状況把握を行い、課題の発見と対策立案も私たちの仕事の一つです。
私は教育グループの中で、このビジネス基礎力向上研修の担当を務めております。その他にも、当社のグローバル人財育成なども行っております。
布川 私は、主に営業職の強化プログラムの研修を企画立案しています。また、選抜研修の企画立案なども担当しており、今回のビジネス基礎力向上研修についても企画立案をさせていただいております。
-企業理念としている「花王ウェイ」について教えてください
清水 「花王ウェイ」は、花王グループの企業活動の拠りどころとなる、企業理念(Corporate Philosophy)です。
中長期にわたる事業計画の策定から、日々のビジネスにおける一つひとつの判断にいたるまで、「花王ウェイ」を基本とすることで、グループの活動は一貫したものとなります。また一人ひとりの社員にとっては、会社の発展と個人の成長を重ね合わせ、仕事の働きがい、生きがいを得るうえで欠かすことのできない、指針でもあります。
花王グループの各企業・各メンバーは、「花王ウェイ」をマニュアルや規則としてではなく、それぞれの仕事の意義や課題を確認するための拠りどころとして共有しています。
まず使命として「豊かな共生世界の実現」を掲げています。そのためにビジョンとして設定しているのが、「人をよく理解し期待の先いく企業に」という考え方です。また、基本となる価値観では「正道を歩む」「よきモノづくり」「絶えざる革新」を持っていたいと考えております。その価値観に基づいた行動原則として「共生視点」「現場起点」「個の尊重と力の結集」「果敢に挑む」そういった心を持ってまいりたいと思っております。
布川 「花王ウェイ」はすべての花王グループ社員の基本となる企業理念であり、「花王ウェイ」をもとに自分たちのミッションを成し遂げています。
課題・背景
自律学習により、業務やキャリアの振り返りや捉え直しをしてほしい
-貴社の人財開発にはどのような課題があったのでしょうか?
清水 若手向け研修や管理職向け研修、リーダー研修、営業研修など、研修体系は充実していますが、自ら学ぶということを謳っていながら、多くの社員が自律して学習する機会の提供ができていませんでした。
特に、職制者ではない中堅~ベテラン社員やスタッフ職向け研修の提供が不十分でした。そのため、組織の中核を担う中堅~ベテラン社員向けに、自律して学習する機会を提供したいと検討しておりました。
-中堅以上の社員に対して、自律して学習する機会を与えようと思った理由は何ですか?
清水 仕事の経験や知識が豊富な方に対して、自身のキャリアを見つめ直し、自ら学ぶことを支援させていただきたいと考えたためです。自律学習はどの年代においても必要ですが、新入社員はまず社会人の基礎や仕事を知ることを優先してほしいというのも中堅以上の社員を優先した理由の一つですね。
-課題に対してこれまではどのような研修や施策を行っていましたか?
清水 新入社員導入研修の資料内で説明したり、研修動画を社員向けに発信する学習支援ポータルサイト「KPS学習サイト館」にて、研修動画を提供したりしていました。
-なぜ「チャレンジする意志と自ら学ぶ風土の醸成」に取り組もうと考えたのでしょうか?
清水 会社が持続的な成長をするためには、一人ひとりが変化の潮流をつかみ、自ら取組む必要があると考えたためです。社員それぞれが学び続け成長することが、組織をより強くて良いものにしていくことになると思っています。
-アルーの学び放題eラーニング「etudes Plus」の活用によって達成したかった目的・ゴールを教えてください
清水 社員一人ひとりが自ら学び、成長するきっかけを作ることです。
-etudes Plus活用を通して、受講者にどういう知識習得または行動変容が起きてほしかったでしょうか?
