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離職率とは?計算方法・業界平均・原因特定と改善策を実務目線で解説

自社の離職率が高いのか低いのか、判断に迷っていませんか。1on1と評価制度の見直しなど定番施策を打っても離職が止まらない——このような悩みを抱える人事担当者は少なくありません。

この記事では、離職率の基本的な考え方から、原因特定の実践的な手順、経営層に上申できるコスト試算、3年ロードマップまでを解説します。「そもそも離職率ゼロを目指すべきなのか」「業界平均より低いけれど本当に大丈夫なのか」といった、現場の担当者が本当に知りたい論点にも踏み込みます。

この記事でわかること

  • 離職率の計算方法と業界平均との比較における注意点
  • 「良い離職/悪い離職」を分けてハイパフォーマー離脱の予兆を検知する方法
  • 退職面談とパルスサーベイを組み合わせた原因特定の実践的な手順
  • 経営層に上申できる離職コスト試算とROI(投資対効果)の見せ方
  • 3年計画で段階的に離職率を下げるロードマップ

この記事の監修者

落合 文四郎

アルー株式会社
代表取締役社長
落合文四郎

1977年、大阪府生まれ。 2001年、東京大学大学院理学系研究科修了後、株式会社ボストン コンサルティング グループ入社。 2003年10月、株式会社エデュ・ファクトリーを設立し、代表取締役社長に就任。 2006年4月、アルー株式会社に社名変更。京都大学博士(経営科学)。

離職率とは——定義、種類、注目される背景

離職率とは、一定期間内に組織を離れた人数の、期首の在籍者数に対する割合のことです。定着度合いを測る基本指標として、経営指標、人的資本開示、採用マーケティングなど複数の場面で参照されます。

離職率の定義と種類

離職率には、集計対象によっていくつかの種類があります。実際の業務で扱うのは主に以下の3つです。

種類

定義

主な用途

全体離職率

1年間に離職した社員数 ÷ 期首在籍者数

経営指標、人的資本開示

新卒3年以内離職率

入社3年以内に離職した新卒者数 ÷ 該当年度の新卒入社者数

若手定着施策、採用ブランディング

自発的離職率

自己都合退職者数 ÷ 期首在籍者数

組織課題の分析(会社都合退職を除外)

室内でできるチームビルディングゲーム

厚生労働省の「雇用動向調査」では、離職率を「1月1日現在の常用労働者数に対する年間離職者数の割合」と定義しています。自社の数値を外部と比較する際は、この定義に合わせておくことで業界平均との比較が容易になります。

注目される背景

離職率が経営指標として重視されるようになった背景には、3つの潮流があります。1つ目は人的資本開示の義務化で、有価証券報告書に離職率関連指標の記載が求められるようになりました。2つ目は労働市場の流動化で、中途採用市場の活性化が既存社員の離脱リスクを高めています。3つ目は採用難による代替コストの上昇で、1人離職した際の補充にかかる費用が以前より大きくなっています。

こうした背景から、離職率は単なる「退職者を数える指標」から、経営の重要KPIへと位置づけが変わりつつあります。

離職率の計算方法と比較する際の注意点

離職率は式そのものは単純ですが、算定期間や分母の取り方でブレが生じやすい指標です。他社比較や経年比較の前に、あらかじめ統一ルールを定めておく必要があります。

基本の計算式と3つの算定パターン

まず、目的別に3つの算定パターンを押さえます。

パターン

分子

分母

算定期間

年間離職率

1年間の離職者数

期首在籍者数

4/1〜翌3/31(or 1/1〜12/31)

月間離職率

該当月の離職者数

月初在籍者数

1か月

新卒3年離職率

入社3年以内の離職者数

該当年度の新卒入社者数

3年間累計

例えば期首在籍1,000名の企業で年間50名が離職した場合、年間離職率は5.0%となります。厚労省の産業別平均と比較したい場合はこの年間離職率を使います。一方、施策の効果を短期で追う場合は月間離職率、若手定着を評価する場合は新卒3年離職率を使い分けます。

業界平均と比較する際の落とし穴

自社の数値を業界平均と比較する際は、以下の点でブレを揃える必要があります。

  • 算定期間:会社によって年度基準(4月〜)と暦年基準(1月〜)が混在する
  • 分母の対象者:正社員のみ、契約社員含む、派遣や業務委託を含むなど範囲が異なる
  • 離職の定義:定年退職や、産休、育休からの復職しなかった者を含めるかどうか

