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ビジョンとは何か~会社にとってビジョンが大切な理由


目次[非表示]

  1. 1.個人と組織の関係が変わる中でビジョンが相互の架け橋となる
  2. 2.早く行きたければ1人で行け。遠くに行きたければ、みんなで行け
  3. 3.ビジョンを自ら掲げて、ビジョンに自分たちを見守ってもらう


みなさんは、「あなたが所属する組織のビジョンは何ですか?」と問われたら、どのように答えますか?

また、「あなたのビジョンは何ですか?」と問われたらどうでしょう?

将来についてのイメージについて何らかの形で持っていたとしても、改めてこのように問われるとすぐに答えることができなかったり、答えることができたとしても、部分的な表現になってしまったり、自分が意図していることをうまく表現できなかったりするのではないでしょうか。

ビジョンとは、端的に言えば「将来像」という意味です。ビジネスにおいてよく使われる言葉ではあるものの、なくても今日の生活には困りませんし、目の前の仕事に取り組む上でも支障はありません。ですから、改めて「ビジョンは何か?」と問われても戸惑ってしまうことが多いのは不思議なことではありません。

それでも、この時代の流れにおいて、ビジョンがとても大切な概念であると感じています。この記事から始まる章では、意識の意識化の観点から、ビジョンについて深掘りしていきたいと考えています。


個人と組織の関係が変わる中でビジョンが相互の架け橋となる

今、ビジョンが重要だと考える1つ目の要因として、個人と組織の関係が変わっていることを挙げたいと思います。これまでの記事でも何度かこのお話をしていますが、個人が組織に従属する関係から、個人と組織が対等な立場でお互いに協働する関係に変化しています。

個人と組織

個人と組織が対等な立場でお互いに協働していく関係性になったときに、何を基軸としてお互いの共通する関心領域を見つけていけばいいのでしょうか?



相互の関心領域のすり合わせ内容(A):
  • 仕事内容とそれに見合ったお給料
  • 会社が必要な機能と、個人のスペシャリティ
  • 会社が充足するべきポジションと、そのポジションの経験をもつ個人


(A)のような考え方もあるでしょう。いい・悪いという話ではありませんが、このような考え方の前提としては、既に実現している価値と価値の交換経済であり、想定している時間軸が比較的短いという特徴があります。



相互の関心領域のすり合わせ内容(B):
  • 会社の事業・組織ビジョンと、個人のキャリアビジョン
  • 会社のミッションと、個人の主体的真理(内なるエネルギー)
  • 会社の組織文化と、個人の価値観


(B)のような観点で、組織と個人の関心領域のすり合わせができたら、どうでしょうか?理屈を抜きにして、ワクワクしませんか?そして、このすり合わせができているチームに所属できたら、一体感がありそうですね。

このような考え方の前提として、既に実現している価値と価値の交換経済ではなく、相互のエネルギーの循環経済というものがあります。循環経済というのは、価値をその場で等価交換するのではなく、相手に与え続けることによって、巡り巡って自分にも戻ってくるというイメージのものです。

また、その時間軸は必然的に長くなります。短期間では、循環経済は成り立たないからです。短期的には成り立たなくても、中長期的に見ると、与えるものと与えられるものが釣り合っていくのが循環経済です。

(B)のような考え方を大切にするときに、必要不可欠な概念がビジョンです。お互いの主体的真理を傾聴して、共感するプロセスの中で、具体的な将来像についてすり合わせをしていく、あるいは、協創していく。そして、このプロセスを経て浮かび上がってきたビジョンを基軸として、対等な立場で中長期的に協働していく。

これが、これからの時代の個人と組織の関係性ではないでしょうか。個人と組織の関係性だけではなく、何か新しいものを生み出していこうというエネルギーをもった個人と個人の関係性についても同じことが言えると私は思います。


早く行きたければ1人で行け。遠くに行きたければ、みんなで行け

2009年に当社に新卒入社された、社内でも指折りの熟達者であるTさんから教えてもらったのですが、アフリカのことわざに「早く行きたければ1人で行け。遠くに行きたければ、みんなで行け。」というものがあるそうです。

