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ADDIEモデルとは|研修設計5プロセスと評価設計を実践的な視点で解説

研修を企画するたびに「設計プロセスが場当たり的になっている」「効果測定が満足度アンケートで止まっている」と感じていないでしょうか。研修設計の世界標準フレームワークとして長年活用されてきたのが、ADDIE(アディー)モデルです。

ADDIEモデルは、Analyze(分析)/Design(設計)/Develop(開発)/Implement(実施)/Evaluate(評価)の5つのプロセスで研修を体系的に組み立てる枠組みです。ただ、教科書通りに5プロセスを順に回すだけでは現場では使いこなせません。「PDCAと何が違うのか」「全部やる時間がない」「評価フェーズで何をすればいいのか」という懸念や悩みの声も少なくありません。

この記事では、5プロセスの中身を実務目線で押さえたうえで、カークパトリック4段階モデルと連動させた評価設計、フェーズ別の失敗パターン、状況別の運用ガイドまで、自社で動かせる粒度で解説します。

この記事でわかること

  • ADDIEモデルの5プロセスの中身とフェーズ別の判断基準
  • PDCA・SAM・Rapid ADDIEとの違いと使い分け
  • カークパトリック4段階モデルと連動した効果測定の設計手順
  • フェーズ別の失敗パターンとリカバリー方法
  • 新規設計/既存リニューアル/Rapid ADDIE の状況別運用ガイド

この記事の監修者

落合 文四郎

アルー株式会社
代表取締役社長
落合文四郎

1977年、大阪府生まれ。 2001年、東京大学大学院理学系研究科修了後、株式会社ボストン コンサルティング グループ入社。 2003年10月、株式会社エデュ・ファクトリーを設立し、代表取締役社長に就任。 2006年4月、アルー株式会社に社名変更。京都大学博士(経営科学)。

ADDIEモデルとは——研修設計の基本フレームワークと注目される背景

ADDIEモデルの定義と読み方

ADDIEモデルとは、研修・教育プログラムを体系的に設計するためのフレームワークで、Analyze(分析)/Design(設計)/Develop(開発)/Implement(実施)/Evaluate(評価)の5つのプロセスの頭文字を取ったものです。読み方は「アディー」が一般的で、1970年代に米国フロリダ州立大学の研究グループが軍の教育訓練設計のために体系化したのが起源とされています。

ADDIEモデルが研修設計の世界標準として広く使われている理由は、教育工学の領域で「インストラクショナルデザイン(ID=学習の効果・効率・魅力を高める設計の方法論)」の中核モデルとして位置づけられているからです。新入社員研修・管理職研修・eラーニングなど、研修の対象や形態を問わず適用できる汎用性の高さが特徴と言えます。

なぜいま研修設計にADDIEが必要なのか

研修設計でADDIEが改めて注目される背景には、3つの課題があります。

第一に、研修設計が担当者の経験に依存しており、品質が安定しないという課題です。第二に、研修後の効果測定が満足度アンケート止まりで、経営層に成果を説明できないという課題です。第三に、Analyze(分析)が甘くなりがちで、結局「前年踏襲」の研修になってしまうという悪循環があります。研修の内容が「前年の資料を踏襲する」だけになっていれば、当然ながら時代や事業環境の変化に対応できません。

ADDIEモデルは、分析から評価までを連動した一連の設計プロセスとして扱うことでこれらの課題を解決に導きます。ただ、「結局ADDIEモデルって、PDCAと何が違うの? わざわざ使う意味あるの?」と感じる方も少なくないでしょう。結論としては、ADDIEは「研修設計に特化したID(インストラクショナルデザイン)モデル」であり、汎用的な業務改善サイクルのPDCAとは目的と粒度が異なります。

ADDIEモデルとPDCA・インストラクショナルデザインの関係

PDCAサイクルとの違いと共通点

ADDIEとPDCAは「反復改善のサイクル」という共通点を持ちますが、適用領域と粒度が異なります。整理すると以下のようになります。

観点

ADDIE

PDCA

適用領域

研修・教育プログラムの設計

業務改善全般

プロセス

5段階(Analyze/Design/Develop/Implement/Evaluate)

