
承認欲求が強い社員との付き合い方と職場での活かし方
承認欲求は仕事のモチベーションを高める要因になる一方で、依存や過度な疲弊を引き起こす原因にもなります。
この記事では、承認欲求と仕事の関係を「健全とこじらせ」の境界から整理し、自分・部下・同僚・上司の立場別にどう付き合えばよいかを解説します。1on1やフィードバックで承認を活かす際の副作用の予防、承認源を組織の外にも分散させる考え方まで、明日から現場の実践で活用できる具体性でまとめました。
この記事でわかること
- 承認欲求の定義と、自己肯定感・自己顕示欲・自尊心との違い
- 健全な承認欲求と「こじらせ承認欲求」を分ける境界の判定基準
- 承認欲求の強度を測るセルフチェックリスト(10問)と4象限マトリクスでの読み解き方
- 自分・部下・同僚・上司の立場別の付き合い方マップ
- 1on1・フィードバック・ピア承認で承認を活かす際の副作用予防設計
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この記事の監修者

アルー株式会社
代表取締役社長
落合文四郎
1977年、大阪府生まれ。 2001年、東京大学大学院理学系研究科修了後、株式会社ボストン コンサルティング グループ入社。 2003年10月、株式会社エデュ・ファクトリーを設立し、代表取締役社長に就任。 2006年4月、アルー株式会社に社名変更。京都大学博士(経営科学)。
承認欲求とは
承認欲求とは、他者から認められたい、価値ある存在として受け入れられたいという欲求を指します。仕事の文脈では、成果を評価されたい、上司から「頼りにしている」と言われたい、同僚から一目置かれたいといった形で現れます。近年は、リモートワークやZ世代の価値観変化、SNS時代の可視化志向を背景に、職場での承認欲求のマネジメントが人材育成・組織開発の重要テーマとして扱われるようになりました。
承認欲求の定義とマズロー5段階説での位置
承認欲求は、心理学者アブラハム・マズローが提唱した欲求5段階説の第4段階に位置づけられます。生理的欲求・安全欲求・社会的欲求(所属と愛の欲求)が満たされたうえで現れる、比較的高次の欲求です。マズローは承認欲求をさらに2種類に分けています。
種類 | 内容 | 職場での例 |
|---|---|---|
他者からの承認は外的評価に依存するため一過性になりやすく、自己承認へと移行することが健全な発達の方向とされています。仕事の文脈では、他者承認だけに頼っていると評価や褒め言葉に一喜一憂しやすく、自己承認の基盤ができてくると、外部評価に左右されにくい安定した働き方につながります。
仕事で承認欲求が改めて注目される背景
承認欲求が改めて職場で注目される背景には、大きく3つの環境変化があります。1つ目はリモートワークの普及です。オフィスでの偶発的な「見られている」「気にかけられている」実感が減り、承認機会そのものが希薄化しました。2つ目はZ世代を中心とした若手社員の価値観変化です。「自分の成長実感」「意味のある仕事」を重視する傾向が強まり、承認を通じた成長支援が育成上のテーマとして浮上しています。3つ目はSNSによる可視化文化です。日常的に「いいね」で評価される感覚に慣れた世代が働き手として増え、職場でのフィードバック頻度への期待値が上がっています。
若手の働き方への意識について詳しくは以下の記事をご参照ください。
🔗関連記事:【仕事の考え方】若手の本音を徹底解剖!成長を促す、3つの成功法則
承認欲求と自己肯定感・自己顕示欲の違い
承認欲求は、自己肯定感・自己顕示欲・自尊心といった近い概念と混同されがちです。これらは互いに関連しつつも別物であり、区別することで「自分の状態」「部下の状態」を正確に見立てられるようになります。
4概念の比較表と誤解しやすいポイント
以下の表で、4つの概念の違いを整理します。
概念 | 中心となる問い | 主な源 | 職場での現れ方 |
|---|---|---|---|
誤解されやすいのは「自己肯定感が高ければ承認欲求は消える」という発想です。自己肯定感が高くても、他者から認められたい気持ちは残ります。自己肯定感の高さは承認欲求を「暴走させにくい土台」としては機能しますが、承認欲求を消し去るものではありません。
「自分がどれに近いか」を見分ける観点
自分や部下の状態を見分けるときは、次の3つの観点で切り分けると整理しやすくなります。
