catch-img

OKRとは?記述具体例や意味のないOKRにしないコツをわかりやすく解説

「OKRを自社に導入すべきか」を検討する段階になると、多くの実務担当者は次の疑問にぶつかります。「OKRは名前を変えたMBOではないか」「GoogleやIntelでうまくいったのは分かるが、自社の規模・文化で機能する保証はあるのだろうか」

本記事では、OKR(Objectives and Key Results)の基本構造から、MBO・KPI・KGIとの本質的な違い、OとKRの言語化プロセス、四半期13週の運用計画、形骸化を防ぐ設計、人事評価との併存3パターンまでを、担当者が自社で動かせるレベルで解説します。

この記事でわかること

  • OKRの意味と、MBO・KPI・KGIとの本質的な違い
  • OとKRを抽象から測定可能な形に落とす3ステップの言語化プロセス
  • 職種別(営業・人事・開発・製造)のOKR記述例
  • 四半期13週の運用計画と会議のアジェンダ
  • 形骸化・MBO化を防ぐアンチパターンと対処法
  • 人事評価・報酬制度と切り離しつつ緩やかに連動させる併存設計3パターン

この記事の監修者

落合 文四郎

アルー株式会社
代表取締役社長
落合文四郎

1977年、大阪府生まれ。 2001年、東京大学大学院理学系研究科修了後、株式会社ボストン コンサルティング グループ入社。 2003年10月、株式会社エデュ・ファクトリーを設立し、代表取締役社長に就任。 2006年4月、アルー株式会社に社名変更。京都大学博士(経営科学)。

OKRとは——意味と注目される背景

OKRは「Objectives and Key Results」の略で、目指す方向(Objectives)と、その達成を測る主要な成果指標(Key Results)をセットで設計・運用する目標管理のフレームワークです。ドラッカーが1954年に示したMBO(目標による管理)を発展させたもので、1970年代にインテルのアンディ・グローブが導入しました。当初は「iMBO(Intel Management by Objectives)」と呼ばれ、グローブは1983年の著書『High Output Management』でこの手法を記述しています。

インテルでこれを学んだジョン・ドーアが、1999年、まだ社員40名ほどだったGoogleに紹介し、同社が全社的に運用したことで広く知られるようになりました。「OKRs」という名称もドーアによるものです。世界的に普及した直接のきっかけは、ドーアが2018年に著した『Measure What Matters』でした。

Objectives と Key Results の定義

Objectives(O)は「四半期に到達したい定性的なゴール」を、Key Results(KR)は「そのOに到達したことを客観的に判定できる定量的な指標」を指します。全社だけでなく、部門・チーム・個人の各レベルで設定します。1つのOに対してKRは通常2〜5個です。

Googleの運用では、四半期ごとに0.0〜1.0のスコアで採点し、野心的な目標については0.6〜0.7の達成を目安とします。100%達成できるKRは挑戦度が足りないと見なされる、という考え方です。ただしこれは野心的な目標に限った基準で、事業上必達のOKRは1.0の達成を前提とします。すべてのOKRが0.7狙いというわけではありません。

そしてもう一点、OKRの設計上きわめて重要な特徴があります。報酬から切り離して運用することです。グローブがMBOに加えた変更は、目標に必ずKey Resultsを紐づけたこと、年次ではなく四半期のサイクルにしたこと、そして報酬から分離したことの3点とされます。報酬がOKRの達成度に連動すると、野心的な目標を掲げて部分的な達成を許容するという枠組みが、達成可能な目標を設定するための交渉に変質してしまうためです。

ここでいう分離は、OKRを人事評価から完全に排除することではありません。ドーアは、OKRが個人の最も意味のある仕事の反映であるがゆえに、評価の場で重要なフィードバックになりうるとしています。避けるべきは、賞与や昇給の計算式にOKRスコアを直結させることです。評価の材料の一つとして扱うことと、達成率が支給額を機械的に決めることは別物です。

