―貴社の事業内容と部署の役割を教えてください。
岸 当社は注文住宅の設計・施工を中心に、不動産の仲介やリフォームの提案なども手掛けています。自社で設計、施工、そしてアフターサービスまでを一貫して提供する体制を特徴とし、住まいに関するサービスを幅広く事業展開している会社です。
「お客様第一主義」を掲げて、お客様を大事にすることを各社員が実現してきたからこそ、今の住宅情報館があると思っています。
部署の役割は、研修や教育を通じて社員の能力開発を行うこと、それを通じて組織全体の成長を促進することです。社員のスキルアップだけでなく、働くモチベーションの向上に貢献したいです。最終的には、教育や研修を通じて学ぶこと自体が、組織の文化として根付くことを目指しています。
その中で私は、研修と教育を幅広く手がけています。
中でも2022年に人事制度が刷新された際、階層ごとの期待役割が再定義されました。それに伴って、内勤と呼ばれる営業以外の社員向けの教育体系を一から構築し、実施していくことを期待され、主に担当しています。それを実現するために、階層別研修やテーマ別研修の企画から設計、開発、運用、効果測定、場合によっては講師まで全てを担当しています。
―2022年度に行った人事制度の変更以前には、どのような課題がありましたか?
岸 2022年度までは、体系的に教育することや、学ぶという仕組みがありませんでした。組織全体としても、あまり重要視されていない雰囲気がありました。それまでも研修を不定期には実施していましたが、体系的なものというわけではありませんでした。ビジネスパーソンとしての学びや成長は、社員の自己啓発に任されている状況だったと感じています。
そのため、社員の成長を会社がサポートする仕組みを作る必要があり、現在、新たな教育体系に基づき各階層の研修を一から構築しているところです。その一環として次長・課長向け研修を実施しました。
また、当社には経験豊富なベテラン社員が多く在籍しており、彼らの知識や経験は事業にとって非常に重要です。一方、それらが若手社員に十分に伝わらず、若手の活躍の機会が限られてしまう状況は課題だと感じていました。
そのような観点から、2022年度に人事制度を能力主義・実力主義へと変更しましたが、若手社員がより活躍できる環境を整えるためには、管理職が部下育成を通じて関わっていくことが大きな課題だと思いました。
― 今回、アルーに依頼した次長・課長向け研修の説明をお願いします。
岸 今回は教育研修の一環として、次長職と課長職を対象とした階層別研修を依頼させていただきました。現在、社内では各階層向けに3種類の集合研修を実施していますが、その中でも人材育成をテーマとした研修を依頼しました。
具体的な研修内容としては、マネージャーが効果的に人材育成を行うための考え方やスキルを習得することを目的とし、まずは人材育成の基盤となるコミュニケーションに焦点を当てました。部下一人ひとりに興味を持ち観察すること、前向きな気持ちでコミュニケーションをとること、また部下のモチベーションや自身と部下とのコミュニケーションギャップを見つけることを通じて信頼関係を築き、その信頼関係を基盤として人材育成の土台を構築するという内容です。
1日目はまず信頼関係を築くことに注力し、研修後には約1か月の実践期間を設け、実際に信頼関係構築のためのコミュニケーションを行っていただき、2日目の研修では人材育成の土台となるフィードバックのスキルを習得する研修を実施しました。
― 今回の次長・課長向け研修を行う上での目的は何ですか?
岸 本研修の目的は、部下やメンバーの成長をサポートし、チームの目標達成に貢献できる強力な組織を構築できる管理職を育成することです。プレイヤーとして優秀であることと、マネージャーとして優秀であることは異なります。これまで当社では、マネージャーとして学ぶ機会が少なかったと思います。
そのため、当初は研修や学習そのものに抵抗や戸惑いを感じる受講者も少なくありませんでした。しかし、約3年をかけて研修などを通して学習の重要性や楽しさを伝えてきた結果、研修に対する肯定的な雰囲気も少しずつ醸成されてきたと感じています。受講者が「研修を受けてよかった」と思えることを大事にしています。
また、もう一つの目的は、次長・課長職の管理職社員が研修を受けることで、人材育成の大切さ、教育研修による成長の喜び、意義、目的、そして組織風土や会社のDNAを築き上げていくことです。今回の研修では、次長や課長がその中心人物になってほしいと考えていました。
―研修を実施してみての所感を教えてください。
岸 まず、当社にとって4カ年計画の3年目で研修企業の見直しを行うことは大きな決断でしたが、アルーに依頼してよかったと思っています。
どんなによい研修を設計しても、最終的に受講者が顔を合わせるのは講師なので、その講師によって研修の質は左右されてしまいます。今回は受講者からの評判が高く、最後まで質の高い研修が実現できたと感じています。研修後のアンケートでは、研修満足度が94.3%、講師満足度が92.5%と、その質の高さが数字にも表れています。
受講者からは「講師がよく、話の内容も実践的だった」「講師が明るくて好感が持てた」「熱心な講師でためになった」「説明の仕方や発声等がわかりやすく聞き取りやすかった」「講師からの一方的な発信ではなく、グループワークには耳を傾け、受講者の意見にも賛同しつつ具体的な事例で教えてくれたため、非常に記憶に残った」「研修後、さっそく部下とのコミュニケーションを取ってみようと思わせる内容だった」といった具体的な声が寄せられました。
―想定していた目的の達成には近づきましたか?