- 評価がないと不安になるか(承認欲求の強さ)
- 失敗した自分も受け入れられるか(自己肯定感の高さ)
- 注目を集めることそのものが目的化していないか(自己顕示欲の強さ)
たとえば「評価がないと不安だが、失敗した自分は受け入れられる」場合は、承認欲求は強いが自己肯定感の土台があるため、健全な範囲にとどまりやすい状態です。逆に「評価も欲しいし、失敗した自分は許せない」場合は、承認欲求が自己肯定感の低さを補完する構造になっており、こじらせやすい状態と言えます。
仕事で承認欲求が強い人の特徴と「健全とこじらせ」の境界
承認欲求は、それ自体が問題ではありません。問題は「どの程度、どのように仕事に影響しているか」です。ここでは、承認欲求が強い人に共通する行動パターンを押さえたうえで、健全な承認欲求と「こじらせ承認欲求」を分ける境界を定義します。
承認欲求が強い人に共通する行動パターン
職場で承認欲求が強い人には、以下のような行動パターンが共通して見られます。すべてが該当するわけではなく、いくつかの組み合わせで現れることが多いものです。
- 自分の成果や貢献を、頻繁にアピールする
- 上司や周囲の評価コメントを繰り返し確認したがる
- 他者との比較(同期・同僚)に敏感で、順位・評価差に強く反応する
- 「ありがとう」「助かった」といった肯定的な言葉への感度が高い
- 反対に、否定的なフィードバックへの反応が過剰になりがち
- SNSや社内チャットで、自分の仕事内容をアピールする頻度が高い
- 表彰・肩書き・役職への関心が強い
- これらの行動は、承認欲求が仕事へのエネルギーとして機能している証拠でもあります。問題は、強さそのものではなく、次に述べる「健全性」の軸で境界を判断できるかどうかです。
健全な承認欲求とこじらせ承認欲求の境界
健全な承認欲求とこじらせ承認欲求を分ける境界は、「承認が得られないときにどうなるか」で判別できます。
健全な承認欲求 | こじらせ承認欲求 | |
|---|---|---|
この5つの観点のうち、右列(こじらせ側)に3つ以上該当する場合、承認欲求が仕事や人間関係に負の影響を及ぼしている可能性が高くなります。
こじらせが起きる原因と背景
こじらせ承認欲求が生じる背景には、個人要因と環境要因の両面があります。個人要因としては、幼少期から他者からの評価に過度にさらされてきたこと、自己肯定感の低さ、完璧主義傾向などが挙げられます。環境要因としては、承認の機会が偏っている職場(特定の上司にしか評価権限がない等)、リモートワークによる承認機会の減少、SNSをはじめとした「承認の可視化」文化への過剰適応などが影響します。
重要なのは、こじらせが本人の性格の問題だけではなく、承認源が偏った職場環境からも生まれるということです。マネジメント側からアプローチできる余地は十分にあります。
承認欲求の強さを測るセルフチェックリスト
自分または部下の承認欲求の状態を、指標で捉えるためのセルフチェックリストです。10問に答え、スコアと4象限マトリクスでの位置づけを確認します。
承認欲求 強度セルフチェックリスト(10問)
以下の10項目について、「当てはまる=2点/どちらとも言えない=1点/当てはまらない=0点」で採点してください。
- 1. 上司や同僚からの評価コメントを、繰り返し思い返すことがある
- 2. 自分の成果が周囲に伝わっているか、頻繁に気になる
- 3. 同期・同僚の昇進や表彰の情報に、強く反応してしまう
- 4. 褒められないと、その仕事のモチベーションが下がる
- 5. 否定的なフィードバックを受けると、数日引きずることがある
- 6. 会議やチャットで、自分の発言への反応(既読・スタンプ)を気にする
- 7. 自分の貢献が正当に評価されていないと感じることが多い
- 8. 「認められたい」という気持ちを、周囲に悟られたくない
- 9. 承認されない状態が続くと、転職や異動を考えたくなる
- 10. 自分の判断に自信が持てず、他者からの肯定を必要とする場面が多い
スコアの目安
- 0〜6点:承認欲求は穏やか。自己承認の土台がある状態
- 7〜13点:健全な範囲の承認欲求。仕事のエネルギーとして機能しやすい
- 14〜20点:承認欲求が強め。次項の4象限マトリクスでの位置づけを確認
スコアの読み方と「4象限マトリクス」での位置づけ
承認欲求は「強さ」だけでは健全性を判断できません。「健全性」の軸と組み合わせた4象限マトリクスで見立てることで、取るべき対処法が変わります。
