グローバル人材プールの裾野を拡げ、グローバルキャリアを歩むきっかけとなる海外派遣オンライン研修
三井住友海上火災保険株式会社 導入事例

左から藤川様、根本

三井住友海上火災保険株式会社

従業員数 : 12,572名

事業内容 : 損害保険業 / 他の保険会社の保険業に係る業務の代理または事務の代行 / 債務の保証 / 確定拠出年金の運営管理業務 / 自動車損害賠償保障事業委託業務

三井住友海上火災保険株式会社では、グローバル人材育成のために社内公募制の海外派遣オンライン研修を実施しました。その方針に至った背景から、実施内容、これまででみえてきた成果、今後の人材育成の展望までをお聞きします。

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課題・背景

  • 外国人社員が全体の半数にのぼり、海外事業強化のためグローバル人材が必要

  • イノベーションを起こせる人材育成も必要
  • 社員自身が自らキャリアステップを築くためのグローバル人財育成体系の構築が必要

実行施策

  • 海外のビジネスパーソンや学生とチームを組み、社会課題解決に貢献できる案を作成する海外派遣オンライン研修を実施した

  • グローバル人材に必要な要件を満たすため、社員自らがアクションプランを作成し、別の海外派遣研修へのキャリアステップに繋げた

成果

  • 100%の受講者が研修の目標を達成

  • 別の海外派遣研修へキャリアステップする社員が増加した
  • 受講者満足度が極めて高く継続実施

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人事部 課長(海外人事チーム)
藤川 悠樹 
文内、敬称略

-御社の事業内容を教えてください

 

藤川 当社はMS&ADインシュアランス グループ ホールディングスに属する損害保険会社です。事業内容は自動車保険や火災保険などいわゆる損害保険で国内はもちろんですが、現在中核事業となっている海外事業にも力を入れております。

 

-所属している部署と、部署の役割を教えてください

 

藤川 人事部の海外人事チームに所属しています。人事部全体の役割は、人事異動・人材育成・福利厚生の整備など多岐にわたります。その中で私が所属するチームは、海外事業関連の人事業務を一手に引き受けています。具体的には海外事業において必要な人材に関する企画領域や、異動・育成、エンゲージメント向上の施策などを担当しています。

課題・背景
グローバル人材要件を再定義し教育体系を見直した

-アルーが提供した海外派遣オンライン研修は通算3回目になりますが、そもそも実施した背景を教えてください

 

藤川 当社ではグローバル人材育成が非常に重要だと認識しています。理由は2つあります。1つ目は、海外事業を拡大していく必要があるため。2つ目は、イノベーション企業となるためです。

1つ目の海外事業拡大についてですが、当社の国内外を合わせた社員総数のうち50%以上を外国人が占めています。また業績面では、2023年度の決算において、海外売上、利益ともに国内とほぼ変わらない規模にまで成長してきています。国内市場もまだまだ伸びる余地はありますが、海外と比較すると海外の方が圧倒的に成長余地が大きいため、海外事業を牽引していく人材の育成が急務となっています。

2つ目のイノベーションですが、当社の中期経営計画でイノベーション企業を目指すことを掲げています。今後国内外問わず成長を続けるには、イノベーションなくしては難しいと考えています。イノベーションを生むためには多様な考え方や、様々なバックグラウンドを持つ人との交流と意見交換、日本以外からの情報収集などグローバル人材要件と重なる部分が多いです。そのため、グローバル人材育成は図らずもイノベーション人材を多く生み出していくことにも繋がると考えています。

 

一方で以前はグローバル人材とは「英語ができる人である」と見られていた時代もありました。しかし、私自身、海外経験をした際に、実際に海外で活動してみてグローバル人材に求められる要件のうち語学力は重要なスキルではあるものの、いくつかある要件の1つに過ぎないと実感しました。

そこで、今から4年ほど前にグローバル人材育成体系を大きく見直し、グローバル人材に必要なスキルを再定義しました。語学力以外に必要なスキルとして、多様性を受け入れる力や、自立して考える力、問題を見抜く力、問題解決をする力などを加えています。そしてグローバル人材の必須要件を3つのステップに区分したグローバル人材育成体系を構築しました。例えば、ステップ1は「グローバルのマインドを手に入れる」「語学力向上の意欲を持つ」ステップ2は「多様性を受容する力」「自立して物事を進める力」といった具合に、それぞれのステップに必要なスキルを明示し、社員が自ら現在持ち合わせているスキルと照らし合わせて、不足しているスキルを自覚し、研修参加や動画視聴などを通じてスキルを身につけられる育成体系にしています。

