社員が学びたいものを学べる研修体系によるキャリア自律と自律型人財の促進
株式会社明治 導入事例

左から嶺、馬路様

株式会社 明治

従業員数 : 10,885名(連結 2024年3月31日現在)

事業内容 : 牛乳・乳製品、菓子、食品の製造販売等

株式会社明治では、自律した人財を育てることを目的にこれまでの画一的な階層別研修の一部を廃止し、社員一人ひとりが学びたいものを学べる選択型研修「PICKUP」を導入しました。社員の同質性の脱却とイノベーションが起こりやすい組織作り、自分のキャリアを自分で選択していくキャリア自律の促進を実現する研修体系の見直しを行っています。

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課題・背景

  • 社員の同質化でイノベーションが起こりにくい環境
  • 自律型人財の育成とキャリア自律の促進
  • 従来の階層教育偏重による一律的な教育からの脱却

実行施策

  • キャリア自律の促進
  • 社員一人一人が学びたいものが学べる選択型研修の拡充
  • 社員が学び合えるピアラーニング環境の構築

成果

  • 学びたい研修を学びたいタイミングに学べる環境になり受講者に好評
  • 実務に役立つ実践的な研修で仕事に役立つと評価
  • 社員同士が学び合える場により社員同士のネットワークと学び文化の推進

選択型研修「PICKUP」の事例を動画で見る

株式会社 明治
人財開発部
人財開発グループ長
守谷能力開発センター長

馬路 雄太 
文内、敬称略

-貴社の事業内容と部署の役割を教えてください

 

馬路 弊社は赤ちゃんからお年寄りまであらゆる世代のお客さまに向けて、粉ミルク、牛乳・乳製品、菓子、スポーツ栄養、流動食など幅広い商品をご提供しています。日本国内にとどまらず、アジアを中心に米国、欧州にも展開しております。

私が所属する人財開発部人財開発グループでは全社の教育を担っており、職種に関係なく幅広い社員に向けた育成体系を作り研修を提供しています。

 

-貴社では人材の表記を「財」の字を使用されていますね

 

馬路 弊社では社員を人的資本ととらえており、「人財」の「財」には社員誰しもが磨けば光るというメッセージを込めています。

課題・背景
トップダウンや同質性から脱却し、自律した人財によるイノベーションを起こしやすい環境にしたい

-今回、選択型研修「PICKUP」の導入に至った背景を教えてください

 

馬路 自律型人財の育成を目的として、選択型研修「PICKUP」を導入しました。VUCAの時代と呼ばれる不確実性が高まる環境下では、正解が見えにくいため、上司から言われたことをやるだけでなく、社員一人ひとりの意見を出しやすくし、組織を動かしイノベーションを起こしやすい環境を作っていきたいと考えていました。そのために、社員一人一人が自分自身のキャリアを考えていくことも必要でしたし、選択したいキャリアが見えた際に、そのキャリアを実現するための知識やスキルを学びたいときに学べる環境も必要でした。というのも、これまでの育成方法は階層別研修を中心とした研修体系になっていたため、会社から与えられるものを学ぶこととなり、自らが学びたい内容があってもそれを学びにくい体系になっていました。このような育成方法では、社員の同質化にも繋がりうるため研修体系の見直しを検討しました。

 

最初に手掛けたのは、キャリア自律への取り組みでした。従来の階層別研修のような、ある役職や立場にならないと受けられない研修の仕組みでは、自分自身で今後のキャリアを描き、実現するのに適した環境ではないと考えました。そこで、社員のキャリアプラン上必要になる知識・スキルを満たす内容の研修を、社員が学びたいタイミングで学べる選択型研修「PICKUP」を研修体系に創設し、階層別研修の一部を廃止しました。

< これまでの階層別研修 >

実行施策
社員一人一人が学びたいものを学び、教え合う文化を作る

-今回、PICKUPで大切にされたコンセプトはどういったものでしょうか?

 

馬路 環境の変化に応じていつでも内容を見直すことができる研修体系にすることでした。

今回は「どんなプログラムを用意すればいいのか」に最も苦労しました。各部門の教育担当者にヒアリングし、研修会社にも最近のスキル要件などをヒアリングしていく中で必要なスキルを整理していきました。ただ、一度整理したスキルが唯一の正解だとは思っていませんので、毎年スキル体系や内容を見直し、その年その年の時代に合ったスキルを社員に提供できるようにしています。

 

-今回、階層別研修をPICKUPに統合したことで、社員がどのような状態になることを目指しましたか?

 

馬路 社員が学びたいものを選択し、自分から学ぶ文化の定着と、社員同士が学び合い、教え合うピアラーニングの文化作りです。

PICKUPを開始してまだ日も浅いため、参加人数が多いプログラムもあれば、参加人数が思うように集まらないプログラムもあるため、今後は、社員が学びたいスキルを学べる機会が社内にあることの認知を拡大し、興味を持ってもらう施策もさらに必要ですし、研修に参加した社員が、社員に教えるまたは学び合うピアラーニングが促進されるための仕掛けも考えています。

 

-PICKUPの全体像を教えてください

 

馬路 業務上必要なスキルを分類していく中で、「対人」「対仕事」「対チームを纏める役割に求める力」「マインド」「その他」の5つに分類しました。コミュニケーションが無くては何も始まりませんので、「対人」スキルはどの部署であってもどの立場であっても重要です。しかし、コミュニケーション力だけが高くても仕事をうまく進めることはできません。そのため、「対仕事」として「考える力」と「実行する力」として業務推進に必要なスキルも用意しています。