象限 | 欲求の強さ × 健全性 | 状態と対処の方向 |
|---|---|---|
セルフチェックリストのスコア(強さの軸)と、前章「健全とこじらせの境界」5観点(健全性の軸)を組み合わせて、自分または部下の象限を判定してください。象限ごとに、対処法の重点が変わってきます。
【立場別】承認欲求との付き合い方
ここでは「自分/部下/同僚・上司」の立場別に、実践できるアプローチを整理します。
自分の承認欲求と向き合う(セルフマネジメント)
「自分が承認欲求が強い側」だと自覚したとき、欲求そのものを消そうとするのは得策ではありません。承認欲求は基本欲求であり、抑圧すると別の形で噴出します。目指すべきは「(自分で自分を)認めたい」と「(他者から自分を)認められたい」のバランスをとり、承認源を分散させることです。
具体的なアプローチは以下の通りです。
- 承認源のマッピング:自分は今、誰から・何を承認されると満たされるかを紙に書き出す。上司・顧客・家族・過去の自分・自分自身、それぞれの重みを可視化する
- 自己承認の習慣化:1日の終わりに「今日、自分ができたこと」を3つ書く。他者からの評価を待たず、自分で自分を認める練習
- 評価コメントとの距離の取り方:否定的な評価を受けたら、24時間置いてから内容を客観視する。感情反応と内容評価を分離する
- 承認以外のモチベーション源の発見:「認められたい」以外に、自分が仕事から得たいもの(学び・関係性・貢献実感)を明確にする
これらは1on1やコーチングの場面で、テーマとして扱うことができます。上司や第三者との対話を通じて言語化することで、内省が深まりやすくなります。
部下の承認欲求への向き合い方
部下の承認欲求への向き合い方は、その部下がどの象限にいるかで変わります。健全、且つ承認欲求強めの部下には承認をエネルギー源として活用し、こじらせ側の部下には承認源の分散を促す介入が必要です。
部下の状態別 対処マップ
部下の象限 | 主なアプローチ | 具体的な打ち手 |
|---|---|---|
1on1での質問例としては、次のようなものが有効です。
- 「最近、自分の仕事で『これはよくできた』と思えたことは何ですか?」(自己承認の練習)
- 「誰からの、どんな言葉が一番モチベーションになりますか?」(承認源の言語化)
- 「もし今の評価がなかったとしても、続けたい仕事はどれですか?」(内発的動機の探索)
同僚・上司の承認欲求への向き合い方
同僚や上司の承認欲求への対処は、部下の場合と異なり「マネジメントできない相手」への対応となります。基本は次の3つです。
承認欲求を否定しない:相手の承認欲求を「未熟」と決めつけない。基本欲求であることを前提に受け止める
過度に応えない:不健全な要求(手柄の独占・過剰な賞賛強要)には距離を取る。応えるほど依存が強化される
承認以外の評価軸を持ち込む:会議・チームMTGで、成果以外の観点(プロセス・チーム貢献)に光を当てる発言をする
同僚・上司との関係では、直接的な介入よりも、距離を置いた向き合い方が効果的です。
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承認欲求を仕事で活かすマネジメント施策と副作用の予防設計
承認欲求を組織的にマネジメントする施策としては、1on1、フィードバック文化、ピア承認、360度フィードバックなどが代表的です。ただし、単に「褒める場を増やす」だけでは承認依存や不公平感といった副作用を招きます。設計段階で副作用を予防することが重要です。
1on1・フィードバックでの承認設計
1on1やフィードバックの場面で承認を効果的に扱うためのポイントは、以下の3点です。
- 成果だけでなくプロセスを承認する:「結果が出た」だけでなく「その過程での判断・行動」を言語化する。結果依存を避け、再現性を高める
- 具体的行動に紐づけて承認する:「よくやったね」ではなく「〇〇の場面で、△△という判断をしたのは効いていた」と、行動レベルまで降ろす
- 他者からの承認も伝える:上司からの承認だけでなく「顧客の◇◇さんが感謝していたよ」と他者経由の承認も届ける
フィードバック文例(部下の承認欲求のタイプ別)
部下のタイプ | NG例 | OK例 |
|---|---|---|
1on1について詳しくは以下の記事をご参照ください。
