
KPT法とは?進め方・テンプレート・形骸化させない運用まで実務で使えるノウハウを解説
KPT法は、Keep(続けること)・Problem(課題)・Try(次に試すこと)の3つの要素でチームや個人の振り返りを整理するフレームワークです。シンプルでありながら、運用次第で大きく成果が変わります。
本記事では、KPT法の基本から、Tryを実行に移すSMART化のルール、失敗パターンの対策、リモート環境での進行台本までを解説します。
この記事でわかること
- KPT法の定義と基本の進め方
- そのままコピーして使えるKPTシートのテンプレートと記入例
- Tryを「やる気宣言」で終わらせないSMART化チェックリスト
- 形骸化を防ぐ失敗パターン10選とその場で使える処方箋
- リモート・ハイブリッドで回すオンラインKPT進行台本
- 他フレーム(YWT/Fun・Done・Learn等)との使い分け
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この記事の監修者

アルー株式会社
代表取締役社長
落合文四郎
1977年、大阪府生まれ。 2001年、東京大学大学院理学系研究科修了後、株式会社ボストン コンサルティング グループ入社。 2003年10月、株式会社エデュ・ファクトリーを設立し、代表取締役社長に就任。 2006年4月、アルー株式会社に社名変更。京都大学博士(経営科学)。
KPT法とは
KPT法とは、Keep(継続すべき良い点)、Problem(改善すべき問題点)、Try(次に試すこと)の3要素で振り返りを行うフレームワークです。読み方は「ケプト」または「ケーピーティー」です。ソフトウェア開発のアジャイル領域から広がり、現在は営業や人事、カスタマーサポート、個人の内省まで幅広く使われています。
Keep・Problem・Tryの3要素
3要素はそれぞれ次の役割を持ちます。
要素 | 内容 | 視点 |
|---|---|---|
Keep | 続けたい良かったこと・うまくいったこと | 過去から現在における事実 |
Problem | 直面した課題・うまくいかなかったこと | 過去から現在における事実 |
Try | KeepとProblemを踏まえ、次に試すこと | 未来の行動 |
KeepとProblemは「事実の棚卸し」、Tryは「次の打ち手」という構造です。この順番が重要で、事実の整理を飛ばしてTryから議論すると、思いつきや精神論に流れやすくなります。
KPT法の起源と提唱者
KPT法は、米国のソフトウェア技術者アリスター・コーバーン氏が提唱した振り返り手法「The Keep/Try Reflection」をベースに、日本で「KPT(ケプト)」という3要素(Keep・Problem・Try)のフレームワークとして体系化されたとされています。アジャイル開発の現場で、スプリント終了時の振り返りに用いられたのが広まりのきっかけです。
現在ではアジャイルの文脈を超え、定例会議の振り返り、プロジェクト終了時のレビュー、1on1での部下との対話、個人の週次セルフレビューまで応用されています。
なぜ振り返りにKPT法が選ばれるのか
KPT法が選ばれる理由は、3要素という最小構成で「事実の整理」と「次の行動」を分離できる点にあります。「うちのチームでKPTが回らないのは、KPTのやり方ではなくチームの状態(心理的安全性)の問題なのでは?」と感じている方もいるはずです。その直感は正しく、KPTは構造がシンプルだからこそ、ファシリテーションと運用設計の差が成果に直結します。
KPT法のテンプレートと記入例
「すぐ使えるテンプレートが欲しい」というニーズに応えるため、ここではコピペで使える基本レイアウトと記入例を示します。
コピペで使える3要素レイアウト
最もシンプルな構造は、左上にKeep、左下にProblem、右にTryを配置する3分割レイアウトです。
Keep(続けたい良いこと)
| Try(次に試すこと)
|
Problem(改善したい課題)
|
ホワイトボード・付箋・スプレッドシート・オンラインホワイトボードのいずれでも同じ構造で運用できます。
良いKPTシートの記入例
実際の記入例を示します。営業チームの週次振り返りを想定したものです。
要素 | 記入例 |
|---|---|
Keep | 訪問前に共有された顧客カルテのおかげで初回提案の精度が上がった / 朝会で前日の案件状況を5分共有する運用が定着した |
Problem | 見積もり作成に時間がかかり、提案までのリードタイムが平均3営業日伸びている / 失注理由のヒアリングが営業個人任せで蓄積されていない |
Try | 来週から見積もりテンプレートを3パターン(標準・カスタム・サブスク型)用意し、田中が金曜までに作成・チームに共有する / 失注理由ヒアリングシートを佐藤が今月中に作成し、来月の全失注案件で記入運用を開始する |
