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IT・営業・製造のスキルマトリックスの項目の決め方と、すぐ使えるテンプレート

スキルマトリックスを作ろうとして最初に詰まるのは、「そもそも何の項目を並べるか」です。汎用テンプレートをそのままコピーすると現場の実態と噛み合わなくなるケースが多く、また自社独自でゼロから考え始めると終わりが見えなくなるという懸念があります。

本記事では、電気機器業界の一般職層におけるコンピテンシーの仕組みを整えた事例をもとに、ITや営業、製造の3職種で「項目テンプレートをどう作り分けるか」という具体的な解決策を示します。業種は異なっても、「職種ごとに必要なスキルが違うのに、共通フォーマットで作ろうとして手が止まる」という課題は全業種で共通します。

この記事でわかること

  • IT・営業・製造で必要なスキル項目の作り分け方
  • 汎用コンピテンシー(計画策定・課題解決力・実行力・チームワーク・コミュニケーション)を土台に置く2層設計
  • 項目作りでつまずきやすい5つのパターンと回避策
  • 自部門50名規模でも小さく始められる手順

この記事の監修者

落合 文四郎

アルー株式会社
代表取締役社長
落合文四郎

1977年、大阪府生まれ。 2001年、東京大学大学院理学系研究科修了後、株式会社ボストン コンサルティング グループ入社。 2003年10月、株式会社エデュ・ファクトリーを設立し、代表取締役社長に就任。 2006年4月、アルー株式会社に社名変更。京都大学博士(経営科学)。

なぜ「何をスキル項目に入れるか」で手が止まるのか

スキルマトリックスの整備で最も多い停滞は、評価基準の作り込みでも運用設計でもなく、「そもそも何の項目を並べるか」の合意が取れない段階で起きます。ITや営業、製造で必要スキルが違うのに、共通フォーマット1枚で全職種を並べようとするため、どの職種にも中途半端な項目リストになってしまうのです。

汎用テンプレートのコピーが機能しない理由

書籍やコンサルティング会社が公開している汎用テンプレートは、あらゆる業種や職種に当てはまるよう抽象化されています。そのため項目名を眺めても、現場担当者が「これが自分の業務の何を指しているのか」をイメージしにくくなるからです。

たとえば「課題解決力」という項目一つとっても、IT職種であれば障害対応時の原因切り分けや設計段階のリスクへの対策を指し、営業職種であれば顧客の潜在ニーズの構造化を指し、製造職種であれば工程改善やムダ取りを指します。汎用テンプレートのままだと、この「自職種の言葉に置き換える作業」が現場任せになり、結局「うちの職種に合わない」と反発されて頓挫します。

自社独自で考え始めると終わらない理由とは

反対に、汎用テンプレートを使わず自社独自で項目をゼロから考え始めると、今度は「終わりが見えない」問題にぶつかります。職種ごとに現場ヒアリングを重ねるほど「これも必要」「あれも入れたい」と項目が膨らみ、現場の肌感覚では30項目を超えたあたりから評価者も社員も全項目を追いきれなくなり、結局使われないマトリックスになってしまいます。
この2つの課題を同時に解決するには、汎用テンプレートのそのままの流用や、ゼロからの作成に頼るのではなく、「共通の土台に職種ごとの固有スキルを上乗せする」2層設計に切り替える必要があります。

スキルマトリックスの作り方全体の流れについては以下の記事をご参照ください。

🔗関連記事:スキルマトリックスとは?作り方5ステップとテンプレート・運用設計まで解説

課題を解決する「2層設計」の考え方

項目作りの初期段階での停滞を解消する最も現実的な方法は、汎用コンピテンシーを全職種共通の土台に置き、その上に職種固有スキルを上乗せする2層設計です。共通の土台があることで職種横断の比較や配置判断が可能になり、上乗せ層があることで現場が自職種の業務と合致していると納得できます。

