
21世紀型スキルとは?10項目と企業での育成方法をわかりやすく解説
「21世紀型スキル」という言葉を耳にする機会が増えたものの、10のスキル項目を並べただけでは自社の人材育成にどう落とし込めばよいかが見えてこない——そう感じている人材育成担当者も少なくないのではないでしょうか。「結局、これは教育界の理論用語で、企業実務では使えないのでは?」という疑問を抱えたまま検討が止まっているケースもよく耳にします。
この記事では、21世紀型スキルの定義と10項目・4カテゴリの整理から、社会人基礎力など類似概念との違い、10スキルに対してどの育成手法が有効かを示したマトリクス、そして自社で優先順位を付ける判断軸までを解説します。
この記事でわかること
- 21世紀型スキルの定義とATC21Sが整理した10項目・4カテゴリの全体像
- 社会人基礎力・OECDキーコンピテンシー・文部科学省の21世紀型能力との違い
- 10スキル×育成手法(集合研修・OJT・自律学習・プロジェクト学習)のマトリクス
- 自社で「10スキルすべてを網羅しない」ための優先順位付けの考え方
- 生成AI時代における21世紀型スキルの重要度シフト
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この記事の監修者

アルー株式会社
代表取締役社長
落合文四郎
1977年、大阪府生まれ。 2001年、東京大学大学院理学系研究科修了後、株式会社ボストン コンサルティング グループ入社。 2003年10月、株式会社エデュ・ファクトリーを設立し、代表取締役社長に就任。 2006年4月、アルー株式会社に社名変更。京都大学博士(経営科学)。
21世紀型スキルとは
定義とATC21Sによる提唱
21世紀型スキルとは、変化の激しい社会において個人が社会・職業生活で成功するために必要とされる能力群を指します。国際プロジェクトATC21S(Assessment and Teaching of 21st Century Skills、21世紀型スキルの評価と教育プロジェクト)が2009年から国際的な議論を進め、10のスキルを4つのカテゴリに整理して提唱しました。
ATC21Sは、メルボルン大学を学術拠点に、シスコシステムズ・インテル・マイクロソフトの3社が資金支援するかたちで発足した国際プロジェクトです。産業構造が情報経済へ移行する中で学校教育が変化に追いついていないという問題意識から出発しており、教育界だけでなく産業界も参画して「これからの社会・職場で求められる力」を定義・評価しようとした点に特徴があります。
4カテゴリと10スキルの全体像
21世紀型スキルは、以下の4カテゴリに10スキルが整理されています。
カテゴリ | スキル数 | 主なスキル |
|---|---|---|
思考の方法 (Ways of Thinking) | 3 | 創造性とイノベーション / 批判的思考・問題解決・意思決定 / 学び方の学習・メタ認知 |
仕事の方法 (Ways of Working) | 2 | コミュニケーション / コラボレーション(チームワーク) |
仕事のツール (Tools for Working) | 2 | 情報リテラシー / ICTリテラシー |
世界の中で生きる (Living in the World) | 3 | 地域とグローバルの良き市民であること / 人生とキャリア発達 / 個人と社会における責任(文化的差異への認識と受容含む) |
注目したいのは、10スキルのうち「思考の方法」(創造性・批判的思考・メタ認知)と「世界の中で生きる」(市民性・キャリア・責任)という、いわば「頭の使い方」と「あり方」に6スキルが割かれている点です。コミュニケーションやICTのような目に見えるスキルは全体の一部にすぎず、認知能力と態度・価値観までを射程に含むことが、この枠組みの特徴です。
日本での受け止められ方