ポイントは、Keep・Problemが「事実」に基づいて書かれていること、Tryに主語・期限・具体的アウトプットが含まれていることです。
NG記入例とその修正
逆に、振り返りとして機能しづらいNG例も示します。
NG記入例 | 何が問題か | 修正例 |
|---|---|---|
Keep: みんな頑張った | 抽象的で何が良かったか不明 | Keep: A社案件で営業・技術・カスタマーサポートの3部門が同席提案を実施し、その場で技術質問に回答できた |
Problem: コミュニケーションが悪い | 主語と場面が曖昧 | Problem: 週次定例で部署間の進捗共有が一方通行になり、相互の依頼事項が翌週まで持ち越されている |
Try: コミュニケーションを良くする | 行動が不明確、誰がいつやるか不明 | Try: 週次定例の冒頭10分を「他部署への依頼・相談タイム」に変更し、来週から田中がファシリ |
KPT法のメリットと活用される場面
KPT法を導入するメリットは複数ありますが、特に4点に集約されます。あわせて、チーム以外でも応用できる活用シーンを整理します。
チームに生まれる4つの効果
- 課題と継続点を分けて可視化できる:「悪い話」だけになりがちな振り返りに、Keepという肯定面の議論が組み込まれます。
- 次の行動が明確になる:Tryが必ず最後に来るため、議論を「次に何をやるか」で締めくくれます。
- チームの共通言語が育つ:毎回同じフォーマットで議論することで、メンバーが状況を構造化して考えるようになります。
- 継続的改善のリズムができる:週次・隔週など定例化することで、改善が単発イベントではなく文化になります。
個人・1on1・チームでの活用シーン
KPT法は参加人数や規模によって使い分けられます。
適用パターン | 場面 | 進行のコツ |
|---|---|---|
チームKPT | 週次定例、プロジェクト終了時、四半期レビュー | ファシリテーター必須、付箋またはオンラインボード使用 |
個人KPT | 週次の内省、月次のキャリア棚卸し | ノート1ページで完結、所要15分目安 |
1on1KPT | 上司部下の月次面談、メンタリング | 部下が先に書き、上司が問いかける |
KPT法を用いた振り返りの進め方
ここからは、チームKPTを想定した基本の進め方を5ステップで解説します。所要時間はチーム5〜8名で60分が標準です。
基本5ステップとタイムボックス
ステップ | 時間 | 内容 |
|---|---|---|
1. チェックイン | 5分 | アイスブレイク、目的とルールの確認 |
2. Keep出し | 15分 | 各自が付箋またはオンラインボードに記入→共有 |
3. Problem出し | 15分 | 同上、Keep完了後に切り替え |
4. Try議論 | 15分 | Keep継続策とProblem解決策を議論→優先度づけ |
5. ラップアップ | 10分 | 採用するTryを2〜3個に絞り、担当者と期限を確定 |
重要なのは、KeepとProblemを完全に分けて時間を取ること。同時に書こうとすると思考が散り、Problemに偏ります。
ファシリテーターの役割と質問例
ファシリテーターは「話す」のではなく「引き出す」役割です。場面別の質問例を示します。
場面 | 効果的な質問例 |
|---|---|
Keepが出ないとき | 「今週、ヒヤッとせずに進んだ仕事はどれですか?」「先週からの改善で効いたものはありますか?」 |
Problemが個人攻撃に向かいそうなとき | 「人ではなく、仕組みや手順のどこに問題がありそうですか?」 |
Tryが抽象的なとき | 「来週月曜、誰が何をやれば一歩進みますか?」「期限と担当を決めるとしたら?」 |
沈黙が続くとき | 「30秒だけ各自で書いてから、順番に共有しましょう」 |
NGワードは「なぜできなかったのか」「誰の責任か」など個人を追及する問いです。手順や役割分担、目標のあり方など、どのような仕組みや構造によってそのような問題が発生してしまうのかを問うようにしましょう。個人の責任ではなく、仕組みに問題があるという考え方が必要です。
心理的安全性を作る冒頭スクリプト
KPTは心理的安全性が低い場では機能しません。冒頭5分のチェックインで、以下のような宣言を入れると場が整います。
「この場は犯人探しの場ではありません。Problemは『仕組み』に対して挙げるもので、個人を責めるものではないと約束します。Tryは『試すこと』なので、失敗しても次のKPTで見直せばOKです」
このスクリプトは、新メンバーが入ったとき・組織変更直後・難しい話題を扱う回で特に効きます。