全職種共通の土台になる5領域

一般職層(若手〜中堅)のコンピテンシーは、以下の5領域で整理すると全職種に共通します。

領域

概要

職種を問わず必要な理由

計画策定

ゴール設定、優先順位付け、業務プロセス設計

業務の目的達成に向けたプランニングは全職種共通

課題解決力

問題の明確化・原因追究・対策立案

業務品質と生産性を上げる基本動作は全職種共通

実行力

決断・行動、業務本来の目的達成、アイデア発想

目の前の業務をやり切る力は全職種共通

チームワーク

後輩指導、ネットワーキング、共創

チームで成果を出す動きは全職種共通

コミュニケーション

アサーティブな伝達(自分の意見や要望を、相手に配慮しながら率直に伝えること)、交渉、ハブ機能(コミュニケーションの結節点になること)

対人関係の中で仕事を進める力は全職種共通

この5領域は、ITや営業、製造いずれの職種でも「業務を進める上で必要な普遍的な動作」を捉えているため、共通の土台として据えられます。土台を共通にしておくと、職種をまたいだ異動や配置転換の際に、人事が社員の育成履歴をそのまま引き継げるという運用上の利点も生まれます。

職種固有スキルを上乗せする考え方

土台の5領域だけでは、当然、自職種で何ができれば一人前かまでは表現できません。そこで各職種で必要な固有スキルを上乗せ層として定義します。上乗せ層で表現するのは、その職種でなければ求められない専門性や業務知識、技術要件に絞ります。

たとえば、営業職種であれば提案書作成や顧客ヒアリング、案件マネジメント、IT職種であれば要件定義やシステム設計、障害対応、製造職種であれば工程管理や品質管理、保全対応などが挙げられます。この上乗せ層は職種ごとに10〜15項目に収めるのが目安で、粒度を粗くしすぎず、細かくしすぎない範囲にとどめます。

IT・営業・製造における項目テンプレートの作り分け方

2層設計の考え方が決まったら、次は職種ごとの項目テンプレートに落とし込みます。ここでは3職種の構成例と、上乗せ層の粒度感を示します。

3職種の項目構成の全体像

汎用コンピテンシー5領域(土台)と職種固有スキル(上乗せ)を組み合わせた項目構成の全体像は、以下の表のようになります。

領域/カテゴリ

IT職種の項目例

営業職種の項目例

製造職種の項目例

土台(共通)

計画策定

ゴール設定・優先順位付け・プロセス設計

同左

同左

土台(共通)

課題解決力

問題明確化・原因追究・対策立案

同左

同左

土台(共通)

実行力

業務本来の目的達成・率先垂範

同左

同左

土台(共通)

チームワーク

後輩指導・ネットワーキング

同左

同左

土台(共通)

コミュニケーション

アサーティブ・交渉

同左

同左

上乗せ(固有)

職種専門スキル

要件定義/システム設計/障害対応/セキュリティ対応 等

顧客ヒアリング/提案書作成/案件マネジメント/価格交渉 等

工程管理/品質管理/保全対応/改善提案 等

※上乗せ層の具体的な項目名は、職種ごとの特性に応じてカスタマイズが必要です。上表は方向性を示すためのサンプルですので、自社の業務実態に合わせて修正してください。

職種別の固有スキルの粒度感

上乗せ層の粒度は、1つの項目が1つの育成施策や配置判断に紐づけられる程度を目安にします。あるいは、現場において特定の内容が課題として挙げられる際の水準です。

例えば、IT職種であれば「要件定義が甘かった」「障害対応がスムーズにいっていない」といった会話が交わされることがありますが、このような実務の会話に登場する表現が1つの目安となります。項目が細かすぎると評価者が判定できず、反対に粗すぎると具体的な育成施策へと繋げられなくなります。

汎用コンピテンシーとの結び方

土台の汎用コンピテンシーと上乗せ層の固有スキルは、独立して並べるのではなく、互いに参照関係を持たせるのがポイントです。たとえば営業職種の「顧客ヒアリング」(固有スキル)を発揮するには、土台の「課題解決力」(問題明確化や原因追究)が必要になります。

項目定義書に、このスキルを発揮するには土台のこの領域のレベルが必要であるという参照関係を明記しておくと、育成の打ち手を選ぶ際に、まず土台の能力を強化するか、それとも固有スキルを直接伸ばすかの判断がつきやすくなります。