4段階(Plan/Do/Check/Act)

起源

1970年代・教育工学

1950年代・品質管理

強み

学習目標と評価設計を最初に決める構造

反復改善の汎用性

弱み

一巡が長くなりがち

教育設計に必要な「分析」が浅くなりがち

PDCAは「Plan(計画)」が大きな塊として扱われますが、ADDIEではこの「計画」をAnalyze(受講者・課題の分析)とDesign(学習目標・評価設計)に分解しています。研修設計では「誰が、何ができるようになる必要があるのか」を明確にしないと、コンテンツ開発(Develop)以降がすべて空振りになるため、計画段階を細かく分けているのです。

インストラクショナルデザインにおけるADDIEの位置づけ

インストラクショナルデザイン(ID)は、学習の効果や効率、魅力を高めるための設計方法論の総称で、ADDIEはそのなかでも最も基本的なプロセスモデルです。IDの世界には他にも、学習動機づけに着目したARCSモデル(Attention/Relevance/Confidence/Satisfaction)や、教授事象を9段階で整理したガニェの9教授事象などがありますが、これらはADDIEの各フェーズの中で組み合わせて使うものと位置づけられます。

たとえば、Design(設計)フェーズで学習目標を立てる際にはガニェの9教授事象を、Develop(開発)フェーズで教材の動機づけ設計をする際にはARCSモデルを使う、といった重ね使いが実務では一般的です。

SAM・Rapid ADDIEなど派生モデルとの比較

ADDIEには「1サイクルが長く、現場のスピード感に合わない」という弱みがあり、これを補う派生モデルが複数存在します。

モデル

特徴

適した場面

ADDIE(標準)

5プロセスを直列で1サイクル回す

新規大規模研修・体系的な人材育成設計

Rapid ADDIE

各フェーズを軽量化し1〜2週間で1サイクル

短納期・小規模・eラーニング更新

SAM(Successive Approximation Model)

設計と開発を小刻みに反復

プロトタイプ前提のデジタル教材開発

PDCA

業務改善全般の反復サイクル

既存業務のオペレーション改善

「全部やる必要があるのか」と感じたら、Rapid ADDIEの考え方を取り入れて、1サイクルを短く回す選択肢があると覚えておいてください。

ADDIEモデルの5つのプロセス(Analyze/Design/Develop/Implement/Evaluate)を実務目線で解説

5プロセスの全体像を、各フェーズのインプット・主な作業・アウトプットの3点で整理します。

フェーズ

インプット

主な作業

アウトプット

Analyze

(分析)

経営課題・現場課題・対象者情報

課題分析/学習者分析/環境分析

研修の目的・対象者像・前提条件

Design

(設計)

分析結果

学習目標設定/評価設計/カリキュラム骨子

学習目標/評価指標/カリキュラム設計書

Develop

(開発)

設計書

教材・演習・講師ガイド作成

テキスト/スライド/ワーク/講師マニュアル

Implement(実施)

教材一式

受講者募集/会場準備/研修実施

実施記録/受講ログ

Evaluate

(評価)

学習目標/評価指標

4段階での効果測定/改善示唆

改善提案/次サイクルへのインプット

Analyze(分析): 研修の出発点を定める

Analyzeは、研修を「やる/やらない」「何を扱う/扱わない」を決める最重要フェーズです。ここを省略すると、その先のフェーズで何を作っても的を外します。

最低限押さえるべき3つの分析は、課題分析(経営・現場のギャップは何か)/学習者分析(対象者の現在地と前提知識は何か)/環境分析(受講後に学びを実践できる職場環境はあるか)です。「分析が甘い」という失敗は、この3つのうちのどれかが抜けているというケースがほとんどです。

たとえば「営業の提案力が弱い」という経営側の問題意識を受けて研修を企画する場合、課題分析で「提案力のどの要素(仮説構築力/資料構成力/顧客折衝力)が弱いのか」まで具体化しないと、Develop以降の教材が「提案力一般」を扱う薄い内容になってしまいます。