業界平均より低いから安心と判断する前に、比較対象データの算定ルールが自社と揃っているかを確認してください。ここが揃っていないと、実態より楽観的な判断になる恐れがあります。

業界別、企業規模別、年代別の離職率ベンチマーク

自社の相対評価には業界別や規模別のベンチマークが必要です。ここでは厚生労働省「雇用動向調査(令和7年年計)」を出典に主な傾向を整理します。

業界別の平均離職率

厚生労働省「雇用動向調査」(令和7年=2025年実績)によれば、産業別の離職率には大きなばらつきがあります。全産業計は13.7%です。

最も高いのは宿泊業や飲食サービス業の23.7%で、サービス業(他に分類されないもの)が21.2%、生活関連サービス業や娯楽業が20.1%と続きます。以下、教育や学習支援業15.1%、医療や福祉14.3%、不動産業や物品賃貸業12.1%、卸売業や小売業11.9%と並びます。一方、建設業は8.7%、製造業は9.8%、金融業や保険業は6.6%と低い水準です。上位には対人サービス業が、下位には金融、製造、インフラ系が並ぶ傾向が読み取れます。

自社がどの業界に属するかで「高い/低い」の基準が大きく変わります。同じ15%でも、サービス業なら低め、製造業なら高めという評価になります。

企業規模別の傾向

「規模が小さいほど離職率が高い」とよく言われますが、全産業のデータはこの理解を必ずしも支持していません。
企業規模別の離職率は、1,000人以上が12.5%、300〜999人が15.3%、100〜299人が17.9%、30〜99人が14.0%、5〜29人が12.2%となっています。最も高いのは100〜299人の中堅規模で、最も低いのは5〜29人の小規模です。大企業(12.5%)と最小規模(12.2%)がほぼ並び、中堅層が突出する山型の分布になっています。
ただし、業種によって様相は異なります。製造業だけを見ると、1,000人以上8.2%、300〜999人9.6%、100〜299人10.6%、30〜99人11.6%と、規模が小さくなるにつれて段階的に上昇します(5〜29人は11.3%)。製造業に限れば、通説通りの傾向が出ているといえます。
つまり「規模」は単独では根拠になりません。自社の水準を測るには、規模と業種を組み合わせて見る必要があります。同じ100〜299人規模でも、サービス業と製造業では前提がまったく違うためです。
新卒3年以内の離職率の詳細と定着施策については以下の記事をご参照ください。

🔗関連記事:新卒の平均離職率はどのくらい?離職率の高い業界・原因・対策方法を徹底解説

全体離職率だけ追う危険性とハイパフォーマー離脱の予兆検知

離職率対策で最も落とし穴になりやすいのが、「全体離職率」だけを追ってしまう運用です。数字は業界平均より低くても、「辞めてほしくない人」ばかり辞めていれば、組織のダメージは深刻です。ここでは「良い離職/悪い離職」の判別と、ハイパフォーマー離脱の予兆検知を扱います。

「良い離職/悪い離職」判別マトリクス

すべての離職が悪ではありません。「パフォーマンス × 離職の意思」の2軸で4象限に整理すると、優先度が明確になります。

自発的離職

会社都合・非自発的

ハイパフォーマー

🚨 悪い離職(最優先で防ぐ)

🚨 悪い離職(制度・上司起因を疑う)

標準パフォーマー

⚠️ 要因分析(施策の対象)

—

ローパフォーマー

✅ 良い離職(組織新陳代謝)

✅ 適切な人員整理の場合あり

最も避けるべきは「ハイパフォーマーの自発的離職」です。ここが増えている企業は、全体離職率が業界平均より低くても組織の競争力を失っていきます。

業界平均より低いから問題ないと判断する前に、直近3年で辞めた社員のパフォーマンス評価を並べてみてください。上位2割の人材が抜けていれば、全体離職率が何%であろうと警戒が必要です。

ハイパフォーマー離脱の予兆指標

ハイパフォーマーの離脱には、辞める3〜6か月前から観測できる予兆指標があります。以下の変化を早期に捉える仕組みを持つことで、引き留めの余地が生まれます。

  • 行動面の兆候:発言量の減少、会議での提案の減少、有給消化率の急上昇、早帰りの増加
  • 業務面の兆候:アサイン希望に対して消極化、中長期の目標設定への関与低下、部下や後輩への引き継ぎ準備の増加
  • エンゲージメント面の兆候:パルスサーベイのスコア低下、1on1での対話の質の低下、キャリア面談の要望