OKRが注目される背景

VUCA時代と呼ばれる不確実性の高い経営環境では、年次の目標を精緻に立てても環境変化で陳腐化します。四半期ごとに目標を見直し、挑戦的なゴールを組織全体で共有する仕組みとしてOKRが再評価されました。加えて、Z世代を含む若手社員が「自分の仕事と組織の方向性の接続」を求める傾向が強まっており、Objectivesを通じて意義を可視化するOKRは、モチベーション設計の観点でも支持されています。

VUCAについて詳しくは以下の記事をご参照ください

OKRとMBO・KPI・KGIとの違い

OKR・MBO・KPI・KGIはいずれも目標と達成度を管理するものですが、目的・期間・報酬との関係が根本的に異なります。表面的な指標の違いではなく、組織の学習サイクルとしての違いを理解することが重要です。

なお前提として、OKRとMBOは目標管理の仕組み、KPIとKGIは指標の種類であり、階層が異なります。KPIやKGIはOKRの中でもMBOの中でも使われます。実際、Key Resultsの多くはKPIそのものです。「OKRかKPIか」を選ぶ話ではありません。

4手法の比較表

OKR

MBO

KPI

KGI

目的

挑戦的な組織学習と方向性の共有

個人の業績管理と評価

業務プロセスの進捗管理

最終ゴールの到達度測定

期間

四半期(3ヶ月)が基本

年次(1年)が基本

継続的(月次〜週次)

中長期(半期〜年次)

達成水準

野心型は0.6〜0.7、必達型は1.0

100%達成が前提

100%達成を目指す

100%達成を目指す

報酬・評価との関係

報酬(昇給・賞与)とは切り離す。評価の材料の一つにはなりうる

人事評価と直結

業務評価に連動

経営評価に連動

共有範囲

全社に公開(透明性)

上司と本人が中心

部門内で共有

経営層で管理

OKRが「名前を変えたMBO」ではない理由

まず押さえておきたいのは、ドラッカーが1954年に提唱したMBOの原型が、上の表の姿ではないことです。ドラッカーが掲げたのは「目標と自己統制によるマネジメント」であり、当時支配的だった命令統制型のマネジメントへの代案でした。管理者と部下が共同で目標を定め、働き手が自ら努力を方向づける点が核心です。人は、自分が貢献する組織目標を理解し、貢献の仕方に発言権を持つときにこそ力を発揮する、という人間観に立っています。

それが多くの企業で、個人が上司と合意した目標を100%達成したかどうかで評価する制度へと変質しました。OKRを生んだグローブが批判したのも、ドラッカーの原型ではなく、この形骸化した後のMBOです。彼は当時のMBOを、色褪せた年次評価とちぐはぐな賞与によって社員を統制する道具になっている、と評しています。

OKRが異なるのは、達成困難に見える挑戦的な目標を掲げ、野心型については60〜70%の達成でも成功とみなす点、四半期で回す点、そして全社に目標を公開して組織横断の連携を促す点です。

ただし、ここで見誤ってはいけないことがあります。MBOとOKRを分けているのは名前でも様式でもなく、報酬との距離です。ドラッカーの原型も自己統制と参加を核にしていながら、報酬決定の装置に接続された瞬間に「個人の業績管理装置」へ変わりました。同じことはOKRにも起こります。KRの達成率が賞与の計算式に組み込まれれば、現場は必ず達成しやすいKRを置きます。挑戦的な目標を掲げて部分的な達成を許容するという枠組みは、そこで機能を失います。

「OKRを導入したのに形骸化した」という失敗の多くは、この一点を押さえないまま、KRを賞与や昇給の根拠として使ってしまうことに起因します。

目標管理制度の運用改善について詳しくは以下の記事をご参照ください。

OKRを導入するメリットと向いている組織・向いていない組織

OKRは「導入すれば必ず効果が出る」ものではありません。組織の規模・文化・現在の目標管理の成熟度によって向き不向きがあります。導入判断の前に、メリットと適合条件を整理します。

OKRを導入する主なメリット

  • 組織の方向性が全社に伝わる:Oを全社公開することで、部門間の連携が生まれ、サイロ化を防げます
  • 挑戦を評価する文化が醸成される:60〜70%達成を目安にすることで、大胆なゴール設定が可能になります
  • 四半期での学習サイクルが回る:年次より短いサイクルで振り返り、環境変化に適応できます
  • エンゲージメントが高まる:自組織のOと個人の仕事の接続が可視化されます

