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組織デザインとは?分業と調整で読み解く進め方と失敗回避策

「組織デザイン」という言葉は聞いたことがあっても、組織開発・組織構造・ジョブデザインとの違いを整理して説明できる人材育成担当者は多くありません。組織図を書き直しても現場が動かない、調整コストが増える――この違和感の正体は、組織デザインを「箱の再配置」だけで捉えていることにあります。

本稿では組織デザインを「分業と調整の設計」として捉え直し、隣接概念との関係マップ、代表的な組織形態の比較、進め方の5ステップ、失敗パターンと回避策までを、自社に持ち帰れる粒度で解説します。

この記事でわかること

  • 組織デザインの定義と「分業と調整」という理論的骨格
  • 組織デザイン・組織開発・ジョブデザイン・業務プロセス設計の使い分け
  • 代表的な組織形態のメリット・デメリットと選択の考え方
  • 組織デザインを進める5ステップと着手前の現状診断チェック観点
  • 「構造だけ変えて動かない」失敗パターンと回避策

この記事の監修者

落合 文四郎

アルー株式会社
代表取締役社長
落合文四郎

1977年、大阪府生まれ。 2001年、東京大学大学院理学系研究科修了後、株式会社ボストン コンサルティング グループ入社。 2003年10月、株式会社エデュ・ファクトリーを設立し、代表取締役社長に就任。 2006年4月、アルー株式会社に社名変更。京都大学博士(経営科学)。

組織デザインとは

組織デザインの定義

組織デザインとは、企業が戦略を実行するために「誰が何を担い(分業)、担った成果をどう組み合わせるか(調整)」を意図的に設計する行為です。組織図の書き換えだけを指す言葉ではなく、権限や情報の流れ、さらには評価・報酬の設計までを含めて捉えるのが実務的です(この広い捉え方は本記事の整理です)。

分業と調整という二軸で組織を捉える視点は、沼上幹『組織デザイン』(日経文庫, 2004年)が組織デザインの鍵となる要素として据えているものです。同書は、分業のタイプを整理したうえで、それによって生じる調整の必要を、標準化という事前の調整、ヒエラルキーによる事後の調整、そして部門をまたぐ水平関係という順で解き明かしていきます。

分業を進めれば専門性は高まりますが、同時に部門間のつなぎ目が増え、それをつなぐ手立てが必要になります。逆にその手立てが足りなければ、部門を跨ぐ意思決定が滞ります。しかもこれは単純な一次元のトレードオフではありません。機能別に切るか、製品別に切るか、地域別に切るかによって、高まる専門性の中身も、生じる調整の種類も変わります。

組織デザインとは、この分業の切り方と、それに見合う調整の仕組みを、事業戦略に合わせて設計し続ける営みだといえます。

「分業」と「調整」という理論的骨格

組織デザイン成功の鍵は、分業と調整のバランス設計にあります。どちらか一方だけを整えても組織は動かず、両者を戦略と揃えて同時に設計してはじめて、組織は狙った通りに機能します。

分業とは、業務をどの単位で切り出すかの設計です。機能で切るのか(営業/開発/製造)、事業で切るのか(事業A/事業B)、地域で切るのか。切り方によって、専門性の深さ、意思決定の速さ、顧客対応の一貫性が変わります。

調整とは、切り分けた業務をどう束ね直すかの設計です。ルール・階層・会議体・情報システム・共通目標・非公式なネットワークまで、調整の手段は多層にわたります。組織図を変えても現場が動かない企業の多くは、この調整メカニズムの再設計を後回しにしています。

「結局、組織デザインって組織図を書き直すこと以上の何かなのか?」と感じている方もいるはずです。答えは明確で、組織図はあくまで分業の一部を可視化したものにすぎず、調整メカニズムまで含めて設計して初めて組織デザインは完結します。

組織デザインが注目されている背景

事業環境変化と組織構造の陳腐化

組織デザインが人事・経営領域で改めて注目されている背景には、事業環境の変化速度と、既存の組織構造の耐用年数のギャップがあります。プロダクトアウトからマーケットインへ、単一事業から複数事業ポートフォリオへ、国内市場から海外市場へ――こうした転換に既存の組織構造が追いつかず、意思決定の遅延や現場の混乱を招く事例が増えています。