これらの予兆を検知するには、上司の観察力に加えて、月次パルスサーベイやピープルアナリティクス(人事データ分析)などのデータ基盤整備が有効です。

離職率の高い企業の特徴

離職率が構造的に高い企業には共通するパターンがあります。表層的な待遇や制度だけでなく、日常のマネジメントや組織文化に原因が潜んでいることが多いです。

構造的な特徴と組織文化のパターン

離職率が高くなる背景には、以下の要素が絡み合っています。

  • 役割や期待の曖昧さ:何を達成すれば評価されるかが不明確

  • 管理職のマネジメント不全:部下との対話やフィードバックが機能していない

  • 成長機会の欠如:若手が3〜5年後の次のステージを描けない

  • 評価と処遇の不整合:頑張っても報われない、頑張らなくても差がつかない

  • 心理的安全性の低さ:意見を言うと否定される、失敗が許容されない

特に管理職のマネジメント不全は、離職の直接的な引き金になりやすい要素です。部下は組織全体ではなく、直属の上司との関係性によって去就を決めることが多いためです。
管理職のマネジメント不全については以下の記事をご参照ください。
🔗関連記事:悪い上司の15の特徴とよい上司との違い・社員に与える影響と対処法

離職の本当の原因を特定する方法

「1on1もサーベイも入れたが、結局『施策のための施策』になっている」と感じている担当者は少なくないでしょう。原因特定の質が施策の質を決めます。ここでは退職面談とパルスサーベイを組み合わせた実践的な手順を解説します。

退職面談、エグジットインタビューの質問設計

退職面談が形骸化する最大の理由は、質問設計が浅いことです。「なぜ辞めるのですか」と直接聞いても本音は出てきません。以下の3層で質問を設計します。

第1層:事実確認(3〜4問)

  • 転職先は決まっているか、業界や職種は何か
  • 意思決定のタイミングはいつだったか
  • 最も影響した出来事は何か

第2層:職場体験の振り返り(5〜6問)

  • 入社時の期待と、実際のギャップはあったか
  • 直近1年で「辞めよう」と決定づけた瞬間はあったか
  • 上司やチームとの関係で改善してほしかった点は何か
  • 成長やキャリアの実感は得られたか
  • 評価や処遇に納得感はあったか

第3層:会社への提言(3〜4問)

  • 今の会社に残る同僚に「これは変えるべき」と伝えたいことは何か
  • 転職先で「これは自社にもあったらよかった」と感じた点は何か
  • 会社に匿名で提言できるなら何を書くか

第3層の質問は、退職者だからこそ本音を引き出せる領域です。ここを設計しておかないと、面談は単なる手続きの確認で終わってしまいます。

パルスサーベイ、eNPSとの組み合わせ

退職面談は「辞める人の声」しか拾えず、離職の兆候にある社員の声は拾えません。この盲点を埋めるのが、パルスサーベイとeNPS(「自社を親しい友人や知人にどの程度おすすめしたいか」を数値化した社員推奨度スコア)です。

手法

特徴

頻度

退職面談

深い定性情報が取れるが、辞めた後

都度

パルスサーベイ

短時間で継続的にモニタリング可能

月次〜隔週

eNPS

親しい友人や知人への推奨度で組織エンゲージメントを定点測定

四半期〜半年に1回

エンゲージメント

サーベイ

詳細な要因分析が可能

半年~年に1回

推奨する組み合わせは、月次パルスサーベイの全体傾向からスコア低下の兆候を捉え、該当部署やチームにおいて上司との1on1を通じた対話を促し、必要に応じてキャリア面談の機会を提供するというフローです。この設計により、退職の意思決定前に組織側から手を打てるようになります。

離職率改善の施策と実行優先順位

原因が特定できたら、次は施策の選定と実行順序です。「あれもこれも」と手を出すと現場が疲弊するため、優先順位の判断基準を持つことが重要です。

施策の全体像と優先順位の判断基準

離職対策の施策は、大きく4つの領域に分類できます。

領域

主な施策

効果発現期間

投資規模

マネジメント強化

1on1・管理職研修・評価者訓練

3〜6か月

中

制度・処遇

給与制度見直し・等級制度改定・福利厚生

6〜12か月

大

育成・キャリア

キャリア面談・研修体系・異動制度

6〜12か月

中

組織文化・環境

エンゲージメント施策・働き方改革

12〜24か月

中〜大

優先順位を判断する軸は「原因との適合度 × 投資対効果 × 実行難度」の3つです。原因分析で「管理職との対話不全」が最大要因と判明していれば、まず着手すべきは1on1導入や管理職研修です。制度改革から始めると、原因と施策がずれて成果が出にくくなります。
アルーのサービス
弊社アルーは離職防止に直結する管理職のマネジメント力を体系的に強化する「管理職研修」を提供しています。詳しくは以下のページをご覧ください。
🔗研修サービス詳細:管理職研修