岸 目的の達成までには、まだまだステップを踏む必要があると感じています。一方、受講者の92%が「実践してみたい」、90%が「実践できそう」と回答しました。アンケートには「管理職として非常に有意義な内容であり、ぜひ実践したい」「チームワーク向上、業務効率、業務結果、品質向上につながるため実践したい」「人材育成の基本を学べたので実践できると認識している」というコメントが多数寄せられていることから、想定していた目的の達成に近づくための一助になっていると思います。
―今回の研修で、行動変容を促すためにどのような工夫をされましたか?
岸 受講者は研修で設定した目標や学びをアクションプランシートに記入し、それを実践しています。その後、自己評価と上長による評価を行ってもらい、コメントを記入しています。自己評価だけでなく、上長評価をもらうことが大事だと考えています。
評価は6段階で「実践できたことに加え、変化や成果をつくることができた」が最高の6点です。今回の研修では、自己評価が3.9点、上長評価が4.1点でした。平均すると、「どちらかというと実践できた」というレベルです。
この研修を通じて、受講者は何らかの行動を起こしており、それに対して上長からの評価も得られているため、行動変容のきっかけになっているのかなと思います。
―今後どのような施策を行っていきたいと考えていますか?
岸 ちょうど現在、この4カ年計画の施策が4年目に入り、最初の期間が終了しようとしています。今後は、次の期間に向けてどのように進めるかを検討している段階です。今後も同じ研修を続けていくことは考えておらず、この4年間を検証し、振り返りながら、さらに次のステップへ進めていきたいです。
最初は研修に慣れ、研修を受けることの価値を見出すことから始まりました。研修を実施し、受講者も計画的に学ぶことに慣れ、よい意味でルーティンの一つになってきたところで、来期以降には次の展開を示します。
その中で、次長・課長向け研修では基礎ができたと考えています。次長・課長職だけでなく、管理職には自分たちの後継者を育成し、後世を担う人材の育成に力を入れてほしいと思います。いずれは経営者の視点を持ってほしいですね。
―今後実現していきたいことに対してアルーにはどんな期待をしていますか?
岸 今後は、より多くの社員に対して階層別研修を実施していく予定です。それぞれの階層に対する研修を提案するだけでなく、「会社全体の根本的な課題は何なのか?」という視点から問題を洗い出し、課題設定を行っていただきたいと考えています。そのような視点に立って、アルーと一緒に協力しながら研修を実施していきたいと期待しています。
―今回の次長・課長向け研修をアルーにお任せいただいた経緯を教えてください。
岸 アルーを導入するきっかけは、営業の大濵さんからの電話でした。当時、社内で階層別研修を見直しており、それまでの研修内容での効果に限界を感じていたところ、大濵さんからの電話を受けました。その電話でお話したときに、大濵さんと一緒に仕事をしてみたいと思いました。なので、一回お話を聞いてみようと思い、打ち合わせをすることになりました。
アルー大濵 最初の電話は24年度の10月でした。そのときは、25年度からご一緒したいとお話しましたが、その翌日だったでしょうか、3カ月後の24年度の1月に研修を実施できないかとご連絡をいただきましたね。
岸 3カ月後に実施しようという、ものすごいスピード感でしたね。25年度まで待つ必要はないだろうと考えました。3カ月後に実施できるか尋ねたら、大濵さんが「できます。何とかします。」とおっしゃったのでお願いしたら、本当に何とかしてくださったのです。
―最初の電話で好印象を持たれた理由は何ですか?
岸 圧倒的な誠実さを電話で感じたことです。あと、「きっと何とかしてくれるだろう」という期待感も抱かせてくれました。実際に、その期待に早く応えてもらえたと思っています。
―他の研修会社はご検討されていましたか?
岸 検討していました。研修の体制を見直すタイミングでは、アルーを含む4社を比較検討しました。長期的な階層別研修を委託できる企業を探しており、選定基準として「提案内容」「費用」「講師の質」「運営面」「誰と仕事したいか」の5点を重視していました。今回は、大濵さんが最後のポイントに合致したということですね。
―アルーから受けた提案の中で、印象に残っていることはありますか?
岸 圧倒的な研修の開発力と設計力ですね。ヒアリングから当社の課題を的確に把握し、その解決策となる研修の提案内容は本当に素晴らしかったです。特に、20ページを超える提案書に最初は驚きましたが、読み進めるうちに、自分たちでは言語化できなかった課題が見事に表現されていることに別な驚きがあり、その研修設計の論理展開には本当に溜飲が下がる思いでした。これは最終的にアルーを選んだ決め手でもあります。
また、営業、提案、設計、事務・運営と、多くの担当者がいることに最初は戸惑いましたが、それぞれがプロフェッショナルとして仕事を進めてくれたおかげで、安心して研修当日を迎えることができました。全員がプロ意識を持って動いてくれると、これほどスムーズに仕事が進むのかと感心いたしました。
―アルーは教育課の岸様にとってどんな存在でしょうか?
岸 大濵さんは当社の教育課の一員だと思っていますよ。当社の経営理念は「お客様第一主義」であり、私たち教育課にとってのお客様は社員です。大濵さんはその社員の成長を支援するために抱えている課題を解決してくれるパートナーであり、課題解決まで寄り添ってくれる当社の教育課のメンバーのような存在です。
アルーは、企業に寄り添い、一緒に課題解決の方法を考えてくれます。「そもそも何をしたらよいか分からない」など、漠然とした悩みを抱えている企業に対しても、寄り添って考えてくれるところが一押しのポイントです。