日本では文部科学省が2010年代前半に「21世紀型能力」(基礎力・思考力・実践力)という独自の枠組みを提示し、初等・中等教育の学習指導要領改訂に反映されてきました。企業の人材育成では、経済産業省の「社会人基礎力」や、リスキリング文脈での「DX人材要件」と並行して語られることが多く、実務担当者が「どの概念を軸に自社の人材要件を設計すべきか」で迷う原因になっています。
「結局、日本の企業実務で使える概念なのか?」という疑問を抱えている担当者も少なくありませんが、10スキル自体は業種を問わず現代のビジネスパーソンに必要とされる能力であり、育成テーマの棚卸しや、既存研修体系の抜け漏れチェックには十分に活用できます。
21世紀型スキルが注目される背景と社会変化
VUCA・知識基盤社会の進展
21世紀型スキルが注目される背景には、社会・経済のあり方そのものの変化があります。事業環境が複雑化し不確実性が高まるVUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity:変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)時代においては、過去の成功パターンをなぞるだけでは成果が出ません。既存の知識を組み合わせて新しい価値を生み出す創造性、状況を構造的に整理する批判的思考、多様な相手と協働するコラボレーションといった能力が、実務の現場でも求められるようになりました。
複雑適応系(CAS)理論(予測困難な要素が相互に影響し合うシステムを扱う理論)を用いたマネジメント教育研究では、非線形性・フィードバックループ・遅延といった複雑な現象への対応能力が現代の意思決定者に不足していることが指摘されており、これは21世紀型スキルが強調する「思考の方法」の重要性と重なります。
人的資本開示とリスキリングの要請
日本では2023年から上場企業に人的資本情報の開示が義務化され、経営層からも「自社が育成しようとしている人材像を体系的に説明できる状態」が求められるようになりました。人材育成方針を再整理する際に、21世紀型スキルは「世界標準の育成テーマ枠組み」として参照しやすく、経営層への上申資料に組み込みやすいという利点があります。企業の人材育成の現場では、経済産業省の「社会人基礎力」や、リスキリング文脈での「DX(デジタルトランスフォーメーション)人材要件」と並行して語られることが多く、21世紀型スキルはそれらを俯瞰する上位概念として位置付けやすい枠組みです。
DX人材要件について詳しくは以下の記事をご参照ください。
🔗関連記事:DX人材に必要なスキルは?担う職種やスキルマップ・マインドを解説
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21世紀型スキルの一覧
ここからは、10スキルを4カテゴリ別に具体的に見ていきます。実務での意味を併記した一覧です。
思考の方法(Ways of Thinking)
# | スキル名 | 実務での意味 |
|---|---|---|
1 | 創造性とイノベーション | 既存の知識を組み合わせ、新しい価値・アイデアを生み出す力 |
2 | 批判的思考・問題解決・意思決定 | 情報を鵜呑みにせず、前提を問い直し、構造的に問題を解決する力 |
3 | 学び方の学習・メタ認知 | 自分の学習プロセスを自覚し、学び続ける方法自体を身につける力 |
「創造性」「批判的思考」「メタ認知」が挙げられていますが、日常業務でいえば、企画立案・課題設定・自己成長サイクルを支える基盤になります。
仕事の方法(Ways of Working)
# | スキル名 | 実務での意味 |
|---|---|---|
4 | コミュニケーション | 相手と目的に応じて情報を伝達し、意図を正確に伝える力 |
5 | コラボレーション(チームワーク) | 異なる立場・専門性を持つ相手と協働し、成果を出す力 |
多様な人材と協働する現場で不可欠な2スキルです。特にコラボレーションは、リモートワークやプロジェクトベースの働き方が広がる中で重要度が増しています。
仕事のツール(Tools for Working)
