AI×教育ツール「自己成長力支援サービス」を用いた新入社員とOJTトレーナーのコミュニケーション促進事例
日本ゼオン株式会社 導入事例

日本ゼオン_集合写真
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会社名  日本ゼオン株式会社
従業員数 連結:4,462名 単体:2,470名(2024年3月末)
事業内容 エラストマー素材事業、高機能材料事業など

 

 

日本ゼオン株式会社では、氷見二上工場と敦賀工場の新入社員とそのOJTトレーナーのコミュニケーションを促進するために、アルーの「自己成長力支援サービス」を導入しています。
「新入社員育成に重要なのはコミュニケーション」という日本ゼオン指導員に、コミュニケーション促進のコツや育成ツールの上手な使い方を伺いました。

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課題・背景

  • 新入社員とOJTトレーナーのコミュニケーションに、年代によるギャップが生まれていた
  • 1on1ミーティングを実施していたが、あまり定着しておらずレベルもバラバラだった

実行施策

  • 新入社員の成長度合いと課題を可視化するAIツール「自己成長力支援サービス」を導入
  • 「自己成長力支援サービス」を通じ、新入社員とOJTトレーナーの1on1ミーティングを定期的に実施
  • 新入社員の現状を可視化し、支援に繋げた

成果

  • 困っている新入社員をデータから早期に発見できるようになった

  • 新入社員とOJTトレーナー間の認識のギャップに気づくことができ、指導の質が改善した

  • OJTトレーナーの上司から、「コミュニケーションがうまく回っている」と評価を受けている

日本ゼオン個人写真
北陸ものづくり研修所

指導員
文内、敬称略

貴社の事業内容について教えていただけますでしょうか。

指導員 当社は、高機能材料事業とエラストマー素材事業を展開する化学メーカーです。その中で、私の今いる氷見二上工場では、液晶テレビなどに使われる光学フィルムの製造を行っています。

液晶が使われている機器としては、電卓もあります。電卓は真正面から見ればきちんと数字を読み取れますが、横からだと見えなくなりますよね。液晶というのは、そういう性質をもっているのです。しかし、テレビで液晶を使う場合は、真正面以外からもきちんと画面が見られるようにする必要があります。

当社は、そのような横から見たときにもきちんと画像が映るようにするフィルムを開発し、高コントラスト、高視野角を実現しました。このようなディスプレイの光学系フィルムを専門としているのが、当社の特徴です。

指導員の役割について教えていただけますでしょうか

指導員 われわれ北陸ものづくり研修所は、氷見二上工場と敦賀工場の社員に対しての研修所です。アルーの「自己成長力支援サービス」はこの二つの工場の新入社員とOJTトレーナーに対して使っています。

課題・背景
新入社員とOJTトレーナーの間に年代によるギャップが生まれていた

―人材育成については、どのような課題が見えてきたのでしょうか?

指導員 液晶テレビの需要が増えたことに伴い、需要に応える形で当社は成長をしてきました。成長すると、さらに新しい技術・高い要望を市場から要求されます。そういった要求に応えていくためには、人の技術やスキルをしっかり伸ばすことが必要です。
そこで、人の教育という部分に力を入れ、人を育てていこうという流れにここ5年ぐらいでなってきています。
もちろん、人を育てないといけないということは元から認識し行っていましたが、急成長した氷見二上工場では特に、人の教育をしっかりしていかなきゃいけないという意識が強く生まれました。
当社の他の工場で実施されている教育に「追いつけ、追い越せ」で教育していこうという方針で進めていきました。

当社の教育は、OJTがメインです。OJTでは、新入社員とOJTトレーナーの間に年代差や新社会人と先輩社会人の視座ギャップが生まれます。当社でもそのギャップのせいか、「通じるものも通じない」、「何を聞きたいのかもわからない」というような状況が起こっていました。
すると、人と人が離れるようになってしまったのです。それではよくないとなり、まずは新入社員とOJTトレーナーが話す機会を与えようということになりました。

 

―このような課題が見えてきたのはいつ頃からでしょうか?