清水 「自らの強み、足りないところに気づき、ビジネススキルを学ぶことが自身の業務のスキルアップ、成長につながると認識する」「学習することの楽しさや必要性に気づき、次の学習や実務での活用につなげる」ことを期待していました。
また、自身の学びと知識の振り返りをすることで、自身の業務・キャリアを捉え直してほしいという思いもありました。そうすることで、働くことに前向きになり、今後いきいきと働くことに繋げていただきたいと思いました。
実行施策
etudes Plusで学んだことを最大限活用してもらうための3つの施策
-ビジネス基礎力向上研修はどの階層を対象にした研修でしたか?
清水 職制者を除く、主に30-50代の中堅~ベテラン社員を対象としました。
-ビジネス基礎力向上研修のエチュードプラスを活用して、受講者にどのようなスキルを身につけてほしかったですか?
清水 当社のビジネス基礎力向上研修の中では、次の3つ講座を必修科目としました。
その他のテーマについては自己学習とし、適宜、おすすめ講座や公開ウェビナーなども発信しておりました。
-なぜ、この3つを必修としたのでしょうか?
布川 「ロジカルシンキング」「マーケティング」「財務」は、社会人として必須スキルだと考えているため、必修としました。また、過去のアンケートにて「マーケティング」「財務」を学びたいという声も多くあったためです。これらの基礎知識を会社全体として学ぶことで社員のスキルアップにつながればと考えております。
-etudes Plusでの動画視聴後、受講者にはどのようなことに取り組んでもらいましたか?
清水 受講者には次の3つに取り組んでいただきました。
- 月1回のグループワーク
- 社内講師による講義
- 研修最後の振り返りセッション
月1回のグループワークを6カ月間行い、その合間に社内講師による講義を行いました。そして最後の月に、研修最後の振り返りセッションを行いました。受講者にetudes Plusで学んだことを最大限活用してもらうにはどうしたらいいかと考え、この3点を企画しました。
-月1回のグループワークではどのようなことをされていましたか?
清水 必修講座を受講後、オンライン会議で4-5人のグループに分かれて実施しました。必修講座での学びや気づき、業務にどう活かすかについて共有する場です。グループワーク後、内容をワークシートにまとめて事務局に提出していただきました。
-社内講師による講義ではどのようなことをされていましたか?
清水 マーケティングと財務のテーマを視聴した翌月に、当社のマーケティング担当者・財務担当者が登壇する内製研修を開催しました。花王グループの業務事例を踏まえた講義・ワークを受講することで、etudes Plusで学んだ基礎知識を具体的な業務理解や会社全体の仕組み・構造の理解に活かすことに繋がると考えたためです。
-研修最後の振り返りセッションではどのようなことをされていましたか?
清水 研修期間の最後には、受講者全員参加で研修振り返りを行いました。etudes Plusや毎月のグループワーク、内製研修で学んだことを共有し、今後の自身の業務やキャリアに活かすアクションプランを発表していただきました。
-etudes Plusの動画視聴後に実施した3つの施策の中で、どれが一番効果的だったと感じていますか?
清水 月1回のグループワークが効果的だったと思います。「学んだことを業務で活かしたい」と考えている受講者が多く、オンラインの振り返りで学んだことを活かす方法などを話し合い、お互いの知識の向上や、理解の深め合いにつながったと思います。
同じグループで固まらないように、グループメンバーは定期的にシャッフルをしながら実施しました。部署も偏らないようにし、いろいろな部署の方と接する機会を増やすように工夫しています。
成果
他部署とのつながりが生まれ、新たな視点の獲得ができた
-etudes Plusを導入してみての所感を教えてください
清水 動画視聴や実践的な演習問題だけでなく、定期的な基調講演や公開研修など、コンテンツが多彩だと感じています。
-etudes Plusの導入により、目的としていたゴールへの達成には近づきましたか?
清水 この研修をきっかけに、受講者が自身の業務への理解を深め、新たな視点の獲得ができたというふうに感じております。今後も継続することで、多くの社員が生き生きと働く場の提供に近づけると感じております。
受講者からも「マーケティングやロジカルシンキングはどの業務でも必要になる内容だ」という気付きの声が聞かれました。マーケティングや財務は、会社の理解を深めることにつながったと感じております。
-etudes Plusの導入により、受講者にはどのような変化がありましたか?