Design(設計): 学習目標と評価設計を先に決める

Designフェーズの肝は、「教材を作る前に、学習目標と評価指標を先に決める」ことです。順序が逆になると、教材ありきの研修になり、何をもって「できるようになった」と判断するのかが曖昧になります。

学習目標は、SMART(Specific/Measurable/Achievable/Relevant/Time-bound)の枠組みで「観察可能な行動レベル」まで降ろします。「論理的思考を理解する」ではなく「自分が担当する案件について、ピラミッド構造を使って30秒で上司に報告できる」というレベルです。評価指標は、後述するカークパトリック4段階モデルでレベル別に設計します。

Develop(開発): 教材とファシリ設計を作り込む

Developフェーズでは、Designで決めた学習目標と評価指標に沿って、テキストやスライド、演習、講師ガイドを作り込みます。ここで重要なのは「演習の数と質」です。

知識インプットだけでは「分かったつもり」で終わるため、ケース演習・ロールプレイ・ワークを多めに組み込み、「できる」レベルまで引き上げる設計が必要です。生成AIを活用すれば、業界別のケース演習や受講者役の対話シミュレーションを短時間で量産することもできるようになってきています。

Implement(実施): 学習体験を運営する

Implementは「研修を実施する」フェーズですが、単に運営して終わりではありません。受講者の理解度・反応を観察し、Evaluateフェーズに渡せるデータを取得するところまでが含まれます。

具体的には、研修中のワーク成果物の回収/講師による行動観察記録/研修直後のアンケート設計などです。「実施したらアンケートを取って終わり」ではなく、行動変容アンケートやテストなど、後続の評価で使うデータをこの段階で意識的に取りに行きます。

Evaluate(評価): 行動変容と成果を測る

Evaluateは、ADDIEの中で最も軽視されがちですが、ADDIEを「反復改善の設計思想」として機能させるための核となるフェーズです。満足度アンケートだけで終わらせず、後述するカークパトリック4段階モデルと連動させて「研修直後の理解度」「3か月後の行動変容」「事業成果への寄与」までを段階的に測ります。

Evaluateの結果は、次のサイクルのAnalyzeフェーズへのインプットとなり、ADDIEが一巡で終わらず継続改善のループとして機能するようになります。

ADDIEモデル活用のメリットと、見落とされがちな注意点

メリット: 設計の属人性を排除し品質を安定化

ADDIEを導入することで得られる主なメリットは3つあります。

第一に、研修設計のプロセスが標準化され、担当者の経験に依存しない品質を確保できます。第二に、学習目標と評価指標を先に決めるため、研修後に「成果が出たのか」を経営層に説明できるようになります。第三に、各フェーズのアウトプットがドキュメント化されるため、次年度以降の改善や担当者交代時の引き継ぎが容易になります。

注意点: 「手順」と誤解すると形骸化する

一方で、ADDIEは「5つの手順を順番にこなすチェックリスト」と誤解されると形骸化します。注意点は3つです。

第一に、各フェーズを直列で1回回すだけでは、現場の変化に対応できません。Evaluateの結果を次のAnalyzeに戻す反復ループとして運用することが前提です。第二に、Analyzeを省略してDesign以降だけ実施すると、「前年踏襲の研修」になります。第三に、Evaluateを満足度アンケートだけで済ませると、「やった気になる研修」にとどまります。

「教科書通りに5プロセスを回すと時間がかかりすぎる」と感じる場合の対処は、各フェーズの「最低限やること/省略してよいこと」を判断基準を持って整理することです。後段の「Rapid ADDIE」の章で具体的な判断基準を示します。