向いている組織・向いていない組織の分岐

自社の文化がMBO寄りの場合、一度にすべてOKRへ切り替えず、まずは一部の部門で試験的に導入するのが効果的です。全社一斉導入は形骸化するケースが多く、経営層のコミットメントを確認したうえで、変化への適応力が高い部門から段階的に広げるアプローチが現実的です。以下の5観点で自社が「向いている側」に立てるかを確認したうえで、導入範囲と時期を判断しましょう。

観点

向いている組織

向いていない組織

事業環境

環境変化が速く、四半期で戦略が変わる

年次計画で十分に事業が回る

組織文化

失敗を許容し挑戦を奨励する

100%達成を強く求める文化

評価制度

評価と目標を分離できる余地がある

目標達成率が賞与に直結している

経営層の関与

経営層が自らOを設定・公開する

現場任せで経営層が関与しない

透明性

全社の目標を公開できる

部門間で情報を閉じている

5観点のうち3つ以上が「向いていない」に該当する場合は、OKRの導入前に組織文化・評価制度側の見直しを優先することが望ましいと言えます。逆に3つ以上が「向いている」側に該当し、経営層が自ら全社Oを公開する意思を示せるなら、試験導入の準備に入って問題ありません。

組織文化について詳しくは以下の記事をご参照ください。

OとKRの言語化プロセス

OKR設計で最も難しいのが「抽象的な想い」を「測定可能なKR」に落とす言語化プロセスです。ここでは3ステップの言語化フローを提示します。

3ステップの言語化フロー

ステップ1:抽象の言語化(Objectivesの設定)

「四半期で組織がどこに到達したいか」を、定性的で情熱的な1文で書きます。数値は入れず、読んだメンバーが「わくわくするか」「進むべき方向が見えるか」を基準にします。

  • OK例:「顧客が自ら他社に勧めたくなるプロダクト体験を実現する」
  • NG例:「売上を20%伸ばす」(これはKRであってOではない)

ステップ2:具体化(Key Resultsの導出)

Oが達成された状態を、客観的に判定できる定量指標に分解します。KRは2〜5個、それぞれに「開始値」と「目標値」を設定します。

  • OK例:「NPS(推奨度)を+15から+35に引き上げる」「初回オンボーディング完了率を60%から85%に改善する」
  • NG例:「NPSを向上させる」(目標値が不明確)

ステップ3:挑戦度チェック

書き起こしたKRに対して、「達成できる自信は10段階で何点か」を各メンバーに聞きます。自信度が7以上なら「挑戦度が足りない」、3以下なら「無謀すぎる」、4〜6が理想的な挑戦度です。

挑戦度チェックの観点

自信度4〜6のKRを設定することで、「達成すればチームにとって明確な成長」「達成できなくても学びが残る」水準になります。自信度スコアリングは四半期のキックオフ会議で全員が参加して評価し、必要に応じてKRを再調整します。

なお、この4〜6という水準はあくまで目安であり、メンバーの経験値・現在の業務状況・過去の挑戦経験によって適切なストレッチ度合いは異なります。挑戦経験が浅いメンバーには5〜7寄りに置いて成功体験を積ませ、経験豊富なメンバーには3〜5寄りに置いてさらなる挑戦を促すなど、個々の状況に応じた調整が現場では有効です。

職種別OKRの具体例

言語化プロセスを職種別に適用すると、どのようなOとKRになるのでしょうか。営業・人事・開発・製造の4職種で比較します。抽象的な想い(O)と具体的な指標(KR)の対応関係が読み取れるはずです。

4職種の記述例比較表

職種

Objectives(O)

Key Results(KR)