弊社が支援した機械・鉄鋼業の大手企業でも、「20XX年にソリューションプロバイダーへ転換する」というビジョンを掲げた際、まず問題になったのは個人のリーダーシップ不足ではなく、部門最適に閉じたプロダクトアウト志向の組織構造そのものでした。人材育成施策の再構築から始まった議論が、途中で「組織・人材トランスフォーメーション」へと拡張していったのは、この構造課題を切り離せなかったためです。

リモート/ハイブリッド前提の再設計

もう一つの背景は、リモート/ハイブリッドワークの定着です。対面前提の時代には、非公式な立ち話や偶発的な情報流通が調整メカニズムを補完していました。物理的な同居がなくなった今、その調整を意図的な仕組み(会議体・情報システム・共有ルール)に置き換える必要が生じています。

このため組織デザインは、単発の組織図刷新ではなく、「働き方・情報流通・評価」まで含めた継続的な再設計という位置づけに変わりつつあります。

組織開発・組織構造・ジョブデザイン・業務プロセス設計との関係

4概念の関係マップ

組織デザインを検討し始めると、必ず登場するのが組織開発(OD:Organization Development)・組織構造・ジョブデザイン・業務プロセス設計という隣接概念です。混同すると議論が空転するため、まず関係を整理します。

概念

対象範囲

主な設計内容

誰が主導するか

組織デザイン

組織全体の分業と調整

組織構造・権限・調整メカニズム・情報流通

経営・人事・経営企画

組織構造

分業の可視化

組織図・レポートライン・部門定義

経営・経営企画

ジョブデザイン

個々の職務

職務範囲・裁量・スキル要件

人事・現場管理職

業務プロセス設計

業務の流れ

ワークフロー・SOP・システム連携

業務部門・情シス

組織開発

組織の運用・行動

対話・関係性・文化・行動変容

人事・現場管理職

組織デザインは「箱と流れ」を設計し、組織開発は「箱の中で動く人と関係性」を育てる、というのが基本的な棲み分けです。ジョブデザインと業務プロセス設計は、組織デザインが決めた分業を、職務レベル・業務フローレベルに落とし込む役割を担います。

どこから着手すべきかの判断軸

「7Sやガルブレイスのフレームを知っても、自社では何から動かせばいいのか?」という疑問を持つ方は多くいます。着手順の判断軸は、症状の出方で見分けます。

  • 意思決定が遅い/責任の所在が不明:組織構造・組織デザインから着手
  • 業務のムダ・重複が多い:業務プロセス設計から着手
  • 個々の職務が過重/曖昧:ジョブデザインから着手
  • 人間関係の緊張・部門対立が強い:組織開発から着手

ただし、症状は複層的に絡み合うのが通常です。組織デザインで箱を再配置しても、組織開発で人の関係性を育てなければ動きません。逆に組織開発だけを進めても、組織構造自体が戦略とずれていれば効果は限定的です。「まず組織構造を仮置きし、動かしながら組織開発と並走させる」のが実務上は現実的です。

組織デザインの構成要素とフレームワーク

マッキンゼー7Sモデル

7Sモデルは、組織を7つの要素で捉え、その整合性を診断するフレームワークです。ハード面3要素(Strategy・Structure・Systems)と、ソフト面4要素(Shared Values・Skills・Style・Staff)から成ります。

要素

内容

組織デザインでの位置づけ

Strategy(戦略)

競争優位の獲得手段

分業・調整の設計原則を規定する

Structure(組織構造)

組織図・レポートライン

分業の可視化

System(制度・仕組み)

業務プロセス・情報システム・評価制度

調整メカニズムの中核

Shared Values(価値観)

組織の中核信念

非公式な調整の土台

Style(スタイル)

組織能力

分業の実行力

Staff(人材)

リーダーシップ・組織文化

調整の運用スタイル

Skills(スキル)

人材構成・育成

分業の担い手

7Sの価値は、要素間の整合性を可視化できる点にあります。戦略を変えたのに組織構造・システムが旧来のままでは、組織に軋みが生じやすくなり。ます自社の現状診断では、7要素それぞれを別々に見るのではなく、「戦略の変化に対して他の6要素はついてきているか」を問うのが実務的です。

ガルブレイスのスターモデル

ジェイ・ガルブレイスのスターモデルは、組織を5つの設計領域で捉えるフレームワークです。Strategy(戦略)、Structure(組織構造)、Processes(プロセス)、Rewards(評価・報酬)、People(人材)の5点を、5角の星型で配置します。