項目作りでつまずきやすいポイントと対処法

項目作りの段階で起きやすい失敗は、どの企業でもほぼ共通のパターンがあります。事前に押さえておくと、立ち上げの停滞を大きく減らせます。

よくある失敗

対処

共通フォーマット1枚で全職種を作ろうとして、どの職種にも中途半端な項目になる

汎用コンピテンシーを共通の土台に置き、職種固有スキルは上乗せ層として職種ごとに作り分ける2層設計にする

最初からレベル定義を5段階で精緻に作り込もうとして、立ち上げが進まない

まずは3段階程度で粗く立ち上げつつ、最終的に5段階に精緻化することを見据えて設計する

現場ヒアリングなしに人事・育成担当だけで項目を決め、現場から「うちの業務に合わない」と反発される

各職種の中堅〜管理職を項目作りの初期から巻き込み、ドラフトを現場でブラッシュアップする工程を組み込む

スキル項目を作っただけで、育成プログラムや配置に接続せず「可視化で終わる」

項目定義の段階で「このスキルを伸ばすには何の施策に繋ぐか」をセットで設計する

全社一斉に展開しようとして合意形成が長期化し、立ち消える

自部門・小規模で先行導入し、運用知見を持って全社展開のたたき台にする

よくある5つの失敗と回避策

上表の5つの失敗の中でも、特に頻度が高いのは、1つ目の共通フォーマット一律と、4つ目の可視化で終わるという点です。1つ目は本記事で示した2層設計の仕組みによって回避できますが、4つ目は、項目定義の段階で育成の打ち手をあわせて設計するという運用ルールを最初に決めておかないと、後から連携させるのが困難になります。

具体的には、項目定義書のフォーマットに対応する育成プログラムや1on1で扱う問い、配置判断での参照ポイントといった列をあらかじめ設けておきます。そうすることで、項目を1つ作るごとに具体的な施策とのつながりが明確になり、可視化だけで終わるリスクを下げられます。

共通フォーマットで作った場合と2層設計の違い

Before(共通フォーマット一律)とAfter(2層設計)で、項目作りの結果がどう変わるかを整理します。

観点

Before:共通フォーマット一律

After:2層設計

項目数

全職種を無理に共通化するため、抽象度が高い項目20〜30個

土台5〜10領域+職種ごとに固有10〜15項目=1職種あたり15〜25項目

現場合意

「うちの職種に合わない」と反発が起きやすい

「土台は共通・上乗せは自職種の言葉」で合意しやすい

育成接続

抽象度が高く、育成プログラムに紐づけにくい

土台は既存の汎用プログラムに接続、上乗せは職種別OJTに接続

運用定着

現場が使わず「作っただけ」で終わる

職種ごとの業務実態に合うため運用に乗る

全社展開

一律なので全社展開しやすいが、実質形骸化

職種別だが土台が共通なので、後から全社展開に耐える

電気機器メーカーでの一般職層スキル体系整備の事例

本文でここまで整理してきた、汎用コンピテンシーと職種固有スキルを組み合わせた2層設計を、実際の案件で組み立てた事例について詳しく見ていきましょう。

電気機器業界における一般職層のスキル項目見直し

規模・対象

電気機器業界の一般職層(若手〜中堅)を対象に、対応する管理職層まで含めたスキル体系の構築を行いました。複数の職種が混在する組織で、職種横断で使える共通のコンピテンシー基盤を整えることがねらいでした。

課題

全社共通のスキル定義はあったものの、職種ごとの業務実態に合った項目になっておらず、育成や配置の意思決定に活用しきれていませんでした。現場からは「自職種で必要な力が可視化されていない」という声が上がる一方、人事側は「職種ごとにすべて作り直すのは現実的でない」という板挟みの状態にありました。加えて、スキル項目を可視化するだけでなく、現場で見えている具体的な弱み(たとえば、組織全体を俯瞰する視点や、周囲を巻き込みながら課題を設定・解決していく力など)に対して、育成施策を直接結びつけられる状態にすることが求められていました。