# | スキル名 | 実務での意味 |
|---|---|---|
6 | 情報リテラシー | 大量の情報から必要なものを選び取り、批判的に評価する力 |
7 | ICTリテラシー | デジタル技術・ツールを目的に合わせて使いこなす力 |
生成AIの普及により、情報リテラシー(=情報の真偽・妥当性を判断する力)の重要度が急速に高まっています。生成AIの出力には正確な情報と誤情報が混在するため、非専門家がその真偽を判別できない状態でAIに依存すると、意思決定の質が下がるリスクが研究でも指摘されています。
世界の中で生きる(Living in the World)
# | スキル名 | 実務での意味 |
|---|---|---|
8 | 地域とグローバルの良き市民であること | 地域・国際社会の一員として自覚的に行動する力 |
9 | 人生とキャリア発達 | キャリアを主体的に設計し、変化に適応する力 |
10 | 個人と社会における責任(文化的差異への認識と受容) | 多様な価値観・文化を尊重し、社会的責任を果たす力 |
グローバル化・ダイバーシティ推進の潮流と連動するカテゴリです。特に「人生とキャリア発達」は、キャリア自律を促す施策と直結します。
キャリア自律について詳しくは以下の記事をご参照ください。
🔗ブログ記事:【事例あり】キャリア自律とは?企業が支援するメリット・デメリット
生成AI時代における21世紀型スキルの再解釈
10年以上前に定義された21世紀型スキルの枠組みは、生成AIが業務に浸透した現在も有効です。ただし、10スキルの内部で 重要度が上がるスキルと変質するスキル に分かれつつあります。
重要度が上がるスキル
スキル | 生成AI時代における変化 |
|---|---|
批判的思考・問題解決 | AI出力の真偽判定・前提の問い直しが常時求められる |
創造性とイノベーション | AIが出せない「問いの設定」「意味付け」の価値が上がる |
情報リテラシー | 「ハルシネーション(もっともらしい誤情報)」を見抜く力が必須 |
メタ認知 | 「自分は何がわかっていて、何がわかっていないか」の自覚が判断の質を左右する |
変質するスキル
スキル | 生成AI時代における変質 |
|---|---|
生成AI活用が広がるほど、「AIに問う力」と「AIの回答を批判的に評価する力」の両方が必要になります。これは21世紀型スキルの「思考の方法」カテゴリと重なる領域です。
さらに見落とされがちなのが、コミュニケーションの重要度が「変質する」のではなく、むしろ 人と人との情緒的なコミュニケーションこそ相対的に価値が上がるという論点です。定型的な情報伝達や文書作成はAIが担えるようになるからこそ、相手の感情の機微を読み取り、気持ちをのせて伝えるコミュニケーション——共感・励まし・感謝・信頼構築のための対話——が、機械には代替されにくい人間固有の力として重みを増します。
コミュニケーション能力について詳しくは以下の記事をご参照ください。
🔗関連記事:仕事に活きるコミュニケーション能力とは?鍛える方法や高い人の共通点
社会人基礎力・OECDキーコンピテンシー・21世紀型能力・エンプロイアビリティ・DXリテラシーとの違い
「21世紀型スキルと社会人基礎力、両方追いかける意味はあるのか?」という疑問が多く見られます。ここでは類似概念を表で整理します。なお、OECD(経済協力開発機構)キーコンピテンシーはPISA調査の理論的基盤として世界的に参照されている枠組みで、日本の教育政策・企業の人材要件設計にも影響を与えています。
概念 | 提唱主体 | 対象 | 構造 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
21世紀型 スキル | ATC21S(メルボルン大学を拠点とする国際プロジェクト) | 児童・生徒(枠組みは企業人材にも応用可) | 4カテゴリ10スキル | シスコ・インテル・マイクロソフトが支援した国際共同研究。思考の方法と態度・価値観まで射程に含む |