7Sとの違いは、評価・報酬(Rewards)を独立要素として扱い、調整メカニズムに評価・報酬制度を明示的に組み込んでいる点です。「組織を変えたのに現場が動かない」典型例は、評価・報酬が旧組織構造のまま残っているケースです。「新しい組織構造で協働を求めているのに、評価は個人成果のまま」のような不整合はスターモデルの視点で発見しやすくなります。

マッキンゼー7Sモデルを使った組織現状診断の進め方については以下の記事をご参照ください。

代表的な組織形態と選択の考え方

機能別/事業部制/マトリクス/ネットワーク型の比較

代表的な組織形態は4つに大別されます。それぞれ「何を優先し、何を犠牲にするか」が異なります。

組織形態

分業の切り方

メリット

デメリット

向いている状況

機能別組織

職能で分割(営業/開発/製造等)

専門性の深化・スケールメリット

部門最適化・顧客対応の一貫性低下

単一事業・専門性重視

事業部制組織

事業/製品/地域で分割

事業単位の意思決定速度・顧客密着

機能の重複・全社最適の弱化

複数事業ポートフォリオ

マトリクス組織

機能×事業の二軸

専門性と事業対応の両立

権限重複・調整コスト増大

事業×専門性の両立が必要

ネットワーク型

プロジェクト単位で動的編成

環境変化への機動性

帰属意識・育成の弱化

変化速度が極めて速い事業

自社状況に応じた選択の考え方

「どの組織形態が正解か」という問いには、単一の答えはありません。組織の規模・業種・文化・事業ステージによって最適解は異なるからです。選択の思考順序は次の通りです。

  • ① 事業戦略を確認する:何で勝つのか。専門性か、顧客密着か、機動性か
  • ② 犠牲にできる要素を決める:全てを最適化する組織形態は存在しない。何を優先し、何を諦めるか
  • ③ 移行コストを見積もる:組織構造の変更は必ず短期的な混乱を伴う。それを吸収できる体力があるか
  • ④ 調整メカニズムを併せて設計する:組織構造だけでは動かない。会議体・情報流通・評価制度をセットで検討する

弊社が支援した企業でも、「マトリクス組織にしたのに機能してない」というご相談を受けることがあります。その多くは、組織構造だけを二軸化したものの、二人の上司からの指示衝突を解消する調整メカニズム(優先順位付けルール・エスカレーション経路・評価制度)を設計していないケースです。

組織デザインを進める5つのステップ

組織デザインを実務で進める際の5ステップを、着手前の判断材料として整理します。各ステップには、経営会議で問われやすい観点も併記します。

ステップ1:現状診断

診断の起点は「症状」ではなく「戦略とのギャップ」です。売上停滞・離職増加といった症状の背後で、戦略と組織構造がどこでずれているかを可視化します。

診断の観点は4つに分けると整理しやすくなります。

分業の観点:業務の切り分けは戦略に合っているか。部門間の責任範囲は明確か

調整の観点:部門を跨ぐ意思決定はスムーズか。会議体・情報流通は機能しているか

評価・報酬の観点:新しい行動を促す設計になっているか。個人成果偏重になっていないか、協働を促す設計か

情報流通の観点:必要な情報が必要な人に届いているか。意思決定に必要なデータが揃っているか

7Sやスターモデルは、この診断のチェックリストとして活用できます。

ステップ2:設計原則の明文化

組織構造の設計に入る前に、「何を優先し、何を諦めるか」を明文化します。設計原則を先に決めずに組織構造案を作ると、部門ごとの利害調整で原型がなくなります。

設計原則の例:「顧客への一貫した価値提供を最優先し、機能の重複はコストとして受容する」「専門性の深化を守るため、機能別組織を骨格とし事業横断はプロジェクト制で補完する」など、複数の設計案を評価する共通の判断軸として機能させます。

ステップ3:組織構造設計

分業の切り方を決定するステップです。組織図・レポートライン・権限規程・部門ミッションを具体化します。

組織構造設計で見落とされがちなのは、権限規程です。組織図が新しくなっても、決裁権限が旧来のままだと、実質的な意思決定経路は変わりません。「誰が何をいくらまで決められるか」を組織図と同時に再定義することが必須です。