施策のアンチパターン集

定番施策も打ち方を誤ると逆効果になります。注意が必要なパターンを整理します。

アンチパターン

よくある症状

回避策

給与だけ上げる

一時的に離職率は下がるが、翌年反動で悪化

給与+成長機会+関係性の3点セットで設計

1on1を義務化するだけ

上司の傾聴力が低いまま形骸化 / 部下が本音を言わない

管理職への1on1スキル研修を先に実施

サーベイのやりっぱなし

結果を現場に返さず、社員の不信感が増す

結果共有 → 対話 → アクション → 進捗共有のループを設計

ワークライフバランスだけ強化

ハイパフォーマーは物足りず離脱

挑戦機会・成長機会と両立させる

表彰制度を乱発

慣れて効果減衰 / 選ばれない社員のモチベーション低下

定量指標と定性ストーリーの併用、月次より半期など頻度を絞る

単に1on1を導入すれば離職が減るわけではありません。施策そのものではなく、原因との適合性と運用の質が成果を決めます。

🔗おすすめ資料:早期退職の原因と人事部の実施するべき対策

経営層に上申するための離職コスト試算とROI(投資対効果)の見せ方

離職対策の予算を経営層に上申する際、「離職率を下げるべきだ」という定性的な訴えだけでは合意形成できません。1人離職した場合のコストを数値化し、ROI(投資対効果)として見せる必要があります。

離職1人あたりコストの試算式

離職コストは以下の4要素で構成されます。金額は例示値で、業種、職種、階層によって変化します。

コスト項目

内訳

試算例(年収600万円のケース)

採用コスト

人材紹介手数料・広告費・面接工数

年収の30〜35% ≒ 180〜210万円

教育コスト

オンボーディング研修・OJT(On-the-Job Training、職場内訓練)担当者の工数

100〜150万円

機会損失

ポジション空席期間の売上機会損失・案件停滞

3〜6か月分の生産性 ≒ 150〜300万円

波及コスト

周囲の負担増・モチベーション低下・連鎖離職

定量化困難だが影響は大

合計

—

約430〜660万円/1人

つまり、社員が1人離職するだけで年収相当額のコストが発生します。年間10名の離職を5名に減らせれば、単純計算で2,000〜3,000万円の費用削減効果があります。この試算をベースに、施策への投資額と回収期間を経営層に提示できます。

上申資料の組み立て方

経営層に上申する資料は、以下の5要素をコンパクトにまとめます。

  1. 現状の離職率と業界平均との比較(相対的な立ち位置を示す)
  2. ハイパフォーマー離脱の状況(質的な深刻度を示す)
  3. 年間離職コストの試算(放置した場合の損失規模を示す)
  4. 施策の投資額と期待効果(投資対効果を示す)
  5. 段階的な実行のロードマップ(スケジュールを示す)

数値だけでなく、退職面談から得た代表的な声を1〜2件添えると経営層の理解が進みやすくなります。ただし、個人が特定される表現は避けてください。

離職率改善のロードマップ

離職率は単一の施策では改善しません。計測基盤 → 施策実行 → 文化変革の3段階で進めるロードマップが有効です。

フェーズ設計とKPI

フェーズ

主な取り組み

KPI

成果物

  1年目:

計測基盤

離職率の統一算定ルール策定 / パルスサーベイ導入 / 退職面談のテンプレ整備 / ハイパフォーマー離職の予兆指標の設計

計測カバー率100% / サーベイ回答率80%以上

統一ダッシュボード / 予兆検知ルール

  2年目:

施策実行

原因分析に基づく管理職研修 / 1on1運用改善 / キャリア面談制度導入 / 評価制度の見直し

ハイパフォーマー自発的離職率△30% / 1on1実施率90%以上

施策別ROI試算 / 効果測定レポート

  3年目:

文化変革

エンゲージメント施策の定着 / マネジメント文化の刷新 / 若手キャリアパスの再設計

全体離職率が業界平均以下 / eNPS +10ポイント

組織文化サーベイ結果 / 人的資本開示レポート

1年目に計測基盤を作らずに施策を打つと、「何が効いたのか」が判明せず施策が継続しにくくなります。急がば回れで、まずは計測基盤の整備から始めることが成功の鍵です。

離職率改善に成功した企業事例

小売企業や宿泊事業者などの管理職層に対する離職防止マネジメント研修において、現場マネジャーの育成スキルと部下との対話設計を軸に据え、若手や中途社員の定着率向上に取り組んだ事例を紹介します。