🔗関連記事:1on1とは?話すことの例や意味がないと言われないための進め方
ピア承認・360度フィードバックの運用
承認源を上司一極に集中させないために、ピア承認(同僚間の承認)や360度フィードバックの仕組みが有効です。運用のポイントは以下の通りです。
- 頻度の設計:ピア承認(サンクスカード等)は日常的に、360度フィードバックは半期または年1回など、頻度を分ける
- 匿名性の使い分け:ピア承認は記名で(感謝の顔が見える)、360度フィードバックは匿名で(率直な意見を出しやすく)
- 数値化しない:ランキング化・順位付けはピア承認の趣旨に反する。「誰が何回もらったか」を見せない設計にする
- 運用の主体:人事主導ではなく現場チーム単位で始める。トップダウンで導入すると形骸化しやすい
褒める副作用(承認依存・不公平感)の予防チェック
褒める文化を導入する際に予防すべき副作用は、主に3つあります。導入前・運用中にチェックしてください。
- 承認依存の予防:褒めることが目的化していないか。承認がなくても行動が継続する設計になっているか
- 不公平感の予防:承認機会が特定の人・部署に偏っていないか。承認しにくい仕事(バックオフィス・ルーティン業務)への配慮があるか
- バーンアウトの予防:褒められることを目指した過剰努力が生じていないか。休息・オフの承認も含まれているか
- 形骸化の予防:「とりあえず褒める」の空気になっていないか。承認の質を保つ運用ルールがあるか
- 心理的安全性との両立:褒める文化が「褒められない=ダメ」の暗黙圧力になっていないか
上手な褒め方について詳しくは以下の記事をご参照ください。
🔗関連記事:上手な褒め方とは?褒める目的や部下を育てる上手な褒め方を解説
承認欲求のコントロール方法と組織での活かし方
「会社に承認を求めるな」という言説と、「組織で承認をたくさんしろ」という育成論は、一見対立しているように見えます。両者を統合する視点が、承認源を組織の内外に分散させる考え方です。
「会社に承認を求めるな」論と「組織で承認をたくさんしろ」論を統合する承認源の分散
「会社に承認を求めるな」派の主張の核心は、承認源を会社に一極依存すると、評価変動や異動で自己が揺らぐという危険性への警鐘です。一方「組織で承認をたくさんしろ」派の核心は、承認は人間の基本欲求であり、無視するのではなく建設的に扱おうという実務論です。両者は矛盾しません。
統合する視点は、承認源を「会社の中の複数」+「会社の外の複数」に分散させることです。承認源のポートフォリオを持つイメージです。
承認源の場 | 具体例 |
|---|---|
このポートフォリオを持つことで、会社での評価が下がった時期でも自己が揺らぎにくくなり、逆に会社での承認機会が多くても依存にならずに済みます。個人にとってはキャリアの安定、組織にとっては健全なエンゲージメントに寄与する構造です。
承認源を分散させる具体的な打ち手
社員の承認源分散を支援する打ち手は、以下のようなものがあります。
ピア承認・360度フィードバックの導入:上司以外の承認源を組織内に増やす
顧客の声を届ける仕組み:VOC(Voice of Customer:顧客の声)の共有、顧客からの感謝の見える化
越境学習・副業許可:会社外の承認源を持つことを組織として肯定する
自己承認を促す1on1設計:「今日、自分ができたことは何か」を問いに組み込む
キャリア面談での承認源可視化:本人が何から承認を得ているかを言語化する場を設ける
これらは単発の施策ではなく、育成体系や評価制度・1on1運用の中に組み込むことで、承認欲求を組織の力に転換できます。
アルーのサービス
弊社アルーは管理職の1on1・部下育成スキルを体系的に高める「管理職研修」を提供しています。詳しくは以下のページをご覧ください。
🔗研修サービス詳細:管理職研修
承認欲求マネジメントを取り入れた事例
中堅・管理職層に対する部下育成研修において、1on1を「進捗管理の場」から「部下の内省と承認を扱う対話の場」へ再定義することで、部下の内発的動機と自己承認を引き出す設計に転換した事例を紹介します。
中堅・管理職層における部下との対話力向上を通じた承認マネジメントの再設計
規模・対象者
管理職層を対象に、部下との1on1対話力向上を目的とした研修プログラムとして設計しました。対象は現場のマネジメント層で、日常的に1on1や評価面談を実施する立場の管理職です。
課題