ステップ4:調整メカニズム設計

「構造だけ変えて動かない」失敗を防ぐ核心が、このステップです。分業で切り分けた業務を、どう束ね直すかを設計します。

公式な調整:会議体・共通KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)・情報システム・SOP(Standard Operating Procedure:標準業務手順書)

半公式な調整:兼務ポジション・ローテーション・プロジェクト制

非公式な調整:オフィスレイアウト・非公式ネットワーク・共通言語

リモート/ハイブリッド前提では、非公式な調整の代替として、意図的な情報流通の仕組み(定例1on1・全社会議・共有チャネル)を設計することが重要になります。

ステップ5:定着(行動変容と成果の見える化)

新しい組織構造を「動く組織」にするための最終ステップです。ここでは組織デザインと組織開発が交差します。

  • 新しい役割・行動基準を、階層別に言語化する
  • 管理職の役割変化を、育成プログラムで支援する
  • 3か月・6か月時点で、行動変容と業績指標を測定し、必要に応じて設計を修正する

弊社は、研修後3か月時点で行動変容を測定し、成果の見える化に接続する育成メソッドを提供しています。組織を変えた後の「人の行動変容」フェーズで、組織構造の設計と育成施策を統合的に設計することが、定着の鍵になります。

アルーは組織デザイン後の「人の行動変容・定着」フェーズに接続する育成メソッドを研修プログラムとして提供しています。詳しくは以下のページをご覧ください。

🔗アルーのサービス:階層別研修

組織デザインの失敗パターンと回避策

「構造だけ変えて動かない」失敗の類型化

組織を変えても現場が動かない――この経験を持つ人材育成担当者は多くいます。「組織を変えても人と業務が動かないのはなぜなのか、それは『組織デザイン』の失敗なのか『組織開発』の失敗なのか?」という疑問には、次のように類型化して答えることができます。

失敗パターン

兆候

根本原因

回避策

構造だけ変更型

組織図は新しいが会議体・意思決定は旧来通り

調整メカニズムを再設計していない

ステップ4を軽視せず、会議体・権限規程を同時再設計

評価・報酬置き去り型

協働を求めているのに個人成果評価のまま

評価・報酬制度と組織構造の不整合

スターモデルでRewardsを独立要素として点検

現場合意欠如型

現場が新組織構造を理解せず旧ルールで動く

意思決定過程が非公開・上意下達

現状診断段階から現場を巻き込み、設計原則を共有

育成不在型

新しい役割を担う管理職が、新しい行動基準へ対応できていない

組織構造の変更に伴う行動変容支援がない

管理職育成プログラムを組織構造の変更と並走させる

ビジョン・アイデンティティ欠如型

新設・再編された部署でメンバーのモチベーションが上がらず定着しない

各部署が「自分たちは何のために存在するのか」というビジョン・アイデンティティを持っていない

各部署が誇りとやりがいを持てるミッション・存在意義を、組織構造の設計と同時に言語化する

新設・再編された組織が動き出さない典型例として、「ビジョン・アイデンティティ欠如型」があります。組織図上は綺麗に分業できていても、その部署のメンバーが「自分たちは何を成し遂げるチームなのか」を語れなければ、モチベーションを維持できず、組織デザインの意図そのものが体現されません。特にバックオフィス系や間接部門を新設・切り出す際に見落とされやすい観点です。

着手前チェック観点

着手前に、次の観点を自問すると失敗を減らせます。

  • 事業戦略と現在の組織構造のギャップを言語化できているか
  • 「何を優先し、何を諦めるか」の設計原則が経営層で合意されているか
  • 組織構造の変更と同時に、会議体・権限規程・評価制度の再設計を予定しているか
  • 新しい役割を担う管理職・現場リーダーへの育成施策を並走できるか
  • 3か月・6か月時点での効果測定指標が設計段階で決まっているか
  • 現場を巻き込むコミュニケーション設計ができているか
  • 新設・再編される各組織が、やりがいを持てるビジョン・アイデンティティを持つ設計になっているか

組織デザイン事例

中堅サービス業において、サービス開発チームの業務負担と集中力低下を組織構造の問題として捉え直し、事務プロセスを担うビジネスプロセスチームと分業することで、開発チームの専門性発揮と、新設チーム側のやりがい醸成を両立させた事例を紹介します。

中堅サービス業におけるサービス開発チームとビジネスプロセスチームの分業

規模・対象者

弊社が支援した中堅サービス業では、サービス開発チームを主対象に組織デザインの再設計を実施しました。顧客からの要望を起点にサービスを設計・提供するサービス開発チームと、そこから切り出す形で新設されるビジネスプロセスチームが対象となりました。