指導員 「自己成長力支援サービス」を導入する2年ぐらい前からです。
コロナ禍以降、それまでのコミュニケーションの方法では伝わらないと感じることが増えてきました。

実行施策
新入社員の成長度合いと課題を可視化するAIツール「自己成長力支援サービス」を活用し、1on1ミーティングを実施

日本ゼオン_談笑写真

―課題の解決のためにどのような施策を行ったのでしょうか?

指導員 課題解決のために実施したのが、1on1ミーティングです。1on1ミーティングは月1回必ず実施することをルールとしました。特に1年目の新入社員とOJTトレーナーに実践してもらいました。

当工場の新入社員1年目は、高卒・高専卒がほとんどです。高卒・高専卒の新入社員は、自分自身の意志を持って考えて相談しながら重要な選択をしたという経験が少ないようです。先輩に対する質問の仕方がわからないこともあります。高卒・高専卒の新入社員が1年目で先輩社員とのギャップを埋めるためには、OJTトレーナーと話をする機会を作る必要がありました。

 

―高卒・高専卒の新入社員を育成するために、どのような工夫をされていますか?

指導員 高卒・高専卒一年目の成長は、コミュニケーションをいかにとれるかにかかっていると思っています。
現場や班の中でコミュニケーションをとれないと、今後スキルをつけたり、キャリアを積む計画を立てたりしても、結局はつまずいてしまいます。コミュニケーションがとれないと仕事をつまらなく感じてしまい、最終的には離職に繋がってしまうこともあります。

4月に実施する新入社員研修でも、カリキュラムの半分はコミュニケーションについてです。報連相について学んだり、ゲームをしてチームビルディングをしたり、先輩と話す機会を設けたりといったプログラムです。
職場ではコミュニケーションが必要だということを重点的に教えるようにしています。

その後に「なぜ仕事をするのか」、「社会人とはなにか」といったことも教えていくことになりますが、それらを勉強するにしても、やはりコミュニケーションがうまくなっていることが前提だと思っています。

コミュニケーションの部分でつまずくと、会社や班にいづらくなってしまいます。それは本人のためにも、会社のためにもなりません。
そのため、新入社員の育成においてはまずコミュニケーションに注力しています。

もちろん、会社としての一番は安全第一ですので、それは教えます。ただ、それを教えるときでも、コミュニケーションをとりながら行います。コミュニケーションをサブ目的として設定し、カリキュラムを組んでいます。

その後の1年目の後半から2年目以降にかけて、コミュニケーションを目的とした育成は減っていきます。だんだん専門知識にシフトしていきます。

 

―1no1ミーティング自体は「自己成長力支援サービス」導入前から実施していましたか?
     

指導員 1on1ミーティングは以前から実施していました。しかし、あまり定着しておらず、各トレーナーが同じ目線で実施できていませんでした。また、私としてもどのようなレベル感でやっているかもわからないという状況でした。それではだめだろうとなり、OJTトレーナーみなが同じ基準で1on1ミーティングを実施できるようにしたいと考えました。そこで、アルーから新入社員の成長度合いや課題を可視化するAIツール「自己成長力支援サービス」をご提案いただき、活用しました。


     
―新入社員の成長度合いや課題を可視化し、どのOJTトレーナーも同じ基準でコミュニケーションするために、当社の「自己成長力支援サービス」をご利用いただいているのですね。

指導員 新入社員の成長度合いについて、OJT指導者と新入社員の間に認識の相違が生じないようにする必要がありました。そのためには、新入社員とOJTトレーナーそれぞれの認識をすり合わせ、今後どのような指導をしていくかを決める必要があります。そのためのツールとして、自己成長支援サービスを使わせてもらっています。

 

自己成長力支援サービスとは
<アルーの自己成長力支援サービスの概要>

自己成長力支援サービスの主な機能
<「自己成長力支援サービス」に含まれる3つの機能>

導入当初は、「なんでこんなことをさせるんだ」とOJTトレーナーから意見をもらうこともありました。「いま現場が忙しいのに、なんでこんな面倒なことをやらなければいけないのか」と感じていたようです。
「自己成長力支援サービス」を導入して2年が経った今では、毎月最低でも1回は1on1ミーティングが実施されており、だいぶ慣れてきて有用性も感じているのか、しっかり活用しています。

特に、「OJTで技術をちゃんと提供しているか」、「新入社員はきちんと成長しているか」といった点は、新入社員とOJTトレーナーの認識にギャップがでやすい部分です。
そういったギャップを新入社員とOJTトレーナーが認識できるようになったことで、どこにギャップがあるかを新入社員とOJTトレーナーが会話し、指導の不足していた部分を補っています。

 

―1on1ミーティングも「自己成長力支援サービス」も、定着させることに難しさを感じる企業は多いです。貴社ではどのような工夫をされましたか?