資料ダウンロードページに飛ばすときは、「おすすめ資料:(shift改行)資料ダウンロードページのタイトル」と表記し、資料ダウンロードページのタイトル文字にリンクを設置する。例文、管理職のコミュニケーションにまつわる、よくある悩みについて3つ取り上げます。管理職レポートをご覧になりたい方はこちらからダウンロードください。
実施した施策
1on1を「対話の場」として再定義し、傾聴・問いかけ・フィードバックの3つのスキルの観点に触れながら、段階的に実践へつなげるプログラムを設計しました。単発の集合研修ではなく、集合研修と現場実践を往復させる形式で、管理職自身が実際の部下との1on1を素材にケースを持ち寄る形をとりました。特に、部下の承認欲求のタイプを見立てたうえで承認の粒度を調整する練習、自己承認を促す問いを立てる練習に時間を割きました。上司からの評価だけでなく、部下自身が自分の成長を言語化できる状態を目指す設計です。
成果
参加した管理職からは、1on1の場で部下の発言数が増えた、部下が自分の課題を自ら言語化するようになったという声が上がりました。また部下側からも「1on1で、上司が寄り添う姿勢をみせてくれるようになった」「自分のモチベーションの話なども親身に聞いてくれて、仕事での声掛けの仕方を変えてくれている」という声が挙がっています。承認欲求を適切にとらえて扱うことで、上司・部下双方にとって仕事がしやすい関係性に変化していることが確認できました。
設計のポイント
この事例で効いたのは、1on1を「褒める場」ではなく「承認を含む対話の場」として広く定義し直した点です。褒めることを目的化すると承認依存を招きますが、傾聴と問いかけを主軸に据え、承認はその中で自然に扱う設計にすることで、副作用を予防しつつ承認の効果を引き出しました。管理職自身の対話スキルを型として習得したことで、承認の質にばらつきが生じにくくなった点も再現性を高める要因となりました。
🔗おすすめ資料:部下をいかに動機づけるか
まとめ
承認欲求は仕事のエネルギーにも依存の火種にもなる、人間の基本欲求です。重要なのは、その存在を否定せず、健全な範囲で活かすことです。
承認欲求は自己肯定感・自己顕示欲・自尊心と区別して扱う必要があり、健全とこじらせの境界は「承認が得られないときにどうなるか」「承認源が分散しているか」といった観点で判別できます。部下に対しては健全さと承認欲求の強さによってアプローチを変え、自分に対しては承認源の分散と自己承認の習慣化することが有効です。組織としては1on1・ピア承認・360度フィードバックが承認を活かす代表施策ですが、承認依存・不公平感・バーンアウトといった副作用への予防設計をセットで行う必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q | 承認欲求が強いのは「悪いこと」ですか? |
|---|---|
A | 承認欲求そのものは人間の基本欲求であり、悪いことではありません。本記事のセルフチェックリストと4象限マトリクスで自分の状態を見立てたうえで、健全な範囲に整える工夫をすることが実践的です。 |
Q | 褒めても褒めても満足しない部下がいます。褒め方の問題でしょうか? |
|---|---|
A | 多くの場合、褒め方の問題ではなく、承認源が特定の上司や特定の評価軸に一極集中している構造の問題です。ピア承認や顧客からの声を届ける仕組み、自己承認を促す1on1の問いなどを組み合わせ、承認源を分散させる方向で介入することをおすすめします。 |
Q | 自分の承認欲求が強いと自覚しました。欲求そのものを消せますか? |
|---|---|
A | 承認欲求は基本欲求のため、消すことは現実的ではありませんし、抑圧すると別の形で噴出します。目指すべきは、承認源を会社の内外に複数持ち、自己承認を習慣化して外部評価に左右されにくい土台を作ることです。1日3つの「自分ができたこと」を書き出す習慣が入り口として有効です。 |
Q | リモートワークで承認機会が減っています。どう補えばよいですか? |
|---|---|
A | 対面での偶発的な承認が減った分、意図的に承認機会を設計する必要があります。1on1の頻度を上げる、チャットでの感謝の見える化、月次でのピア承認の場、四半期での360度フィードバックなど、複数の承認チャネルを組み合わせることで、対面時代よりむしろ承認の質を高めることも可能です。 |