フェーズ別の失敗パターンとリカバリー方法

ADDIEを回したつもりが成果につながらない場合、フェーズごとに典型的な失敗パターンとリカバリー方法があります。

フェーズ

失敗パターン

兆候

リカバリー方法

Analyze

経営課題と現場課題のヒアリングを怠り、人事の主観で課題設定

「前年と同じ研修」になる/受講者から「自分には不要」の声

経営層・現場マネジャー・対象者へのヒアリングを必須化し、3者の認識差を文書化

Design

学習目標が「〜を理解する」止まりで観察不能

評価指標が決められない/講師ごとに到達基準がブレる

「観察可能な行動」までSMARTで降ろし直す

Develop

知識インプット中心で演習が少ない

受講後アンケートで「分かったが実践できそうにない」

演習・ケーススタディの比率を全体の50%以上に再設計

Implement

上司を巻き込まず、受講者だけ研修に送り込む

研修後の職場実践が進まない/3か月後に元の業務スタイルに戻る

上司への事前期待値伝達・事後面談を必須化、上司向けeラーニングで共通言語化

Evaluate

研修直後の満足度アンケートのみで終了

経営層への成果報告が「満足度●%」で説明力不足

カークパトリック4段階モデルでL2(理解度)・L3(行動変容)・L4(成果)まで測定

分析・設計フェーズの失敗と対策

分析・設計フェーズで最も多い失敗は、「経営課題から研修目的への接続が曖昧」というものです。たとえば「営業力強化」という経営課題に対し、「営業研修を実施する」と短絡的に設計してしまうケースです。

対策は、HPI(Human Performance Improvement=人的パフォーマンス向上)の視点を取り入れ、「研修以外(業務プロセス/評価制度/ツール)で解決すべきものはないか」を問い直すことです。研修は数あるソリューションの1つにすぎないと位置づけることで、Analyzeの精度が上がります。

開発・実施フェーズの失敗と対策

開発・実施フェーズの典型的な失敗は、「教材は作り込んだが、職場実践につながらない」というものです。

対策は、研修内のワーク終了時点で「明日から職場で実践するアクションプラン」を必ず書かせ、研修後数週間以内に上司との振り返り面談を組み込むことです。研修を1日で完結させず、事前学習(eラーニング)→集合研修→職場実践→フォロー研修というブレンディッド設計にすることで、Implementの実効性が大きく上がります。

評価フェーズの失敗と対策

評価フェーズの失敗は「満足度アンケートで終わる」ことに集約されます。これは次章で扱うカークパトリック4段階モデルと連動させることでリカバリーできます。
研修の効果測定の具体的な進め方については以下の記事をご参照ください。

🔗関連記事:研修効果測定のやり方とは?4段階評価モデルや具体的な指標を解説

🔗おすすめ資料:研修企画書テンプレート【PowerPoint版】

Evaluate(評価)フェーズを深める——カークパトリック4段階モデルとの連動設計

「評価フェーズって、結局アンケート以上に何をやればいいのか? カークパトリックは知っているが現場で使える形に落とせない」と感じる方が多いポイントです。ここを実装レベルで解説します。

カークパトリック4段階モデルの全体像

カークパトリック4段階モデルは、研修効果を4つのレベルで測定する世界標準のフレームワークです。

レベル

評価対象

測定方法の例

測定タイミング

L1: Reaction(反応)

研修への満足度

研修直後アンケート

研修終了時

L2: Learning(学習)

知識・スキルの理解度

確認テスト/ワーク成果物/講師による行動観察

研修終了時

L3: Behavior(行動)

職場での行動変容

行動変容アンケート/上司インタビュー/360度評価

研修3か月後(目安)

L4: Results(成果)

事業KPIへの寄与

売上/生産性/離職率/顧客満足度

研修6か月〜1年後

多くの研修がL1(満足度)で止まる理由は、L2以降を測るためのデータ収集設計を、Design・Developの段階で組み込んでいないからです。

ADDIE×カークパトリックの連動マトリクス

ADDIEの各フェーズで、カークパトリック4段階の測定をどう仕込むかを整理します。

ADDIEフェーズ

カークパトリックの仕込み

Analyze

L4(事業KPI)の現状値を把握。研修で動かすべきKPIを特定

Design

L1〜L4の測定指標を設計。L3用の行動定義をSMARTで言語化

Develop

確認テスト(L2)/行動変容アンケート(L3)の設問を作成

Implement

研修中にL2データ(ワーク成果物・観察記録)を収集

Evaluate

L1直後/L2直後/L3を3か月後/L4を6〜12か月後に測定

ポイントは、L3(行動変容)の評価指標をDesignフェーズで決めておくことです。「研修後、職場で〇〇という行動を取っているか」を、5〜7段階のリッカート尺度で受講者本人と上司に問うアンケートを設計します。