21世紀型能力 | 国立教育政策研究所(2013) | 初等・中等教育 | 3層構造(基礎力・思考力・実践力) | 日本の学校教育向けに諸外国の枠組みを再構成 |
社会人基礎力 | 経済産業省(2006、2018年に再定義) | 社会人(特に若手) | 3能力12要素 | 日本の職場で求められる基礎力。「人生100年時代」版で3つの視点を追加 |
OECDキーコンピテンシー | OECD(DeSeCoプロジェクト(Defining and Selecting Key Competencies、キーコンピテンシー定義選別プロジェクト)、2003) | 全世代 | 3カテゴリ(相互作用的に道具を用いる/異質な集団で交流する/自律的に活動する) | PISA調査の理論的基盤。後継としてラーニング・コンパス2030 |
エンプロイアビリティ(雇用され続ける力の総称) | 特定の提唱主体なし(各国政府・企業で多様に定義) | 就業者 | 明確な標準なし | 「雇用され続ける力」の総称。国・企業によって定義の粒度が大きく異なる |
DXリテラシー | 経済産業省・IPA「DXリテラシー標準(DSS-L)」(2022) | 全ビジネスパーソン | 4領域(Why・What・How・マインド・スタンス) | 国の共通標準あり。デジタルスキル標準(DSS)の一部 |
使い分けの目安は以下です。
21世紀型スキル:育成テーマの網羅性チェック・国際標準を意識した経営層への説明用
社会人基礎力:新入社員・若手の育成計画の骨格設計用(日本の職場文化に馴染む)
OECDキーコンピテンシー:グローバル人材育成の枠組み設計用
DXリテラシー:DX推進部門・全社リテラシー底上げ施策用
「21世紀型スキルと社会人基礎力、両方追う意味があるのか?」への現実的な答えは、「両方追うのではなく、自社の育成テーマの棚卸しに使い、抜けているカテゴリだけ補強する」 という使い方です。全部を体系的に導入する必要はありません。社会人基礎力について詳しくは以下の記事をご参照ください。
🔗関連記事:社会人基礎力とは?3つの能力と12の要素、新入社員育成での活用法を解説
10スキルの育成手法と優先順位
スキル別に有効な育成手法を整理し、自社で優先順位を付けるための判断ステップを解説します。育成手法は、集合研修・OJT(オンザジョブトレーニング、職場内で実務を通じて行う育成)・自律学習(eラーニング等)・プロジェクト学習の4つを軸に整理します。
10スキル×育成手法マトリクス
各スキルには適した育成手法があります。以下は、集合研修・OJT・自律学習(eラーニング等)・プロジェクト学習の4手法との対応表です。
スキル | 集合研修 | OJT | 自律学習 | プロジェクト学習 |
|---|---|---|---|---|
(◎=特に有効 / ○=有効 / △=限定的)
読み取りポイントは以下です。
- 批判的思考・コラボレーション・コミュニケーション:複数手法で育成可能。集合研修とプロジェクト学習を組み合わせると効果が高い
- 創造性:プロジェクト学習(実際のテーマに取り組むかたち)が最も効果的
- 情報リテラシー・ICTリテラシー:自律学習(eラーニング)で基礎を押さえ、OJTで実践させる流れが効率的
- メタ認知:集合研修とOJTの組み合わせで、日常業務の中で内省を促す設計が有効
自社での優先順位付けの判断ステップ
以下の3ステップに則ると、どのスキルを優先して育成するかを決めることができます。
ステップ1:事業課題から必要スキルを絞る
経営計画や中期戦略に照らして、「今後3年で最も重要な事業テーマ」を1〜2個選びます。たとえば「新規事業創出」であれば創造性・批判的思考が最優先、「グローバル拠点との協働強化」であればコラボレーション・良き市民であることが最優先、というかたちです。
ステップ2:既存研修体系との重複・抜けをチェック
21世紀型スキルの10項目を軸に、既存の階層別研修・テーマ別研修が「どのスキルを扱っているか」を棚卸しします。カテゴリ別に抜けているスキルがあれば、そこが補強候補です。
ステップ3:育成手法を絞り込む