心理的安全性について詳しくは以下の記事をご参照ください。
Tryを基に実際に行動するコツ
ここはKPT法で最も成果が分かれるポイントです。「Tryに『〇〇を頑張る』が並んだが、結局行動が変わらない」という状態を抜け出すための具体策を示します。
「良いTryの書き方って、誰もちゃんと言語化してくれないけど何が正解なのか」と感じている方も多いはずです。答えはシンプルで、Tryに主語・期限・測定指標が含まれているかどうかです。
SMART化チェックリスト
Tryを書いたら、以下の5項目をチェックします。
- Specific(具体的): 何をするかが他人が読んで分かる
- Measurable(測定可能): できたかどうかを次回判定できるか
- Assignable(担当明確): 誰がやるかが書かれているか
- Realistic(現実的): 次回までの期間で本当にできるか
- Time-bound(期限明確): いつまでにやるかが書かれているか
このうち主語・期限・測定指標の3つが最重要で、欠けるとTryは「やる気宣言」で終わります。SMARTフレームワークのAをAchievable(達成可能性)、RをRelevant(関連性のある)とする考え方もありますが、KPTのTryにおいては「誰が」やるかを明確にすることが重要なのでAssignable(担当明確)とRealistic(現実的)としています。
良いTry・悪いTryのビフォーアフター
悪いTry(精神論) | 良いTry(SMART化) |
|---|---|
もっと顧客視点を持つ | 田中が来週月曜までに「直近3件の失注理由」を顧客にヒアリングし、金曜の定例で共有する |
報連相を強化する | 来週から朝会(9:00-9:15)で前日タスクの完了/未完了をSlackチャンネル #daily に各自投稿してから集まる |
チームワークを良くする | 来週水曜18時に1時間、部署横断のランチ会を設定し、佐藤が日程と参加者調整を今週金曜までに完了する |
業務効率化を進める | 見積もり作成の3テンプレ(標準/カスタム/サブスク)を、鈴木が10月末までに作成、11月から運用開始 |
ポイントは、「主語(誰が)」「期限(いつまでに)」「アウトプット(何ができていれば完了か)」の3点が必ず入っていることです。
3か月後のTry実行率を測る運用設計
KPTを単発で終わらせず、継続的改善の文化にするには「Try実行率の見える化」が効きます。
項目 | 内容 |
|---|---|
測定タイミング | KPT実施日から3か月後 |
測定指標 | 採用したTry数 / 実行完了したTry数 / 部分実行Try数 / 未着手Try数 |
振り返り方法 | 四半期に1回、過去3か月のTry一覧を見直し、未着手の原因をパターン化 |
改善アクション | 「未着手率が30%超」なら、次回からTry採用数を絞る/担当者の負荷を確認 |
「Tryが実行される振り返り」かどうかは、3か月後の数字を見れば客観的に判断できます。研修で学んだことを「できる」状態まで持っていくには、こうした行動測定の仕組みが不可欠です。
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KPT法が形骸化する失敗パターンと回避策
KPTは始めることより、続けることのほうが難しいフレームワークです。「KPTを続けているが意味はあるのか」と感じている方に向けて、現場でよく起きる10の失敗パターンと、その場で使える対策を示します。
失敗パターンと対策
# | 失敗パターン | 兆候 | 処方箋 |
|---|---|---|---|
1 | Tryが精神論で終わる | 「頑張る」「意識する」が並ぶ | SMART化チェックリスト(主語・期限・測定指標)を必須化 |
2 | Problemばかり噴出 | Keepが空欄、Problemが10件以上 | 時間を完全分離、Keep枠15分は必ず確保 |
3 | Tryが溜まって実行されない | 過去Tryを誰も覚えていない | 採用Tryを毎回2〜3個に絞る、Try管理シートで進捗追跡 |
4 | 心理的安全性が低く意見が出ない | 沈黙が続く、特定の人しか発言しない | 冒頭スクリプト導入、付箋やチャットで先に書いてから発話 |
5 | ファシリ機能不全 | 議論が脱線、時間オーバー常態化 | タイマー設置、各ステップで「あと5分」アナウンス |
6 | 議事録なし・追跡不可 | 先週のTryを今週確認できない | KPTシートを共有ドライブに保管、定例議事録に貼付 |
7 | 個人攻撃に変質 | 「〇〇さんが」が頻発 | NGワード宣言、Problemは「仕組み」に向ける運用ルール |
8 | マンネリ化・形骸化 | 同じTryが毎回出る、議論が深まらない | 月1回は別フレーム(YWT等)に変える、観点を変える |