営業

顧客が自社を「相談したい相手」と認識する営業組織になる

① NPSを+10→+30に改善/② 既存顧客からの紹介商談数を月3件→月10件/③ 提案採用率を35%→55%

人事

社員が自らキャリアを描き挑戦する文化を根付かせる

① 社内公募制度の応募率を5%→20%/② 1on1実施率を80%→100%/③ エンゲージメントスコアを3.2→4.0

開発

顧客が「使いたい」と感じるプロダクト体験を実現する

① 週次アクティブユーザー継続率を55%→75%/② 初回オンボーディング完了率を60%→85%/③ 主要機能のクラッシュ率を0.5%→0.1%

製造

品質と納期の両立で顧客の信頼を積み上げる

① 出荷不良率を0.3%→0.1%/② 納期遵守率を92%→99%/③ 段替え時間を平均40分→20分

各職種のOは「情熱的で定性的」、KRは「開始値と目標値がセットで測定可能」になっている点に注目してください。「新規顧客獲得◯件」のような単一の数値目標だけを並べるのはKRの書き方としては不十分で、Oの達成状態を多角的に測定する複数指標をセットにするのがOKRの流儀です。

四半期13週のOKR運用カレンダーと会議体設計

OKRは「設定して終わり」ではなく、四半期13週を通じて継続的に運用する仕組みです。ここでは13週のタイムラインと会議体を提示します。

13週タイムラインの全体像

フェーズ

主なアクション

W1

キックオフ

経営層のOを共有→部門O→チームO→個人OKRを設定

W2〜W6

実行前半

毎週チェックイン(15〜30分)

W7

中間レビュー

KR進捗の採点、必要に応じてKRを再調整

W8〜W12

実行後半

毎週チェックイン継続

W13

採点・振り返り

最終スコアリング、ウィンセッション、次四半期の準備

チェックイン・中間・採点会議のアジェンダ

毎週チェックイン(週次・15〜30分)

  • 各メンバーがKRの進捗と自信度を共有(1人3〜5分)
  • 進捗を阻む障害の共有と解決策の議論
  • 次週のアクション確認

中間レビュー(W7・60分)

  • 各KRのスコアを暫定採点(0.0〜1.0)
  • 環境変化を踏まえたKRの再調整可否を議論
  • 残り6週の実行計画を再設計

採点・振り返り(W13・90〜120分)

  • 各KRの最終スコア確定
  • ウィンセッション(達成した挑戦の共有)
  • 「なぜ達成できたか/できなかったか」の学びを言語化
  • 次四半期のOに向けた仮説出し

「毎週の会議は形骸化しないのか」という不安を持つ方もいるでしょう。形骸化を防ぐ鍵は、チェックインを進捗報告会ではなく「障害の共有と解決の場」にすることです。「今週やったこと」ではなく「今週困っていること」を最初に共有するアジェンダに変えるだけで、質は大きく変わります。

1on1ミーティングについて詳しくは以下の記事をご参照ください。

OKRが形骸化・MBO化する失敗パターンと対処法

OKR導入企業の多くが直面するのが「形骸化」「MBO化」です。ここでは兆候・根本原因・対処の3列で整理し、リカバリーの実行順序まで踏み込みます。

失敗パターンの兆候→原因→対処の3列表

兆候

根本原因

対処法

KRの達成率が賞与・昇給の計算に使われている

報酬計算とOKRを分離していない

報酬計算からOKRスコアを外すことを明文化する(評価の材料の一つとして扱う範囲は許容)

野心型のKRが軒並み0.9〜1.0で達成される

挑戦度が足りない目標を設定している(多くは報酬連動が原因)

キックオフで自信度スコアリングを導入し、達成確率50%(10点中5点前後)の目標のみ採用する

変化の必要がない業務にまでOKRを課している

全部門一律で導入している

定常業務の部門はOKRの対象外とし、既存の水準を守るヘルスメトリクスで管理する

チェックインが「進捗報告会」化

アジェンダが「今週やったこと」中心

「困っていること」と自信度の増減を先に共有するアジェンダに変更する

個人OKRが自己最適化される

部門O・チームOとの接続が弱い

キックオフでO同士の接続関係を可視化する。週次の場では個人OKRを扱わず、1on1に回す

四半期末の採点会議が責任追及の場になる

「達成率で人を評価する」文化が残っている

達成率の確認で終えず、なぜ届いた/届かなかったのかを学びとして言語化する場にする

この6つは並列ではありません。1行目の報酬連動が、2行目の目標の安易化と6行目の糾弾化を生む上流の原因になっています。賞与がKRの達成率で決まるなら、現場は達成しやすいKRを置き、採点会議は責任追及の場になります。自信度スコアリングやアジェンダの変更を先に入れても、報酬連動が残っていれば元の状態に戻ります。