指導員 1on1ミーティングによる効果を無理にデータで可視化しようとしなかったことがよかったのかもしれません。あくまでも「1on1ミーティングを通して、新入社員とOJTトレーナー間で会話する意識を持つこと」を目的とし、その後の成長がどうなっているかという点はそこまで重視していませんでした。

 

―「自己成長力支援サービス」でOJTトレーナーや新入社員が回答するアンケートの中には、少し捉えづらい質問もあると思います。これらについては、現場にどのように説明していましたか?

指導員 「自由に捉えてください。もし、次回回答する際に違った捉え方をしても問題ありません」と説明し、活用方法は現場に任せました。

1on1ミーティングでは、必要な質問だけ取り上げるのでもよいと思っています。
新入社員側が気になる部分だけ会話するのでもよいですし、OJTトレーナー側が気になる部分だけ会話することがあってもよいと思います。「コミュニケーションをとることが第一だ」という意識で取り組みました。

そういう意味では、一ヶ月に一回リマインドメールがくる仕組みは有効でした。リマインドがあることで、「今月もやろう」と思ってくれるようになりました。

 

―1on1ミーティングを月1回実施しないOJTトレーナーがいる場合はどうしていますか?

指導員 自己成長力支援サービスを利用することで、現場で1on1ミーティングを実施しているかどうか私も把握できるので、状況を把握して声をかけます。
また最近は、OJTトレーナーの上の指導員や管理者を交えて三者面談をやることもあります。毎月の実施状況を把握できるので、「来月は三者面談の形式をとろう」といった計画を立てることができます。

 

―1on1ミーティングや「自己成長力支援サービス」を浸透・定着させるために、どのような工夫をしましたか?

指導員 導入は私ともう一名が進めていたのですが、導入当初の3カ月間は、新入社員とOJTトレーナーの1on1ミーティングすべてに、我々が立ち会いました。1on1ミーティング後のフォローもしています。
「これをやってください」と言った人間がその場にいないと、現場としてはやらされ感がでてしまいます。また、1on1ミーティングのやり方も現場はわかりません。

我々が1on1ミーティングに参加して話を聞き、1on1のやり方を教えたことで、新入社員とOJTトレーナーの関係性をよくし、双方を成長させることに繋がったと思います。
説明するだけでなく、1on1ミーティング本番に参加して手を動かしました。コミュニケーションのやり方も2人のコミュニケーションが円滑に機能するように、1on1ミーティングでのコミュニケーションを助ける立場で参加したことがポイントでした。

アルーさんの「自己成長支援サービス」については、「二人を成長させるための1on1ミーティングであり、それを助けるためのツールですよ」と伝えています。「自己成長力支援サービス」を使うのが目的ではない、ということを強調しました。

実は、研修で教育するのも受講者のスキルアップのための手段です。その手段をどう使うかは、あなたの気持ち一つで変わりますよ、ということを伝えています。
研修の時間をどう有意義にするのかというのは、受講者の心次第です。

 

―OJTトレーナーに対して研修は実施していますか?

指導員 はい、実施しています。OJTトレーナー研修でもコミュニケーションについてお伝えしています。たとえば、新入社員が報連相をしてこないときに、「新入社員がやらない」で済ませるのではなく、新入社員が動けるように支援をしたのか、とOJTトレーナーに問いかけ、教えるようにしています。

成果
新入社員の不調に気づいてフォローしたことで、新入社員の成長に繋がった

―「自己成長力支援サービス」を使って、どのような効果がありましたか?