サービス業界における管理職起点の離職防止

規模・対象者

従業員数2,000〜5,000名規模の企業で管理職層100名超が対象となりました。

課題

若手事務職や中途採用者の入社3年前後での離職が続き、社員サーベイでも「上司との対話不足」や「役割理解の曖昧さ」が浮上していました。定着対策として1on1の導入や研修を行っていたものの、管理職側の傾聴スキルや部下観察スキルにばらつきがあり、施策が形骸化していました。同時に、中途入社者や外国籍社員の受け入れ体制も追いついておらず、複数階層で離職リスクが積み重なる構造になっていました。

実施した施策

管理職向けに、部下観察の視点強化、1on1における質問設計、キャリア対話の3領域を段階的に扱う研修を設計しました。「離職を止める」ための講義ではなく、部下一人ひとりの状態を捉え直し、上司自身のマネジメント行動を内省する構成としました。あわせて、中途採用者向けオンボーディング設計と、外国籍社員向けの異文化コミュニケーション支援を並行して整備し、複合的に離職要因へアプローチしました。研修は集合形式に加えて、日常業務の中で活用できるフォロー教材も組み合わせました。

成果

受講者からは「普段から部下の状態を観察し、一人ひとりの理解を深めることが最も優先して取り組むべき基本事項であると学んだ」「目の前の業務に追われ、育成に手が回っていなかったが、本来の優先順位を見つめ直す視点に触れて気づきを得た」といった声が挙がりました。目の前の業務に追われて部下の支援が後回しになり、それが離職に繋がってさらに業務が多忙になるという悪循環に、受講者自身が気づく効果が確認されました。また、日常の中で少しの時間でもメンバーとの対話を重ねることで、チームに良い影響を与えられるという効力感を実感している様子も確認できました。

設計のポイント

「離職率を下げる」という最終成果を直接扱うのではなく、その手前の「管理職の日常マネジメント行動の変容」を中間指標として設計した点が特徴です。離職は複合的な要因によるため、単一の施策ではなく、原因分析 → 管理職起点の対話設計 → オンボーディング整備と、複数の打ち手を組み合わせました。

まとめ

離職率は単純な数値指標ではなく、組織の健全性を映す経営指標です。全体離職率だけを追うのではなく、「良い離職/悪い離職」を分けてハイパフォーマー離脱の予兆を捉える視点が重要です。

原因特定には退職面談、パルスサーベイ、eNPSを組み合わせた実践的なプロセスを設計し、施策は原因との適合度、投資対効果、実行難度で優先順位を判断します。経営層への上申には離職1人あたりコストの試算をベースにROIを可視化し、段階的なロードマップで計測基盤 → 施策 → 文化変革の順に進めることで、持続的に離職率を下げていくことができます。

単一の施策に過度な期待を寄せるのではなく、原因特定と施策設計の質を高める仕組みづくりから始めてください。

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よくある質問(FAQ)

Q

離職率ゼロを目指すべきですか?

A

離職率ゼロは組織の新陳代謝を止める意味で健全ではありません。目指すべきは「ハイパフォーマーの自発的離職を最小化する」ことです。標準的なパフォーマー以下の離職は組織の代謝として一定水準は許容されます。

Q

自社の離職率が業界平均より低ければ問題ないですか?

A

全体離職率だけでは判断できません。直近3年で辞めた社員のパフォーマンス評価を並べ、上位2割の人材が抜けていないかを確認してください。全体が低くてもハイパフォーマーが抜けていれば、組織の競争力は低下しています。

Q

退職面談で本音を引き出すにはどうすればよいですか?

A

「なぜ辞めるのか」を直接聞くのではなく、「今の会社に残る同僚に何を伝えたいか」「転職先で『自社にもあったらよかった』と感じた点は何か」など、退職者だからこそ答えられる問いを用意してください。人事や外部などの第三者が面談を担当すると本音が出やすくなります。

Q

施策の効果はどう測定すればよいですか?

A

全体離職率だけでなく、①ハイパフォーマーの自発的離職率、②パルスサーベイのスコア推移、③管理職の1on1実施率や質の評価、④エンゲージメントサーベイのスコアを組み合わせて追跡します。複数指標で確認することで、施策の効果と副作用の両方を把握できます。

アルー株式会社
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20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。

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