実行施策
多国籍で構成されるオンライン研修で、海外の社会課題への貢献案を考え抜く

-研修の対象社員について教えてください

 

藤川 研修の導入当初は、入社5年目でTOEIC730点あれば選考無しで参加できる枠を設けていましたが、若いうちからグローバル人材へのキャリアビジョンをしっかりと持ってもらうために、この対象年次を徐々に引き下げて、今年から入社3年目でTOEIC730点あれば可能としています。

 

-海外派遣オンライン研修の実施内容について教えてください

 

藤川 研修期間は5日間ですが、アルーにお願いしたのはそのうちの4日間です。「当社が海外の社会課題に対してどのように貢献できるか」というプロジェクトに対し多国籍チームを作り、英語で「徹底的に考え抜く」ことに重きを置いています。

具体的にはコロナ禍およびコロナ後におけるマレーシアの社会課題を導き出し、どのように貢献できるかについてマレーシア現地の学生やビジネスパーソンとオンラインでつなぎ、英語で話し合ってもらいます。「社会課題はどのようなものか」「その社会課題の背景には何があるのか」「社会課題の解決に当社が貢献することは何か」をリサーチしディスカッションを通じて具体案へ落とし込みます。

< 海外派遣オンライン研修の実施概要 >

藤川 4日間このように外国人と交流することで異文化を体験し、多国籍の環境でグループディスカッションをファシリテートし、意見をまとめる経験を通じて、当社がグローバル人材育成体系の中で設定しているスキルを、直接実感ができるプログラムとしました。

最終日には社会課題の解決策を英語でプレゼンテーションし、今後グローバル人材として成長していくためにどのようなことをしていくのかというアクションプランも作成しています。

< 海外派遣オンライン研修のスケジュール >

-アクションプランを作成された理由は何でしょうか?

 

藤川 研修を通じて、グローバル人材に必要なスキルを認識し、自身に何が不足しているかは把握できますが、5日間という期間だけではスキルを習得しきることは困難です。今回の研修受講後に、一人ひとりのスキルをどう伸ばしていくかは、受講者の取り組みにかかっています。そのため、研修後のアクションプランを立てることでスキル習得の意識づけをし、スキル習得に向けた行動を促すようにしています。この研修をきっかけとしてグローバル人材として大きく成長することを期待しています。また、当社には海外現地法人に1年間トレーニーとして参加する海外派遣研修制度を設けていますが、本研修の参加者がこうした次のステップに挑戦し、グローバル人財として活躍するキャリアパスを実現頂きたいと考えています。

 

-今回の研修で目指したゴールを教えてください

 

藤川 当社はグローバル人材育成体系でグローバル人材のステップを3つに分けています。

この研修のゴールは、グローバル人材のステップ2のスキルを強く意識し、スキルの一部を習得し、習得できないものに関しては自分自身でアクションプランを立てて自己研鑽できる環境を創ることです。

成果
グローバル人材プールの裾野を拡げ、社員のマインドにインパクトを与えた研修

-オンライン研修で実感した成果はどのようなことですか?

 

藤川 オンライン研修ということで、「どの程度の効果が得られるのか」「研修に満足できるのか」「受講者自身のアクションプランにつながるか」という点で不安に感じた部分がありましたが、過去3年間を振り返ると、どの回においても非常に高い効果が得られたと実感しています。

たとえば、実際参加した社員からは、「今まで会社で受けてきた研修の中で一番タフだったけど、人間としては一番成長できた研修だった」「グローバル環境下で働くということを強くイメージ出来た」「異文化理解の本質をとらえられた」といった声もたくさん出ています。そういった意味では非常にハードな研修であることは間違いないですが、社員一人ひとりが自分自身の考え方やマインドにいい意味で大きく影響を与えるきっかけとなっています。

また、オンラインといっても、丸1日外国人と英語でディスカッションし続けないといけない日が4日もあるため、参加者からは「実際に現地に行くのに勝るとも劣らないそうした研修であった」という声が多く、オンラインでも非常に効果が高い研修であったと我々も評価しています。

加えて研修参加者の負担を考えても海外に行くとなると時間的な制約や業務面の制約も大きなハードルとなりますが、オンライン研修によって参加しやすい環境を整えることでグローバル人材プールの裾野を拡げられていることも大きいです。

 

そもそもの目的であるグローバル人材に求められるスキルを体感しアクションプランを立てるというゴールに対してはほぼ100%達成できていると感じています。当初は80%程度達成していればいいかなと考えていましたが、蓋を開けたらほぼ参加者全員が達成できていたのは想定外でした。

今後の取り組み
社員自らが希望するポジションに必要なスキルを磨ける環境づくり

-今後どのような取り組みを考えていますか?