9 | 上司の独演会 | 上司ばかり話す | 上司は最後に発言、または別室で別途実施 |
10 | 「KPTやる意味あるの?」と参加者が冷めている | 遅刻・欠席が増える | Try実行率を可視化、成果を全員で見る |
Keepが出ない・Problemの多発・Try溜まりへのその場対応
特に頻発する3つの場面について、ファシリテーターがその場で使える介入スクリプトを示します。
Keepが出ないとき
「Keepは『大成功』だけでなく、『普通にうまくいったこと』『失敗しなかったこと』も入ります。今週、トラブルなく進んだ仕事を1つ挙げてみてください」
Problemに偏るとき
「Problemは大事ですが、今うまく回っている部分を残せないと、解決策が新たな問題を生みます。一旦、Keep欄に戻って、続けたいことを各自1つ追加しましょう」
Tryが多すぎるとき
「全部やろうとすると全部できません。次回までの2週間で本当に動かせるTryを、優先度順に2つだけ選びましょう。残りは『保留Tryリスト』に置いて、次回検討します」
リモート・ハイブリッドで回すオンラインKPT進行台本
リモート/ハイブリッド環境のKPTは、対面と同じ熱量を出すのが難しい――これは多くの管理職が直面する課題です。リモート/ハイブリッド環境では、ローコンテクスト・コミュニケーションと心理的安全性の担保、ファシリテーション設計を特に意識する必要があります。この3つを意識した進行台本を示します。
60分タイムボックス進行台本
時間 | フェーズ | 進行内容 |
|---|---|---|
0:00-0:05 | チェックイン | 全員カメラON、一言ずつ「今日の体調・気分」を共有 |
0:05-0:20 | Keep | 各自オンラインボードに付箋を貼る(無言3分)→ 順番に共有 |
0:20-0:35 | Problem | 同上、Keep完了後に画面切り替え |
0:35-0:50 | Try議論 | 共有画面でTry候補を見ながら議論、チャットで補足意見も拾う |
0:50-1:00 | ラップアップ | 採用Try2〜3個確定、担当・期限を画面共有で確定し全員で確認 |
リモートでは沈黙の時間が対面以上に重いため、「無言で書く時間」を明示的に設計することが効きます。
付箋色分けと発言ルール
オンラインホワイトボードを使う場合、付箋の色分けと発言ルールを事前に決めておくと進行がスムーズになります。
ルール項目 | 推奨設定 |
|---|---|
付箋の色 | Keep=緑 / Problem=赤 / Try=青 |
1付箋1論点 | 複数論点を1付箋に詰めない |
発言順 | ボード貼付順、または挙手機能で指名 |
チャット併用 | 発言中の人に質問・補足はチャットで(発話を遮らない) |
カメラ | 原則ON、難しい場合は事前に申告 |
議事録 | 画面共有で議事録を可視化しながら進行 |
リモート環境では、対面のように相手の表情から「言いかけて止めた」を察するのが難しいため、チャット併用と明示的な発言ルールで補完します。
他の振り返りフレームワークとの使い分け
KPTは万能ではありません。場面や目的によっては別のフレームワークの方が機能します。代表的な5つと比較します。
KPT・YWT・Fun/Done/Learn・KPTA・4Ls比較表
フレーム | 構成要素 | 強み | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
KPT | Keep / Problem / Try | 課題解決・改善志向、Try=次の行動が明確 | 業務改善、プロジェクト振り返り |
YWT | やったこと / わかったこと / 次にやること | 学習内容の言語化、個人の経験学習 | 研修後、個人の経験棚卸し |
Fun/Done/Learn | 楽しかった / やった / 学んだ | ポジティブ志向、心理的安全性が高い | チーム発足初期、雰囲気が重いとき |
KPTA | Keep / Problem / Try / Action | TryとActionを分け、実行をさらに明確化 | KPTでTry実行率が低いチーム |
4Ls | Liked / Learned / Lacked / Longed for | 感情・学び・不足・期待の4観点 | プロジェクト終了時のレビュー |
使い分けフローチャート
選択の目安は次の通りです。
目的・状況 | 推奨フレーム |
|---|---|
業務改善・課題解決を進めたい | KPT |
研修や経験から学びを抽出したい | YWT |
チームの雰囲気が重い・関係性を作りたい | Fun/Done/Learn |
KPTのTryが実行されない | KPTA |