リカバリーの実行順序

形骸化・MBO化に気づいたときの立て直しは、次の順序で進めます。

  1. 経営層のコミットメント再確認:経営層自身が全社Oを公開し、達成状況を語る場を設ける
  2. 会議体アジェンダの見直し:チェックインの主語を「進捗」から「障害」に変える
  3. 評価制度との接続ルール明文化:後述の3パターンから自社に合うものを選ぶ
  4. 挑戦度スコアリングの導入:全KRに自信度4〜6を求める
  5. ウィンセッションの定着:達成した挑戦を全社で称賛する場を作る

「対処法は分かるが、社内で誰が推進するのか」という現実的な悩みを持つ方も多いはずです。多くの企業では、経営企画と人事部が二人三脚で推進し、各部門にOKRチャンピオン(推進担当)を配置する形が機能しています。

人事評価・報酬制度との併存設計

OKRの原則は「人事評価と切り離す」ですが、現場担当者からすると「切り離すと社員の目標達成モチベーションをどう保つのか」という現実的な疑問が残ります。ここでは、評価制度と完全分離せず「切り離しつつ緩やかに連動させる」3パターンを提示します。

失敗パターンの兆候→原因→対処の3列表

パターン

概要

向いている組織

注意点

完全分離型

OKRは学習と方向性共有、評価はコンピテンシー・行動評価で実施

挑戦文化が強く、評価軸が別途明確な組織

OKR運用の動機付けを別途設計する必要

緩やか連動型

評価はOKR達成率ではなく「OKRへの取り組み姿勢・挑戦度」で判定

挑戦を評価に反映したい組織

評価者訓練が必須(挑戦度の主観判定)

成果部分連動型

全社KRの一部(コミット型KR)のみ評価に連動、挑戦型KRは切り離す

KPI経営から段階的にOKRに移行する組織

コミット型と挑戦型の区分ルールが必要

パターン選びの判断軸

  • 挑戦文化が既に根付いており評価軸を刷新できる → 完全分離型
  • 挑戦への取り組み姿勢を評価に反映したいが、達成率で縛りたくない → 緩やか連動型
  • 従来のMBO・KPI運用から段階的に移行したい → 成果部分連動型

どのパターンでも評価者の力量が問われる点は共通します。特に緩やか連動型は、挑戦度・行動プロセスを評価する管理職の目線合わせが不可欠です。評価者会議の運用や管理職の育成投資と組み合わせて設計する必要があります。

弊社アルーは評価者会議運用を含めた「評価者研修」を提供しています。詳しくは以下のページをご覧ください。

🔗アルーのサービス:評価者研修

OKR導入企業の事例と成功要因

大手小売業において、「個を活かす組織」への移行を目指す中で、創造的な目標設定の考え方としてOKRを取り入れ、組織の目標達成と個人の創造性発揮の両立を図った事例を紹介します。決められた目標の達成度合いで人を管理する従来型の発想から、一人ひとりの創造的な意志に基づいて目標を創り上げる発想への転換を、管理職層の学習を通じて進めた点が成功要因となりました。

大手小売業における「個を活かす組織」への移行事例

規模・対象者

大手小売業の管理職層を対象に、組織マネジメントの学習プログラムの一環として、OKRの考え方を取り入れた目標設定のあり方を扱いました。

課題

これまでは、上位から降りてきた目標を部下に割り当て、その達成度合いをもって評価するという指示命令型・外発的動機に基づく組織運営が中心でした。しかし、環境変化が速く激しい中で有形資産のやりくりだけで成果を出すことが難しくなり、一人ひとりの創造性や自律性という無形資産に投資して価値を最大化する「個を活かす組織」への移行が経営課題として浮上しました。管理職層には、決められた目標をいかに達成させるかという発想から、部下自身が創造的な意志に基づいて目標を創り上げることを支援する発想への転換が求められていました。