ステップ1で選んだスキルに対して、上記マトリクスから有効な手法を選定します。1つのスキルに対して複数手法を組み合わせることが多く、たとえば「批判的思考」なら集合研修(基礎習得)+プロジェクト学習(実践)の2段構成が典型的です。
弊社アルーは批判的思考・問題解決スキルの体系的な育成に活用できるロジカルシンキング研修を提供しています。詳しくは以下のページをご覧ください。
🔗研修サービス詳細:ロジカルシンキング研修
🔗おすすめ資料:厚生労働省のポータブルスキル全体像と対応研修一覧表
成果の可視化の方法
21世紀型スキルは抽象度が高い分、成果の可視化を設計しないと形骸化しやすいテーマです。「研修をやっただけで終わっていないか」という疑問は、稟議を上げる立場にとって重い問いですが、ここに答えるためには、行動レベルで観察できる指標に落とし込み、複数タイミングで測定する仕組みが欠かせません。
行動評価指標の設計
抽象的なスキル項目を評価可能にするには、行動レベルで観察できる指標に落とし込みます。たとえば「批判的思考」であれば、以下のような行動指標が考えられます。
- LV1(基礎):上司の指示に対して、目的と背景を質問できる
- LV3(実践):会議での提案に対して、前提条件を洗い出して代替案を提示できる
- LV5(指導):若手が持ってきた資料に対して、論理構造の弱点を指摘し改善方向を示せる
行動レベルで定義することで、上司からの観察評価・360度評価に組み込めるようになります。
研修後・3か月後の2回測定
研修効果測定の実務で有効なのは、研修直後と3か月後の2回測定を組み合わせるアプローチです。
測定タイミング | 測定内容 | 目的 |
|---|---|---|
研修直後 | 理解度・実践可能感の自己評価 | 「わかった/やれそう」の把握 |
3か月後 | 職場での実践度・行動変容の自己/他者評価 | 「やっている/成果が出ている」の把握 |
カークパトリックの4段階評価モデル(Reaction・Learning・Behavior・Result)でいうLevel 2(理解)とLevel 3(行動)を切り分けて測ることで、「研修時点では理解できたが職場で実践できていない」というボトルネックを見つけられます。
21世紀スキルの育成事例
製薬メーカーにおけるコンセプチュアルスキル育成
アルーが支援した製薬メーカーでは、若手社員を対象に、21世紀型スキルの「思考の方法(Ways of Thinking)」に該当する「批判的思考・問題解決」領域のコンセプチュアルスキル育成を3年間の体系的なプログラムとして設計・導入しました。
導入前、この企業では以下のような課題を抱えていました。
社内の共通言語不足:職種によって論理的思考のレベルに差があり、共通言語化ができていない状況
経験則への依存:トラブル発生時に原因の幅出しや深堀りを十分に行わず、経験則で解決に動いてしまうため、類似のトラブルが繰り返される課題を抱えていた
育成プログラムの現場への定着不足:研修を実施しても現場で実践されず、上司からも的確なフィードバックが得られていない
そこで、同社では、1年目に「ロジカルシンキング」、2年目に「問題解決」、3年目に「仮説思考」と、段階的により難易度の高いコンセプチュアルスキルを学んでいく3カ年設計としました。各年次の研修はケース演習を繰り返し行う実践的な内容を中心に据え、以下のサイクルを回しました。
研修1日目(スキルインプット)→職場実践→研修2日目(振り返りとフィードバック)
さらに、上司との「共通言語化」を図るため、上司にも90〜120分程度のeラーニングを受講してもらい、フィードバック時の指南書として使える仕組みを整えました。
3年間の実践課題の振り返りレポートや、上司・受講者本人からのコメントから、年次ごとに以下のような確かな行動変容が確認されています。
1年目(ロジカルシンキング):
業務内容を構造的に整理し、簡潔でわかりやすく報告できるようになったという声が、上司・本人の双方から挙がりました。2年目(問題解決):