実施した施策

一般職層のコンピテンシーを、計画策定・課題解決・実行・チームワーク・コミュニケーションといった複数の領域に分け、各領域を複数のレベルで定義しました。これらの領域が、職種を問わず共通して据えられる「土台」にあたります。

そのうえで、各領域・各レベルに対応する育成プログラムを紐づけました。たとえば「計画策定」の領域であれば、レベルが上がるにつれて、目標設定や優先順位付けといった基礎的な計画力から、障害を先読みして計画を立てる応用的な計画力へと段階が上がるように、各レベルに対応する研修を配置します。同様に、課題解決の領域では問題の構造化や原因追究、チームワークの領域では後輩指導やチーム内の巻き込みといったテーマを、レベルに応じて割り当てました。各領域にレベル別のプログラムが揃うことで、「どの領域の、どのレベルを伸ばすには、どの研修を選べばよいか」が一覧で見える構造になりました。

管理職層についても、戦略的な思考や、チームづくり・対人折衝といった別軸で整理し、一般職層の各領域からのつながりを設計しました。一般職層で培う課題解決や実行の力が、管理職層で求められる戦略立案や組織運営へと発展的につながるよう、レベルの連続性を持たせています。

成果

スキル項目とレベル定義が育成プログラムと連動したことで、何を伸ばすために何の研修を選ぶべきかが現場で判断しやすくなりました。全社共通の抽象的なスキル定義が「使える育成の地図」に変わり、現場で見えていた弱みに対して、対応する研修を直接あてられる状態になりました。

設計のポイント

第一に、汎用コンピテンシーの複数領域とレベル定義をテンプレートとして提示しつつ、職種特性に応じて固有スキルを上乗せできる構造にしたことです。これにより、共通の土台を持ちながら職種ごとに作り分けられる2層設計が実現しました。全職種で同じ領域を土台にしているため、職種をまたいだ異動や配置転換の際にも、育成履歴を引き継ぎやすくなります。
第二に、項目定義とレベル定義を、対応する育成プログラムと最初から地続きで設計したことです。スキルを可視化して終わりにせず、「このレベルに達するにはこの研修」という接続を項目設計の段階で組み込んだため、可視化がそのまま育成施策の選択につながりました。
第三に、一般職層と管理職層の領域を紐づけたことです。これにより、一般職層のどのような能力や経験が、将来管理職として求められる能力につながるのかを本人に示せるようになり、キャリアの見通しを持たせる仕組みにもなりました。
この事例は、本記事で解説した2層設計(共通の土台+職種固有の上乗せ)の「土台」部分を、実際のコンピテンシー体系として具体化したものです。IT・営業・製造それぞれの固有スキルを上乗せする際も、この領域の土台と、各項目に育成プログラムを紐づける設計思想は、そのまま応用できます。
スキルマトリックスで用いているコンピテンシーに基づいた階層別研修を整えたい場合は、当社の階層別研修サービス資料をご活用ください。

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自部門で小さく始める手順

全社一斉ではなく、自部門50名規模で小さく始めることもできます。全社一斉を見据えていても、最初はトライアルとして小さく始めるのが現実的です。ここでは初手の手順を示します。

初手のスコープを決める

まず展開する職種を1〜2職種、人数を30〜50名程度に絞ります。全職種を最初から扱わないのがポイントです。1〜2職種で2層設計の作り方や運用への理解を深めてから、他職種に展開する順番にします。

現場の巻き込み順

項目作りは人事・育成担当だけで進めず、以下の順で現場を巻き込みます。

  1. 対象職種の中堅から管理職2〜3名に、汎用コンピテンシー5領域のテンプレートと固有スキルの上乗せ層のたたき台を提示します。
  2. 自職種の業務実態と合っているか、また不足している項目はないかについて意見をもらい、内容をブラッシュアップします。
  3. 修正したドラフトを対象職種の若手数名にも見せ、自分が伸ばしたい力がここに表現されているかを確認します。
  4. 部門長にレビューを依頼し、育成や配置の意思決定にどう使うかを合意します。