実施した施策

管理職向けの組織マネジメント学習プログラムの中で、指示命令型と個を活かす対話型のマネジメントを対比的に扱い、両者を場面に応じて自覚的に選択できることを目指しました。目標設定については、上位目標をブレイクダウンして落とし込む従来型(KPI等)と、自ら考え創造的な意志に基づいて創り上げる新しい型(OKR等)を対比して提示し、後者の考え方を体感的に理解できるよう、自分のエネルギーが高まった瞬間を振り返る演習や、自チームのビジョン・戦略・ゴールを描く演習を組み合わせました。研修だけで終わらせず、事後課題として自部署の事業戦略を実際に描き、部下に伝えるところまでを一連の実践として設計しました。

成果

受講した管理職からは「これまでは決められた目標をいかに達成してもらうかという観点で見ていたが、個性を発揮してもらうことで創造性を活かす目標のあり方があることを学んだ」「組織の目標達成と、個人の創造性発揮を両立するやり方としてのOKRの考え方は、今の業務にかなりフィットする実感を持てた」という声が挙がりました。OKRを個人の創造性・自律性発揮と、組織としての目標達成を両立する考え方として理解した上で、実践に結びつけるイメージを持てていることが確認できました。

設計のポイント

OKRを単なる目標管理の技法として教えるのではなく、「個を活かす組織」という組織のあり方の転換とセットで扱ったこと、そして指示命令型を否定せず対話型・共創型と使い分ける前提で提示したことが、管理職層の納得感につながりました。学習と実際の目標設定業務・部下への伝達業務を接続し、OJTとOFF-JTが循環する設計にした点も、考え方が現場で定着する要因となりました。

まとめ

OKRは「名前を変えたMBO」ではなく、組織の学習サイクルと方向性共有を目的とした目標管理のフレームワークです。成果を出すには、OとKRの言語化を3ステップで進め、四半期13週の運用カレンダーで会議体を設計し、形骸化・MBO化のアンチパターンに先手を打ち、評価制度との併存設計を明文化する——この4点を一体で回すことが不可欠です。

「自社に導入できるか」の判断は、事業環境・組織文化・評価制度・経営層のコミットメントの4軸で見極めましょう。全社一斉導入で形骸化するリスクを避け、一部門の試験導入から段階的に広げるアプローチが現実的です。導入後の運用設計は、目標管理の技術だけでなく、管理職の育成・評価者訓練・組織開発と一体で設計する必要があります。

≫アルーに相談する

よくある質問(FAQ)

Q

OKRとMBOを併用することはできますか?

A

可能です。多くの企業が「MBOを人事評価用、OKRを組織学習用」として役割を分けて併存させています。ただし目標設定の重複による現場負荷を避けるため、KRの一部をMBO目標と連動させる「成果部分連動型」の設計が現実的です。

Q

OKRを導入した初年度は何から始めるべきですか?

A

経営層のOを全社共有することから始めます。次に一部門(変化への適応力が高い部門)で試験導入し、四半期13週の運用サイクルを一度回して学びを得た上で、全社展開する順序が推奨されます。

Q

「達成率60〜70%が理想」と言われても、社員が納得しないのですが?

A

「60〜70%達成の挑戦」が「100%達成の安全目標」より価値がある理由を、経営層自身が語る場を設けることが重要です。自信度スコアリング(10段階で4〜6が理想)をキックオフで全員が体験することで、挑戦度の意味が体感的に理解されます。

Q

リモートワーク環境でOKRは機能しますか?

A

機能します。むしろ全社Oの可視化と四半期サイクルによる方向性共有は、リモート環境で組織の一体感を保つ有効な仕組みです。NotionやAsanaなどのツールで進捗と自信度を非同期共有する運用と、週次チェックインを組み合わせる形が定着しています。

アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。

新入社員に関する記事

タグ一覧

メガメニュー格納セクション
お問い合わせ
無料資料請求

予約受付中のセミナー

人気記事ランキング

ブログ内検索