課題

サービス開発チームでは、顧客要望を起点にサービスを設計する本来業務と並行して、その工程で発生する事務プロセスがチームの工数を大きく圧迫していました。事務プロセスに工数が割かれることで、サービス開発への集中度が低下し、チームメンバーのモチベーションや成長機会に影響が出ていました。開発の質・スピード・人材育成のいずれもが、事務業務の重さによって頭打ちになっている状態でした。

実施した施策

サービス開発工程で発生する事務プロセスを切り出し、新たにビジネスプロセスチームとして組織化した上で、サービス開発チームと分業する組織デザインに変更しました。単なる業務移管ではなく、事務プロセス全体を担う独立した機能チームとして位置づけ、両チームの責任範囲・連携ルール・情報共有の仕組みを併せて設計した点が要点です。

成果

導入当初は、業務の重複や顧客窓口の複数化といった課題が現れましたが、両チーム間で改善を重ねることで分業と協働の仕方が最適化されていきました。結果として、サービス開発チームがサービス開発に集中できるようになり、顧客からのNPS(Net Promoter Score:顧客推奨度)が向上しました。加えて、サービス開発チームが開発プロセスに集中できる環境が整ったことで、中途入社者のオンボーディングスピードも早まりました。

設計のポイント

最大のポイントは、ビジネスプロセスチームを「サービス開発チームの業務アウトソース先」という下位の位置づけにせず、「事務プロセスの設計と実行のプロフェッショナルチーム」として明確にデザインしたことです。それによってビジネスプロセスチームには「事務プロセスの設計と実行のプロフェッショナルになる」というビジョンが宿り、チームメンバーのやりがいにつながっています。分業の切り方だけでなく、新設される組織側のアイデンティティを設計に組み込んだことが、双方のチームが機能する分業を実現しました。

まとめ

組織デザインは、組織図の書き換えではなく「分業と調整」の設計です。組織構造だけを変えても、調整メカニズム・評価報酬・人の行動変容が伴わなければ組織は動きません。7Sやスターモデルは、この整合性を診断するチェックリストとして活用できます。

進め方は、現状診断→設計原則の明文化→組織構造設計→調整メカニズム設計→定着の5ステップ。特に見落とされがちなのは、組織構造の変更後の「人の行動変容」フェーズと、新設・再編される各組織が持つべきビジョン・アイデンティティの設計です。組織を変えた後に、新しい役割を担う管理職・現場リーダーの育成を並走させ、各チームが誇りを持てる存在意義を言語化することが、定着の分岐点になります。

「唯一の正解」はありません。組織の規模・業種・文化・事業ステージによって最適解は異なるからこそ、設計思想と再現条件を持って自社に持ち帰る視点が問われます。

よくある質問(FAQ)

Q

組織デザインと組織開発の違いは何ですか?

A

組織デザインは「箱と流れ」(分業と調整の設計)を扱い、組織開発は「箱の中で動く人と関係性」を扱います。組織構造を再設計しても、人の関係性・行動が変わらなければ組織は動きません。両者は並走が前提です。

Q

組織デザインは何から着手すべきですか?

A

まず「戦略と現状組織のギャップ」を診断し、設計原則を明文化するところから始めます。組織構造案から入ると、部門間の利害調整で原型がなくなるためです。7Sやスターモデルは、診断のチェックリストとして使えます。

Q

マトリクス組織は日本企業に向きませんか?

A

「向く/向かない」は事業戦略と組織文化次第です。専門性と事業対応の両立が戦略上必要で、二人の上司からの指示衝突を解消する調整メカニズム(優先順位付けルール・エスカレーション経路・評価制度)を設計できるなら機能します。組織構造だけ二軸化して調整を放置するのが失敗の典型です。

Q

組織を変えても現場が動きません。何が原因ですか?

A

主に5パターンあります。①調整メカニズム(会議体・権限規程)を再設計していない、②評価・報酬制度が旧組織構造のまま、③現場が新組織構造を理解していない、④新しい役割を担う管理職への育成支援がない、⑤新設・再編された各部署がやりがいを持てるビジョン・アイデンティティを持てていない――のいずれかに該当することが多くあります。本文の失敗パターンを診断のヒントとして活用してください。

アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。

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