この4つのステップを踏むと、項目リストが人主導で作られたものではなく、現場が納得したものになり、運用の定着化に繋がりやすくなります。

レベル定義は3段階から始め、将来的な5段階への拡張を視野に入れる

上乗せ層の固有スキルについては、レベル定義を最初から5段階で精緻に策定するのが難しい場合があります。まずはレベル1(できる)、レベル3(独力でできる)、レベル5(指導できる)の3段階で大まかに立ち上げ、最終的に5段階まで詳細化することを前提に設計しておくことがポイントです。

3段階のまま運用の手を止めるのではなく、実際に運用しながら「レベル1とレベル3の間に境界事例が多い」といった現場の声を集め、レベル2やレベル4を後から追加できる余地を残した定義にしておきます。そうすることで、手戻りなくスムーズに5段階へと発展させていくことができます。

まとめ

  • スキルマトリックスの項目作りで手が止まる根本原因は、共通フォーマットの一律適用でも、完全な独自作成でもなく、その中間である2層設計が採られていないことにあります。
  • 汎用コンピテンシーの5領域(計画策定や課題解決力、実行力、チームワーク、コミュニケーション)を土台に置き、その上に職種固有スキルを10〜15項目ほど上乗せする構造にすれば、ITや営業、製造で必要なスキルが違っても同じフレームで作り分けられます。
  • 項目定義の段階で、対応する育成プログラムや1on1で扱う問い、配置判断での参照ポイントをあわせて設計しておくと、可視化だけで終わらせずに育成PDCAへと接続できます。
  • 全社一斉ではなく、1〜2つの職種、30〜50名程度の小規模な自部門から小さく始め、レベル定義はまず3段階で大まかに立ち上げつつ、最終的に5段階へと詳細化することを見据えて設計するのが効果的です。

ただし、汎用コンピテンシーと職種固有スキルの組み合わせ方や、育成プログラムとの連携の粒度は、組織の規模や業種、既存の人事制度によって最適解が異なります。だからこそ、まずは全体像を把握できる本記事を起点に、自社に最適なスキル体系の検討を始めてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q

汎用コンピテンシー5領域と職種固有スキル、どちらから作るのが良いですか?

A

順序としては汎用コンピテンシー5領域(土台)を先に固めるのがおすすめです。土台は全職種共通で使えるため、1度作れば他職種に展開できます。土台を先に固めた上で、対象職種の中堅〜管理職を巻き込んで固有スキルの上乗せ層を定義する順番にすると、議論が発散しません。

Q

自部門50名規模で始めて、後から全社展開する時に作り直しになりませんか?

A

汎用コンピテンシー5領域を土台に据えた2層設計であれば、土台部分はそのまま全社展開できます。上乗せ層(職種固有スキル)は職種ごとに追加で作る必要がありますが、土台部分の作り直しにはなりません。むしろ小規模で運用知見を貯めておくことが、全社展開時の合意形成を楽にします。

Q

レベル定義は3段階と5段階、どちらで作るべきですか?

A

立ち上げ時は3段階で大まかに始めてもかまいませんが、最終的には5段階まで精緻化することを前提に設計しておくのがおすすめです。最初から5段階で策定しようとすると、レベル2から4の境界が曖昧なまま完成させることになり、評価のブレが生まれます。一方で、3段階のまま運用の手を徹底させてしまうと、育成上の目標設定や評価の解像度が上がりにくくなります。まずは3段階で運用し、境界事例が多く出る領域からレベル2や4を追加していく順番が、評価者会議での判定精度と負担のバランスを取りやすくします。

Q

現場から「項目が細かすぎる」と言われる場合、どう対処すればよいですか?

A

上乗せ層の職種固有スキルが1職種あたり15項目を超えていないかを確認してください。15項目を超えると、評価者が全項目を判定しきれなくなります。細かすぎる項目は統合するか、上位項目のレベル定義の中に吸収させる形で削減します。土台の5領域は全職種共通の普遍的な動作なので、こちらは削らず、上乗せ層で調整するのが原則です。

アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。

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