上司から与えられた課題を処理するだけでなく、自らの業務の中から主体的に問題を設定し、上司へ提言できる変化が見られました。3年目(仮説思考):
情報が十分に揃わない状況下でも、状況に対して自ら問いを立て、仮説を組み立てて検証に踏み込めるようになったというコメントが目立ちました。
当研修における3つのポイント
- 段階的な難度設定: 3年間の中で扱うテーマの難易度をステップアップさせていく設計
- 上司の巻き込み: 上司へのeラーニング提供など、職場での実践と的確なフィードバックを促す仕組みづくり
- PDCAの全方位化: 効果測定を2回行い、施策自体のPDCAを確実に回す体制の構築
🔗おすすめ資料:厚生労働省のポータブルスキル全体像と対応研修一覧表
まとめ
21世紀型スキルは、ATC21Sが4カテゴリ10スキルとして整理した、変化の激しい時代に必要な能力群です。10スキルを網羅的に育成するのではなく、事業課題起点で優先順位を付け、スキル別に有効な育成手法を選択することで、自社の人材育成方針に落とし込む必要があります。
社会人基礎力・OECDキーコンピテンシー・DXリテラシーなど類似概念との使い分けは「両方追う」のではなく「棚卸しに使い、抜けているカテゴリだけ補強する」のが実務的な考え方です。生成AI時代においては、批判的思考・創造性・情報リテラシー・メタ認知の重要度がさらに高まる一方、コミュニケーションは定型的な情報伝達がAIで代替される分、人と人が気持ちや感情をのせて向き合う対話の価値がむしろ相対的に上がっており、既存の研修体系をアップデートする視点も欠かせません。
研修設計と成果の可視化は、抽象度の高いテーマだからこそ丁寧な設計が求められます。組織の規模・業種・文化によって最適解は異なるため、自社の設計思想と再現条件を持って進めることが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q | 21世紀型スキルと社会人基礎力のどちらを軸に人材育成計画を作るべきですか? |
|---|---|
A | 「どちらか一方」を選ぶ必要はありません。新入社員や若手の基礎育成には社会人基礎力(3能力12要素)が使いやすく、経営層への説明や国際標準を意識した育成テーマの棚卸しには21世紀型スキルが使いやすい、という使い分けが現実的です。両方の枠組みを併用し、自社の育成体系の抜け漏れチェックに活用するのが現実的な運用方法です。 |
Q | 10スキルすべてを研修プログラムに組み込む必要がありますか? |
|---|---|
A | 必要ありません。事業課題起点で優先すべきスキルを1〜3個に絞り、既存研修体系との重複・抜けをチェックしたうえで補強するのが基本です。10スキル全部を扱おうとすると、各スキルの深掘りが浅くなり、成果に結びつきにくくなります。 |
Q | 生成AIの普及で、21世紀型スキルの内容は再定義が必要ですか? |
|---|---|
A | 10スキルの枠組み自体は現在も有効ですが、各項目の重要度は変化しています。批判的思考・創造性・情報リテラシー・メタ認知の重要度が高まる一方、コミュニケーションは「定型的な情報伝達はAI代替、人と人の気持ち・感情をのせた対話の価値が上がる」方向に変質しつつあります。ICTリテラシー・コラボレーションも「AIとの協業」を含む形に再定義が必要です。既存の研修コンテンツに生成AI活用と情緒的コミュニケーションの観点を追加する形でアップデートするのが効果的です。 |
Q | 研修の成果はどのように測定すればよいですか? |
|---|---|
A | 研修直後(理解度・実践可能感)と3か月後(職場での実践度・行動変容)の2回測定を組み合わせるのが効果的です。カークパトリックの4段階評価モデルでいうLevel 2(理解)とLevel 3(行動)を切り分けて測ることで、「研修時点では理解できたが職場で実践できていない」というボトルネックを可視化できます。行動評価指標を段階レベル(LV1/LV3/LV5)で定義しておくと、上司の観察評価にも組み込みやすくなります。 |