プロジェクト完了時の全体レビュー | 4Ls |
職場でのKPT法の活用事例
KPT法そのものの導入事例ではありませんが、振り返りと行動定着の設計が成果を分けたケースとして、アルーが支援した管理職向け会議運営研修の事例を紹介します。
化学・医療分野の製造メーカーにおける管理職の会議運営力強化
ある大手化学・医療機器メーカーでは、管理職の会議生産性の低さが組織課題として認識されていました。事業環境の変化に伴い管理職に求められる役割が変わるなか、ファシリテーション研修を見直し、振り返りと行動変容の仕組みを組み込んだ設計に刷新したケースです。
対象者
化学・医療業界の管理職(課長層)10名程度で実施しました。
課題
過去にファシリテーション研修を実施していましたが、研修後の職場での行動変容につながらない状態でした。会議の生産性が低いという現場課題が解消されていませんでした。
実施した施策
反転学習(事前に会議の作法資料を読み込む)を取り入れ、研修当日は実践と相互フィードバックに重きをおきました。「実際の職場の会議の問題」を演習テーマに設定し、会議の作法を実践しながら職場の問題そのものも解決する設計にしています。研修前後にファシリテーターの振る舞いについてアンケートを実施して変化点を可視化し、受講者が振り返りと行動変容を起こしやすくなる仕組みを組み込みました。
成果
受講者全員が「職場で役立つ学びを得た」と回答しました。研修を通じて、参加者との目線合わせの重要性や意見を引き出す傾聴力の必要性に気付いた受講者が多数みられました。実践とフィードバックを繰り返すことで自身の癖に気づけたという声が多く挙がっています。
設計のポイント
以下3点を組み合わせたことで、研修後の現場での行動変容につなげる土台ができました。
研修前後アンケートによる行動の可視化
職場の実際の問題を扱う演習設計
反転学習による研修時間の最適化
KPT法の運用設計にも応用できる考え方で、「振り返り→気づき→行動変容→再度振り返り」のサイクルを意図的に設計することが、形骸化を防ぐポイントです。
弊社アルーは管理職の役割認識から会議運営・部下育成までを体系的にカバーする管理職研修を提供しています。詳しくは以下のページをご覧ください。
🔗研修サービス詳細:管理職研修
まとめ
KPT法は、Keep・Problem・Tryの3要素で振り返りを構造化するシンプルなフレームワークですが、運用の質で成果が大きく変わります。形骸化を防ぐ鍵は、Tryを「やる気宣言」で終わらせないSMART化、失敗パターンへのその場の介入スクリプト、そして3か月後のTry実行率を測る運用設計――この3つを仕組みとして組み込むことです。
リモート・ハイブリッド環境では、対面以上に進行設計と発言ルールの明示が効きます。また、KPTが万能ではないことを理解し、状況に応じてYWT・Fun/Done/Learn・KPTA・4Lsと使い分ける視点も持っておくと、振り返り文化はさらに深まります。
まずは次回の定例会議で、本記事のテンプレートとSMART化チェックリストを実践してみてください。3か月後、「Tryが実行される振り返り」に変わったかを測ることが、KPT法を「やる」から「効く」に進化させる第一歩です。
よくある質問(FAQ)
Q | KPT法は誰が作ったのですか? |
|---|---|
A | 米国のソフトウェア技術者アリスター・コーバーン氏が提唱した「リフレクション」の手法をベースに、日本ではアジャイル開発の領域で永和システムマネジメントの天野勝氏らが体系化・普及させたとされています。現在はアジャイルの文脈を超え、業務改善・1on1・個人の自己内省まで幅広く使われています。 |
Q | KPTはどのくらいの頻度で実施すべきですか? |
|---|---|
A | チームKPTは週次または隔週、プロジェクトKPTは節目ごと、個人KPTは週次が標準的です。重要なのは間隔より継続性で、月1回でも続けるほうが、週次で3か月で消えるより効果があります。 |
Q | Keepが毎回似たような内容になります。どうすればよいですか? |
|---|---|
A | 観点を変える質問を入れると変化します。例えば「先週からの改善で効いたもの」「他チームから褒められたこと」「ヒヤッとせず進んだこと」など、Keepを引き出す角度を毎回変えてみてください。それでもマンネリ化する場合は、月1回はYWT等の別フレームに切り替えるのも有効です。 |
Q | 1on1にKPTを使ってもよいですか? |
|---|---|
A | 有効です。部下が事前にKeep・Problem・Tryを書いておき、1on1の場で上司が問いかける形式が機能します。ただし、上司が「正解」を提示する場ではなく、部下のTryを引き出し支援する場として位置づけることが重要です。 |