清水 期待以上の多くのことを学んでいただいたと思います。スキルアップのきっかけとして参加した受講者が、自己スキルの再確認や他部署や会社の理解まで到達してくれました。また、学んだことを即実践に活用し、自社のビジネスに対する理解を深めた社員が増えたと感じています。
eラーニングでの動画視聴後に実施した振り返りが効果的だったのではないでしょうか。学んだことを自分の中だけに留めず、他部署の意見を聞くことで、自分の業務と他部署の視点の違いに気づき、学びを広め、深めることができたと思います。
-etudes Plusの導入により、受講者以外の変化はありましたか?
清水 受講者の上長から「別のメンバーも是非とも受講させたい」「次回はいつ開催するのか」という問い合わせを複数受けました。受講したメンバーが他の方におすすめしてくれたのだと思います。
また、受講後に実施したNPS(ネットプロモータースコア)では、推奨者の割合が高かったです。「他の人に研修をおすすめしたい」という方の多さに驚きました。
-想定外だった効果や変化はありますか?
清水 チームでの振り返りで、「業務での課題や悩みを共有することで、今後さらに全社一体となって業務に取り組めるようなモチベーションにつながった」という声があがりました。
以前は「同じ社内でも隣の部署や組織が何をしているかわからない」という社員の声がありましたが、話し合う機会を設けたことで「互いの業務の理解が深まった」「社員間の交流が深まった」という声が多く寄せられました。
また、他の受講者の話を聞いて「そういった視点はなかった」と気づきを得た受講者がいました。「その学びがちょっと自分に抜けていた」と気づき、もう1回動画を視聴し、そのポイントを見直していました。一度の視聴で終わらずに、復習として自分のタイミングで何度も視聴ができるeラーニングという形態のメリットを最大限活用していました。
-etudes Plusでの動画視聴後に取り組んだ「チーム打合せ」や「レポート提出」にはどのような効果があったと思いますか?
清水 社内コミュニケーションの促進ができた点が大きかったです。チーム打合せで普段関わりのない部署の人と、一つのテーマで意見交換ができました。
また、内容理解の定着にもつながったと思います。etudes Plus視聴後にチームで振り返りをすることで、改めて自身の考えをまとめる機会になりました。くわえて、メンバーからの意見を踏まえて、新しい視点やアイディアを得ることもできました。
他にも、忙しい業務のなかでも「毎月の打合せまでに絶対に終わらせないといけない」という期日の意識がついたという効果もありました。仲間がいることで挫折することなく研修を修了することができたと思います。
社内講師によるマーケティングや財務の講義については、etudes Plusでの学習内容を実践の業務理解に繋げる効果があったと感じております。
eラーニングを取り入れる際には、「eラーニングで学んだ知識をどのようにアウトプットするか」が重要だと考えております。そのために、チーム打合せや社内講師の講義では、講師が実際にノートなどを映して「マーケティングのフレームワークは実務ではこのように使っている」「スポット分析はこのように書いている」と実演してくださいました。「いかに具体的なアウトプットに落としていくか」が今後の課題だと思っております。
-etudes Plusが他のeラーニングシステムや学び放題システムと違うと感じる部分はどこですか?
清水 多くのeラーニングは動画視聴と4択程度の確認テストというスタイルが中心だと思います。etudes Plusは、実際に考えて解くケーススタディやワークが入っている点に違いを感じました。
動画を見るだけでなく具体的な演習問題に取り組むことで、実践にちかい形で知識を身につけられたと思います。業務への応用イメージもつきやすいのではないでしょうか。
受講者からは「演習問題が少し難しい」という声も上がってきました。それだけ自分の知識不足に気づくことができたのではないかと思っております。
-etudes Plusに対して、こうだったら良かったなと思うところがあるとしたらそれは何ですか?