研修直後と3か月後の2回測定で行動変容を捉える

「研修受講後の行動変容」を捉えるための実践的な設計が、研修直後アンケートと3か月後アンケートの2回測定です。

研修直後アンケートでは、「ラーニングポイントに対する理解度」「職場での実践イメージ」「研修運営の効果」を測ります。3か月後アンケートでは、「実際にどの程度実践したか」「実践した結果どんな成果が出たか」「実践を妨げた要因は何か」を測ります。

2回のデータを突き合わせることで、「研修内では理解できたが職場で実践できていない」というボトルネックを特定でき、次サイクルのAnalyze・Designにフィードバックできます。これがADDIE×カークパトリックを連動させた「反復改善の設計思想」です。

状況別のADDIE運用ガイド——新規設計/既存リニューアル/Rapid ADDIE

ADDIEは「常にフルセットで回す」必要はありません。状況に応じて運用を切り替えます。

新規設計時に最低限押さえること

新規の研修プログラムを立ち上げる場合は、ADDIEの5プロセスを丁寧に回します。特にAnalyzeとDesignに全体工数の40〜50%を投下するのが目安です。

新規設計時の必須チェック項目は以下です。

  • 経営層・現場マネジャー・対象者の3者にヒアリング済み
  • 学習目標がSMARTで「観察可能な行動」レベルまで降りている
  • L1〜L4の評価指標がDesign段階で決まっている(L4が難しい場合は、L3まで)
  • 演習比率が全体の50%以上で設計されている
  • 上司向けの事前期待値伝達・事後面談の設計が含まれている

既存研修リニューアル時の差分設計

既存研修のリニューアルでは、ゼロから5プロセスを回すのではなく、Evaluateの結果から差分でAnalyze・Designを更新します。

既存リニューアル時の判断基準は以下です。

状況

重点フェーズ

省略可能なフェーズ

受講者層に変化なし/

満足度低下のみ

Develop(教材リフレッシュ)

Analyze

(再分析不要)

対象者の事業環境が変化

Analyze→Design

Develop(流用可)

評価設計が不在だった

Design(評価指標)→Evaluate

Develop(流用可)

効果測定で行動変容が低い

Implement(上司巻き込み)

Develop(流用可)

Rapid ADDIEで1サイクルを短く回す

Rapid ADDIEは、各フェーズを軽量化して1〜2週間で1サイクルを回す運用です。「現場のスピード感に合わない」という課題への対処として有効です。

Rapid ADDIEの各フェーズで「最低限やること/省略してよいこと」は以下のように整理できます。

フェーズ

最低限やること

省略してよいこと

Analyze

対象者5名のヒアリング/経営層との目的合意

全社的なニーズ調査

Design

学習目標と評価指標の言語化(SMART)

詳細カリキュラム設計書

Develop

既存テンプレート活用/新規開発するモジュールを1本に絞る

オリジナル教材のフル開発

Implement

少人数(10〜20名)パイロット実施

全社展開

Evaluate

L1(直後アンケート)+L2(簡易テスト)の2点測定

L3・L4の長期測定

Rapid ADDIEで小さく回し、効果が確認できたら標準ADDIEで本格展開する2段構えが現実的な選択肢です。生成AIを使えば、教材ドラフト・演習ケース・確認テスト設問の生成を大幅に効率化できるため、Rapid ADDIEとの相性は良くなっています。