指導員 自己成長支援サービスを使ったことで、先日、一人の新入社員を助けることができました。

自己成長力支援サービスでは、新入社員のアンケート回答結果によって顔色のマークが出ます。顔色のマークによって、要フォローかどうかわかります。

 

不調者の早期発見
<アルーの「自己成長力支援サービス」でわかる新入社員の状態評価>

要フォローの新入社員がいた場合、OJTトレーナーやその上の社員に電話し、「どうなの?」って聞いています。そこで、「大丈夫ですよ」という回答でも、「少し気を付けておいてくださいね」とお伝えしています。

この取り組みを始めた結果、実際に一人、今の現場はちょっと合わないという新入社員を発見できました。そこで、その新入社員については現場を変えたところ、今は成長できているようです。

現場の当事者間だと、コミュニケーションがうまくとれてないことに気づけないことがあります。特に、新入社員があまり話をしないタイプで自分の中に抱え込んでしまう場合、なかなか表には出てこないです。
「自己成長力支援サービス」を使えば、そういった社員でも本音を回答してくれることがあるので、我々はそれを見逃さないようにするだけです。

 

―現場の新入社員やOJTトレーナーから、「自己成長力支援サービス」について感想はあがってきますか?

指導員 最初は「面倒くさい」などの不満がありましたが、最近は余りあがってきません。
最近上がってくる声は、新入社員やOJTトレーナー本人ではなく、その管理者や上司からの声です。「1on1ミーティングができるようになってきて、コミュニケーションがうまく回っている」という声があがってきます。
1on1ミーティングは必ず実施しなければいけないと決めているため、コミュニケーションの機会を作ることができ、新入社員とOJTトレーナーがうまくいくようになったようです。

また、上層部からは、「みんなだいぶ変わった」という声をもらいます。

今後の取り組み
一人ひとりに合わせた教育に取り組んでいきたい

日本ゼオン_談笑写真

―今後、実施したい研修や取り組みはありますか?

指導員 最近、アルーに相談しているのはコンピテンシーのことですね。
多様性が尊重される世の中になり、エンゲージメント向上のためにも教育にフォーカスをしなければいけないと思っています。

どのような考え方をして、どのような能力があって、どのような行動をしたら、社員は成長を実感し、それがエンゲージメント向上に繋がるのか。

社員一人ひとりに一番効果のある教育の方法はなんだろう、ということを最近、模索しています。
研修を実施するにしても、画一的な教え方ではいけないと思います。もちろん、一律の教育も必要ですが、社員一人ひとりの目指すものが違う中で、どうやってその人に合った教育、成長をさせてあげられるのかというのが一番悩んでいることです。そこに取り組みたいと思っています。

社員の立場になり、10年後に向けてどう成長ができているのかを考えています。もし10年後、自分が成長していなかったら、社員自身もおもしろくないですよね。社員を成長させるよい方法はないか、なにかサポートできることはないかと探しています。

アルーのサービスへの感想
うまく使えば有意義なツールとなる

―アルーの「自己成長力支援サービス」への評価を教えてください。

指導員 ツールとしてはよいツールです。うまく使えば有意義なツールだと思っています。
新入社員の状態評価がアイコンで分かること、一ヶ月に一度必ず実施するためのリマインドになっているという点が助かっています。

もう少しよくするのであれば、高卒・高専卒向けにわかりやすくアレンジしたり、使用する設問を選択できるようになったりするとよいかと思います。

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アルー営業担当からの一言

神戸北斗さん
アルー株式会社
HRコンサルティング部
神戸 北斗

これまでの取り組みに対する指導員の誇りと納得感のようなものを感じる力強いインタビューでした。
「自己成長力支援サービスというツールに振り回されるのではなく、目的のためにツールを上手に使っている」という自信の表れのように感じました。

導入時に現場の反発を受けながらも施策を定着化させた最大のポイントは、「導入時3カ月間、現場に入って1on1ミーティングに同席し続ける」という伴走型フォローと、「判定結果や運用方法などは、OJT担当と新入社員の自由な使い方に任せる」という柔軟なスタイルだったように思います。

MIT大学のダニエル・キム教授が提唱する「成功循環モデル」では、「職場の関係の質を高めることが、巡り巡って結果の質を高める」ことをGOODサイクルとしています。一方、いち早く成果を求められる企業では、「結果の質からアプローチし、巡り巡って関係の質が下がる」BADサイクルに陥ってしまうのも、組織構造上普遍的に見られる現象です。
こうした中、様々な困難を工夫で乗り越え、GOODサイクルを回し始めることに成功した好事例として、多くの企業様にご参考にいただけますと幸いです。

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