 

藤川 人事異動の観点でいうと、会社主導の人事異動ではなくて社員による公募を主体とした人事異動を実現していきたいと考えています。社員自身があらゆるポジションを希望することができ、そのポジションに求められているスキル能力を社員が自ら身につけ、そのポジションに自ら手を挙げていく、という世界です。

もちろんこれはグローバル人材育成にも当てはまります。海外事業が年々拡大していく中で、実際に現地法人で経営そのものに携わる機会が増えてきているなど、日本人社員が現地法人で求められるものは年々高度化しています。現地で求められる役割に応じて、必要なスキルも増えてきますから、それらに対応した人材育成プログラムを提供することが我々にとって重要なポイントになってきます。

 

-グローバル人材に限らず人事部としてどのようなことを実現していきたいですか?

 

藤川 2025年度以降、社員が自律的にキャリアを決めていける環境を実現したいと考えています。今までは人事部主導で社員の異動を決めていましたが、今後は社員が希望する仕事やキャリアのスキルを磨き、自ら行きたいポジションに手を挙げる、公募型の異動を主体にしてきたいと考えています。そのためには、社内にどのようなポストがあり、そのポストではどのようなスキルが求められるのかを明示していく必要があります。一方、社員は自分自身のスキルを常に見直し、自分自身がどのようなスキルを身につければ行きたいポストに行けるのかを考えていく必要があります。このような環境を実現していきたいと考えています。

アルーを選んだ理由
人事部が描くグローバル人材育成を共に考えてくれるパートナー

-アルーの研修を導入いただいた理由を教えてください

 

藤川 グローバル人材の育成体系をどう見直すかというタイミングで、協力していただいたことです。グローバル人材に必要なスキル案や他社事例など情報をいただいたり、壁打ちとして相談に乗ってもらったりしていました。アルーの営業やコンサルタントからいただく情報を参考にさせていただきながら自社のグローバル人材育成体系を作ることができました。もちろん、ご提案いただいた研修内容が外国人とのディスカッションが含まれているなど非常に優れたものだったこともありますが、それ以上に何か相談したいときにこちらの質問に的確に答えてくれるこういった点においては信頼がおけますし、結果的に自社に合ったグローバル人材育成体系や能力要件を作れました。

 

-リピートしていただいている理由はどういったことでしょうか?

 

藤川 リピートしている理由は2つあります。1つ目は我々がこの研修の目的として置いている「グローバル人材のスキルを体感し、その先のアクションプランにつなげる」という目的に対して、受講者が極めて高いレベルでこの目的に達していることです。もう1つは過去の参加者の評価が極めて高いということです。
 

1つ目については、過去3年間リピートをして、受講者の多くが当社の1年間の海外派遣研修の選考を通過しています。1年間の海外派遣研修は社内でも非常に人気が高く、毎年多数の応募者がおり、人事による選考で派遣者を決定していますが、昨年の場合、選考通過者の半数以上を本研修の受講者が占めました。本研修を通じ、グローバル人材に必要なスキルを認識し、そのスキルを自ら向上させた結果と考えています。

2つ目については、目的をいくら達成したとしても、その研修自体のプログラムに魅力がない、効果が高くない場合は研修をリピートすることをためらってしまいますが、少なくとも過去の受講者からは高い評価を受けています。

 

-アルーに期待していることはありますか?

 

藤川 アルーにはこれまでどおり、必要なスキルを習得できる機会を提供していただきたいです。人事部としてはポジションに必要なスキルを明示しますが、一方で社員の目線に立てば必要スキルをきちんと身につける機会が欲しいと思うはずです。社員自身がキャリアビジョンを考える重要性は益々高まっていきますので、今後もこうした社員の要求に対する的確なサポートをしていただくことを期待しています。

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アルー営業担当からの一言

アルー株式会社
グローバルHRコンサルティング部
根本 一

5日間のオンライン型海外派遣研修をご支援させていただいておりますが、この研修が1年間の海外トレーニー研修の登竜門のような施策になりつつあるとお聞きし、その育成効果を高く評価いただいていると感じております。異文化対応力の他にも、受講者の皆様の今後のキャリアを考える上で必要なスキルに気づき、研修後のアクションプランに繋げる事に高いレベルで達しているというお言葉をいただきましたが、この研修が点ではなく線の一部になっていると感じられ大変うれしく思っています。今後は三井住友海上火災保険様が目指している「社員主体の人事異動」の実現に向けて、お手伝いをさせていただけるようなご支援ができればと思っております。

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