ADDIEモデルを自社で回すためのチェックリスト

ADDIEを実務で回す際に、各フェーズで自問するためのチェックリストです。

Analyze

  • 経営課題・現場課題・受講者の現在地の3点を文書化したか
  • 「研修以外で解決すべき要素」を検討したか
  • L4(事業KPI)の現状値を把握したか

Design

  • 学習目標がSMARTで観察可能な行動まで降りているか
  • L1〜L4の評価指標を決めたか
  • L3用の行動変容アンケート設問を設計したか

Develop

  • 演習比率が全体の50%以上か
  • 上司向け事前期待値伝達のツールを用意したか
  • 確認テスト(L2)と行動変容アンケート(L3)の設問を作成したか

Implement

  • 上司への事前期待値伝達を実施したか
  • 研修中のL2データを収集する仕組みがあるか
  • 事後の職場実践→振り返りの設計があるか

Evaluate

  • L1(満足度)+L2(理解度)を研修直後に測定したか
  • L3(行動変容)を3か月後に測定する運用があるか
  • 評価結果を次サイクルのAnalyzeに渡す仕組みがあるか

まとめ: 計画から反復へ

ADDIEモデルは、「Analyze→Design→Develop→Implement→Evaluate」の5プロセスを一連で回す手順書ではありません。Evaluateの結果を次のAnalyzeに戻し、研修設計を継続的に改善する「反復改善の設計思想」として捉えることで、初めて研修が事業成果に結びつきます。

5プロセスを完璧に回そうとして時間がかかるくらいなら、Rapid ADDIEで小さく速く回す方が成果につながります。一方で、評価フェーズだけは省略せず、カークパトリック4段階モデルと連動させてL3(行動変容)まで必ず測ることが、ADDIEを形骸化させない最大のポイントです。

「1970年代生まれのADDIEはまだ使えるのか?」という問いには、こう答えられます。生成AI・LMSが当たり前になった今こそ、Analyzeの精度を上げ、Developを効率化し、Evaluateを多面的に回せる環境が整いました。ADDIEは古びるどころか、テクノロジーと組み合わせることで反復改善のサイクルを短く速くできる、現代の研修設計に最も実用的なフレームワークと言えます。

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ADDIEモデルに関するよくある質問(FAQ)

Q

ADDIEモデルとPDCAサイクルは併用できますか?

A

併用できます。ADDIEは研修設計に特化したフレームワーク、PDCAは業務改善全般のサイクルで、レイヤーが異なります。研修プログラムの設計はADDIEで回し、その研修運営オペレーション全体の改善はPDCAで回すという使い分けが現実的です。

Q

全フェーズを毎回フルセットでやる必要がありますか?

A

必要ありません。新規研修立ち上げではフルセットを推奨しますが、既存研修のリニューアルや小規模展開では、Rapid ADDIEで各フェーズを軽量化し、1〜2週間で1サイクルを回す運用が現実的です。ただし、Evaluate(特にL3=行動変容の測定)だけは省略しないでください。

Q

eラーニング中心の研修にもADDIEは使えますか?

A

使えます。むしろeラーニングはコンテンツ更新の柔軟性が高いため、Rapid ADDIEとの相性が良いです。Designフェーズで学習目標と評価指標を決め、Developで小さく作って公開し、Evaluateで受講ログ・テスト結果を分析して次の改善に回すというサイクルが組みやすくなります。

Q

経営層にADDIE導入の効果をどう説明すれば良いですか?

A

「研修設計の属人性を排除し、効果測定の精度を上げることで、人材育成投資のROIを可視化できる」と整理するのが定石です。具体的には、カークパトリック4段階モデルと連動させてL3(行動変容率)・L4(事業KPI寄与)まで数値で報告できるようになる点を強調すると、経営層への説明力が高まります。

アルー株式会社
アルー株式会社
20年以上、企業向けに人材育成コンサルティングや研修を提供してきた。新入社員・管理職といった階層別研修や、海外駐在員やグローバルリーダーなどのグローバル人材育成、DX人材育成に強みを持つ。その実績は取引企業総数1400社以上、海外現地法人取引社数400社以上に及ぶ。京都大学経営管理大学院との産学連携など、独自の研究活動も精力的に行っている。

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