アフリカ

とても、素敵なことわざですね。

当社の新卒採用の最終面接を私が行っていますが、よく頂く質問の一つは「社会人教育を手がけている会社は、比較的小規模な会社が多いですが、御社はなぜ事業を拡大することができたのですか?」という内容です。

その答えは、このアフリカのことわざにあります。アルーの創業メンバーは私を含めて3人ですが、3人で集まって最初にやったことは、戦略立案でも、商品開発でもなく、ミッション・ビジョンのすり合わせでした。そして、3人の共通の思いとして、「いい教育を一人でも多くの人に」というものがあり、3人でこじんまりビジネスをするのではなく、組織拡大をして、ビジネスとして大きくしていくことを当初から想定していました。


「遠くに行きたいから、みんなで行く」ことを明確に選択していました。


「遠くに行きたいから、みんなで行く」という選択をすると、必然的に「では、具体的にどこに行く?」という話になります。それがビジョンです。

会社を設立したら、経営理念が必要だからミッションやビジョンを考える、という感じではありません。自社のホームページの会社概要に、ビジョンを書く必要があるから、文言を考えるという感じでもありません。採用広告をだすときに、ビジョンを書く欄があるから作文をするというものでもありません。
ビジョンは、もっと根源的なレベルの話です。自分の主体的真理からくるエネルギーがあって、それを「一人で早くいくか、みんなで遠くにいくか」という選択において「みんなで遠くに行く」ということを決断したときに、自然と自分たちに問いたくなるものです



自分たちはどこに行きたいのか?
自分たちはどの山に登りたいのか?
自分たちはどのような景色を見たいのか?



ビジョンとは、自分たちの内なるエネルギーをどのように結晶化したいかを表すものなのです。


ビジョンを自ら掲げて、ビジョンに自分たちを見守ってもらう

「みんなで遠くに行く」ことを選択したときに、自然とビジョンを考えたくなるという話をしましたが、出発のときにビジョンを考えるというだけではなく、みんなで遠くに行くという旅の途上においても、ビジョンは重要な役割を果たします。


それは、中長期にわたって、一貫性を持ち続けることができるということです。


人は、調子がいいときもあれば、そうではないときもあります。ビジネスの状況、人間関係など、その時々の状況に大きく左右されます。最初に大きな志をもっていたとしても、途中で挫折しそうになるときもあるでしょう。

そのようなときに、初期の志が、ビジョンという形になっていることで、志に見守ってもらう、志に叱咤激励してもらうということができます。ビジョンがあれば、「初心に返る」ことができるのです。

私自身の例でいえば、「いい教育を一人でも多くの人に」という思いをもって、ビジョンを掲げています。現状でいえば、大企業を中心に多くのお客様や受講生にいい教育をご提供できていると自負していますが、この状況で満足してしまいそうになる自分を、ビジョンは叱咤激励してくれます。

「本当に、それで十分なのかな?」と。

また、チームという観点から言えば、みんなが大切にすること、目指すことが、誰か一人の属人的な意向や判断に依存するのではなく、ビジョンという形でみんなで共通のものになっているということも大事なことだと思います。

もちろん、旅の途上において、みんなで話し合って、旅の行き先を変更するということはあって良いと思います。みんなで共通のものを、みんなで話し合って変更していくことはとても良いプロセスだと思いますが、誰か一人の意向や判断のみに依存してしまうと、長期にわたって一貫した取り組みをすることができなくなってしまいます。

私の例で言えば、私はアルーの代表取締役社長という役割を担っていますが、私ひとりのその場の判断だけでアルーのビジョンを変えることはできませんし、やるべきことではないと思っています。ビジョンは、誰か個人のものではなく、チーム全体のものです。

このように、ビジョンを掲げることで、中長期的に一貫性をもって、志に自分たちを見守ってもらうことができます

遠く

今回の記事では、なぜ、いまビジョンが大切かについて、個人と組織の関係性が変わっていく時代の流れにおいて、「みんなで遠くにいく」ことを選択して、中長期的に一貫性をもって取り組んでいくための中核となるものがビジョンであるという話をさせていただきました。


次回の記事から、意識の意識化の観点から、ビジョンについて深掘りしていきたいと思います。

落合文四郎
落合文四郎
アルー株式会社代表取締役社長

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