布川 導入の前と後とで、受講者の変化を測定できるアセスメントがあるといいなと感じました。事前に受講者の知識レベルやスキルレベルがどれぐらいなのかを知りたかったですね。
etudes Plusには受講者のレベルを測る機能が実装されていないので、別の会社のアセスメントを使いました。アセスメント結果を元にetudes Plusを学んでもらい、研修後に再度計測しました。etudes Plusを受講する前後で、どれだけレベルが変わったのかを数値として可視化できるとよいと思います。
清水 動画とワークで難易度の差が大きいケースがあることが気になりました。演習課題の難易度が高く、100%の正答でないと合格できないため、私も受講してみてなかなか合格できず苦労しました。
基礎的な大枠を解説する動画の後に具体事例のワークが出てきた際、突然レベルが上がったように感じました。学習ステップの設計として、動画の中で例題を学ばせてから演習課題に進むなど、難易度を段階的にしていただけると尚よかったなと思います。
また、このような声を受講者からetudes Plusに直接フィードバックを送れる仕組みもほしいですね。
今後の取り組み
-今後、貴社の人財開発においてどのような施策を実現していきたいですか?
清水 社員の皆様が自らの成長を願い、学びつづけ、自律的キャリアを築いていけるよう、その機会を公平に提供できるよう支援していきたいと考えています。
また、社員間のコミュニケーションを促進し、社員同士の教えあいや学びあいを応援したいです。社員一人一人がそれぞれ持つ知識や意見を互いに共有することで新たな視点を得られるように支援していく予定です。
まだ具体的な施策はありませんが、全国の各支社をオンラインでつないで、「自己学習として何をしているか」「資格勉強はどういうものをしているか」など、お互いに勉強方法やツールを紹介し合い、応援し合える施策を行っていきたいです。
アルーを選んだ理由
-etudes Plus導入の決め手はなんですか?
布川 動画視聴のみのサービスが多かったのですが、アルーのetudes Plusには、ケーススタディを通して実際に考えて解くワークが入っていたため採用しました。
動画視聴のみですと「見て終わり」になってしまうことが多いです。etudes Plusであれば、実践を通して実務に活かせると思いました。
清水 etudes Plusを導入する決め手となったのが「演習問題が実践的なこと・質が高いこと」です。どの企業様の課題にも、受講者の理解の定着とプログラムの質にこだわったご提案をしていただけると感じています。様々な知見に基づいて、さまざまな企業の事情に応じたご提案をいただけるアドバイザーだと思います。
-アルーから提案を受けている際に、印象に残ったことはありますか?
布川 当社で課題と感じている事柄についてお伝えした際に、具体的な他社様の活用事例や心理学などの理論を基にした情報を提供していただけたのが印象的です。
-貴社の今後実現したいことにおいて、アルーにはどのようなことを期待しますか?
布川 多くの企業の人財育成を支援されており、様々な知見や実績をお持ちだと思います。ぜひ、私たちがこれから実現したいことに向けて、多様な視点からご助言いただけるパートナーとして期待しています。
清水 アルーは非常に多彩なコンテンツや知見を持っているので、情報をいただきながら、私たちも勉強させていただきたいです。今後の研修体系について考えるときや、課題を見つけたときにはヒントを頂ければと思います。また、他社様の状況やトレンドを教えていただくことで、当社内の施策の検討につながっていくと考えております。
-アルーの営業担当へコメントがあればお願いします
清水 今後も御社の知見を共有していただき、一緒に取り組みができれば幸いです。
布川 様々な知見をお持ちですので、今後とも、私たちの取り組みにご支援いただければと思います。多田さんは、当社の問題に対して真摯に受け止めてくださるので、安心して相談できます。今後ともよろしくお願いいたします。
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アルー営業担当からの一言