また、役職者以外にもプロジェクトマネジメントを担う社員もいますので、「チームを纏める役割に求める力」とあらゆるスキルの土台にある「マインド」も用意しています。「その他」のプログラムでは、その時々のトレンドになっているスキルを集め、毎年入れ替えていくことを想定しています。

< PICKUPのプログラム >

成果
インプットを踏まえたグループワークで、受講者の満足度が高かった

-PICKUPを実施してみて、目標に対する達成度がどれくらいだったか教えてください

 

馬路 まだ実施したばかりのため、目標達成というほどの結果にまでは至っていないです。実施して良かった点を上げるならば、これまで階層別に内容が分かれていたため、受けたくても受けられない研修を、社員誰しもが受講できるようになったことです。また、PICKUPのラインナップを豊富にしたことで、社員自身が学びたいものを学べる環境を構築できたことも大きいです。受講者からも好評で、人財開発部としてやって良かったと思っています。

一方、今後さらに良くしていきたい点は、社員が学びたいスキルが自由に選べるということの認知を拡げ、研修申込の参加動機を高めることです。一部受講者数が伸び悩んだ研修プログラムがあったため、今後は、動機付けのために社員のキャリア意識を醸成し、社員自身がどうなっていきたいのかをより明確化していきたいです。また、どの研修プログラムを受講すれば自分のキャリアに役立つかということもわかりやすくすることで、社員の自律キャリアを促進し、結果的にPICKUPへの参加者も増えていくようにしていきたいと考えています。

 

-今回は4つの研修をご利用いただきましたが、受講者の反応はいかがでしたか?

 

馬路 演習を中心とした研修設計を重視していたため、受講者からの反応が良かったです。「グループワークが多くて退屈せず、学ぶことができた」というコメントが多く、かつ講師も「エネルギッシュでハキハキとした講師だったので楽しく受講できた」というコメントが多くありました。これまでの研修の一部には、研修に参加したのはいいものの、座学中心で学ぶ内容が頭に入ってこなかった、つまらない時間だったという声もありましたので、このようなコメントが多くあったことはとても良かったです。

アルーの研修プログラムは構成のバランスがいいという評価もありました。座学でのインプット時間もしっかりと確保されつつ、ワークでアウトプットして定着させるという構成のため、ネガティブなコメントがなく、研修時間が短く感じるといったコメントまでありましたので、受講者にとっても学びやすい研修を提供できたのではと考えています。

 

今後は、3か月後程度に行動変容についてのアンケート実施と、ピアラーニングが実践できる場を提供し、社内コミュニティの醸成を推進していきたいです。

今後の取り組み
社員がよりイキイキとワクワクして働ける環境を作り、今以上に魅力のある会社にしていきたい

-今後、PICKUPをどのようにしていきたいか展望はありますか?

 

馬路 まずは、社内でPICKUP自体の認知度を上げていきます。そのために、説明会も用意していますし、キャリア自律に関する施策とも連動させていきます。

また当初の目標である、お互い学び合える、社員同士がつながり合える文化をつくるための学び合いのコミュニティ作りを行い、PICKUPをきっかけに社員同士が自ら学び合える状態にしていきたいです。

 

-今後、人財開発グループとしてどのようなことを実現したいですか?

 

馬路 人財開発部として目指しているのは、社員一人一人がイキイキとワクワクしながら働ける環境を作っていき、より魅力あふれる会社にしていくことです。そのために、職種も年齢も等級も関係なく意見を言い合える文化を作っていきたいです。

一人一人の個性を活かすことで、新しいものが生まれていく循環を作っていきたいですね。

アルーを選んだ理由
要望を提案書にしっかりと反映してくれる

-今回、アルーを採用した理由を教えていただけますか?

 

馬路 他社と比べ研修の種類が多く、バリエーションも豊富だったことや、提案内容にアウトプットが多く組み込まれていたのが印象的でした。例えば「考える力」グループワークを中心に構成されていて、中にはこれまで見たことがないテーマのグループワークが含まれていて、多少の不安はありましたが、これまでと違う研修が提供できるという確信が得られました。また研修内容のカスタマイズが可能で、他社では当社の要望を伝えても提案書に反映しきれていないことが多かったのですが、アルーの場合はしっかりと盛り込んでくれたことが決定的でした。

アルーに期待すること
アルーは、頼りがいのあるパートナー

-今後アルーに期待することはなんですか?

 

馬路 アルーは、とても頼りがいのあるパートナーです。他の会社よりも人財育成や研修に関する情報量が多いイメージがありますし、研修プログラムの企画や運営だけでなく、いろいろな施策で意見交換していきたいです。

PICKUPで様々なメニューを用意していますが、我々だけでは知識に限界があります。時代のトレンドにあった、研修会社ならではの視点から見た情報を提供してもらいたいと考えています。そこから研修をアレンジしたり、新たな研修を一緒に生み出して行けたりするような関係でいたいです。

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アルー営業担当からの一言

アルー株式会社
HRコンサルティング部
嶺 唯菜

明治様は階層別研修を撤廃し、受講生が自分で学ぶ内容を選択する研修に舵をきられました。最近「自律的成長」を目指している会社は多いのですが、まずは一部選択型にするという方針も多いため、明治様の本気度がうかがえます。その根底には社員がイキイキ活躍してほしいそんな願いがあると受け止めています。

アルーでは問題解決研修やリーダーシップ研修などをご支援させていただきましたが、どのようなストーリーを描くことができれば受講生自身が「自律的成長」ができるのか、研修だけでなく支援するしくみまでも一緒に作っていきたいです。

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